高性能な、格安CRM。誕生。

公開日:

2022年7月20日

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執筆者 菊池 紗矢香

高性能な、 格安CRM。誕生。

プライシングとは

プライシングとは製品やサービスの価格を決定することです。販売戦略における重要な要素であり、様々な値付け方法があります。このプライシングは顧客や競合他社との関係性を考慮して適切な価格に設定しなければ、顧客の信頼を一気に失うリスクがあるほか、競合他社に優位性を築かれてしまって取り返しのつかないことになる可能性は少なくありません。ここではプライシングと顧客との関係性を考えていきます。

プライシングの目的

プライシングはマーケティング戦略において最も重要な要素の1つです。これはマーケティング戦略を検討するにあたって、最初に取り掛かるべきマーケティングミックス(4P)の4つの構成要素の1つです。なお、マーケティングミックスでは以下の要素が定義されています。

  • Product(製品)
  • Place(流通)
  • Promotion(広告・宣伝・コミュニケーション)
  • Price(価格)

売上の最大化

プライシングの目的の1つ目が売上の最大化です。企業は最適なプライシングを行うことで売上をアップさせることができます。企業は競合他社の値付け状況や消費者の需要、自社の生産コスト、調達コストを考えて最適な価格を決定します。この価格設定が低すぎると消費者にとってはメリットがあり、多くの購入が見込めます。その結果、売上は一定のラインまでは上がるでしょう。しかし、自社の利益率は低くなってしまったり、原価割れを起こしてしまったり、企業の成長にはデメリットとなります。一方、価格設定が高すぎると企業は1製品、1サービス当たりの利益率は高くなり、メリットがあるように見えますが、消費者には購入してもらえず、売上は下がってしまいます。企業はこの点を踏まえて適切にプライシングを行う必要があります。

価格の安定

プライシングの目的の2つ目が価格の安定です。この価格の安定化ですが、実はマーケティングを考える上では重要な要素です。なぜなら、価格を安定させることで消費者に安心感を与えることができるからです。例えば、これまで1万円で売っていた商品がいきなり半額になった場合、消費者はどのように考えるでしょうか。一部の消費者は価格が下がってうれしいと思うでしょう。しかし、多くの消費者はなぜいきなり価格が半額になったのか不安になるのではないでしょうか。商品の品質が落ちたのではないかと考え、購入を検討していた消費者が別の商品を買ってしまうかもしれません。また、これまで1万円で買っていた消費者はなぜ最初から半額で売らないのかと企業に不信感を抱き、今後の商品購入を控えることに繋がってしまうかもしれません。
このことからも商品やサービスの価格というのはただ単に安くできるときに安くすればよいわけではないことがわかります。商品やサービスの価格を安定させることで、利益を安定化させることができるだけでなく、企業イメージやブランドイメージも保つことができます。場合によってはブランディングが成功し、売上アップにも繋げることができるかもしれません。そのため、企業としては適切にプライシングを行い、価格の昇降が発生しないような価格設定にする必要があります。

市場シェアの拡大

プライシングの目的の3つ目が市場シェアの拡大です。市場では様々な競合他社製品にあふれています。その中で勝ち抜くためには適切なプライシングが欠かせません。適切なプライシングをすることで市場シェアの向上が見込めます。市場シェアの向上には大きなメリットがあります。それは規模の経済です。市場シェアが向上するということは、生産できる製品が増えるということです。規模の経済とは、生産設備の下で、生産量や生産規模を高めることで単位当たりのコストが低下することを指します。これは生産する製品だけでなく、商品なども同様です。多く仕入れることが可能となることで、割引が効く可能性があり、規模の経済の効果を発揮します。また、サービスにおいても、多くの知見を集まることにより、競合他社に比べてスピーディな作業が可能になる、テンプレートなどを活用して他社よりも効率的に作業が可能になることで規模の経済の効果を発揮します。
このようにプライシングにより市場シェアの向上を目指すことは企業にとって多くの利益をもたらします。

プライシングを考える際の要素

プライシングには大きく分けて3つの方法があります。それは①自社の人件費や材料費、設備投資費などをもとに価格を決定する方法、②需要予測をベースに価格を決定する方法、③競合他社の販売価格をもとに自社の価格を決定する方法です。端的に考えると自社をベースに考えるか、消費者をベースに考えるか、競合他社をベースに価格の設定を考えるかということです。これらの3つは互いに関係しあっており、1つの要素では決めることはできませんが、3つの考え方があることは抑えておく必要があります。ここではこの3つの考え方をご紹介します。

  • 人件費

  • 需要

  • 競合状況

自社の人件費(コスト志向型価格設定)

1つ目が自社の人件費や材料費、設備投資費などを基に価格を決定する方法です。コスト志向型価格設定とも言います。コストに重きを置くことで企業は確実に利益をあげることができます。その一方で、市場シェアが低く、規模の経済が働いていない企業がこのコスト志向型価格設定を行ってしまうとシェアが高い他の企業との競争に勝てないというデメリットもあります。コスト志向型価格設定にはさらに3つに分けることができます。

コストプラス法(原価加算法)

コストプラス法(原価加算法)とは、製品のコストを算出した後、社内で定めた一定の利益率または利益額を製品コストに上乗せして価格を設定する方法のことです。

マークアップ法

マークアップ法は小売業者や卸売業者が使用する販売価格の決定方法であり、仕入れ値をベースにして社内で定めた一定の利益率または利益額を仕入れ価格に上乗せすることで価格を決定する方法のことです。コストプラス法が製造する会社目線なのに対して、こちらのマークアップ法は小売業者、卸売業者目線であることが大きな違いです。

目標収益法

目標収益法は損益分岐点分析を利用した価格決定方法であり、企業の目標とする投資収益率(ROI:return on investment)を実現するように価格設定する方式です。

需要(需要志向型価格設定)

2つ目が消費者の需要を考慮し価格を決定する方法です。この方法は需要志向型価格設定とも呼ばれます。この価格設定方法も大きく3つに分けることができます。

知覚価値型価格設定法

類似商品や代替商品から価格を推測して決定する方法です。消費者のニーズにあった価格を設定することを目標としています。場合によっては事前にアンケートを取ったりして、最適な価格を決定することもあります。

バリュー価格設定法

バリュー価格設定法では類似商品や代替商品から価格を推定し、それよりも少し安い価格で販売する価格設定方法です。割安販売戦略とも言えます。市場シェアを拡大したい場合に用いられます。

需要差別型価格設定法

消費者を分類し、それによって価格を決定する方法になります。映画館の大人料金、子供料金が良い例ではないでしょうか。

この需要志向型価格設定の例としてはブランドのアパレルメーカーなどがあげられます。アパレルメーカーでは競合他社と差別化しやすいため、消費者がいくらで買ってくれるか需要予測から価格を設定する傾向にあります。

競合の価格(競争志向型価格設定)

3つ目が競合他社の動向を確認して価格設定を行う方法です。競争志向型価格設定とも呼びます。この価格設定方法は価格の決め方によって2つに分かれます。

実勢価格設定法

実際の競合他社の価格から推察して価格を決定する方法です。よくある方法としてはガソリンスタンドの価格が考えられます。ガソリンスタンドでは周辺のガソリンスタンドの価格に合わせて決定することが多く、その結果、同じ地域では大きな価格差はないものの、異なる地域間では価格差が発生しやすい商品です。

入札価格法

入札(オークション)によって価格が決定する方法です。売り手が最終価格を決められないというデメリットがありますが、多くの場合、競合他社の価格を考慮した適正な価格に決定されます。

高性能な製品の価格を抑える方法

ではプライシングで競合他社を抑えたり、消費者に選ばれたりすることで、売上を上げるにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは長く使ってもらえる可能性があるシステム目線で解説を行います。まず、売上を上げるためには規模の経済を活用することが大切になります。すなわち最初は多少割安で販売することでシェアを向上させるのです。その後、必要な機能は要望に応じてアップデートすることで、常にお客様に満足してもらい、長く使ってもらえるシステムを提供することができます。定期契約型のサービスであれば、この方法により常に一定の収益を上げることができ、最終的には高い売上へと繋がります。

高性能・低価格を実現した事例

ここでは高性能な製品の価格を抑える方法により、高性能かつ低価格のサービスを実現したZoho の例を紹介します。Zoho(Zoho Corporation Private Limited)とは、1996年に創業したインドのIT企業です。CRMをはじめとした営業、マーケティング、ヘルプデスク、ドキュメント、会計・経理・人事などのバックオフィス系のシステムを中心として、ビジネスに必要なあらゆるサービスを50種以上、提供している会社になります。現在は従業員数10,000人を超える大企業へと成長し、常に開発やカスタマーサポートに力を入れている企業になります。

Zoho のビジネスモデルを紹介

Zoho は自社が掲げるビジネスモデル「Marketing through Engineering(エンジニアリングを通じたマーケティング)」に基づいた戦略を徹底しています。この戦略とは、ツールの成長による顧客への利益還元を通じて、世界中のビジネスに貢献するマーケティング戦略になります。
実際の、Zoho のCRMシステムは非常に高い性能を持ちながら月額¥1,680円(税抜き・年間契約の月額換算)という低額で利用ができます。これ以外のイニシャルコストや導入コスト、オプションコストは一切かかりません。
しかも、Zoho が提供している機能はこれだけではありません。すべてのツールが互いに連携可能であり、システムを導入すればするほど費用対効果が高まる仕組みになっています。場合によっては全社的にシステムをZoho で統一することも可能です。
その背景にはZoho のユーザーへの利益還元への追及姿勢があります。様々な国で利用できるように多言語対応や他社システムとの連携強化も進めています。この姿勢は同社が非公開企業として顧客への利益還元を優先している点にも現れています。
Zoho はユーザーファーストの姿勢を貫いたがゆえに高性能・低価格を実現したよい事例と言えるでしょう。

誰もが革新的と唸る。Zoho のビジネスと収益モデル

顧客インタビュー①

これまで利用していた他社製品は費用が高額でしたが、高性能でした。しかし、豊富な機能がある一方、当社には使いこなせないケースが多く、また、第三者サービスを組み合わせたプランニングを提案され、追加料金を支払っているのが現状でした。当社では本ツールが今後アップデートされていくという期待を込めての先行投資でした。
しかし、Zoho のサービス・考え方を理解することで大きく価値観が変わりました。Zohoではユーザーファーストで必要な機能を都度アップデートしており、先行投資という感覚がなくなり、今必要な機能を追加してくれている感覚でした。また、自社システム、他社システムともにシステム連携に力を入れており、高い効果を実感しました。コスト面でも非常に安価で、ここまで低価格で必要な機能が網羅できるのかと感銘を受けました。

「CRMのコスト増大と複雑化がビジネスの足かせになっていました。
1/4のコスト削減と経営の可視化・データの有効活用を同時実現しました。」

アタラ合同会社
CEO 杉原 剛 氏

顧客インタビュー②

当社ではこれまでCFAとSFAの連携が課題でした。顧客情報を記録するデータベースと営業支援強化が分断され、思うような効果が出ませんでした。Zoho では安価なシステムでありながら、SFAを備えた営業支援強化型のCRMを搭載しており、効果的なシステム開発が実現できました。安価なサービスを提供してもらえたからこそ、それ以外の作業にコストをかけることができ、迅速なサービスの立ち上げが実現しました。

「ランニングコストを約1/3に削減。
さらに、自動化の幅が広がり年間30人月分の 工数削減を達成。」

株式会社レアジョブ
御園 裕太氏

まとめ

プライシングでは自社の利益をベースに考えてしまいがちですが、本質的にはどのように顧客に価値を提供するか、ということだと思います。サービスのクオリティを保つための最適な価格設定にするとともに、顧客に納得感を与える価格とすることで、自社だけでなく、顧客にも利益を生み出すことができます。

Zoho

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