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分析結果をウェビナー戦略に落とし込む
ウェビナーを定期的に開催している企業では、リード獲得を目的とするあまり、「量」を重視しすぎて、開催すること自体がゴールとなり、その後の分析や方向性の見直しが疎かになるケースが少なくありません。しかし、ウェビナーの目的がリード獲得だけではなく商談機会の創出にもある場合、獲得したリードが実際に商談につながっているかまでを確認し、「量」だけでなく「質」にも注目しないといけません。
前回のレッスンでは、参加者データ、行動データ、商談・売上データ、定性データを分析し、改善すべきポイントを特定しました。今回は、その分析結果を「ターゲット」「コンテンツ」「プロモーション」「フォローアップ」の4つの要素に分類し、それぞれ具体的な戦略に落とし込む方法を学びます。
分析結果を活用する4つの要素
戦略要素 | 見るべきポイント |
ターゲットは適切だったか |
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コンテンツの構成や内容は適切だったか |
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プロモーション施策は最適だったか |
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フォローアップは十分に機能していたか? |
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ターゲット設定の見直し
ウェビナー施策で獲得したリードを商談や成約に1件でも多くつなげるには、適切なターゲット層を正しく集客できていたかが重要になります。広告やSNS、メール配信など複数のチャネルを活用して集客を行っていても、実際に参加した層が「狙いたい層」とズレていた場合、ウェビナーの内容と視聴者の関心が噛み合わず、成果にはつながりません。さらに、多くのコンテンツを用意してフォローアップ施策を強化しても、成果につながらない可能性があります。ウェビナー施策をしっかりと成果につなげるには、視聴者層を明確にし、実施するウェビナーのテーマに合ったターゲット設定を行うことが不可欠です。
以下の観点から、ターゲット設定が適切だったかを見直し、次回の戦略を調整していきましょう。
ターゲット層がズレている場合
広告予算をかけて集客しているにもかかわらず、参加者の属性が「本来のターゲット」から外れていた場合、ウェビナーの成果が得られにくくなります。商談につながりにくい業種ばかり集まっている、意思決定者が少ないといった状況が見られる場合は、広告設定や訴求内容の見直しが必要です。
ターゲットリストを見直す
ウェビナーの参加者データ(業種、職種、役職、企業規模など)と、広告配信結果(クリック率や流入元)を照らし合わせ、狙いから外れていた層を特定します。CRM/SFAツールなどで「申し込み属性」と「流入チャネル」を紐づけ、以下のようなケースをチェックします。
- クリック率は高いが、リード獲得に至らない業種・職種
- リードは多いが、商談化率が極端に低い層
こうした対象をターゲティングの除外条件に設定します。
広告配信設定を最適化する
広告プラットフォームのターゲティング条件を見直し、狙う業界・職種・企業規模・役職に合致する層に絞り込みます。
例:
- LinkedIn広告では「役職」「企業規模」で絞り込み
- Google広告では「カスタムオーディエンス」を利用
条件が曖昧なままだと、リーチが広がりすぎてターゲット外の層に配信されてしまうため、可能な限り具体的なセグメントを設定します。
広告クリエイティブを変更する
訴求メッセージや画像がターゲット層に合っていない可能性もあります。たとえば、技術者向けの内容を経営層に配信しても響きにくいことがあります。以下のような要素をA/Bテストし、効果の高いパターンを検証します。
- キャッチコピー(課題訴求型/実績訴求型など)
- 画像(人物/製品写真/図解など)
- CTA文言(例:「今すぐ申し込む」「資料を見る」など
特定の業種・企業規模で成果が出ている場合
分析の結果、特定の業種や企業規模で商談化率が高いとわかった場合は、そのセグメントに絞って施策を強化することが効果的です。成果が出ている層に集中的にリソースを配分し、さらに商談の機会を増やしましょう。
広告予算の再配分をする
商談化率の高い業界・企業規模に広告費を優先的に配分し、より多くの有望リードを獲得します。一方で、リードは獲得できても商談につながりにくい業種への広告費は抑え、費用対効果の最大化を図ります。広告管理ツールのデータを活用し、業種別・企業規模別のコンバージョン単価(CPA)や商談化率をもとに判断するとよいでしょう。
業種別の専用コンテンツを作成する(フォローアップ施策の強化)
ウェビナー後のフォローアップで商談化をさらに促進するために、成果が出ている業界に向けた専用コンテンツを用意します。その業界での成功事例、業界特有の課題と解決策、導入メリットなどに特化したホワイトペーパーや事例資料を作成し、活用しましょう。
活用シーン例:
- ウェビナー参加後のフォローメールに添付
- 次回ウェビナー案内に業種別資料を同封
- 営業部門による1to1メールでの送付
- 広告の二次クリエイティブとして活用
このように業種特化型のコンテンツは、ターゲットの関心と課題意識に合わせたアプローチを可能にし、商談化率の向上に貢献します。
意思決定者層の参加が少ない場合
商談化率を高めるには、経営層やマネージャークラスの参加を増やすことが不可欠ですが、意思決定者層の参加割合が低い場合、広告や訴求内容に問題があり、意思決定者にリーチできていなかった可能性があります。
広告のターゲティング精度の向上させる
「CEO、CFO、COO、部長クラス以上の意思決定者」に限定するなど、役職レベルでのターゲティングを強化したり、従業員数や売上規模をフィルタリングし、経営課題が顕在化している企業層にアプローチしたり、アプローチ手法を見直します。
訴求内容を変更する
ウェビナーの訴求が担当者向けに設計されており、意思決定者にとって関心を引く内容になっていなかった可能性も考えられます。そのため、「投資対効果に関する内容」「導入事例の紹介」「市場動向の分析」などの意思決定者が関心を持ちやすい要素を中心に構成します。
具体例:
- 「導入コストとリターンのバランス」「競合と比較したコスト優位性」
- 「同業他社が導入後に業務効率を30%向上させたケース」
- 「売上が○%アップした具体的事例」
- 「今後の業界のトレンド」
- 「競争環境における自社の立ち位置と優位性」
また、意思決定者の時間的制約を考慮し、ウェビナーの時間を通常1時間から30分程度に短縮し、要点を簡潔に伝える設計にするなど、工夫をすると良いでしょう。
新規リード獲得率が低い場合
ウェビナーの目的が「新規リードの獲得」と「商談機会の創出」であるにもかかわらず、既存顧客ばかり参加し、新規リードが十分に獲得できていない場合、集客施策を見直しが必要です。新規リードが不足している場合、ターゲット層への認知拡大や新規チャネルの開拓が不十分である可能性があるため、新規ユーザーの流入を増やす施策の強化が必要です。
ターゲット層に適した広告施策を強化する
新規リードと既存顧客では、関心を持つポイントが異なるため、それぞれに適した広告クリエイティブを作成して運用することが重要です。
例えば、既存顧客は、すでに製品の存在を知っているため、具体的な活用法、導入事例、料金プランなどの詳細情報に関心を持ちますが、新規リードは、そもそも製品を知らないことが多いため、「製品の特長」ではなく、「課題の解決方法」や「ビジネスに役立つノウハウ」などの内容に興味を持つことが一般的です。この違いを考慮し、ターゲットごとに適したメッセージを設定します。
具体例:
- 「〇〇をさらに詳しく知りたい方へ|導入事例・料金プランはこちら」(既存顧客向け)
- 「【無料資料】業界の○○な課題を解決する最新トレンドとは?」(新規リード向け)
ターゲット層が集まるオンラインフォーラムや業界特化型プラットフォームでの集客施策を検討します。
新しい広告チャネルを開拓する
現在利用しているチャネル(メルマガ、Web広告など)だけでは新規リードのリーチに限界がある場合は、新たなチャネルの開拓が有効です。以下のようなチャネルが候補になります。
- 業界特化型プラットフォームやオンラインフォーラムへの出稿
- Facebook・Instagram・YouTube・X(旧Twitter)などのSNS広告
- Google ディスプレイネットワーク(GDN)による幅広い認知拡大
これらのチャネルでは、興味・行動ベースでのターゲティングも可能なため、「まだ製品を知らない層」へのアプローチに適しています。
チャネルごとに新規リード獲得率やCPA(1件あたりの獲得単価)を比較・分析し、成果が出やすいチャネルにリソースを再配分していきましょう。
コンテンツ戦略の改善
ターゲット設定の見直しを行った次は、そのターゲットに最も響くコンテンツへとブラッシュアップしていきます。「視聴者の関心が高かったコンテンツは何か?」「途中離脱率が高いコンテンツは何か?」「視聴者の関心度を測る指標にもなるQ&Aや投票は活用されていたか?」など、これらの視点から分析データを整理し、コンテンツ戦略を見直しと改善策を実施します。
特定のセッションで視聴者の関心が高い場合
ウェビナーの分析データを基に、視聴者の反応がよかったセッションを特定し、コンテンツ内容を強化します。
関心の高かったセッションを拡充する
特に好評だったコンテンツは、次回のウェビナーで時間を長く確保し、関連する新しい情報を追加したり、今回の箇所をより深掘りしたり、視聴者の関心を高める内容にアップデートします。
視聴者の関心が高いテーマを次回のウェビナーに反映する
質疑応答中に、特定のテーマについて多く質問が寄せられた場合は、視聴者はそのトピックに強い関心があることを示しています。次回は、そのテーマに特化したウェビナーを開催し、視聴者のニーズに応えることで、満足度を高めます。また、寄せられた質問をFAQ(よくある質問)として整理し、参加者に配布することで、ウェビナーで伝えきれなかった情報を補完し、商談の機会につなげるフォローアップ施策としても活用することを検討します。
途中離脱率が高い場合
参加者が途中で離脱したポイントは、コンテンツへの関心度が低下したことが主な原因と考えられるため、離脱率が高いセクションを特定し、改善策を講じることが重要です。
離脱率が高いタイミングを特定する
ウェビナー開始後15分で視聴者が急減している場合、導入部分が長すぎる可能性があるため、イントロを短縮したり、ウェビナーの冒頭で要点や視聴者が得られるメリット」を簡潔に伝えたり、視聴者の興味を維持する取り組みをします。また、ストーリー仕立ての構成にし、最後まで視聴させる仕掛けも検討します。
話の構成を見直す
ウェビナーの進行が一方的な説明になっていると、参加者の興味を維持しにくくなります。スライドを多用した講義形式だけでなく、Q&Aや投票機能を活用し、インタラクティブな要素を増やすことで、視聴者の関与を高めます。
具体例:
- セッションの合間に質問コーナーを設け、参加者の発言機会を増やす。
- リアルタイム投票機能を活用し、視聴者の意見をウェビナーの進行に反映させる。
- スピーカーが定期的に視聴者に話しかけ、参加者の集中を維持する。
Q&Aや投票は活用されなかった場合
Q&Aや投票機能が積極的に活用されていた場合、参加者の関心が高いと判断でき、逆に、活用率が低かった場合は、ウェビナーの進行やコンテンツ構成に工夫が求められます。
Q&Aを積極的に促し、参加者の発言を引き出す
ウェビナー中に、司会者や講師が「気軽に質問をお寄せください」や「このテーマについてご質問はありますか?」と随時アナウンスを行い、参加者が質問しやすい環境を作ります。
具体的な施策:
- ウェビナーの冒頭で「遠慮せずどんどんQ&Aをしてくださいね」と伝えて、質問の心理的ハードルを下げる。
- 事前アンケートで参加者の質問を収集し、講師がウェビナー中に積極的に取り上げる。
- 特定のセッションの後に「○○について質問はありますか?」と声をかけ、流れの中で自然に質問を促す。
投票機能を活用し、参加者の意見をリアルタイムで反映する
「あなたの会社ではこの課題に直面していますか?」などの実態調査型の投票を実施し、参加者の関与を高めることも良い手法です。
具体的な施策:
- 投票結果をリアルタイムで共有し、講師や司会者がその内容をもとにディスカッションを展開する。
- 選択肢を単純化し、直感的に回答しやすい形式(Yes/No形式、3択など)を活用する。
- 投票後に「なぜこの選択をしたか」について視聴者に発言の機会を設け、さらに議論を深める。
ウェビナーの進行を対話型にし、参加者の主体性を高める
ウェビナーの進行が一方的なプレゼン形式になっていると、参加者の関心を維持しにくくなります。質疑応答の時間を適宜設けて、参加者との双方向のやりとりを行い、一方的なプレゼンではない進行にしたり、事例紹介やケーススタディを交えたディスカッション型の進行を増やしたり、参加者が主体的に考えられる機会を作ります。
プロモーション計画の強化
次に、ウェビナーの集客が十分だったか、どのチャネルが最も効果的だったのかを分析し、流入経路ごとに適切な戦略を立てます。分析を基に、流入が多かったチャネルの強化、参加率が低いチャネルの改善、メール開封率や広告CTRの最適化を行い、プロモーション計画をブラッシュアップしていきます。
どのチャネルからの流入が多かったか
ウェビナーの流入経路は、一般的に「検索流入(SEOやオーガニック)」、「広告流入(GoogleやSNS広告)」、「メール流入(メルマガ・DM)」の3つが主流です。それぞれのチャネルを分析した上で、申し込み数が最も多かった流入チャネルを特定し、最適化を図ります。
検索流入を最適化する
検索エンジン経由での流入が多い場合、コンテンツSEOがしっかりと機能している可能性が高いため、SEO対策をさらに強化します。例えば、ウェビナーのタイトルや説明文に関連キーワードを適切に盛り込み、検索上位表示を狙ったり、過去のウェビナーや関連するコンテンツページから内部リンクを設定し検索流入を増やしたり、さまざまな施策が挙げられます。
広告流入を最適化する
広告経由の流入が多い場合は、どの広告キャンペーンが最も成果を出したか分析し、リード獲得単価やコンバージョン率が高いものを優先して強化します。費用対効果の高い広告に予算を集中したり、クリエイティブやメッセージのA/Bテストを行い、反応が良いものを随時展開していくと、配信を最適化できるでしょう。
メール流入を最適化する
メール経由の申し込みが多い場合、タイトルや配信タイミングが効果的だった可能性が高いため、過去の開封率・クリック率を分析し、最も効果的な件名や配信時間を特定してさらに改善を図ります。
上記の中で最も効果的だったチャネルへの広告予算を増やし、リーチを最大化する強化していきます。また、成果が良かった広告のクリエイティブやメッセージを横展開し、他のチャネルにも適用したり、SEO流入が多かった場合には、関連キーワードでのコンテンツを増やしたり、さらなる検索流入を狙うといった戦略を組むこともできるでしょう。
参加率が低いチャネルがある場合
申し込みは獲得できても、当日の参加率が低いチャネルがある場合は、戦略の見直しが必要です。流入経路ごとにユーザーの行動傾向を把握し、参加率を高めるための具体的な施策を検討します。
検索流入の参加率を向上させる
検索経由での申し込み者は、情報収集の目的で登録しているケースが一般的には多いため、ウェビナーの重要性を再認識させるフォローが必要です。例えば、「このウェビナーでは、実践的なノウハウが手に入ります」といった記載を、申し込み完了ページや確認メールで強調するなど、当日の参加意欲を高める取り組みを検討します。
広告流入の参加率を向上させる
広告経由の申し込み者は、Webサイトを閲覧中やSNSを閲覧中に表示されるため、何かのコンテンツを見ながら「ながら申し込み」するケースが多く、申し込み後に忘れてしまっている可能性があります。また、また、「とりあえず申し込んでおこう」と思ったものの、当日になって優先度が下がり、参加しないケースも考えられます。そのため、以下の施策を検討します。
- 申し込みページに「当日限定の特典」や「見逃し配信なし」など、参加すべきメリットを強調する。
- 申し込み完了後、すぐに「カレンダー登録を促すボタン」を表示し、忘れられないようにする。
- リマインドメールで「参加者特典」や「ライブ配信ならではのポイント」を伝え、リアルタイム参加を促す。(例:「当日リアルタイム参加者限定で特別資料をプレゼント」など)
メール流入の参加率を向上させる
リマインドメールの配信タイミングが適切でない可能性があるため、配信日の見直しを行います。(例:申し込み後、イベント前日に「あと1日」「1時間前」など複数回のリマインドメールを送付する)
メール開封率やクリック率はどうか
メール開封率やクリック率といった各指標を分析し、訴求軸や配信時間、デザインなどの運用内容を見直します。
開封率が低い(20%以下)場合
件名が魅力的でない、ターゲットに合っていない、配信時間が最適でない可能性が高いため、件名と配信時間を見直します。
件名の改善:
- 「質問形式」「数字入り」「パーソナライズ」「緊急性」などの要素を意識して変更する(例:「先着100名限定」「申し込み締切○月○日まで」「○○業界向け!最新調査レポートを無料公開」)
配信時間の最適化:
開封率の高い時間帯を見極めるために、朝8時、昼12時、夕方18時の3パターンで検証をし最適な配信タイミングを特定します。
クリック率が低い(1%以下)場合
メール内のCTA(コール・トゥ・アクション)が弱い、またはリンクが目立たない可能性があるため、CTA文言やデザインを変更します。
CTA文言やデザインの改善:
- CTAの文言を「登録はこちら」から具体的なメリットを記載した「限定ウェビナーを無料視聴」などに変更し、訴求力を高める
- メール内のボタンの色やサイズを調整し、視認性を高め、クリックしやすくする
マーケティングと営業の連携
最後に、ウェビナー実施後のアンケート回収率、参加者の商談化率、リード転換率を分析し、質の高いホットリードを獲得できていたかを振り返ります。分析結果を基に、マーケティングと営業の連携をさらに強化し、商談率・成約率の向上につなげるための今後の戦略を見直します。
ウェビナー後のアンケート回収率はどうか
アンケート回収率が高いほど、参加者の関心度・ニーズ・満足度を定量的に把握できるようになり、ホットリードの抽出がスムーズになります。一方で回収率が低いと、有望リードの見極めや次回の施策立案が難しくなるため、アンケートの内容と導線の両面から見直しが必要です。
アンケート内容の見直し
設問数が多すぎたり、自由記述中心になっていたりすると、回答率が下がってしまう傾向があります。そのため、短時間で回答できるような設計を工夫し、参加者の負担を軽減できるようにしましょう。アンケートを設計するときは、以下のポイントを押さえましょう。
- 設問数を3〜5問程度に絞る
- 選択式の設問をメインに構成する(ラジオボタン、プルダウンなど)
設問例:- 「ウェビナーの満足度を教えてください(5段階評価)」
- 「最も興味を持ったセッションはどれですか?」
- 「今後のウェビナーで知りたいテーマは?(複数選択可)」
- 「導入を検討していますか?(はい/いいえ/検討中)」
このように、「満足度や関心度といった定量的な評価」と、「次回施策につなげるニーズ把握」の両面をバランスよくカバーできる設問を設計することが、アンケート活用のポイントです。
アンケート導線を工夫し、回答率を高める
アンケートをしっかり設計しても、視聴者が自然に回答できる誘導がなければ、十分な回答を得ることは難しいでしょう。アンケートの回収率を高めるには、「いつ・どのように案内するか」というタイミングと導線設計が重要なポイントです。
- ウェビナー終了直後にリンクを画面表示する
終了時のスライドに「ありがとうございました。アンケートにご協力ください」と表示し、その場で回答を促すとスムーズに回収につながります。 - スピーカーや司会者から直接案内
視聴者への声かけも効果的です。例えば、「このご意見を次回に活かしたいので、ぜひ1分だけお時間ください」といった一言があることで、回答率が上がる傾向があります。 - フォローアップメールでの再送信とリマインド
ウェビナー翌日や2日後などにアンケートリンクを再送信し、未回答者へのリマインドを行うことで、さらに回収率が向上します。
このように、「リアルタイムでの案内」と「後日のフォローアップ」を組み合わせた2段階のアプローチを行うことで、アンケートの回答率を高められるでしょう。
参加者の商談化率・リード転換率はどうか
ウェビナー参加者の中で、実際に商談につながったリードの割合(=商談化率)を分析することで、どの層が成果につながりやすかったのかを明確にできます。業種・職種・企業規模、さらにはウェビナー中の行動(滞在時間・Q&A・アンケート回答など)ごとに商談化率を比較すれば、次回以降のターゲティングやフォロー施策の改善にもつながります。
フォローアップメールのパーソナライズを徹底する
フォローアップの内容がターゲットの関心や立場に合っていないと、見逃されるリスクが高まります。リードの属性やウェビナー中の行動データに基づいて、適切なメッセージや資料を個別に届けましょう。
- 属性別に内容を変える
経営層に対しては「投資対効果(ROI)」や「導入による成果」などの視点で価値を伝えます。一方で、現場担当者には「操作方法」や「導入手順」など、実務に役立つ情報を中心に構成すると効果的です。 - ウェビナー中の行動に応じた対応
Q&Aで「◯◯について質問した」リードには、そのトピックに関連したホワイトペーパーや事例資料を個別に送付します。こうした対応により、関心領域に沿った深いコミュニケーションが可能になります。 - 行動トリガーによるメール出し分け
アンケートの回答内容や、ウェビナーの視聴時間に応じてメールの内容を切り替えることで、より適切な情報提供が可能になります。途中離脱したリードには「見逃し配信のお知らせ」、最後まで視聴したリードには「次回の提案や個別相談の案内」を送るといった分岐対応が有効です。
ナーチャリング施策を強化する
すぐに商談化しなかったウォームリードやコールドリードに対しては、興味関心を徐々に高めていくナーチャリングが必要です。以下のようなナーチャリング施策をリードの状態に応じて実施すると良いでしょう。
- シナリオ配信(ステップメール)による継続的接触
例えば、以下のような流れで、徐々にリードの関心を高めていきます。
- 1週目:業界課題をまとめた資料
- 2週目:導入事例
- 3週目:無料相談の案内 - リードスコアリングを活用して温度感を可視化
メールの開封やリンクのクリック、Webサイトへの再訪などの行動データに応じてスコアを加算し、リードの関心度を可視化します。スコアが一定以上に達したタイミングで営業部門に連携することで、タイミングを逃さずアプローチが可能になります。
営業チームとの連携はスムーズか
マーケティングが獲得したリードを、営業が適切にフォローできているかどうかは、施策全体の成果を左右する重要なポイントです。そのため、リードの引き渡しから営業の対応までのプロセスが、問題なく機能しているかを見直す必要があります。もし営業部門が適切にフォローアップできていない場合には、両部門の連携に課題がある可能性があり、運用フローの見直しが必要です。
連携がスムーズではない場合、以下のような状況が考えられます。
- マーケティングが営業にリードを渡しているが、優先順位が不明確で対応に迷っている
- 営業のフォローが遅れ、競合に先を越されてしまう
- 営業からマーケティングへのフィードバックがなく、施策改善が難しい
こうした課題に対しては、連携を仕組み化する運用ルールの整備が求められます。具体的な改善例を見ていきましょう。
ホットリードを明確に定義し、優先順位を共有する
営業がどのリードを優先的に対応すべきか判断できない場合は、ホットリードの定義が曖昧であることが原因です。リードの温度感を明確にし、営業が迷わずアプローチできるようにしましょう。
- ホットリードの基準を明文化する
具体的には、以下のような行動をもとに判断します。
例:- ウェビナーで質問や投票に参加した
- アンケートに回答した
- 資料を複数回ダウンロードしている
こうした行動を基に、ホットリードとして扱う条件を明確に設定します。
- CRM/SFAツールの導入と運用の仕組み化
ホットリードの定義があっても、システム上に反映されていなければ活用できません。CRM/SFAツールでスコア付けやタグ付けを行い、営業が一目で判断できるように整備しましょう。
営業のフォローを迅速化する仕組みを整える
営業の初動が遅れると、競合に先を越されるリスクが高まります。リードの関心が高まっているうちに対応する体制を整えることが重要です。
- マーケティング部門による一次フォローを強化
営業の対応が間に合わない場合は、マーケティングが先にメールなどでフォローし、反応の良いリードを営業に引き継ぐ体制を作ると良いでしょう。 - フォロー対応ルールを明文化する
「ホットリードにはウェビナー終了翌日までに、営業が必ず個別メールまたは電話でアプローチする」といった対応ルールを設定します。こうしたルールを明文化し、チーム内で徹底することで、対応の遅れを防ぐことができます。
営業からのフィードバックを仕組みとして定着させる
営業の対応状況やリードに関するフィードバックが不足していると、マーケティング施策の改善が難しくなります。日々の情報共有を仕組みとして整備しましょう。
- 定期的な振り返りミーティングの実施
営業とマーケティングが定期的に集まり、商談化率やリードの質を確認します。「どのリードが有望だったか」「どんな資料が効果的だったか」といった情報を共有し合うと、次回施策に反映させやすくなります。 - 営業のフォロー状況をCRM/SFAツールで可視化
営業のフォロー進捗をCRM/SFAツール上で管理し、マーケティング側でもリアルタイムで状況を把握できるようにします。対応が滞っているリードには、マーケティングがリマインドや追加フォローを行うなど、分担体制を明確にしておくことが効果的です。