[実践編]ダッシュボードとレポートによる営業マネジメントの実践

エンタープライズ営業におけるCRM/SFAツール活用のポイントは、蓄積されたデータを見える化し、マネジメントに活かすことです。特に営業マネージャーにとって重要なのは、顧客・案件・活動という三大要素の状況を適切に把握し、チームメンバーへ的確なアドバイスを行うことといえるでしょう。
前レッスンでは、営業マネジメントの3本柱として「顧客管理」「案件管理」「活動管理」によるマネジメントについて解説しました。
本レッスンでは、Zoho CRMを活用しながら、蓄積されたデータを「ダッシュボード」「レポート」「ビュー」という3つの機能を通じて、どのように営業マネジメントに活かしていくかを具体的に解説していきます。

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[実践編]ダッシュボードとレポートによる営業マネジメントの実践
目次

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CRM/SFAツールの可視化機能

本レッスンでは、「さまざまな規模の企業に教育・研修サービスを提供する企業(C社)」での利用を例に、Zoho CRM の機能を活用した営業マネジメント手法を解説していきます。状況設定や具体的なカスタマイズ手順を参考に、自社のビジネスモデルや実際の営業活動に合ったカスタマイズやマネジメント実践の参考としてください。

C社の詳細なプロフィールやエンタープライズ営業に取り組み始めた経緯などは、レッスン8のプロフィールを参照してください。

営業マネジメントを行う状況設定

C社では、エンタープライズ営業に本格的に取り組むために、CRM/SFAツールを導入し、必要なカスタマイズを行って、ターゲティング・営業マネジメントに活用できる環境を整えました。(前レッスンまでに実施した内容)

各営業担当者が、日々マネジメントに必要な情報を入力し、顧客や案件の状態を個別に確認できる状況となっています。

営業マネージャーは、蓄積されたデータを効率よく確認・分析し、各担当者にアドバイスを行ったり、経営者向けに今後の見込みなどを報告できる仕組みを作ろうとしています。

データを活用した営業マネジメントの方針

これまでのC社では、営業会議を2週間に1回行い、案件一覧をもとに、個別に営業状況や活動状況を確認して、必要に応じたアドバイスを行っていました。このマネジメント方法だと、状況確認に時間がとられ、重要な案件や活動に対するアドバイスができないことが頻繁に発生しています。

また、エンタープライズ営業という観点では、各アカウントプランの進捗状況の確認が四半期に一度程度の頻度となってしまい、気付いた時には今期の動きに大きな遅れが出ているといった状況も起こっていました。

そのため、営業マネージャーは、営業会議の前にCRM/SFAツールに蓄積された情報をもとに一通りの状況確認を行い、営業会議内では顧客との関係性を深める活動も含めて、各担当者へのアドバイスを中心に行う方針としました。

具体的には、以下の流れで営業マネジメントを行っていきます。

  1. 組織全体の売上の見込み・顧客との関係性・活動状況などを可視化し、状況確認を行う
  2. 状況確認で明らかになったボトルネックとなっている個所を深掘りし、営業マネージャーとして介入すべき案件や営業担当者を明らかにする
  3. 営業マネージャーは、各営業担当者にアドバイスを行い、具体的なアクションをCRM/SFAツールに登録し、次回の営業会議でアクションの消化状況を確認できるようにする

CRM/SFAツールの可視化機能

CRM/SFAツールにはデータ活用を支援するさまざまな機能が備わっていることが一般的です。

ここからは、Zoho CRMに備わった「ダッシュボード」「レポート」「ビュー」といった3つのデータ活用・可視化機能を紹介しますので、営業マネジメントにどのように活かすのかを把握しましょう。

「ダッシュボード」:重要指標を一画面で俯瞰

「ダッシュボード」(アナリティクス)は、複数のレポートなどを組み合わせて1画面に集約した可視化機能です。営業マネジメントにおいては、営業部門のKPIをまとめて表示し、計画との差異やアカウントプランの進捗状況などを即座に察知し、ボトルネックを明らかにすることが可能です。

「ダッシュボード」:重要指標を一画面で俯

Zoho CRM では、さまざまなダッシュボードが用意されていますが、営業マネジメントに必要な数値やKPIなどは組織によって異なるため、自社にとって必要な情報を確認できるようにカスタマイズを行いましょう。

「レポート」:集計・分析・一覧表示に特化した可視化手段

「レポート」は、数値や項目を集計して詳細な状況把握・分析などを行うための機能です。集計したデータを表形式やグラフなどで可視化できます。

「レポート」:取引先別年別売上推移
「レポート」:ステージ別の商談の総額

レポートは、顧客や担当者や案件単位の活動状況や傾向を把握し、改善ポイントを明確にするための強力な武器といえます。

後述のビューとの大きな違いとしては、レポートのグラフ化などに優れ、複数のタブ(取引先・連絡先・商談・予定など)の情報を組み合わせて集計・可視化が可能なことです。

「ビュー」:具体的なアドバイスや営業現場でのアクション促進

「ビュー」は、各タブの情報を特定の条件で絞り込み、必要な項目を一覧表示できる機能です。細かい条件指定が可能なため、自身が日々確認したい条件を設定しておけば、ビューを選択するだけで必要な情報に簡単にアクセスできます。

ビュー機能
カンバン表示

シンプルな一覧表示だけでなく、案件のステージ(状態)ごとのカンバン表示などの直観的にわかりやすい表示方法も用意されており、情報共有や具体的な指示を行う際に利用しやすい機能といえます。

3つの可視化機能を使った営業マネジメント

ここからは、これまでに紹介した3つの可視化機能を使った具体的な営業マネジメント方法について解説していきます。

ダッシュボードで組織全体の状況を把握する

日々のマネジメントにおいて、営業マネージャーが行うべきなのは全体の状況把握です。このままの活動方針で売上や利益目標が達成できそうなのか、出来ない場合にはどこに問題があるのかを把握しなければ、改善することはできません。

組織の概況把握

組織の概況を把握する上では、さまざまな指標を把握する必要がありますが、最初から多くの数字を管理しようとしても挫折する可能性があるため、まずはシンプルな数字の把握などを行えるダッシュボードを用意するとよいでしょう。

ダッシュボード機能

上記のダッシュボードは、今会計年度において、エンタープライズ企業に該当する

  • 見込み客の獲得数
  • 取引先の獲得数
  • 連絡先の獲得数
  • 商談数
  • 直近4年のエンタープライズ企業からの売上金額推移
  • 本年度の売上見込み(未受注案件含む)

をまとめたダッシュボードです。

上記の例はシンプルな内容となっていますが、もう少し細かく見ていきたい場合には、

  • 獲得ルート別の見込み客数やキャンペーンごとの見込み客獲得数
  • 担当者ごとの受注数や商談数、売上見込み金額
  • 担当者ごとに抱えている担当企業数や担当者数

などを要素として追加するのも問題ありません。ただし、一つのダッシュボードに要素を詰め込みすぎると、分かりづらくなってしまうため、ダッシュボードの目的に応じて、できるだけ少ない要素でまとめるのがポイントです。

Zoho CRMでは、シンプルなKPIの集計やグラフやゲージ表示など豊富な表現方法を機能としてもっているため、営業マネージャーが判断しやすいダッシュボードを作って、日々の状況把握を効率的に行えるように工夫してみてください。

顧客との関係性の状況把握

ダッシュボードは各目的別に用意すべきものであるため、全体の状況を確認した後は、顧客との関係性の状況を把握するようなダッシュボードも用意すべきでしょう。

ダッシュボード機能
ダッシュボード機能

上記のダッシュボードでは、エンタープライズ組織に関する現時点での見込み客数、取引先数、連絡先数、商談数などの基礎的な数値と、自社との関係性ごとの取引先数、自社への態度ごとの連絡先数、取引先ステージごとの売上実績と商談の位置づけごとの売上実績の棒グラフが設定されています。

このようなダッシュボードで、関係性ごとの売上や商談数などを把握し、関係性が進むことで売上や収益向上につながっているのか、計画通りに進行しているのかなどを把握し、問題があれば対処を検討します。

上記のダッシュボードでは、取引先のステージごとの売上金額は、ステージが進行するにしたがって金額が増えている様子が分かります。一方、商談の位置づけについては、初回取引の金額が多く、その先の関係性構築を目的とした信頼関係構築や他部門展開の金額が低いことが分かるため、初回取引後の次の商談に課題がありそうだということが見えています。

なお、他にも商談の状況や各営業担当者の活動状況を把握するダッシュボードなども営業マネジメントを行う上では有用です。

レポートでボトルネックを深掘りする

先ほどは取引先のダッシュボードで組織の課題として、初回商談以降の関係性構築に課題がありそうだという仮説が立ちました。

次のステップでは、より詳細なデータを深掘りするために、各商談の位置づけごとの商談一覧を表示するレポートを活用します。

取引先ごとの受注・失注案件一覧

上記のレポートは、取引先のステージごとに取引先をまとめ、さらに取引先ごとに発生した商談を一覧で表示させているレポートです。

このレポートの中で、初回取引の次のステップである「信頼関係構築」の位置づけとなっている商談を見て、失注となっている件数、失注理由、失注となったあとに案件が発生しているかどうかなどが判断できます。

上記のレポートでは、「信頼関係構築」の位置づけで失注となっている失注理由が「料金」であることから、詳しい状況を把握していく必要があります。今回の例では、初回取引段階の特別値引きが2回目以降の取引に適用されず、顧客の確保していた予算と乖離が出て失注に至ったという案件が複数ありました。

このようにダッシュボードでボトルネックを発見し、より詳細な分析を行うことで、起こっている事象の原因を把握するという流れを作ることが可能です。

なお、詳しい分析を行う際には、営業担当者へのヒアリングなど、CRM/SFAツールに登録されていない情報が必要となることもありますので、注意しましょう。

案件や顧客に対して具体的な指示を出す

先ほどのレポートから、初回取引時点での値引きが後の案件の受注に影響を及ぼす可能性があることが仮説としてみえてきました。

次のステップでは、その仮説を日々のマネジメントに活かすために、商談タブの案件一覧から対象となる案件があれば、その案件に対して具体的な指示を出していきます。

商談タブの案件一覧

商談タブで今月完了予定の商談から信頼関係構築を行う位置づけの商談を見ていくと、意思決定を行ってもらう段階の商談が1件ありました。

先ほどの仮説から、昨年の商談が初回商談だとすると、値引きが適用されていると意思決定や見積提示段階で失注に至る可能性があるかもしれません。

そこで、商談の取引先から過去の商談を見てみると、まさに失注パターンに該当する状況が当てはまっているようです。

商談詳細画面

また、過去商談のメモを見ると、担当者が本年度は変更となっており、顧客側に情報が引き継がれていない可能性も見えてきました。

商談詳細画面

このような状況から、営業マネージャーは、営業会議の中で、早い段階で予算に関する認識のギャップを埋める必要があることを説明し、具体的なタスクを設定するような指示を出すことができるようになります。

タスクの追加

商談の一覧情報の確認から、担当者へのタスク作成による指示出しの流れは以下の動画で確認してください。

タスクの追加

このように営業組織の状況からボトルネックを把握し、ボトルネックの原因を仮説として導き、具体的な商談や活動に対して、仮説をもとに指示を出すのがデータに基づくマネジメント手法の一つです。

今回ご紹介した以外にもデータを活かしたマネジメント方法にはさまざまなものがあるため、自社や自身のマネジメントスタイルにあった活用を進めましょう。

まとめ

営業マネージャーは、現場の動きを可視化し、状況に応じた判断と具体的な指示を担当者に行うことで、組織全体のマネジメントを行うことが求められています。

そのようなマネジメントを行うためには、CRM/SFAに蓄積されたデータをもとにした「見える化」が不可欠といえるでしょう。

全体の状況を把握し、ボトルネックを明らかにするダッシュボード機能、さまざまな情報を集計・一覧表示し、ボトルネックの原因を明らかにするレポート機能、仮説に基づき「今誰に・何をすべきなのか」を明確にし、具体的な指示を出すためのビュー機能を

マネジメントに組み込むことで、営業組織の再現性・改善力が飛躍的に向上します。

本記事をきっかけに、エンタープライズ営業のマネジメントの質を一段階引き上げ、組織全体の成果につなげていきましょう。