営業の逆算思考

公開日:

2016年11月10日

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執筆者 岡安 裕一

営業の逆算思考

営業活動の改善やマーケティング支援をさまざまな企業に実施していると、営業活動の方針など、決めなければいけないことを決められなかったり、決めたはいいけど具体的な活動計画に落し込めない方に一定の確率でお会いします。

勉強家だったり、仕事に対してまじめだったりする方も多い中で、なぜイマイチな仕事の進め方になっているんだろうなと観察していると、どうも「逆算思考」ができていないことが原因になっていることが多いと考えるようになりました。

そこで今回の記事では、営業活動の改善やマーケティング活動の最適化に欠かすことのできない「逆算思考」についてまとめてみました。

この「逆算思考」、それほど難しい内容ではありません。

一度「そういう風に考えればいいんだ!」となれば、その後もずっと事業計画や営業活動計画の立案、経営方針の数字への落し込みなどに使える思考法ですので、ぜひ身に着けていただければと思います。

逆算思考とはなにか?

逆算思考という言葉、お聞きになったことはありますか?

おそらく聞いたことがないという方は少ないのではないかと思いますが、使いこなせている人は意外と少ないのが逆算思考です。

具体的には、逆算思考とは、

「求められる目標を決め、その目標を達成するための活動をゴールから逆順に落し込んでいく考え方」

であると説明できます。

「逆算思考」では、積み上げるのではなく、一番上の目標から具体的な数字に落し込んでいく(ブレイクダウンする)イメージです。

トップダウン方式などと呼ばれることもありますね。

逆に、営業員一人当たりの売上可能数などから売上目標が立てられていたるするやり方は、ボトムアップ方式と呼ばれます。

ボトムアップ方式も悪くはありませんが、どうしても現状に引きずられて、業務改善やチャレンジングな目標達成という意識になりにくいというデメリットもあります。

しかし、トップダウン方式もあまりにも現実離れした目標になり、現場のモチベーションがダダ下がる可能性も少なくありません。

ですから、本来は、目標はきっちり意味のあるものをトップが指し示し、トップダウン方式とボトムアップ方式での数字を比べて、そのギャップをどのように埋めるのかを自分の頭で考える、というのが正しい目標数値の作り方といえるでしょう。

逆算思考による営業活動計画立案の具体例

それでは、「逆算思考」(トップダウン方式)を使って営業活動計画を立案する具体的な流れを説明してきましょう。

ある企業の今年度の売上目標が5,000万円だと仮定しましょう。

売上=受注単価×受注数
と計算できますから、「受注単価」と「受注数」の2つの数字を決めなければより具体的な計画は立てられません。
(ビジネスモデルによっては、「顧客単価」と「顧客数」となります)

商談単価の昨年度実績の平均値が、100万円で、商品のラインナップに変更がなければ、今年の想定受注単価も同様と推測でき、売上の計算式は、
5,000万円=100万円×50件
となります。

つまり、年間に必要な受注数は、50件なので、50件の受注を確保するような活動をしなければならないということですね。

次に、50件の受注を確保するのに必要な商談数を計算します。

この企業における受注率(受注数÷商談数)が20%だとすると、50件の受注を確保するのに、必要な商談数は、
50件=20%×250商談
と計算できます。

つまり、売上を確保するのに250個もの商談が必要だということです。

では、250個の商談を確保するのに必要な見込顧客数はどの程度なのでしょうか。

この企業における商談化率(商談数÷見込顧客数)が20%だとすると、250件の商談を確保するのに、必要な見込顧客数は、
250件=20%×1,250顧客
と計算できます。

さらに、1,250の見込客を確保するためには、ネット広告や展示会・紹介などの集客手段でどの程度集められるのか、といった集客施策と集客可能数・見込顧客化の確率を計算し、具体的な活動を誰がいつまでに何をどの程度実施しなければならないのか、といった行動目標にまで落し込みます。

逆算思考のイメージはわきましたか?

このように売上を因数分解していき、必要な商談数・見込顧客数などに落していくことで、具体的にどのような活動をどの程度実施しなければならないかを考えて活動目標に落し込んでいくことで、はじめて意味のある営業活動の計画となるのです。

実際にはさらに、そこで算出された数字が現実的に可能なのか、といった机上の仮説検証を行い、現実との乖離がある場合には、何らかの手段(営業担当者の事務作業を減らして、意味のある活動に集中してもらい訪問数を増やすとか)を講じる必要があります。

ポイントは具体的な活動目標にまで落し込むこと

マーケティングや営業活動の逆算による計画立案で、重要なポイントは逆算していった結果、行動目標の具体的な内容と行動数にまで数字を落し込んでいくことです。

そこまで落さなければ何をいつまでにやらなければならないかを、各営業担当者に具体的な指示として出すことができません。

イマイチな営業活動を行っている企業は、「営業活動(売上を生み出す原因)」をコントロールするのではなく、一生懸命「売上(営業活動の結果)」をコントロールしようとしてしまいます。

そうすると、営業担当者に「あと売上を100万上げるんだ!」といった乱暴な指示しか出せないのです。

こんな指示では、なかなか行動には落しづらいですよね。

そのような乱暴な企業と比べて、きちんと科学的な営業(誰でも再現可能な営業)を行い、数字に基づく計画を正しく出せている企業では、行動をコントロールしています。

そうすると、担当者に「あと売上を100万上げるんだ!そのためにマーケ担当のA君は、新規見込客を追加で5件獲得し、営業担当のB君はその新規見込客をうち1件を確実に受注につなげてくれ!」という指示になります。

どちらの指示が担当者のモチベーションを上げて、担当者の創意工夫を引き出したり、やるべきことに集中してもらい、成果に結びつけられるかは明らかですよね。

各プロセスの数字をどうやって算出するか?

このような逆算思考の考え方を説明すると多くの企業で、うちでは商談化率や受注率のデータがないので計画が立てられないといった話になります。

もちろん商談化率などの数値はあった方がよいのですが、最初は感覚値を元にした仮説で構わないですし、ざっくりExcelで計算した数値でも問題ありません。

重要なのは仮説に基づいて活動を行い、その結果がどうだったかをきちんと検証することです。

そして、できれば逆算思考による計画立案を始めた年からは、商談化率や受注率・商談期間などの計画を立てるための基礎数値を取得して保存するようにしたいところです。

こういった数値は、手動で計算するとひどく手間のかかる作業で、データが不正確になったり、集計を年間を通して行えなかったり、Excelに強い営業マンが営業活動の時間を割いてまで数字と格闘するといった結果になりがちです。

できればCRMやSFAなどの簡単に必要な数字を自動で集計してくれるクラウドサービスやITツールを使って、必要なデータを正しく簡単に集計できる仕組みの導入を検討するようにしてください。

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