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CRM/SFA 導入事例DX化の失敗を経て太陽光パネル設置工事受注数2倍の急成長。中小企業、情シス不在でもアナログ商談管理から完全脱却!

地球温暖化の原因のひとつである温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す、カーボンニュートラル。それを達成するための有力な手段として今、事業者か一般消費者かを問わず急速に需要を伸ばしているのが太陽光発電システムだ。

株式会社サンエーは、太陽光発電システムの提案から工事、メンテナンスなどのアフターフォローまでを一手に担う従業員数約50人の電気工事会社。自治体からの再エネ設備に関する補助金という追い風を受けて商談数こそ増加しているものの、長年にわたり「個別の商談内容は担当者本人しか分からない」、「担当者が個別に紙やスプレッドシートで管理」といった悩みを抱え、結果として、効率的な営業活動ができない事態に直面していた。

いったんはDXの失敗も経験した同社が切り札として導入したのがZoho CRM Plus。Zoho CRM で商談プロセスを見える化し、Zoho Survey で顧客アンケートを集計しマーケティングへ活用、さらにZoho Campaigns でセグメントを分け、ターゲティングメールを行うなどしアナログ管理から脱却。情報システム部門不在の中小企業でありながら、コロナ禍を乗り越えて受注件数2倍を達成し成長を続けている。

導入パートナーである船井総合研究所のサポートを受けて、同社のDXを主導するマーケティング部・本田陸氏に話を聞いた。

「Zoho CRM は入力項目を最小限に抑えることで社員の利用を促すなど、自社の思い通りにカスタマイズできるのが特徴。ITが苦手な中小企業のDXにおすすめです」

株式会社サンエー マーケティング部
本田陸氏

― はじめに、株式会社サンエーについて教えてください。

本田氏:当社は2024年で創業30年を迎える電気工事会社です。本社は神奈川県横須賀市にあり、東京・浜松町や島根県にも事業所があります。主な事業は一般家庭から企業、官公庁まで幅広いお客さまに対しての太陽光発電システムの設置工事で、全国で6,000件以上の施工実績があります。
太陽光発電以外にも、家庭用コンセントの設置工事から、LEDなどの設置工事まで、電気に関するさまざまな工事・施工を手掛けています。
通常、太陽光発電の分野は「システムを提案する会社」と「工事をする会社」をそれぞれ異なる会社が担います。しかし当社の場合、施工部門があるため、提案から工事までワンストップで担えます。「太陽光発電システムを設置したい」というお客さまに対して、提案から工事まで丸ごとお任せいただけるのが大きな特徴であり強みです。
私はサンエーのマーケティング部に所属しています。当社には情報システム部門がありませんので、今回のZoho CRM Plus の導入をはじめとする社内DXを推進する立場にあります。

提案から工事までワンストップで担う、サンエー社の太陽光発電事業

太陽光発電の需要増とコロナ禍で急務となった商談管理の整備

― Zoho CRM Plus を導入してDX化を図る前は、会社としてどのような課題を抱えていたのでしょうか。

本田氏:現在、世界各国で「カーボンニュートラル」と呼ばれる、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするための取り組みが行われています。これにより特定の大企業に対しては自社が排出した温室効果ガス排出量を公表することが義務付けられるようになりました。
企業が排出する温室効果ガスについて、昨今は「Scope3」が話題になっています。例えば大手自動車メーカーであれば、自動車を製造・販売する過程で排出された温室効果ガスを公表するだけでなく、取引がある部品メーカーなどもを含めた温室効果ガスの排出量の公表が求められるようになっています。

このような流れから、温室効果ガスの排出量を自然エネルギーでの発電量と相殺する形で抑えようと、太陽光発電システムのニーズが急速に増加しています。一般家庭においても、環境問題に対する関心の高まりや、太陽光発電システム設置への自治体の補助金を背景に需要が増えています。

しかし、当社ではそれを受け入れる顧客情報管理体制がほとんど整っていませんでした。
というのも、そもそも当社の営業活動は紹介案件が多く、また、営業スタイルも、テレアポや訪問営業といったアナログなものが基本でした。

― 営業部門の商談管理はどのように行っていましたか?

本田氏:営業部門一人ひとりが紙の帳簿で管理したり、独自のスプレッドシートを作ったりしていました。そのため、会議の度に情報をとりまとめる必要がありました。ただ、数字をまとめても、どうしてその商談が成約になったのか、失注になったのかというプロセスは経営側は分かりません。そのため課題を発見することができないばかりか、今どの顧客に注力したらいいかという話し合いさえ難しい状況でした。

このような状況で追い打ちをかけたのが、2019年からのコロナ禍です。感染防止の観点から人との接触が難しくなり、以前のような対面営業は不可能になりました。必然的にテレワークやオンライン会議への需要が増してきました。
このような社会全体の変化を受けて、「このままでは当社だけ取り残されてしまうのでは」という危機感を感じ、DXへ踏み切ったというのが経緯です。

― DXのためにZoho CRM Plus を導入した理由を教えてください。

本田氏:われわれの業界は人への依存度が大きいアナログ気質な業界です。そのため、かねて当社の代表も船井総合研究所(以下船井総研)に経営コンサルティングを依頼し、ITツールを導入するなど試行錯誤を繰り返してきた......という経緯がまずあります。

実際、Zoho を導入する前にマーケティングオートメーション系のITツールを導入し、その後「Kairos3」という顧客管理ツールも導入しました。
ただ、「Kairos3」はメールマガジンの配信などは行いやすかったのですが、商談を管理する、となるとカスタマイズ範囲が限られていて、現場に使ってもらうための工夫が思うようにできませんでした。結局社内に浸透せず、失敗状態でした。

そこで、船井総研に相談したところ、営業・マーケティング・サポート業務を網羅的に支援する統合パッケージである「Zoho CRM Plus」を薦められた、というのがきっかけです。

― 商談管理でZoho CRM を活用されていますね。

本田氏:はい、複数のステージを設けて、商談を細かく管理しています。
まず、紹介などで商談が発生すると、はじめに「3点セット」という資料をお客さまへ提案することから商談がスタートします。
太陽光発電システムは、お客さま側から見た場合、最初に大きな投資をして、その後太陽光発電で得られた電力で電気代を削減し、それを数年をかけて回収していく......というのが一般的な流れです。そのおよそ何年で回収ができるかが分かるようなシミュレーションや太陽光パネルの設置場所、概算の見積などを明記した提案書類をまとめて3点セットと呼んでいます。お客様に対して3点セットをお送りする、初回訪問する、現地調査を行う、など10以上の細かい商談ステージを移っていく流れになっています。

初めからこのような細かいステージにしていたわけではありません。とにかく現場の営業部門が使いやすいように、CRM離れを起こさず使ってくれるように、どのようなシステムが良いかを徹底的にリサーチしました。顧客に関する情報は、工事までにたくさん必要ですが、いつどの情報が必要かは決まっています。そのため、ステージを細かく分けて、ステージが変わるときに必要な情報のみをポップアップで表示させ、担当者に入力してもらうようにしました。例えば、初回訪問を終えたら「訪問日」が必須項目になる、という具合です。

私自身も実際に営業会議に参加して、営業部門がCRMに求めるニーズを探ったり、技術的な部分は船井総研に相談しながら段階的にカスタマイズしていきました。この商談管理は特に力を入れて構築した部分です。

(Zoho CRM 商談一覧画面:商談のステージが変わると、担当者に入力してほしい項目をポップアップで表示)

― 商談管理以外の部分ではいかがでしょう?

本田氏:Zoho CRM を入れて特に助かっていることが、大量の顧客情報を一括でインポートできることです。
太陽光発電システムの購入には、自治体が音頭を取り、特定の地域に住む複数のお客様に対して割引価格で太陽光発電システムを販売する「共同購入」という仕組みがあります。要するに、神奈川県が「太陽光発電システムを設置したい」という複数の顧客を募り、当社へその顧客データを共有する流れです。
その際、Zoho CRM に自治体から受け取ったデータをボタン一つでCRMに取り込むことができています。

BtoB、BtoC双方の顧客属性に合わせた内容のメールマガジンを積極活用

― Zoho CRM の導入にはどれくらいの期間を要したのでしょうか?

本田氏:着手したのが約2年前、2022年の5月です。
商談ステージの大枠はありましたが、当時は全くデータを入力してない状態。そのためステージの移行も発生せず、しばらくはその後のデータ入力と活用の浸透を待つような状況でした。
その後も浸透があまり進まず、2023年の2月ごろに私が本社に出向いて営業部門にZoho CRM へのデータ入力を促すレクチャーを実施しました。入力項目も必要最低限に設定するなど、できるだけ営業部門の負担にならないようにして、「初回訪問を行ったら、その日のうちにステージ移行してください」と口頭でアナウンスするなど活用を促しました。
Zoho CRM は私でもいろいろとカスタマイズできるため、現場とすり合わせしながらステージや項目をカスタマイズしてデータを入力しやすい仕組みを作っていきました。こうした取り組みにより、1年ほどかけて現在のような状態まで持っていくことができました。

― Zoho CRM 以外のアプリケーションについてはどのように活用していますか?

本田氏:ひとつはアンケート作成ツールのZoho Survey です。当社は地元横須賀をはじめ、各地で開催されるさまざまなイベント・展示会に積極的に出店しています。たとえば、2024年2月に開催された「かながわソーラーフェア」です。これは、神奈川県が主催する太陽光発電に関する展示会です。当社も出展し、太陽光パネルで発電した電力をポータブル蓄電池にためて、その電力を使ってゲームを楽しもうという企画を実施しました。

来場した家族連れのお客さまをターゲットに設定し、お子さまにゲームを楽しんでもらっている間に、保護者の方にアンケートを実施するというのが狙いです。
そこで回収したアンケートの中から、「太陽光発電に興味があります」というお客さまをリストアップし、メールや電話などでアプローチをかけるという仕組みです。

Zoho Survey を使ったアンケート施策は、BtoB、BtoCどちらのイベントでも重宝しています。

― Zoho Campaigns を活用して、メールマガジンも配信していらっしゃいますよね。

本田氏:はい。CRMから顧客情報を同期して配信先の条件を区切り、BtoB、BtoCそれぞれのリードに向けた内容のメールを配信しています。

太陽光発電の導入は、補助金ありきで考えるお客さまが大半です。
そこで、各自治体における太陽光発電補助金予算に関する情報を、Zoho Campaigns を使って「速報」のような形で配信しています。そこから自社の販売サイトへ誘導するといった仕掛けを行っています。

その他にも、太陽光発電システムを導入したお客様インタビューや自社のコラムなどをコンテンツとして配信しています。そこから見積もりへの導線を引くなど、メールマガジンから購入のステップへ自然につなげるための工夫を凝らしています。

一方、BtoCのお客さまに対するメール配信は、「失注したお客様を対象にメールマガジンを送る」ことが多いです。
というのも、目下、太陽光発電は商談数が非常に多く、見込客の見極めが非常に大切です。ホットリードだけに絞り込んで追わなければ効率的な営業は到底できません。
そこで、BtoCに関しては、一度失注したお客さまに向けて、ホットリードになってくれるようなコンテンツを記載したメールマガジンを配信しています。
内容としては、たとえば「冷蔵庫を買い替えるとどれくらい電気代が安くなるか?」といった消費者が気になるであろうトピックなどをお届けしています。そうすることで、「やっぱりもう一度太陽光発電を検討してみよう」と思っていただくというのが狙いです。

なお、配信したメールの開封回数など、受信者の反応に応じて得点付けを行うスコアリングも実施しており、CRMの顧客情報と関連付けて、スコアが高いリードはホットな顧客として営業が対応するなど、リードフォローの優先順位付けにも大いに活用しています。

(左:Zoho Campaigns で作成・配信しているメール文例)
(右:Zoho Campaigns スコアリングの設定画面。メール受信者の反応に応じて得点を設定)

― 今後活用していきたいZoho サービスはありますか?

本田氏:BIツールのZoho Analytics です。
Zoho Analytics は、経営陣に営業の状況をレポートで見てもらうために活用しています。今後はもっといろいろなデータ分析に活用していきたいというビジョンは当然あり、そのためにもまずは、いかに営業部門が使いやすい商談管理を実現していくか、が目の前の課題です。また、Zoho Analytics の実装については私一人では設定することが難しく、船井総研にお願いしています。

DX前に比べて営業部門一人当たりの年間売上は1.4倍

― Zoho CRM Plus を導入することで、どのような変化がありましたか? 具体的な数字も踏まえてお聞かせください。

本田氏:Zoho を導入するまでは、顧客情報は紙の書類を用いて、しかも個人単位で管理していました。そのため、例えば商談対応を行った後、営業部門は一度会社に戻ってからデスクで資料を作成しなければならず、ある程度残業するのが前提の働き方になっていました。しかし、Zoho を導入してからはスマホアプリを使って入力できるので、わざわざ会社に戻らなくとも移動中に商談情報を入力できます。これにより残業時間も減らすことができました。

また、Zoho によって商談が見える化したことも大きな変化です。Zoho に入力すれば、見やすくわかりやすいフォーマットで整理され、かつレポートなども見られるので、「どうせ入力するならZoho にしよう」と、みんなが率先して情報を入力するようになったと思います。

Zoho を使ってDXする前に比べて年間の受注件数が2倍になりました。また、営業部門一人当たりの年間売上は1.4倍まで増加するなど、顕著な効果が出ています。

― 導入パートナーの船井総研に対する評価はいかがでしょう?

本田氏:「メールマガジンを配信する」、あるいは「WEBアンケートを実施する」といった個別の実装については、そのITサービスを提供している会社に聞けば済むことです。
しかし、「それらのツールを使い、あるいは組み合わせて、どのように問い合わせや受注を増やしていくか、ビジネス全体に落とし込んでいくか」という全体像まで描いたうえでサポートしてくれる会社はあまりないような気がしています。
その点、船井総研は「ITツールを導入しましょう」というだけで終わるのではなく、「ITツールを使ってメールマガジンを配信して、それを読んだ見込客が流入するWEBサイトを立ち上げましょう」という全体を支援してくだり、本当に助かっています。

カスタマイズ性の高さ、がポイント

― これからDXに取り組もうとしている中小企業の方へメッセージをお願いします。

本田氏:いざDXを進めようとしても、初めは何から始めればいいかわからないという人は多いと思います。
かつて当社がそうだったように、中小企業の場合はそもそもDXを進めようとする考え自体持ち合わせないケースも少なくありません。そのため商談管理ひとつとっても、管理しきれていないという会社も多い。業界によって異なるとは思いますが、少なくとも私たちのよう電気工事の業界では、ほとんどDX化が進んでいないはずです。

工事商談が増えすぎて、以前のような人力だけでは到底管理しきれない。そうなった場合、いよいよDXやデジタルツールの導入に踏み切りタイミングなのかなと。「何か改善したいことがある」と思ったら、ITツールの導入を検討してみはいかがでしょうか。

ただ、いざITツールを導入しようと思うと、たくさん種類がありどれを選べばいいのかわからないというケースも多いと思います。
その際、選ぶポイントをひとつあげるとすれば、「カスタマイズ性の高さ」。たとえばCRMの使い方ひとつとっても、企業によって異なります。となると、重要なのはいかに自社のニーズにマッチした環境にカスタマイズできるか、ということ。たとえば画面に表示する項目を最小限に抑えることができれば、導入初期でも抵抗感なく利用を進められます。

こういった観点からZoho CRM はカスタマイズ性が高いので、DXの第一歩におすすめできます。

株式会社サンエー

  • 所在地:神奈川県横須賀市三春町4-1-10
  • 業種:建設業
  • 従業員数:50名
  • ビジネス:BtoB、BtoC
  • 事業内容:公共用・産業用・住宅用 太陽光発電システムの設計、施工、販売、メンテナンス他
  • 設立:1994年

導入支援パートナーについて

株式会社船井総合研究所

当社は、国内の中堅・中小企業を中心に、業種・テーマごとに特化したコンサルティングを展開しています。クライアントの成長実行・人材開発・価値向上・デジタル化を現場に寄り添いながら、具体的に提案し、実行支援することを強みとしています。主力部門「住宅・不動産」「医療・介護・福祉」「士業」に加え、近年は「人材サービス」「環境・エネルギー」「製造業・商社・卸」等のコンサルティング需要も高まっており、これまで培ってきた各業界の専門性を生かして、ジャンルトップ戦略(各業種・テーマで日本一を目指す戦略)を追求しています。

  • 本社所在地:大阪府大阪市中央区北浜4-4-10
  • 設立:1970年3月6日
  • 従業員数: 1,382名(グループ:2022年12月末時点)
  • 業種:経営コンサルティング事業
  • パートナー認定: プレミアムパートナー
  • ビデオ会議対応: 可能
  • 対応地域: 全国
  • 対応サービス: 全サービス
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