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CRM/SFA 導入事例調査・分析のプロが選んだZoho CRM 。
徹底した現場主義を貫く、
陸洋コンサルタントの情報管理術

年間300件におよぶ調査案件。1件あたり250枚以上の写真を撮影し、膨大な枚数の報告書を精緻に仕上げる――。建設工事に伴う各種調査を専門に手がける陸洋コンサルタント株式会社は、現場の最前線を支える調査会社です。

担当者ごとの作業履歴、納品の進捗、原価と利益率まで、多岐にわたる情報をプリントメディアとExcelで緻密に管理してきた同社がZoho CRM を導入したのは、記録の精度を落とさず、“手間だけを削る”ため。そして、実際に効果を具体的に体感しているといいます。

Zoho CRM 導入の背景とその活用のリアルについて、同社統括部長・菅原雅美氏に話を伺いました。

「Zoho CRM を導入したことで、社員1人あたり1日4時間ほど業務時間が短縮されていると感じています」

陸洋コンサルタント株式会社 統括部長
菅原雅美氏

――はじめに、陸洋コンサルタント株式会社について教えてください。

菅原氏:当社は、建設工事に伴う調査・分析業務を専門に手がけるコンサルタント会社です。福岡県福岡市に本社を構え、九州七県と山口県を主な商圏としています。主な業務は、家屋調査や騒音・振動の測定、井戸の水質検査、アスベストやPCBの分析など、工事前・中・後の各フェーズに応じた多岐にわたる調査です。

また、実際の調査だけでなく、工事説明会の立案や近隣住民への訪問同行など、建設現場特有のトラブルや不安を未然に防ぐアドバイスも実施。工事の前から終わりまで、現場と地域の間をつなぐ“橋渡し役”として、お客様とともに課題解決に取り組むのが私たちの仕事です。

そうした業務の特性上、技術の正確さはもちろん、現場対応の丁寧さやスピード感、そして記録の正確性がとても重要になります。私たちは専門性と対応力の両立を強みに、建設業界の一員として信頼されるパートナーを目指しています。

「一軒家=写真250枚」から見えてくる現場・支店・本社をまたぐ調査業務の複雑さ

―Zoho CRM を導入した背景にはどのような業務課題がありましたか?

菅原氏:当社では年間300件前後の調査案件を受託しており、調査対象となる家屋数は年間で約1,200戸にのぼります。たとえば家屋調査では、木造家屋一棟につき平均250枚ほどの写真を撮影し、クラック(ひび割れ)や傾きなどの状態を記録して、詳細なレポートを作成しています。

こうした情報は、以前は紙に出力してExcelに転記し、営業・調査・製作といった各部署を手作業で行き来していました。写真枚数や報告書のファイル代、納品日の記録、営業利益の算出まで、工程ごとに記録が必要で、非常に煩雑だったんです。さらに、受領書や納品書のやり取りもすべて手作業。年間1,000戸超の規模でこれを回すのは、相当な業務負荷でした。

また、売上確認や未回収金のチェックにおいても、請求書は現場単位・監督単位で発行する必要があり、案件ごとに異なる処理が求められていました。取引先によっては、別の請求システムに再入力する必要もあり、そのたびに紙の資料を参照して入力する非効率さも課題でした。

こうした背景から、各部署が情報を入力・連携しながら、一元的に業務を管理できる仕組みが必要だ、と。このような経緯からZoho CRM を導入することになりました。

――管理すべき情報が非常に多岐にわたる中で、貴社が取り扱う顧客情報の特徴があれば教えてください。

菅原氏:当社の案件は、建設会社さんからのご依頼がほとんどで、その中でも支店や現場ごとに担当者が異なるため、単純な「会社管理」では情報が追いきれないという事情があります。一つの取引先だけでも支店が多数あり、それぞれに担当する現場監督さんがいます。その方々の異動もあるので、会社単位ではなく、支店・現場単位で情報を把握する必要があるんです。

さらに、地域によって依頼内容の傾向も異なります。鹿児島では火山灰の影響で土壌汚染調査が多く、熊本では阿蘇山水系の影響で井戸水の水質検査が増えるなど、地域性が業務内容に直結するんです。Zoho CRMでは、そうした支店・現場・地域といった粒度で情報を整理・蓄積できるため、営業戦略や提案時の準備にも役立っています。

営業活動の中でも、「あの監督さんはどこに異動したんだっけ?」という話はよくあるので、担当履歴がCRM上に残っていると、名刺や紙のメモでは追えない情報まで把握できて非常に助かっています。

――Zoho CRM では、どのような情報をメインで管理されていますか?

菅原氏:当社では、「商談」タブではなく、「現場」タブという独自の管理項目を中心にZoho CRM を活用しています。建設現場ごとの建築にかかる工事期間は、短いもので3カ月、長いと2年半にもわたることがあるため、その間に発生する各種調査を一貫して管理する必要があります。

特に重要なのが、決算処理との紐づけです。たとえば、建設前の事前調査は前期の売上に、工事完了後の調査は今期の売上として計上されるため、年をまたいだプロジェクトでも正確に収益管理ができよう、Zoho CRM 上で時系列に整理しています。

また、当社の調査業務は、「どの会社の」「どの支店の」「どの現場責任者からの依頼か」といった三層構造で成り立っているため、Zoho CRM 上でも建設会社単位、支店・営業所単位、そして個々の現場責任者単位で情報を整理しています。

この三層で情報を保持することで、たとえば支店を異動された現場監督の動きも追えるようになりますし、「この担当者はこういった規模・内容の案件を依頼される傾向がある」といった営業上のヒントも見えてきます。報告書の部数や金額なども含めて、担当者ごとの傾向を把握できるため、商談の精度向上にもつながっています。

「取引先」の画面。取引先の支店単位で、仕掛かり中の案件に関する調査内容・種別・区分から現場名、ステージ、担当者、現場住所まで把握できる。
売上は「レポート」で管理。このデータをエクスポートした後に集計し、月度の売上資料などに活用している。

――業務全体では、どこまでZoho CRM に集約されているのでしょうか?

菅原氏:現在、Zoho CRM を業務の中心として運用していますが、一部はまだExcelとの併用です。たとえば、新しい案件が発生したときには、営業担当が案件情報をExcelで回覧する運用も残しています。これは調査現場に出る担当者が「手に持って確認できる紙の資料」が必要なためです。

CRMとは別の手段になりますが、案件共有のために必要なツールとして、状況に応じて併用している形です。ただ、こうした例外を除けば、日々の入力や履歴の蓄積は基本的にZoho CRM上で完結できるようになってきています。

作業者、経費、納品履歴――“現場”をここまで記録できるZoho CRM のインパクト

――「現場」の画面の使い方について、画面を交えてご紹介ください。

菅原氏:「現場」タブは、当社の業務における中核的な管理機能として活用しています。たとえば、ある案件では調査が完了し、入金まで済んでいるものを例に説明します。

画面の最上部には現場名が表示されており、商談の進捗状況は「提案中」から「入金済み」まで一連のステータスで把握できるようになっています。現在の状態がどこにあるかをひと目で確認できるため、案件の進行状況を社内で共有するのにも役立っています。

また、現場ごとに「誰が、いつ、何をしたか」という情報も詳細に記録。たとえば、現場で予期せぬトラブルが起こった際――隣家の塀を傷つけてしまった場合や、ひび割れが見つかった際など――調査担当者や作業履歴をさかのぼって確認できる仕組みです。

さらに、現場画面には調査の種別(建物調査か環境調査か)、調査区分(事前・中間・事後)、調査実施日、報告書作成者、発注方法(紙か電子か)など、多岐にわたる情報が紐付けられています。

そのほかにも、「見積書提出日」「調査開始日」「報告書納品日」「請求日」「入金予定日」など、案件の各フェーズをタイムラインで追えるように設計しており、金額に差異がある場合は振込手数料を含めて正確に記録する運用としています。

なお、報告書を直接納品した場合には「発送日」欄が空白になるなど、実運用に即した細かな仕様も取り入れています。こうした一連の情報を「現場」単位で可視化・蓄積することで、業務全体の流れをスムーズに管理できるようになりました。

案件の進捗は「提案中」から「入金済み」までをステージで一括管理。進行状況が一目で把握できることで、部門をまたいだスムーズな連携と、進捗漏れの防止につながっている。
「現場」の画面には、現場名・取引先・調査区分・調査内容などを詳しく記録。調査のステージや担当者の履歴もひと目で把握でき、報告書の完成から請求・入金までをスムーズに追える設計。

――かなり細かく管理されていらっしゃるのですね。

菅原氏:そうですね。それぞれの工程ごとに担当部門を分けて、情報を分担して入力しています。たとえば、調査の着手・完了は現場担当者が、報告書の完成日は制作課が、請求以降の処理は営業担当がそれぞれ記録するようにしています。

また、調査内容についても、「建物の外部か内部か」といった違いを明記し、環境調査の場合は分析の種類まで細かく入力。施工会社に納品する報告書の部数や、近隣住民向けに配布する資料の部数、そして報告書に使った写真の総枚数まで全て記録。たとえば、ある案件では6,500枚以上の写真を印刷しましたが、これも画面上で集計され「インク代」が自動で算出されるようになっています。

使用したファイルの単価や、ゼンリン地図の購入費も記録対象です。こうした入力を積み上げることで、製造原価と社内経費を明確に分けて管理できるようになり、経理処理の精度も向上しました。

当社のような規模の会社では、製造原価の把握を誤ると経営に直結するため、あえてここまで細かく管理しているという事情もあります。実際、コピー機の利用一つ取っても、日常業務より報告書印刷の方が圧倒的にコストがかかっていますので、帳簿上も正確に区分しています。

印刷枚数・用紙代・インク代・ファイル代など、紙ベースで細かく管理していた原価情報をZoho CRM上で一元化。従来の精度を維持しつつ、入力・集計の手間が大幅に削減された。

――そうした細やかな顧客情報管理を見て、貴社の「健全な経営体質」を感じます。

菅原氏:ありがとうございます。とはいえ、しっかり管理している分、税金もそれなりにきますけどね(笑)。

実際には、「見積もり金額」と「決定金額」を分けて記録し、打ち合わせの中で件数や内容の変更、値引きがあった場合も追えるようにしています。さらに、それぞれの金額には消費税込み/税抜きの区別をつけ、原価計算では「製造原価(A)」と「現場経費(B)」を分けて入力。たとえば、駐車場代や高速代などの細かな費用がかかった場合、それも明細としてBに入力し、A+Bで原価の合計が算出されるしくみです。

外部に委託した作業があれば、仕入原価として金額を入力し、協力会社名や請求日も記録。これらをもとに、粗利や利益率が自動で計算されるようになっています。以前はこうした管理をすべて紙で行っていたため、記録漏れや書類紛失のリスクが高く、業務負荷も大きかったですね。

また、商談時の資料やPDFはすべてCRM内に保存してあり、現場作業者の日報的な記録としても活用しています。たとえば「誰が作業に行ったのか」「高速代や出張費はいくらか」といった経費データもすべて記録し、作業者ごとの一覧が画面上で視覚的に確認できるようになっています。

さらに、調査対象の家屋については1棟ずつ番号を振り、持ち主の立会いの有無や連絡先を管理。事後調査の際には、過去の情報を参照してスムーズに連絡できるようにしています。出張時の宿泊先の記録なども含めて、Zoho CRM 上で「現場」を中心に情報を一元管理することで、かつて紙で行っていた業務が大きく効率化されました。

紙とExcelで築いてきた精度を、Zoho CRMでそのまま“次のステージ”へ移行する

――Zoho CRM を活用した今後の展望をお聞かせください。

菅原氏:現時点では、Zoho CRM のさらなる活用に注力したいと考えています。実のところまだ十分に使いこなせていない部分が多く、運用を見直しながら改善していきたいですね。

特に実現したいものが、Zoho CRM を活用した人員査定への応用です。営業担当は受注金額など数字で成果が見えやすいのですが、調査担当や制作担当については「どれだけの調査を行ったか?」「どの程度の工数がかかったか?」といった実績が見えにくい。そこで、たとえば写真の枚数や対応した棟数といったデータをもとに、案件ごとの作業負荷や難易度を可視化できれば、公平な評価に近づけるのではと考えています。

実際、小規模な戸建て住宅の調査と、長崎県の「長崎孔子廟」のような大規模物件とでは、1案件あたりの売上も業務量も桁違いです。そうした違いをZoho CRM 上で案件ごとに紐付けていけば、社員の働きぶりをより正確に把握できるはずです。

そのためには、現場作業者や制作担当ごとに入力・閲覧できるよう、権限の細分化も今後の課題になってくるのかなと。さらに、現場監督ごとの登録日などもCRM上で管理できるようにして、営業履歴の把握や関係性の分析にも役立てていければと思っています。

――導入パートナーである株式会社リクトへの評価はいかがでしょう?

菅原氏:Zoho CRM に限らず、それ以外のことも含めて、日頃からリクトさんにサポートしていただいています。こちらからの質問に対しても、メールで的確に返答をいただけるので、大変助かっています。

リクト・山口氏:ありがとうございます。陸洋コンサルタント様は導入からかなり時間が経っていることもあり、当時できなかったことが今では可能になっている部分もあります。そのあたりのブラッシュアップも含めて、あらためてご提案させてください。

――Zoho CRM の導入を検討している方へ、おすすめポイントを交えてメッセージをお願いします。

菅原氏:Zoho CRM は非常に柔軟なカスタマイズができるソフトですので、最初の導入設計さえしっかりしていれば、長く使える心強いツールになると思います。当社もまだ運用面で改善の余地はありますが、それでも導入したことで業務効率は格段に上がりました。

体感としては、社員1人あたり1日4時間ほど業務時間が短縮されていると感じています。情報の抜け漏れや伝達ミスも減り、各部署間の連携もスムーズになりました。調査内容や原価、報告書の進行状況、担当者の履歴まで一元管理できるようになり、以前よりも確実に“楽に、正確に”運用できています。

もともと当社は紙やExcelで細かく記録する文化がありましたが、その精度を落とすことなく、むしろ手間を減らすかたちでZoho CRM に移行できました。特に、情報量の多い業種や案件単位で動く企業にとって非常に相性の良いツールだと思います。

陸洋コンサルタント株式会社

  • 所在地:福岡県福岡市博多区博多駅東2丁目5−28 博多偕成ビル 503号
  • 業種:建設コンサルタント業(調査・分析)
  • 社員数:14名 ※2025年6月現在
  • ビジネス:BtoB
  • 事業内容:家屋調査、環境調査、騒音・振動測定、井戸水質検査、アスベスト・PCB分析ほか
  • 創業:2012年4月
  • URL :https://www.rikuyo.jp/

導入支援パートナーについて

株式会社リクト

弊社は、ビジネスの課題整理をもとに、新規集客からリピート・紹介戦略まで売上・利益アップに貢献するサービスを行っています。
具体的には、競合調査や分析をベースとしたWebサイト制作、Webサイト運用のためのコンテンツ作成やメンテナンス支援、Webマーケコンサルティング、集客や業務効率化のためのCRM/SFA導入や定着支援など、マーケティングに必要なサービスをワンストップで提供しています。

  • 本社所在地:〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名1丁目9-27第一西部ビル306
  • 設立:2012年1月25日
  • 従業員数:18名
  • 業種:ITサービス・コンサルティング
  • パートナー認定:認定パートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域:全国
  • 対応サービス:全サービス
  • 詳細・お問い合わせはこちら

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