CRM/SFA用語集リード

公開日:

2023年3月28日

この記事は10分で読めます

執筆者 菊池 紗矢香

CRM/SFA用語集リード

リードとは?

リードとは、企業が提供するサービスや製品の購入に関心を持つ見込み客のこと。リードは問い合わせ、紹介、イベントや展示会への参加など、さまざまなルートから獲得されます。営業・マーケティングは、リードを獲得して購買につなげるために活動し、企業の収益はリードジェネレーション(リード獲得)とコンバージョン(受注)を中心に展開されるといえます。リードを獲得したら、そのリードを育成するために迅速かつ効果的なフォローアップを行うことが重要です。

営業が扱うリードとマーケティングが扱うリードの違い

リードを獲得したら、そのリードを育成し、購入に導くのは、営業チームとマーケティングチームの役割です。しかし、営業チームとマーケティングチームでは、リードの扱い方が異なります。ここでは、その主な違いを紹介します。

  1. リードジェネレーション(リードの生成)

    マーケティングチームは、ソーシャルメディア、メール、広告、SEOなど、さまざまなチャネルを通じてリードを獲得します。 営業チームは、営業担当者のネットワークや紹介、コールドコールなどを通じてリードを生成します。

  2. リードクオリフィケーション(リードの選別)

    マーケティングチームは、リードスコアリングなどを用いてリードを評価することでリードを選別します。
    営業チームは、リードの予算、スケジュール、意思決定権、自社製品との適合性などの要素に基づいて評価することで選別します。

  3. リードナーチャリング(リードの育成)

    マーケティングチームは、メールキャンペーン、ソーシャルメディアへの投稿、ウェビナーなど、ターゲットを絞ったコンテンツの提供やコミュニケーションを通じて、リードを育成します。
    営業チームは、電話、ミーティング、製品デモなど、1対1の対話を通じてリードを育成していきます。

  4. リードコンバージョン(受注化)

    マーケティングチームは、製品・サービスのメリット、特徴などを複数のリードに一括でアピールする手法をとることで、購入につなげます。
    営業チームは、リードとの良好な関係構築を行いながら一人ひとりのニーズを理解し、そのニーズを満たすソリューションを提供することで、購入につなげます。

  5. 評価指標

    マーケティングチームはクリック率やコンバージョン率などの指標を追跡します。
    営業チームは、商談金額、取引規模、受注確度などの指標を追跡します。

つまり、マーケティングチームは、あらゆるをルートから新規リードを獲得し、ターゲットに適したコンテンツやコミュニケーションを複数のリードに対して一括で行うことによってリードを育成し、営業チームは、リードの選別、関係構築、1対1の対話で売り上げを上げることに注力します。

リードの種類

リードには、ホットリード、ウォームリード、コールドリードの3種類のリードがあります。これら3つのリードの違いは以下の通りです。

ホットリードコールドリードウォームリード
リードナーチャリングのプロセスでポジティブな反応(メールの開封、クリックやウェビナーへの参加など)を示したリードのこと。リードナーチャリングプロセスに反応しなかったリードのこと。ポジティブな反応を示したが、まだ検討段階であるリードのこと。
商品を購入する可能性が高いリード。商品を購入する可能性が低いリード。購入意欲はあるが、購入を見合わせているリード。
受注する可能性が高いため、優先的に対応します。優先順位をつけず、最小限の接触にとどめます。営業部門が日常的にコンタクトをとります。

リードセグメンテーションとは

リードセグメンテーションとは、潜在顧客を特定し、ターゲット市場を定義し、効果的なセールス・マーケティング戦略を構築する上で重要なプロセスです。

ここでは、リードセグメンテーションのステップをご紹介します。

  1. ペルソナを特定する

    年齢、性別、居住地、収入、学歴、職業などの人口統計学的な要因や、性格、価値観、態度、ライフスタイルなどのサイコグラフィックな要素なども考慮しながら、理想的な顧客のペルソナを特定します。

  2. 顧客データを分析する

    理想的な顧客を定義したら、既存の顧客データベースを分析し、優良顧客に共通する特徴に該当するリードを特定します。購入する商品やサービス、購入頻度、購入金額など、購買行動のパターンや傾向も探ります。

  3. 市場調査を実施する

    理想の顧客像に合致する潜在的な顧客を特定するために必要な対応を市場調査を通じて整理します。アンケートや過去の受注実績などの調査によって、ニーズや嗜好、行動などを把握します。

  4. リードスコアリングを行う

    リードスコアリングとは、各リードにスコアを割り当てるプロセスです。リードは、ブランドとのエンゲージメントの度合い、製品やサービスへの関心度、購買意欲などの要素に基づいてスコアリングします。

  5. マーケティングオートメーションツールを使用する

    マーケティングオートメーションツールは、業界、企業規模、所在地、職種などの特定の基準に基づいてリードをセグメント化するのに役立ちます。また、各セグメンテーションの興味や好みに応じて、マーケティングメッセージやコンテンツをパーソナライズすることも可能です。

  6. 検証と改善

    リードのセグメンテーションが完了したら、セグメンテーション戦略が潜在顧客の特定とターゲティングに効果的であることを確認するために、検証と改善を行います。コンバージョン率をモニターし、それに応じて戦略を調整します。

リードマネジメントのプロセス

リードマネジメントとは、セールスファネルを通じてリードや潜在顧客を獲得、育成し、管理するプロセスのことです。リードの特定、選別、優先順位付けを行い、様々なマーケティング戦略や営業戦略を駆使してリードを顧客化することが重要です。リードマネジメントのプロセスには、通常いくつかの段階があり、その概要は次のとおりです。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、リードを獲得するプロセスです。これは、あらゆるビジネスで収益を上げるための基礎となるものです。リードジェネレーションでは、見込み客からデータを収集し、入手した情報に基づいて適切なアプローチをカスタマイズします。リードジェネレーションのプロセスを通じて、企業は自社製品の適切なアプローチ対象を明確にし、自社や商品の理解度、興味関心度を高めることで、後のセールスプロセスにおいてセールスチームがスムーズに営業アプローチを展開できます。

リードクオリフィケーション

生成されたリードのすべてが有効なものとしてマークすることはセールスの効率を考慮すると効果的ではありません。一部のリードはスクリーニングによって、不適格と判断されます。このプロセスは、リードクオリフィケーションと呼ばれます。生成されたリードは、有効な連絡先の詳細、製品購入への明確な関心などをチェックし、人的リソースの割り当てが妥当かどうか判断されます。これは、営業担当者が収益を生まない可能性のあるリードに接触する時間が短縮する、ビジネスにおいて重要な工程です。

リードナーチャリング

獲得したリードから信頼を獲得しまた忘れられないようにするためには、常にアプローチを展開していくことが重要です。こうしたアプローチは、購買意欲を高めることにもつながります。このように、生成されたリードと常にコミュニケーションをとるプロセスをリードナーチャリングと呼びます。この工程では、提供されたアプローチに対するリードの反応を追跡したり、常に最新の情報も提供していきます。また、営業がリードと接触するためのプロセスをより合理的に構築するのにも役立ちます。これにより、顧客にとってより良い、よりパーソナライズされた体験を提供することができます。

CRM/SFAツールでセールスリードを管理するメリット

一度に多くのリードを獲得した場合には、すべてのリードを把握することは非常に困難です。しかし、CRMを導入することで、このような事態を回避することができます。顧客関係管理(CRM)や営業支援システム(SFA)ツールを使ってリードを管理することで、リード情報をデジタル化し、効率的なアプローチを展開したり、リードの温度感をスコアリングする工程で役立ちます。

CRMとSFAは、顧客データの管理、営業プロセスの自動化、営業チームと他部門とのコミュニケーションとコラボレーションの改善を可能にするツールです。

CRMとは

CRMとは、企業が顧客や潜在顧客とのやり取りを管理するのに役立つツールです。顧客情報の収集と保存、顧客とのやりとりの追跡、長期的な顧客関係の管理を可能にするため、リード管理には欠かせないツールです。

CRMの導入メリット

CRMシステムは、人口統計情報、購買履歴、行動データなど、さまざまな基準に基づいてリードを整理し、優先順位をつけることができます。リードをセグメント化することで、企業はターゲットを絞ったマーケティングキャンペーンやセールストークを展開し、特定のセグメントに響くアプローチが展開できます。

SFAとは

SFAは、企業がセールスリードをより効果的に管理するためのもう一つのツールです。SFAは、リードの認定、リードの育成、リードの追跡など、営業プロセスの特定の側面を自動化するソフトウェアアプリケーションです。

SFAの導入メリット

SFAは、反復作業の自動化、ワークフローの合理化、重要な顧客情報へのリアルタイムアクセスを実現することで、営業チームがより効率的かつ効果的に業務を遂行できるように設計されています。

CRMとSFAを活用してリードを管理することで、以下のようなメリットがあります。

  1. リード管理の改善

    CRMとSFAツールは、すべての顧客情報を一元的に管理することで、リードをより効果的に管理することができます。これらのツールを使用することで、営業チームは顧客データにアクセスし、リードとのやり取りを追跡し、さまざまな基準に基づいてリードに優先順位をつけることができます。

  2. 効率性の向上

    SFAシステムは、リードの認定やリードの追跡など、営業プロセスの特定の側面を自動化することで、営業チームがより効率的かつ効果的に作業できるよう支援します。これにより、生産性の向上、顧客満足度の向上、営業成績の向上につながります。

  3. コラボレーション

    CRMとSFAは、営業チームとマーケティングやカスタマーサポートなどの他部門とのコミュニケーションとコラボレーションを改善するのに役立ちます。顧客データとインサイトを共有することで、チームはより効果的に連携し、ターゲットとなる顧客層の特定のセグメントに響く可能性の高いマーケティングキャンペーンやセールストークを作成することができます。

  4. カスタマーエクスペリエンスの向上

    CRMとSFAツールを使ってリードを管理することで、よりパーソナライズされた魅力的な顧客体験を提供することができます。顧客データを収集・分析することで、顧客一人ひとりのニーズや好みに合わせて、セールストークやマーケティングキャンペーンをカスタマイズすることができます。

  5. 分析と改善

    CRMとSFAツールは、重要な顧客データにリアルタイムでアクセスすることができ、トレンド、パターン、商談機会を特定するレポートを作成することができます。これらの洞察を営業戦略や戦術に反映させることで、収益の拡大を促進することができます。

リード管理のためにCRMとSFAツールを導入する場合、リードトラッキング、リードクオリフィケーション、リードナーチャリング、分析・レポートなど、さまざまな機能を備えたツールを選ぶ必要があります。

関連記事

コホート分析とは?CRMを活用した顧客情報のコホート分析

記事を見る

CRM/SFA用語集 コホート分析とは?CRMを活用した顧客情報のコホート分析

コホート分析とは、顧客分析、ユーザー行動分析など、さまざまな分野で利用されている分析手法。コホート分析の基本とCRMでどのように分析できるかを紹介します。

CHAMPとは? 基本的な概念と活用方法を徹底解説

記事を見る

CRM/SFA用語集 CHAMPとは? 基本的な概念と活用方法を徹底解説

CHAMPとは、 見込み客を適切に評価するための営業プロセスのフレームワークのこと。見込み客を適切に評価し、効果的な営業活動を行いたい場合に役立ちます。

GPCTBA/C&Iとは?用語の解説や活用方法まで徹底解説

記事を見る

CRM/SFA用語集 GPCTBA/C&Iとは?用語の解説や活用方法まで徹底解説

GPCTBA/C&Iとは、営業活動における見込み客の評価に用いる基準のこと。GPCTBA/C&Iの基本とCRMによる活用方法をご紹介します。

FAINTとは?リード評価に役立つフレームワークの概要と活用シーン

記事を見る

CRM/SFA用語集 FAINTとは?リード評価に役立つフレームワークの概要と活用シーン

FAINTとは、予算や興味関心、ニーズ、購入時期などを基に、リードの購買意欲を評価する営業フレームワークのこと。FAINTの基本と活用シーンをご紹介します。

「BANT」とは?営業が絶対知っておくべきヒアリング手法

記事を見る

「BANT」とは?営業が絶対知っておくべきヒアリング手法

インサイドセールスが一般的になった昨今は再注目されている「BANT」。このページでは、BANTの概要と具体的な活用シーンをご紹介します。

MRRとは?SaasビジネスにおけるMRRの種類と計算式

記事を見る

MRRとは?SaasビジネスにおけるMRRの種類と計算式

MRRとは、月次経常収益(Monthly Recurring Revenue)の略で、Saasビジネスにおける重要な指標です。MRRの種類と計算式について解説します。