リテンションマネジメントとは
リテンションマネジメントとは、従業員が企業に長期間定着し、持続的に最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするための戦略的な取り組みです。単なる「離職防止」ではなく、社員のエンゲージメントを高め、組織全体の生産性やイノベーションを支える仕組みの構築を目的としています。
また、リテンションの「マネジメント」(管理)においては、数値や指標を用いて取り組みの成果を正確に評価し、継続的に改善していくことが重視されています。
従来の人事施策が「採用」や「育成」に偏重していたのに対し、リテンションマネジメントは「定着」を軸に据えています。なぜなら、優秀な人材の離職は、採用・教育コストの損失だけでなく、ナレッジの流出やチームのモチベーション低下を招くからです。実際、米国の調査(Gallup)によると、リーダーや管理職の離職に伴う代替コストは、退職者の給与の2倍にも上るとされています。
なぜ、リテンションは重要なのか
労働市場の構造変化
少子高齢化と働き方改革の進展により、労働力人口は減少の一途をたどっています。2025年現在、日本の有効求人倍率は約1.20倍で推移しており、売り手市場が続いています。転職サイトの利用者数は過去最高を更新しており、社員はより良い条件を求めて容易に転職できる環境にあります。
心理的・組織的影響
離職は「感染する」ものです。1人が辞めると、周囲の不満が表面化し、信頼関係が崩れます。逆に、高い定着率は「この会社で働き続けたい」という心理的安全性を生み出し、創造性や協働を促進します。
労働市場の構造変化
リクルート「就職白書2020」によると、2019年度の採用単価は新卒採用が93.6万円、中途採用は103.3万円で、18年度の平均採用単価(新卒採用71.5万円、中途採用83.0万円)と比べると年々増加する傾向にあります。さらにご存知の通り、新卒はもちろん中途採用者であっても、採用してすぐに成果を上げられるわけではありません。社員が一人前になるまでには一定の育成期間が必要であり、備品の購入や研修などの費用もかかります。
離職者が1人出るたびに、この投資が水の泡になるだけでなく、残されたメンバーの負担が増え、連鎖的な離職を誘発します。例えばキーとなるエンジニアの退職をきっかけにプロジェクトが遅延し、数千万円の機会損失を生み出すこともあるでしょう。
リテンションのための具体的手段
リテンションの手法は多岐にわたり、効果を発揮する方法は企業の成長ステージやビジネスモデル、企業文化によって異なります。そのため、「これひとつで離職率が下がる」という万能な手法は存在しません。
ただし、優先順位は存在します。
リテンションのステージは大まかに3つに分類されます。まず、「公正な評価および報酬体系」や「安全で快適な職場環境の整備」といった、マズローの欲求五段階説における「生理的欲求」や「安全欲求」に相当する段階から始まり、企業の発展と共に最終的には「個別最適化」ステージへと向かっていきます。
リテンションの「ステージ」
| ステージ | 内容 | 施策の例 |
|---|---|---|
| ステージ3 | 個別最適化 | ・子育て中の社員 → 時短勤務制度の導入および保育手当の支給 ・ミドル層 → 社内副業やメンター制度の活用 ・Z世代 → メンタルヘルス支援およびSNSでの発信機会の拡充 |
| ステージ2 | エンゲージメントの醸成 | ・成長実感の提供(研修、ジョブローテーション、1on1ミーティングの実施) ・貢献実感の可視化(成果のフィードバック、表彰制度) ・帰属意識の強化(チームビルディング、企業理念の浸透) |
| ステージ1 | 基礎的満足要因 | ・公正な評価および報酬体系 ・ワークライフバランスの確保(フレックスタイム制・リモートワーク対応) ・安全で快適な職場環境の整備 |
全社員が昼夜を問わず働いていた起業したばかりのスタートアップが、会社の成長に伴い多くの社員を採用できるようになり、徐々に出退勤ルールの整備や上司と部下の1on1ミーティングの充実が図られるようになるのは、この「リテンションのステージ」の典型的な例です。
逆に、昨今では給与が高額であるはずの大企業からも離職が相次いでいるのは、リテンションのステージ別アプローチをうまく運用できていないことの表れとも言えるでしょう。
参考として、日本メンター協会の調査によると、社員の定着促進に有効な対策として、1位に「コミュニケーションや人間関係に関する教育」、2位に「メンターとの定期的な対話」、3位に「不安や悩みに関する相談窓口の設置」が挙げられています。
一見すると、職場のコミュニケーション活性化や人間関係の改善が有効な対策と受け取れますが、これらの施策はリテンションのステージ1が満たされて初めて効果を発揮する取り組みです。また、場合によってはステージ3に該当する施策が有効な状況も存在することに留意する必要があります。
リテンション施策の正解は、企業ごとに異なるのです。
社員の定着促進策として有効なものを教えてください(n=500)
人事ツールひとつで「リテンション」は実現しない
前述のとおり、企業の状況に応じて多様なアプローチが求められるリテンション施策において、いかに優れた人事システムであっても、それだけで離職防止を完全に実現することはできません。
最終的に「個別最適化」が求められるリテンションにおいては、制度や風土の改革が不可欠であり、ツールだけで対応できる範囲には限界があります。
ツールは「リテンション」の「マネジメント」を支援する
ここで注目していただきたいのは、「リテンション」が「マネジメント可能」であるという点です。つまり、感覚に頼るのではなく、状況や成果を定点的に観測し、管理・運用できるということです。
しかし、そのためには従業員が現在どのようなステージにあり、エンゲージメントに関してどのような課題を抱えているのかを、可能であれば数値化して把握・可視化する必要があります。
そこで役立つのが、Zoho People です。Zoho People に備わったeNPS機能や従業員アンケート機能は、職場の感情や従業員の満足度に関する洞察を即座に提供し、人事部門が採るべきアクションを明確にします。


Zoho People は、記述形式の質問に対するコメントや回答について、AIと機械学習を使用してキーワードをハイライトし、従業員の印象(積極的、中立的、または消極的)を分析することができます。
実際にZoho People を導入した企業の経営層(特に社長)はZoho Analyticsと連携したダッシュボードを通じて、社員のエンゲージメント、休暇取得状況、採用進捗、離職率、部門別のeNPSスコアを把握し、マネジメント判断に活用しています。

また、全体傾向だけでなく従業員個別の状況をスコア化してリテンションに活用することも可能です。例えば、社員のランチ・イベント参加率などを可視化して、孤立傾向にある社員への人事部や上司からの個別アプローチにも役立てている、といった事例が存在します。
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