メールマーケティング運用のポイント(3):
メールマーケティングとは

公開日:

2017年7月19日

この記事は8分で読めます

執筆者 岡安 裕一

メールマーケティング運用のポイント(3): メールマーケティングとは

第1回「メールマーケティングで解決できる課題」では、メールマーケティングでどのような課題を解決・改善できるのかといったことをご説明しました。

今回の記事では、「メールマーケティングとは何なのか?」という疑問に答えていきます。

本記事で学べること

  • メールマーケティングにどのような具体的な手段があり、どのような目的で使っていけばよいのか

メールマーケティングはプッシュ型施策の大ベテラン

メールマーケティングがなぜデジタルマーケティング全盛時代に生き残って第一線で活躍出来ているのかというと、それは「プッシュ型施策」としていまだに活用できるからです。

この「プッシュ型施策」とは、具体的には何かを伝えたい事業者側が顧客(個人も法人も含む)に対して、メッセージを送る(プッシュする)ことができるという意味です。

インターネット広告にしても、コンテンツマーケティングにしても、多くのWebマーケティング施策は、実はプル型(待ちの)施策で、消費者側が何らかのアクション(検索する・サイトを何らかのきっかけで訪れるなど)に依存しています。

それに対しメールは、事業者側の送りたいタイミングで、送りたい内容を自由に送信することが可能です。

もちろん顧客側に「もうメールを送らないでください」という拒絶の意思表示をされてしまってはそれまでなのですが、これはメール以外の手段でも同じことです。

プル型・プッシュ型

ちなみに、SNSでもLineなどはプッシュ型施策として利用できますが、B2B(企業対企業の取引)のビジネスの場合には、プライベートな連絡手段としての利用が主なLineを使った施策はあまりお勧めできません。

B2Bでもよく利用されるFacebookなどは、メッセージの一斉配信などができないため、あくまで個別のメッセージではなく通常の投稿機能を使う形であり、完全なプッシュではなく、半プッシュ型といえるでしょう。

その他にプッシュ型施策では、スマホアプリのプッシュ通知を使ったもの、Webプッシュ通知などもありますが、それぞれインストールしてもらうハードルがあることや、あまり一般的でなく許可を取るハードルが高いなど、それぞれ難点を抱えています。

多くのメルマガなどに埋もれてしまう危険性はありますが、B2Bの取引にも違和感なく利用でき、誰もが一つはアドレスを持っているコミュニケーションインフラと言っても過言ではないメールは、一線で活躍するプッシュ型施策の大ベテランと言えます。

メールマーケティングの見逃せない低コスト性と隠れた作業コスト

そして、メールマーケティングを行う際に見逃せないのが、コスト面です。

極論すれば、メールマーケティングの初期段階で行われることがある、BCCでのメール一斉配信であれば、直接的にかかるコストはほぼ0と言ってもよいでしょう。

クラウドやASP型のメール配信サービスを使う場合でも、比較的安価な運用コストで利用できるのがメールマーケティングの特徴の一つです。
(なお、メール配信システム「Zoho Campaigns」では、登録数1,001~2500アドレスであれば、月額3,000円程度で利用可能です)

このような背景から、ネット広告などを利用する予算がない中小企業が、とりあえずメールマーケティングに興味を持つということはよくあります。

しかし、本当に見逃してはいけないのが、隠れたコストです。

運用コスト・作業コスト

それは、作業コストです。メールの内容を考えて定期的にメルマガを送るという業務は、実際にやってみると思ったよりも時間と精神力の必要な業務です。

特にメールの宛先に間違いがないか、名前を挿入する場合に誤りがないかなど、配信時には細心の注意が必要となり、この作業が精神力を大きく削ります。

ですので、低コストで運用ができるマーケティング施策であると同時に、思ったよりも運用の負荷が高いのがメールマーケティングだといえるでしょう。

メールマーケティングのポイントは“忘れられないこと”

メールマーケティングを実施することで得られる効果については、前回の連載記事第1回で解決できる課題としてまとめてみました。

細かく分ければ他にもいろいろとあるのですが、今回は特に重要な点を改めてお伝えします。

メールマーケティング(特にメルマガ)で重要な点は、

顧客に忘れられないこと

です。

メールマーケティングのポイントは忘れられないこと

特にB2Bのビジネスを行っている場合には、この点がさらに重要となります。

一般的に、特定のサービスや商品に興味を持ってから実際に購入するまでには、一定の期間が空くことになります。

B2Bではこれが顕著で、商品の価格にもよりますが、3か月~半年程度かかることはざらにあります。

そうすると、最初に興味を持ってから本格検討に入るまででも数か月かかり、本格検討するときには、自社のサービスが忘れられていて、検討の土俵にも乗らずに終わってしまうということが起こりえるのです。

そこで、自社の商品やサービスに興味を持った顧客にメールアドレスを登録してもらい、メルマガなどで定期的にゆるい接触をすることで、忘れられないようにするといった施策が重要になってきます。
(難しい言葉であれば「マインドシェアの維持とチャンスロス低減」という表現となります)

ここまでの内容(メールマーケティングの目的・効果・コスト)を、補足情報も含めて表にまとめてみましたので、ご覧ください。

プッシュ型施策の第一人者、メールマーケティング

メルマガとステップメールの違い

ここまでで、メールマーケティングの位置づけをまとめてきましたが、具体的な手段にも触れておきたいと思います。

セミナーなどでよくよく聞かれるのが、メルマガとステップメールの違いです。

このような質問が多いのは、具体的にどんな形で配信していけばよいのか悩んでいる方が多いということの表れだと思います。

そこで、メルマガとステップメール以外のものも含め、メールマーケティングの種類と目的を簡単に図にまとめてみました。

メールマーケティングの種類と目的

  • メルマガ長期的な関係の維持を目的として、定期的に配信されるメール。顧客が知りたいと情報を提供することで、マインドシェアの維持を行い、時折キャンペーン情報やセミナーなどの情報を提供しアクションを促す。売込み的な要素が多すぎると敬遠される。
  • ステップメール特定のニーズを持つ顧客がアクションを行った後短期間で集中的に配信するメール。サービスの登録直後や資料ダウンロード後に送られるようなものが一般的。
  • 個別メール個別フォロー目的で顧客の状況に合わせて営業担当者が1対1で送るメールと、同じ静的な属性(企業規模や所属部署など)もしくは動的な属性(メールの閲覧やクリックなど)を持つ顧客群に対して配信し、具体的なアクションを促すためのメールがある。

メルマガが広く浅く顧客との関係を築くために使われ、ステップメールや個別メールは、ある程度顧客のニーズなどが絞り込まれている状態で、ピンポイントのアクションを促すための施策として利用されることが多いようです。

まずはメルマガで様子を見て、機会をうかがいながら、タイミングよくステップメールや個別メールでフォローするというシナリオが基本的な流れになると言ってよいでしょう。

メルマガとステップメールの一般的なシナリオを図にまとめてみましたので、こちらもご参考としてください。

メルマガとステップメールの一般的なシナリオ

いかがでしたでしょうか?

なんとなくイメージがボヤっとしていたメールマーケティングにどのような具体的な手段があり、どんな目的で使っていけばよいのかがはっきりしたと感じてもらえれば今回の記事はお役に立ったといえるでしょう。
次回の記事では、メールを配信するための仕組みにどのようなものがあり、どんな観点で選ぶべきなのかを整理します。

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