すべて表示する
このレッスンで学べること
CRM/SFAツールを使ったKPI管理について、「準備」「進捗管理」という2段階で理解しましょう。このレッスンでは、「準備」に焦点を当てます。
このレッスンで学べること | |
準備 | - CRM/SFAツールの概要を理解する - CRM/SFAツールを用意する - 利用者を登録する - アクセス/操作権限を設定する - KPI管理用のダッシュボードを用意する |
進捗管理 | - リード(見込み客)に関するKPIの進捗を記録する - 商談(案件)・売上に関するKPIの進捗を記録する - KPIの進捗をリアルタイムで確認する |
CRM/SFAツールの概要を理解する
CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。顧客情報を一元管理することで、顧客との関係性を維持・向上させるというアプローチ、およびその目的のために開発されたツールを指します。一方、SFAは「Sales Force Automation」の略で「営業支援自動化」と訳されます。こちらは営業担当者の業務効率化を支援するツールを指します。
これら2つの定義は、全く異なるものではありません。歴史的には、紙で顧客を管理する手段がもともとあり、それに「CRM」という名称が米国で浸透するようになりました。その後、データベースマーケティングと連絡先管理を行う製品群について、「SFA」という用語も使われるようになったと言われています。これらは全て20世紀末期以降の出来事です。製品が増えるにつれてそれぞれ名称が多く使われるようになってきましたが、顧客データベースをマーケティングや営業活動に活用する、という大きな目的は同じです。
CRM を使ってどのようにKPIを管理できるのかを理解する
KPI管理に必須の「アナリティクス機能」とは
Zoho CRM において、KPIの設定・管理は[アナリティクス]タブで行います。アナリティクスタブとは、CRM内のデータを集計し、表やグラフにして見える化する場所です。
アナリティクスタブ内で表やグラフが集まった場所を[ダッシュボード]と呼びます。ダッシュボードとは、重要な数値をリアルタイムで表示する計器盤、という意味です。例えば、Zoho CRM のダッシュボードで「組織の概要」を選択すると、組織にとって重要な数値である「今期の売上目標と達成度」や「今期の見込み客の獲得目標と達成」といった重要な指標について、CRM内のデータを集計した情報が並びます。

(Zoho CRM 組織の概要ダッシュボード)
CRM/SFAツールを用意する
はじめに、CRM/SFAツールを用意しましょう。Zoho CRM を使う場合は、Zoho CRM トップページにアクセスし、アカウント作成のフォームに情報を入力します。この登録は無料です。トライアル期間が終わった後も、無料プランの機能をそのまま使うことができます。フォームを送信後、登録したメールアドレス宛てにアカウント認証メールが届きます。メールに記載されたURLにアクセスし、アカウント認証を完了させると、画面がZoho CRM に切り替わります。切り替わらない場合は、トップページ右上のサインインからログイン情報を入力して、Zoho CRM に入りましょう。

会計年度を設定する
最初に、組織の会計年度を設定します。初期設定では、会計年度の開始月は「1月」に設定されています。ここで設定した会計年度が、目標管理やデータ集計に適用されるので、自社の会計年度が異なる場合は必ず設定を変更しておきましょう。
[設定]→[一般]→[組織設定]→[会年度]を押下し、[会計年度の管理]ボタンをクリックすると、会計年度を変更できます。

ユーザーを招待する(複数名で利用する場合)
次に、KPIのデータを記録する人物や、進捗を管理する人物をユーザーとして招待します。
Zoho CRM の[設定]→[一般]→[ユーザー]→[ 新しいユーザー]を押下し、氏名やメールアドレスなどの情報を入力します。入力したメールアドレス宛てにアカウントの認証メールが届くので、メールに記載されたURLにアクセスして、アカウント認証を行ってもらえば招待は完了です。招待されたユーザーもすぐに利用を開始できます。
※無料トライアル期間中は、最大3ユーザーまで利用できます。


権限を設定する
複数名でCRMを利用する場合に忘れてはならないのが、権限の設定です。更新すべき情報を更新すべき人が更新し、むやみに編集や削除ができないようにする設定です。エクセルなどの表計算ソフトを複数名で編集すると、誤操作によって情報を削除したり、上書きするリスクがありますが、CRMで権限を設定することで、そうしたトラブルを回避できます。
Zoho CRM の[設定]→[セキュリティ設定]→[権限]→[標準]を押下すると、一般ユーザーの権限を設定できます。遷移した画面の基本の権限で[削除]のチェックを外します。[権限]の画面では、データのインポートやエクスポートなどの操作も制御できます。[標準]のユーザーはインポートもエクスポートも不可になっているため、配信リストをインポートする担当者を決めて別途権限を与える、といった運用にしてもよいでしょう。

KPI管理用のダッシュボードを作成する
最後に、アナリティクス機能を使って、KPI管理に利用するダッシュボードを用意しておきます。予め搭載されているダッシュボードにグラフ/表を追加することもできますし、営業部門やマーケティング部門など、管理対象に合わせて新たにダッシュボードを作成することもできます。
ダッシュボードでは、「KPIの目標と実績」に加えて、「KPIの前提条件」も可視化できるようにしましょう。というのも、受注率45%という前提条件を基にKPIを設定したのに、実際の受注率が30%しかなければ、KPIは達成できたとしてもKGIが達成できないかもしれません。KPI、KGIを確実に達成するために、「KPIの前提条件」も必ず可視化しましょう。
このレッスンでは、営業KPIを管理するダッシュボードを、実際に作成します。

(Zoho CRM 営業KPI管理用ダッシュボードの例)
グラフの名称 | 説明 |
リード獲得目標(対目標) | 新規リードの登録数の目標と実績、達成状況を視覚的に表示します。目標値は任意の値を設定できます。 |
商談獲得目標(対目標) | 新規商談の獲得件数の目標と実績、達成状況を視覚的に表示します。目標値は任意の値を設定できます。 |
売上目標(対目標) | 売上目標と実績、達成状況を視覚的に表示します。目標値は任意の値を設定できます。 |
担当者別 売上目標(対目標) | 担当者別の売上目標と実績、達成状況を視覚的に表示します。目標値は任意の値を設定できます。 |
担当者別 架電目標(対目標) | 担当者別の架電目標と実績、達成状況を視覚的に表示します。目標値は任意の値を設定できます。 |
リードの変換率 | リードを獲得してから案件化して、受注に至るまでの返還率を視覚的に表示します。指定した期間と比較した増加/減少の傾向も合わせて確認できます。 |
担当者別 活動実績 | 担当者別の活動実績として、架電数/メール送信数/商談件数/受注件数をそれぞれ視覚的に表示します。指定した期間と比較した増加/減少の傾向も合わせて確認できます。 |
ダッシュボードを新しく作成する
KPIの各指標を全て1箇所にまとめるため、「KPI管理」のダッシュボードを作りましょう。[アナリティクス]→[ダッシュボード+]を押下し、ダッシュボードの名称を「営業KPI管理ダッシュボード」とします。その横にある公開範囲を[すべてのユーザー]を選び[保存する]を押下します。これで、Zoho CRM を使っているユーザー全員が閲覧可能なKPI管理のダッシュボードができました。

営業KPIを設定する
営業部門のKPIに関して、「リード獲得目標」「商談獲得目標」「売上目標」「担当者別売上目標」「担当者別架電目標」などのグラフを追加してみましょう。
リード獲得目標
まずは、「リード獲得目標」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[目標達成度]を選びます。次の画面で[3色ゲージグラフ]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | リード獲得目標 | あとから自由に編集できます |
2. 目標の適用対象 | 組織全体 | 個人目標でなく組織全体の目標なので組織全体、を選択 |
3. 目標の指標 | 見込み客 | 何をグラフで集計するか、を定義 |
4. 期間 | 作成日時 - 見込み客 - 今会計年度 | 任意。件数を数える期間を定義。対象期間以外の新規リードを集計してしまわないようにする |
5. 目標 | 1,000 | 任意 |

商談獲得目標
次に、「商談獲得目標」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPI管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[目標達成度]を選びます。次の画面で[3色ゲージグラフ]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | 商談獲得目標 | あとから自由に編集できます |
2. 目標の適用対象 | 組織全体 | 個人目標でなく組織全体の目標なので組織全体、を選択 |
3. 目標の指標 | 商談 | 件数/-商談 |
4. 期間 | 作成日時 - 商談 - 今会計年度 | 任意。件数を数える期間を定義。対象期間以外の新規リードを集計してしまわないようにする |
5. 目標 | 100 | 任意 |

売上目標
「売上目標」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[目標達成度]を選びます。次の画面で[棒グラフ]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | 売上目標 | あとから自由に編集できます |
2. 目標の適用対象 | 組織全体 | 個人目標でなく組織全体の目標なので組織全体、を選択 |
3. 目標の指標 | 商談 | 何をグラフで集計するか、を定義 |
4. 期間 | 最新の操作日時 - 商談 - 完了予定日 | 任意。件数を数える期間を定義。対象期間以外の新規リードを集計してしまわないようにする |
5. 目標 | 100000000 | 任意 |

担当者別 売上目標
「担当者別 売上目標」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[目標達成度]を選びます。次の画面で[棒グラフ(複数)]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | 担当者別 売上目標 | あとから自由に編集できます |
2. 目標の適用対象 | ユーザー - 特定のユーザー | 任意。個人目標を管理する対象のユーザーを選択 |
3. 目標の指標 | 商談 | 何をグラフで集計するか、を定義 |
4. 期間 | 最新の操作日時 - 商談 - 完了予定日 | 任意。件数を数える期間を定義。対象期間以外の新規リードを集計してしまわないようにする |
5. 目標 | 個人目標 | 任意。営業担当者ごとに目標値が異なる場合は、個人目標を選択し、値を入力する。共通の場合は共通目標を選択する |

担当者別 架電目標
「担当者別 架電目標」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[目標達成度]を選びます。次の画面で[棒グラフ(複数)]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | 担当者別 架電目標(月次) | あとから自由に編集できます |
2. 目標の適用対象 | ユーザー - 特定のユーザー | 任意。個人目標を管理する対象のユーザーを選択 |
3. 目標の指標 | 通話 | 何をグラフで集計するか、を定義 |
4. 期間 | 通話の開始日時 - 通話 - 今会計年度 | 任意。件数を数える期間を定義。対象期間以外の新規リードを集計してしまわないようにする |
5. 目標 | 個人目標 | 任意。営業担当者ごとに目標値が異なる場合は、個人目標を選択し、値を入力する。共通の場合は共通目標を選択する |

リード 変換率
「リード 変換率」の実績を確認するグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[ファネル]を選びます。次の画面で[コンパクト]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | リード 変換率 | あとから自由に編集できます |
2. ファネル設定 | ステージ1の名前
ステージ2の名前 ステージ3の名前 ステージ4の名前 | 任意。個人目標を管理する対象のユーザーを選択 |

担当者別 活動実績
「担当者別 活動実績」の目標管理を行うグラフを追加してみましょう。営業KPII管理ダッシュボードで[表/グラフを追加する]を押下し、ポップアップで出てきた画面で[比較]を選びます。次の画面で[エレガント]を選択します。5つの設定について次のように入力し、[保存する]を押下すればグラフの完成です。
項目 | 入力 | 補足 |
1. 表/グラフ名 | 担当者別 活動実績 | あとから自由に編集できます |
2. 比較対象 | ユーザー - 特定のユーザー | 任意。個人目標を管理する対象のユーザーを選択 |
3. 比較パラメーター | 項目名:架電件数 | 何をグラフで集計するか、を定義 |
