1. ZOHO CRM
  2. CRM/SFA 導入事例
  3. 株式会社阪急阪神百貨店

CRM/SFA 導入事例リアルもECも、百貨店売場を“メディア”に。
阪急うめだ本店がZoho CRM とともに挑む
新しいBtoB型ブランディング支援のカタチ

「百貨店=BtoC」というイメージは、もはや過去のものとなりつつあります。近年、これまで主に一般消費者を対象としてきた百貨店業界でも、その集客力やブランド力を活かして、法人向けの販促支援やブランディングに取り組む動きが始まっています。

数十万人という膨大なトラフィックを日々生み出すリアルな売場を「メディア」と捉え、広告的な価値を提供する――そんな新たな可能性に挑んでいるのが、株式会社阪急阪神百貨店です。同社のフードマーケティング部では、Zoho CRM を導入し、BtoB営業における情報管理や業務プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。顧客データの集約や商談の進捗管理を一元化し、属人化しがちだった営業活動の「見える化」とチーム連携の強化を図っています。

阪急阪神百貨店における実践型CRM活用の現状について、同社フードマーケティング部の井上 梓氏、山本 貴美子氏、そしてZoho CRM の導入をサポートする株式会社関西の青山 敬三郎氏にお話を伺いました。

「Zoho CRM は、見た目や操作感がわかりやすく、直感的に使えるUIを備えています。また、カスタマイズ性も高く、『型にはめられる』息苦しさがないツールです。」

阪急阪神百貨店 フードマーケティング部
井上 梓氏

―はじめに、株式会社阪急阪神百貨店について教えてください。

井上氏:株式会社阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店をはじめとする関西圏を中心に、全国で15店舗の百貨店を展開している企業です。世界初のターミナル直結百貨店として誕生した「阪急百貨店」と、阪神電気鉄道の事業を前身とする「阪神百貨店」という、鉄道会社から発祥した2つの百貨店が、2007年に経営統合し、2008年に合併、現在の社名となりました。それぞれが培ってきたブランド力を活かしながら、両ブランドを併存させた形で展開を続けています。
本日は、フードマーケティング部に所属する私、井上と同じ部署の山本の2名でお話しさせていただきます。私たちの部署では、当社の旗艦店である阪急うめだ本店の食品売場やECサイトを活用して、企業様や自治体様のPRやブランディングをお手伝いする、いわゆるBtoB型の新規事業に取り組んでいます。
百貨店といえばBtoCのイメージが強いかもしれませんが、私たちは売場やWebサイトを“メディア”として捉え、法人のお客様向けに広告的な価値を提供することを目指しています。具体的には、食品フロアでのタイアップ企画や、オンラインでの情報発信、さらには催事イベントの企画・運営を含む包括的な提案が中心です。百貨店ならではの集客力や長年培ってきた信頼を活かしながら、新しい形のブランド価値向上支援を行っています。

阪急阪神百貨店フードマーケティング部の井上 梓氏(左)、山本 貴美子氏(中)、柏岡 優衣氏(右)。導入パートナーのサポートを受けながらZoho CRM の活用を積極的に進めている。

最適なツールとしてZoho CRM を選択

―今回、Zoho CRM を導入された背景について教えてください。

井上氏:当社はもともと百貨店事業を中心にBtoCビジネスを展開してきましたが、一方でBtoB向けの新規事業として、阪急うめだ本店のフードフロアや自社ECをメディア化し、企業様や自治体様のPRに活用していただく取り組みを行っています。

その中で一番の課題は、「社内にBtoB営業のノウハウがない」ということでした。私たち自身には営業の経験がなく、社内を見渡しても前例がありませんでした。それでも、「営業そのものを外部に委託するのではなく、自分たちの手で経験を積み上げ、ナレッジとして蓄積していきたい」という思いがありました。

そのため、一般的に使用されている営業ツールや仕組み、基本的な営業プロセスの型を学びながら、自社の業務に取り入れる必要があると感じました。複数のCRMを比較検討した結果、Zoho CRMの導入を決定しました。

―導入にあたって、特に実現したかったことは何だったのでしょうか?

井上氏:もっとも大きな目的は「顧客情報や商談内容を一元的に管理できる仕組みを整えること」でした。導入前は、Google スプレッドシートを使用して顧客リストや商談の進捗を管理していましたが、情報が増えるにつれてファイルが複雑化し、入力も属人的になっていました。その結果、情報の重複や誤記、共有のしづらさが目立ち始め、業務の連携に支障をきたすようになりました。

そのため、まずは正確かつ統一的に「情報を管理するための土台づくり」として、Zoho CRMを導入しました。将来的には、メール配信やマーケティングオートメーションなどの機能も活用しながら、徐々に業務全体の効率化を図っていくというビジョンを持っています。

―そうした課題感の中で、数ある製品の中からZoho CRM を選ばれた理由を教えてください。

井上氏:もちろん、CRMの導入を検討する際には、いくつかの製品を比較検討しました。私たちはこれまでCRMを使用した経験がなかったため、まずは直感的に使いやすいこと、そして小さなチームでも無理なく始められることが重要なポイントでした。

当フードマーケティング部は、私、山本、そしてもう1名の企画担当である柏岡の3名体制で、まだスモールスタートの段階にあります。このような状況を踏まえ、「この規模に適したCRMは何か?」と情報収集を進めた結果、コストパフォーマンスと機能面のバランスを考慮すると、Zoho CRMが最適であるとの結論に至りました。

また、最終的な決定要因となったのは、社内の別の事業部ですでにZohoを導入していたことです。導入実績があるため、社内での連携もスムーズになり、ツールとしての信頼性も感じられたため、私たちのチームでも導入することに決めました。

─ ここからは、実際にお使いのZoho CRMの画面を見ながらお話しできればと思います。こちらは「見込み客」のセクションですね。

井上氏:はい。基本的に営業活動は山本が主に担当しており、展示会や社内のネットワークを活用したご紹介などから見込み客が入ってくる流れです。もちろん、「催事に出店したいのですが」といった企業様からの問い合わせもありますが、当社ではこれまでそうした問い合わせ専用の窓口がなかったため、個別に対応してきました。今後はZoho CRM上で問い合わせ窓口を構築し、Webサイトからのリード獲得につなげていく計画です。

営業活動の出発点として、展示会で出会った企業様との名刺交換を行い、興味を持ったブランドをZoho CRMに入力することから始めます。現時点では主にGmailを通じてやり取りを行っていますが、将来的にはメールや打ち合わせスケジュールの管理もZoho CRM上に統合したいと考えています。

山本氏:見込み客として登録した後、一度オンラインまたは対面でお話を伺うタイミングで、「商談」ステージへと移行します。その際に、取引先や連絡先への変換も同時に行い、より具体的な提案や進行管理に入る流れです。

見込み客は展示会や社内紹介を通じて登録し、対話のタイミングで「商談」へ。問い合わせ窓口の整備やメールの一元化も視野に入れ、Zoho CRM 上での営業プロセス構築を進めている。

打ち合わせの内容を「メモ」として残し、情報共有や引継ぎがスムーズに

―続いて、商談の画面についてお話しします。業界や催事区分に応じてタグが付けられている点が印象的です。この部分はどのように運用されているのでしょうか?

山本氏:催事のスペースがいくつかありますので、マッチする消費者ターゲットに合わせて「どの場所で開催するか」といった区分や、リアルイベントなのか、ECとの連携なのかといった開催形態の違いに応じて、タグを使って整理しています。

青山氏:この画面は本当にきれいに整理されていますね。一般的にはもっとごちゃごちゃしがちですが、色分けやステージ設計が非常にわかりやすいです。

井上氏:ありがとうございます。この「商談」については、実際にお客様とお打ち合わせの機会をいただいた時点で登録しています。たとえば、「ツリーテラス」という催事スペースの案件では、出店者との協議が進むにつれて、このステージに移行しています。

実は、阪急うめだ本店の地下1階には、洋菓子や和菓子が並ぶ売場があり、週に50万人以上の来店者があります。数だけでなく、食生活に対する感度の高さも特徴的で、この高い集客力と百貨店というメディア性を活かし、商品ブランドの認知度や価値をどのように伝えていくかを企画・提案しています。

単なるレンタルスペースではなく、タイアップや自治体案件も含め、ブランドの立ち上げや地域創生といった目的に応じて、売場の編集や装飾、さらには顧客コミュニケーションまで、私たちは一体となって取り組んでいます。売上だけでなく、ブランドや商品の価値を伝える“空間演出”の支援が、私たちの強みです。

青山氏:特にこの大阪・梅田においては、阪急に出店すること自体が「語り継がれるブランドステータス」となっており、売上以上の価値を感じていただいています。まさに百貨店以上の存在です。

商談の画面。一件一件の商談(催事)について、それが「ツリーテラス」「フードステージ」といったリアルの売場なのか、あるいはECなのかについてタブでわかりやすく管理している。

―実際の商談画面では、どのような情報を管理しているのでしょうか?

山本氏:打ち合わせの内容や電話でのやり取りは、その都度メモに残すようにしています。最近ではスマートフォンのアプリを使って入力できるようになったため、外出先からでも対応しやすくなりました。

営業の記録を残すことで、後工程を担当する企画側も内容をそのまま確認でき、情報の引き継ぎがスムーズになると感じています。

井上氏:営業と企画の間でのやり取りが分断されると、「あの話はどうなった?」という状況になりかねません。記録がきちんと蓄積されていることで、業務のつながりが保たれ、目的がぶれることもなくなります。

商談画面には、打ち合わせ内容や次のアクションがメモとして残されている。営業から企画へのスムーズな情報共有を支える。

―Zoho Projects をはじめ、Zoho CRM 以外のZohoアプリとの連携も始まっていると伺いました。

青山氏:はい。出店に関する商談については、受注前後でパイプラインを「二階建て」にして管理しています。受注後はZoho Projectsに引き継ぎ、実際のスケジュール管理やToDoリストの作成を進めています。

ただし、案件によっては受注前からプロジェクトが進行することもあるため、CRMとProjectsを親子関係で結びつけ、柔軟に対応できる構造にしています。

ファイル共有については、今後、Zoho WorkDriveと連携し、セキュリティに配慮しながら情報を一元管理していく予定です。

井上氏:さらに、Web上での情報発信を強化するために、現在Zoho Sitesを利用して新しいサイトの構築を進めています。外注せずに自分たちの手でページを作成できるため、コストを抑えつつリアルタイムでの更新が可能である点に大きな魅力を感じています。また、資料請求や問い合わせの専用フォームも実装予定で、これまで外部のポータルサイトに依存していた集客を自社サイトに集約し、自然な流入を生み出す仕組みを目指しています。

―山本様は4月に異動されたばかりとのことですが、すでにかなり活用されていますね。

青山氏:そうなんです。まだ着任されてから3カ月ほどにもかかわらず、ここまで使いこなしておられるのは驚異的です。Zoho CRMを導入しても、情報の整理が定着するまでに一年以上かかる企業は珍しくありません。それに比べて、阪急阪神百貨店様では、スタートから数ヶ月でここまで形が整っている。非常に優れた事例だと思っています。

画面は山本氏がZoho Sites を用いて構築中のWebサイト。ゆくゆくは問い合わせや資料請求などを、このページで行えるようになる見込みとなっている。

最初からさまざまなビジネスの知見が盛り込まれているのがZoho CRM の大きな魅力

―Zoho CRM を導入することでどのような効果が得られましたか?

井上氏:当社の場合、Zoho CRM 導入の出発点は「チーム目標に対し、進捗状況の可視化や共有ができていなかった」ということです。

以前は、一人ひとりが各自のスプレッドシートに情報を入力する“個人プレー”に依存していたため、どの案件がどこまで進んでいるのかを俯瞰することが非常に難しく、情報が属人化していました。しかし、CRMを導入したことで、そうした“点”の情報を“面”として捉えられるようになり、チームで業務を共有し、目標意識を醸成するための基盤が整いました。

青山氏:Googleスプレッドシートとの比較はわかりやすいと思いますが、やはりあちらはCRMではありません。Zoho CRMは「業務を進めるための道具」として設計されているため、導入によってチームが形成されるプロセス自体が効率化されると感じるかもしれませんね。

井上氏:さらに、Zoho CRM にはあらかじめ「顧客対応」や「チームワーク」に関する知見が組み込まれているため、私たちはゼロから仕組みを設計する必要がありません。その枠組みにまずはまることで、業務の型が自然と形成される感覚があります。その上で、私たちの事業特性に合わせて少しずつアレンジを加えていく段階に来ています。このような設計についても、青山さんにご相談しながら進めています。

山本氏:私も以前までは百貨店のBtoC業務に携わっていたため、BtoBの営業の流れについては全く理解していませんでした。しかし、Zoho CRMの商談ステージに沿って進めることで、明確な“道筋”が見えるようになり、大変助かっています。業務の流れが可視化されたことで、自分の中にもしっかりとその理解が浸透しました。

―今、この記事を読んでいる“Zoho CRM を導入しようかどうか決めかねている”という方に対してはどのような言葉をおくりますか?

井上氏:私たちは、BtoB営業というこれまでにない新しい取り組みに挑戦する中で、Zoho CRMを導入しました。新しいビジネスを立ち上げる際には、既存のやり方に慣れた人々の中で拒否感が生じることがあると思います。しかし、Zoho CRMは見た目や操作感がわかりやすく、直感的に使えるユーザーインターフェースを備えている上に、カスタマイズ性も高いため、「型にはめられる」といった息苦しさを感じにくい点が非常に良いと感じています。

さらに、導入パートナーである青山さんが、UI自体を楽しい雰囲気に仕上げてくださったおかげで、ツールを使うこと自体に前向きな気持ちで取り組むことができました。新しいことに挑戦する中で、「ちょっと楽しそう」「やってみようかな」と感じることは、とても重要だと思います。

山本氏:さらに、CRM初心者の私でも使えるため、「Zoho CRMは初心者にとって使いやすい」という点は大きな魅力ではないでしょうか。

―今回、Zoho CRM の導入をサポートいただいた株式会社関西・青山さんについて、ご感想をお聞かせください。

井上氏:本当に手厚いご支援をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。大阪には月に3回ほどお越しいただき、毎回約2時間のミーティングを重ねながら、一緒にシステムを構築していく形で進めていただいています。

もともと私たちはCRMに関する知識や経験がなかったため、既存のスプレッドシートや個人での管理方法をすべて確認していただいた上で、「それならZoho CRMではこう置き換えましょう」と丁寧に導いてくださり、大変助かっています。

ただツールを「導入して終わり」ではなく、私たちのやり方や業務に合わせて、共に最適な使い方を模索しながらサポートしてくださる姿勢が非常にありがたいです。

山本氏:いつも「優しい先生」のような存在で、私たちの少し特殊なビジネスモデルにも理解を示してくださっています。その上で、「どうすれば使いやすいか」や「どのような項目設計が良いか」などを一緒に考えてくださるので、とても心強く感じています。

井上氏:それに、Zoho CRM に関することだけでなく、「この言葉は営業の現場でどのように使われているのですか?」や「一般的な営業プロセスはどのようになっていますか?」といった業界知識に関する相談もさせていただくことがあります。こうした内容を含めて、私たちにとっては非常に大きな学びとなっています。

株式会社阪急阪神百貨店

  • 所在地:大阪市北区角田町8番7号
  • 業種:小売業
  • 社員数:4194名 (2025年3月現在)
  • ビジネス:BtoC、BtoB
  • 事業内容:阪急うめだ本店をはじめとする百貨店の運営、
    ECサイトによる販売、催事・イベントの企画運営、
    企業・自治体向けの販促支援など
  • 設立:2007年10月(旧阪急百貨店と旧阪神百貨店の経営統合による)
  • URL :https://www.hankyu-hanshin-dept.co.jp/index.html

導入支援パートナーについて

株式会社関西

弊社は地域医療の提供から培った独自の作業療法メソッドを用い、個と集団の成長を促進します。企業・組織だけでなく全ての人が豊かになっていくためにテクノロジーを駆使し、その地域全体の成長を応援します。Zoho を活用したビジネス全体のIT構築設計を行い、提供される商品やサービスの品質が向上するように導入支援を行います。また、それらがしっかりと活用出来るためのITトレーニングも実施致します。
1.ツール 2.使う技術 3.人間が考えるアイデアの3つを軸に、遊びの中から人間が成長し育っていくように企業や組織、そこに属する方々の成長を促します。

  • 本社所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目11番4-1100号
  • 設立:1989年8月17日
  • 業種: 経営コンサルティング、ITトレーニング、DX化支援、飲食(アンテナショップ)
  • 従業員数:7名(連結)
  • パートナー認定: 認定パートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域: 全国
  • 対応サービス: 全サービス
  • 詳細・お問い合わせはこちら

まずは、お気軽に
Zoho CRM をお試しください。

15日間無料で有償プランをお試しいただけます。

※お試し期間終了後、自動的に無料プランに移行されます。