CRM/SFAを活用したWebフォームのデータ分析

Webフォームを活用したリード獲得は重要ですが、データを分析し、施策に活かさなければ十分に成果を得られません。このレッスンでは、CRM(顧客管理)/SFA(営業支援)ツールを活用し、Webフォームの分析方法を学びます。リードの傾向や商談化率を把握し、フォームのパフォーマンスを改善し、より効果的な施策へとつなげましょう。

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CRM/SFAを活用したWebフォームのデータ分析
目次

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このレッスンで学べること

このレッスンでは、CRM(顧客管理)/SFA(営業支援)ツールを活用し、Webフォームのデータを分析して具体的な改善策を導き出す方法を学びます。サンプルデータを例に、分析の進め方を順を追って見ていきます。分析の視点や手法を理解し、Webフォーム改善に活かせるようにしていきましょう。※CRM/SFAツールの参考として、Zoho CRM の画面が登場します。

それぞれのレッスンで学べること

リード管理の準備
※レッスン 6

  • CRM/SFAツールを用意する
  • ユーザーの役割の整理
  • リードのステータスの管理
  • 自動返信メールの作成
  • Webフォームの作成

リード管理の自動化と営業との連携
※レッスン 7

  • リードスコアリングの概要と重要性
  • 属性スコアと行動スコア
  • リードの分類(コールド、ウォーム、ホット)
  • Zoho CRMでのスコアリング設定
  • 各リードステータスに合わせた自動メール配信
  • 営業チームへのリードの引き渡しの自動化

CRM/SFAを活用したWebフォームデータ分析
※このレッスンで解説します

  • Webフォームのパフォーマンス分析と改善
  • 効果的なA/Bテストの実施方法
  • リード分析と改善策の立案

Webフォームの分析

Webフォームは、Webサイトでリードを獲得するための重要なツールです。そのパフォーマンスを分析することで、フォームが適切に機能しているかを評価し、改善点を見つけることができます。ここでは、Zoho CRM を活用し、Webフォームのパフォーマンスを分析・評価し、効果的な改善策を導き出す方法を学びます。

Webフォーム分析画面

Zoho CRM では、フォームへの訪問からデータを送信するまでのユーザー行動を可視化し、離脱箇所やパフォーマンス指標を簡単に確認できます。例えば、「主要な指標」では、訪問者数や送信率を確認し、フォーム全体の状況を把握できます。一方、「詳細な統計」機能を活用すれば、フォームごとの送信データ、国別の送信状況、リードの登録後の変化、さらにはフォーム別の売上データまで把握でき、多角的な分析を行えます。

各データを確認する手順は以下の通りです。

Webフォームの分析画面は、[設定]→[チャネル]→[Webフォーム]から確認できます。

Webフォーム分析画面への遷移

フォームの総合的な分析

この画面では、訪問者の行動を可視化し、フォームのパフォーマンスを総合的に評価できます。フォームの訪問数、入力開始数、送信数などの主要な指標を確認し、どの段階で離脱しているのかを把握することで、改善点を明確にできます。

Webフォームの分析結果

主要な指標と概要

指標

概要

訪問

フォームが表示された回数。訪問者がページを再読み込みするとカウントが増加。例:78回の訪問

入力開始

フォーム入力を開始した人数。例:訪問78回中、26人(3.3%)が入力を開始。

送信

実際にフォームを送信した人数。例:26人が入力を開始し、14人(53.8%)が送信を完了。

訪問から入力開始までの離脱

訪問したものの、入力を開始しなかった人数と割合。例:52人(66.7%)が入力せず離脱。

入力開始から送信までの離脱

入力を開始したが送信しなかった人数と割合。例:12人(46.2%)が入力途中で離脱。

最終的な送信率

訪問数に対する送信数の割合。例:78回の訪問に対し、14回の送信(17.9%)。

この例では、特に入力開始後の離脱率が46.2%と高く、この部分を改善しないとリード獲得の機会を大幅に逃してしまう可能性があります。入力項目を必須から任意に変更する、入力フォームを短くするなど、入力方法の見直しが重要です。

より詳細な分析を行う場合は、[詳細な統計] をクリックし、「フォームの総合的な分析」 画面を活用します。

Webフォームの詳細な統計

「フォームの総合的な分析」では、フォームごとのパフォーマンスをより深く分析でき、具体的な改善策を立案に役立てることができます。ここで確認できる指標について、以下に示します。

「フォームの総合的な分析」画面で確認できること

指標

概要

フォーム別の送信

複数のフォームを運用している場合、それぞれの送信数・送信率を比較。どのフォームが最も効果的にリードを獲得しているのか、どのフォームに改善の余地があるのかを特定可能。

国別の送信

フォーム送信者の国籍を分析。海外からのアクセスが多い場合、多言語対応の検討材料に。

各フォームを経由して登録された見込み客、登録後に変換された見込み客、発生した商談

各フォーム経由して獲得したリードの、その後の商談化・成約状況を追跡。

フォーム別の売上

フォーム経由の売上データを可視化。フォームのROI(投資対効果)を測定。

このデータを活用することで、単なるリード獲得数だけでなく、商談や売上に直結するフォームの特定が可能になります。それぞれ詳細に分析のポイントを見ていきます。

フォーム別の送信

フォームごとに、訪問数・入力開始数・送信数などのデータを分析することで、どの段階で離脱が発生しているのかを把握できます。

Webフォームの総合的な分析

分析のポイント

  • 訪問数に対する入力開始率
    訪問したユーザーのうち、どの程度入力を開始したかを確認し、フォームの導線や訴求力に問題がないかを分析します。入力開始率が低い場合、CTAの見直しやフォームの視認性向上が必要になります。
  • 入力開始数に対する送信率
    フォームを開いたユーザーのうち、どの程度が送信まで完了したかを測定します。送信率が低い場合、入力項目の削減、フォームデザインの改善、エラー表示の最適化などを検討します。
  • 訪問 → 入力開始 → 送信までの各段階の離脱率
    どこでユーザーが離脱しているのかを特定し、最適な改善策を立案します。訪問数は多いのに入力開始数が少ない場合は、フォームの導線やページ構成を見直します。入力開始後の離脱が多い場合は、入力項目の長さや必須項目の見直しが有効です。

国別の送信

Webフォームのパフォーマンスを分析する際、送信者の国別データは重要な情報源となります。国別の送信データを確認することで、特定地域の市場特性を理解し、地域ごとの戦略を立案する材料となります。

Webフォーム国別の送信

分析のポイント

  • 送信者の国別分布
    どの国や地域からのフォーム送信が多いかを確認し、ターゲット市場の傾向を把握します。
  • 海外ユーザーの割合と対応策
    海外からの送信が多い場合、多言語対応の検討が必要になります。逆に、海外ユーザーの獲得が想定より少ない場合は、海外向けの広告やプロモーションの強化が求められます。
  • 地域別のリード質の違い
    地域ごとの商談化率や売上を分析し、より質の高いリードが多く獲得できる地域を特定します。特定地域のリードが商談につながりやすい場合、その地域に特化したマーケティング施策を強化できます。

各フォームを経由して登録された見込み客、登録後に変換された見込み客、発生した商談

Webフォームから獲得したリードが、その後どのように商談や受注につながったのかを追跡することで、リードの質を評価し、最適な改善策を検討できます。

各Webフォームを経由して登録された見込み客、登録後に変換された見込み客、発生した商談

分析のポイント

  • フォームごとのリードの変換率
    獲得したリードが、どの程度有効なリードとなり、商談につながっているかを確認します。商談化率が低い場合、フォローアップの強化やナーチャリング施策の見直しが必要です。
  • 商談化率の向上策
    商談化に至ったリードの特徴を分析し、質の高いリードを獲得できるフォームの条件を明確にします。特定のフォーム経由のリードの商談化率が高い場合、そのフォームの設計を他のフォームにも適用することで、全体の成果を向上させることができます。

フォーム別の売上

Webフォームの成果を評価する際には、獲得したリードがどれだけの売上につながっているのかを把握することも重要です。フォーム別の売上データを分析することで、どのフォームが最も収益に貢献しているのかを特定し、施策を展開できます。

Webフォーム別の売上

分析のポイント

  • 収益を生み出しているフォームの特定各フォームの売上データを比較し、どのフォームがどのくらいの売り上げを生み出しているかを把握します。売り上げを多く生み出しているフォームとそうでないフォームの違いを分析し、フォームの要素(訴求内容、デザイン、入力項目の工夫など)を特定します。
  • 投資対効果の最適化フォームごとの売上とマーケティングコスト(広告費・運用費)を比較し、ROI(投資対効果)が最も高いフォームを特定します。

フォームの改善を行うA/Bテスト

ここまで、さまざまな観点からWebフォームのパフォーマンスを評価してきました。分析の結果、改善が必要な箇所が複数特定された場合、その施策が本当に有効かどうか見極めるには、A/Bテストの活用が有効です。

A/Bテストは、複数のパターン(例:A案とB案)を用意し、どちらがより良い成果を上げられるかを比較・検証する手法です。この方法により、影響を最小限に抑えながら、最適な改善策を判断できます。では、Zoho CRM を活用してWebフォームのA/Bテストを実施する手順を見ていきましょう。

WebフォームのA/Bテスト作成手順

ここでは、電話番号を「必須項目」とするパターンと、「任意項目」とするパターンのA/Bテストを例に手順を見ていきます。手順は以下の通りです。

A/Bテストの作成

  1. [設定]→[チャネル]→[Webフォーム]→[A/Bテストを作成する]ボタンを押下します。
  2. A/Bテスト名と対象のフォームを選択し、[作成する]ボタンを押下します。
  3. フォームのバリエーションを設定します。
    元のフォーム:「電話番号」必須のフォーム
    バリエーション:「電話番号」を任意項目に変更したフォーム
WebフォームのA/Bテスト

A/Bテストの設定

  1. テスト対象の割合:A/Bテストに参加する訪問者の割合を設定します。例:割合を「100%」と設定すると、Webサイトを訪問するすべてのユーザーがAテストの対象となります。
  2. トラフィック(訪問者)の配分:手動では割合を自由に設定することも、自動配分を選択することも可能です。「自動で配分する」を選択すると、Zoho CRM のAIアシスタントであるZiaが自動的に最適な配分を決定します。
  3. テストの終了条件:A/Bテストの終了条件を設定します。終了条件には、テストの実施期間を任意の日数で選択する方法と、訪問者数の上限を指定する方法があります。ここでは、実施期間の上限を30日間で設定しています。
WebフォームのA/Bテスト

A/Bテストの開始

設定が完了したら、画面下部の[A/Bテストを開始する]ボタンを押下します。これでA/Bテストが開始されます。

WebフォームのA/Bテストのプレビュー

A/Bテスト結果の分析と評価

A/Bテストを実施した後は、結果を正しく分析・評価することで、どのバージョンがより効果的であるかを判断できます。ここでは、サンプルデータを用いて、A/Bテストの分析・評価の手順を見ていきます。

今回は以下の条件で、A/Bテストを行いました。

  • 目的:資料請求フォームの送信率を向上させること。
  • 仮説:「電話番」の入力を任意項目にすることで送信率が向上する。
  • 比較対象:
    • Aパターン(元のフォーム):電話番号必須
    • Bパターン(バリエーション):電話番号を任意項目に変更

A/Bテストの結果を確認するには、対象のA/Bテストの [結果を表示する] を選択します。

WebフォームのA/Bテスト

分析結果

A/Bテストの結果は以下の通りです。

WebフォームのABテストの結果

テスト結果の概要

パターン

送信率

訪問数/送信数

Aパターン(元のフォーム:電話番号必須)

11%

1/9

Bパターン(バリエーション:電話番号任意)

88%

8/9

改善率

+700%

-

この結果から、Bパターンの送信率がAパターンよりも大幅に向上し、700%以上の改善があったとわかりました。今回はサンプルデータを基に結果を確認しましたが、実際にA/Bテストの結果を評価する際は、以下のポイントに着目すると良いでしょう。

  • なぜこの結果になったのか考察する
  • 十分なデータが集まっているかを確認する
  • 他の指標もチェックする

実際のA/Bテストでは、これらのポイントを踏まえながら、効果的な改善策を検討していきましょう。以下のポイントに着目すると良いでしょう。

リード分析と改善

ここまで、A/Bテストを通じて、Webフォームのパフォーマンスを評価し、リード獲得率やフォーム送信率を向上させる方法について学びました。しかし、獲得したリードを商談や成約につなげるには、それだけでは不十分です。

次のステップとして、「リード分析」に取り組む必要があります。リード分析とは、フォームで獲得したリードがその後どのように営業プロセスに組み込まれ、商談や受注に結びついているかを評価するプロセスです。この分析を通じて、リードが適切にフォローされているか、どの段階で商談化の可能性が高まるか、または停滞しているのかを把握できます。

リード分析を進める際は、リード獲得の段階から順を追って評価を行うことが重要です。まずは「リード獲得」のフェーズから、どのように分析と改善を行うかを見ていきましょう。

リード獲得

リード獲得フェーズでは、リード獲得効率と質を評価することが重要です。

  • どの経路からどれだけのリードを獲得しているか
  • 獲得したリードの属性はどのような傾向があるか

を分析することで、リードを獲得するための最適なチャネルを特定し、リード獲得施策をさらに強化できます。

この評価には、Zoho CRMの「レポート機能」を活用します。ここからは、リード獲得元別にデータを分析し、課題と改善点を明らかにする方法を学びます。

リード獲得元の分析

リード獲得元を分析することで、どのチャネルが最も貢献しているか、または改善が必要かを明確にできます。Zoho CRM のレポート機能を活用すること、リードの獲得元のデータを可視化できます。以下は、レポートとグラフ作成の手順です。

リード獲得元別レポート作成手順

<リード獲得元別レポート・グラフ作成手順>

手順

内容

ステップ1:
レポート作成

  1. [レポート] タブを押下し、[レポートを作成する] ボタンを押下します。
  2. 基準タブを選択 では、今回はリード獲得元を確認したいため、 [見込み客] を選択し、 [続ける] ボタンを押下します。関連タブでは、基準タブに関連付けられたタブを選択できます。複数のタブのデータを組み合わせて分析できますが、今回は見込み客タブのみを使用するため、設定は不要です。 [続ける] ボタンを押下します。
  3. レポートに表示する項目を設定する画面に遷移したら、左上の入力欄にレポート名を入力します。[レポート名] は任意の名称を設定します。(例:リード獲得元別分析レポート)リードに対してのレポート作成であるため、 [フォルダ] は [見込み客のレポート] を選択し、[完了する]ボタンを押下。
  4. 列の [えんぴつ] マークを押下することで、レポートに表示する項目を選択できます。ここでは、「見込み客のデータ元」「会社」「見込み客名」「業界」「従業員」「見込み客ステータス」 を選択します。
  5. 次に、 [行グループ] で項目をグループ化して表示することが可能です。今回の場合、「見込み客のデータ元」毎に集計を行うため、「行グループ」で「見込み客のデータ元」 を選択します。
  6. 「見込み客のデータ元」毎にグループ化できたら、 [保存する] ボタンを押下します。

ステップ2:
グラフ作成

作成したレポートをグラフで表示することで、データの傾向をより視覚的に把握できます。

  1. 作成したレポートの画面右上にある [グラフを作成する] ボタンを押下します。
  2. 今回は、「見込み客のデータ元」毎に件数の多い順で表示させたいため、 [並び替える] で [値の降順] を選択します。
    • 軸(Y軸):グラフの縦軸に何を表示するか選びます。「データ数」を選べば、各項目の数をグラフで表します。
    • グループ化:データをどのようにまとめるか選びます。ここでは「見込み客のデータ元」を選んでいるので、リードの獲得元ごとにデータがまとめられます。
    • 並び替える:グラフの項目をどのように並べるか選びます。「ラベルの昇順」を選んでいるので、項目名がアルファベット順に並びます。
    • グループ化の上限:グラフに表示する項目の数を制限します。ここでは「75」に設定されているので、75個以上の項目がある場合は、上位75個までが表示されます。
    • Y軸の基準値:グラフのY軸の最小値を設定します。
    • 短縮した数値として表示する:グラフの数値を、例えば「1,000」を「1K」のように短縮して表示します。
  3. [保存する] ボタンを押下したら完了です。
リード獲得元別レポート・グラフ

このレポートでは、リード獲得数と獲得チャネルの2つの視点から分析が可能です。リード獲得数の分析では、各チャネルからどれだけのリードを獲得できているかを比較し、最も獲得に貢献している経路を特定します。また、チャネル別の割合を確認することで、各チャネルの相対的な重要度を評価することができます。

サンプルデータを例にした分析は以下のとおりです。

分析項目

気づき

今後のアクション

Webサイトからのリード獲得数が圧倒的に多い

他の経路と比較して、Webサイトが最も重要なチャネルであることがわかります。コンテンツやSEO対策などが効果的に機能している可能性を示唆しています。

  • Webサイトのコンテンツの質をさらに高める
  • SEO対策を強化する
  • Webサイト内のどのページからリードが流入しているのかを分析することで、コンテンツの改善や導線の最適化に役立てる

広告と社内セミナーからの獲得数は同程度

これらの経路はWebサイトに次いで貢献していますが、Webサイトとの差は大きいです。これらの施策の費用対効果を評価し、改善の余地がないか検討する必要があります。

  • 広告やセミナーの訴求内容がターゲットに即しているか見直す

展示会からの獲得数は4件、SNSからの獲得数は2件と少ない

これらの経路はリード獲得への貢献度が低いことがわかります。認知度向上が目的であれば別指標で評価すべきですが、リード獲得が目的の場合は戦略の見直しが必要です。

  • 目的の再確認する
  • リード獲得が目的なら、展示会ブースでの導線を見直す
  • SNSでの情報発信内容や頻度を見直す

リード属性情報の分析

リード獲得元の分析では、どのチャネルが最も効果的かを評価しました。しかし、獲得元のデータだけでは、リードが自社のターゲット層(質の高いリード)に合致しているかまでは判断できません。そのため、リードがターゲット層と一致しているかを確認するためには、「リード属性情報の分析」が重要となります。

リード属性の分析では、業界、役職、従業員数、所在地などの情報を基に、リードの質を評価します。Zoho CRM には、こうした属性情報を簡単に分析できる「業界別の見込み客レポート」が用意されています。このレポートを活用することで、業界別にリード属性を可視化し、簡単に分析できます。それでは、具体的な手順と分析方法を見ていきましょう。

リード属性情報のレポート作成手順

<業界別の見込み客レポートの参照手順>

手順

内容

ステップ1:
レポート作成

  1. [レポート] タブを押下し、左に表示されたフォルダから[見込み客のレポート]を選択します。
  2. [見込み客のレポート]内でプリセットされている[業界別の見込み客]をクリックします。
  3. 既に作成されているレポートとグラフを確認します。必要に応じて、レポートに表示する項目やグラフの種類などを変更して、自社の分析目的に適した形式に調整しましょう。
業界別の見込み客のレポート・グラフ

このレポートでは、まず自社がターゲットとする業界から、どれだけのリードを獲得できているかを確認します。次に、ターゲット外の業界から獲得したリードを分析し、新たなビジネスチャンスの可能性を探ります。また、必要に応じてマーケティング戦略を見直しをするきっかけを見つけます。最後に、各業界が全体に占める割合を把握し、それぞれの貢献度を相対的に評価することで、優先順位を明確にします。

ここでは、レッスン7で取り上げた例を用いて、業界分析を行います。具体的な分析例は以下のとおりです。

分析項目

気づき

今後のアクション

製造業からのリードが最も多い(10件)

ターゲット業界の一つである製造業からのリードが最も多く獲得できており、効果的なマーケティング活動が行えていると判断できます。

  • 製造業向けの社内セミナーの開催やコンテンツ拡充を検討する

小売業からのリードも一定数獲得できている(8件)

もう一つのターゲット業界である小売業からも一定数のリードを獲得できています。製造業に比べると少ないですが、問題ないでしょう。

  • 小売業の中でも、どのような規模や業態の企業が多いか分析し、ターゲットを絞った施策を展開する

建設業からのリードも比較的多い(9件)

ターゲット外の業界ですが、建設業からのリードも多く獲得できています。これは、建設業も潜在的なリードであるインサイトと言えるでしょう。

  • 建設業からのニーズが高い可能性があるため、試験的に建設業向けのマーケティング施策を展開する

今回の分析は、業界別のリード数に焦点を当てましたが、これに、役職や従業員数などの属性情報を組み合わせることで、さらに詳細な分析を行えます。属性情報を多角的に活用し、より具体的なターゲット戦略を立てましょう。

リードナーチャリング

リードの獲得元やリード属性の分析を通じて、どのチャネルが効果的であり、ターゲット層との適合性がどれだけ高いかを評価しました。しかし、リード獲得が順調でも、それだけで商談や受注に直結するわけではありません。獲得したリードを商談や受注に結びつけるためには、次のステップである「リードナーチャリング」が不可欠です。

リードナーチャリングは、獲得したリードを商談や受注へと育成するための重要なプロセスです。フォームで獲得したリードが適切にナーチャリングされ、成果に結びついているかを評価することで、マーケティング施策全体の改善につなげることができます。

このフェーズでは、リードの状況(ステータス)を分析し、どの段階でボトルネックが発生しているのかを特定することが重要です。特に、ステータス別リード分析を行うことで、リードの関心度や購買意欲に応じたアプローチが適切に行われているかを判断できます。

ここでは、フォームで獲得したリードがナーチャリングプロセスを通じてどのように進展しているのかを評価する方法を学びます。

ステータス別リード分析

ステータス別リード分析は、リードがどの段階で停滞しているか、あるいは順調に進んでいるかを可視化し、ナーチャリング施策の効果を向上させるための重要な手法です。この分析により、各ステータスで発生しているボトルネックを特定し、具体的な改善策を講じることが可能になります。

Zoho CRM には、ステータスごとのリード状況を簡単に確認できる「ステータス別の見込み客」レポートが用意されています。今回は、このレポートを活用し、リードを「未連絡」「コールド」「ウォーム」「ホット」の4段階に分類して管理しているケースを例に、各ステータスの進捗状況を評価する方法を見ていきます。

ステータス別リードのレポート・グラフ作成手順

<ステータス別の見込み客レポートの参照手順>

手順

内容

ステップ1:
レポート作成

  1. [レポート] タブを押下し、左に表示されたフォルダから[見込み客のレポート]を選択します。
  2. [見込み客のレポート]内でプリセットされている[ステータス別の見込み客]をクリックします。
  3. 既に作成されているレポートとグラフを確認します。必要に応じて、レポートに表示する項目やグラフの種類などを変更しましょう。
ステータス別リードのレポート・グラフ

このレポートでは、まず各ステータスごとのリード数を把握し、どの段階でリードが停滞しているのか、または順調に進んでいるかを確認します。次に、各ステータスが全体に占める割合を確認します。例えば「未連絡」の割合が多い場合は、リードへの対応が遅れており、適切にフォローが行われていないと考えられます。また、次のステータスへの移行率が低い場合は、ナーチャリング施策に課題があると判断できます。

以下に、具体的な分析例を示します。

分析項目

気づき

今後のアクション

ウォームのリードが圧倒的に多い(20件)

多くのリードが関心を示しており、コールドリードからウォームリードへのナーチャリングが一定の効果を上げていると考えられます。しかし、ウォームの状態で停滞しているリードが多い可能性もあり、次のステータスへの移行を促すさらなる施策が必要です。

  • ウォームリード向けのメールマガジンやコンテンツ配信を強化し、ホットリードへの移行を促進する
  • ウォームリードが停滞している理由を分析し、解消するためのアクションを検討する

コールドのリードも比較的多い(9件)

一度アプローチを試みたものの反応がない、または関心が低い状態のリードが一定数存在します。このことは、初回アプローチの内容やタイミング、ターゲット設定が適切でなかった可能性を示唆しています。また、リードが適切にセグメント化されていない場合や、フォローアップが不足している可能性も考えられます。

  • 初回アプローチ方法やタイミングを見直す
  • ターゲット外のリードが多いか確認し、適切な施策を検討する
  • コールドリード向けのマーケティング施策や関心を引くコンテンツを試みる

ホットのリードは2件と非常に少ない

購入意欲の高いリードが少ない状態です。ウォームリードをホットリードに転換する施策に課題がある可能性が考えられます。

  • ウォームリードへのフォローアップを強化する
  • ホットリード向けのコンテンツを作成(導入事例、顧客の声、製品比較情報など)し、商談化を促進する

商談〜受注

これまでに、リード獲得やナーチャリングといった営業部門にリードが引き渡される前のプロセスを詳しく見てきました。次のステップでは、引き渡されたリードがどのように営業プロセスに組み込まれ、商談につながり、最終的に受注に至るのかを追跡・分析する「商談〜受注」フェーズに着目します。この段階を最適化することで、営業活動全体の成果を最大化することが可能です。

具体的な商談分析に入る前に、Zoho CRM における「見込み客」から「商談」への移行プロセスを理解しておくことが重要です。Zoho CRM では、「見込み客」「連絡先」「取引先」「商談」の各タブを用いて、顧客情報や営業活動を効率的に管理しており、この仕組みを理解することで、リードや商談の効率的に管理できるようになります。

Zoho CRM におけるタブの役割

Zoho CRM では、顧客情報と営業活動の効率的な管理のため、「連絡先」「取引先」「商談」の3つのタブを活用します。Webフォームなどで獲得した見込み客の中から、ナーチャリングや営業担当者のアプローチを経て、商談が発生した場合、「取引先」「連絡先」「商談」へと変換されます。

項目

概要

連絡先

取引先企業に所属する担当者の氏名、メールアドレス、電話番号、役職、部署といった個人の基本情報を管理することで、誰がどの案件に関わっているのかを明確にできます。

取引先

担当者が所属する企業(企業名、住所、電話番号、業種など)の情報を管理します。複数の連絡先を紐付けられるため、企業内の担当者情報をまとめて管理できます。また、取引履歴や商談履歴も取引先情報に紐づけて管理されるため、企業との取引状況を包括的に把握できます。

商談

商談名、金額、完了予定日、ステージ(例:提案、交渉、受注)など、商談に関する具体的な情報が「商談」に登録されます。このタブでは、どの取引先・連絡先と関連する商談なのかを明確に管理できます。さらに、活動履歴(タスク、メールなど)も記録できるため、商談の進捗状況を詳細に追跡可能です。

ステージ別の商談〜受注の総額分析

次は商談データを活用して営業プロセス全体の分析し、具体的な改善点の見つける方法を見ていきます。

この分析では、商談が各ステージにおいてどのように進んでいるか、また各ステージでの商談総額を確認することで、営業活動全体の状況を評価し、将来の売上を予測します。特定のステージに商談が偏っている場合、そのステージに何らかの課題がある可能性があります。

例えば、「提案」ステージに商談が偏っている場合、提案内容の見直し、また次の「交渉」ステージへの移行を促進するためのフォローアップ施策が必要かもしれません。このように分析を活用することで、営業プロセス全体の効率の改善につなげられます。

なお、ステージ別の商談の総額分析は、Zoho CRM にあらかじめ用意されている「ステージ別の商談の総額」レポートを活用することで簡単に行えます。それでは、具体的な手順と分析内容を見ていきましょう。

ステージ別の商談の総額分析のレポート・グラフ作成手順

<ステージ別の商談の総額レポートの参照手順>

手順

内容

ステップ1:
レポート作成

  1. [レポート] タブを押下し、左に表示されたフォルダから[商談のレポート]を選択します。
  2. [商談のレポート]内でプリセットされてい[ステージ別の商談の総額]をクリックします。
  3. 既に作成されているレポートとグラフを確認します。必要に応じてレポートに表示する項目やグラフの種類などを変更しましょう。
ステージ別の商談の総額分析のレポート・グラフ

このレポートでは、各ステージの商談数と商談金額を把握し、商談の滞留状況や進捗状況から営業プロセスのボトルネックと強みを特定します。例えば、特定のステージで商談が滞留している場合、その原因を分析し、改善策を講じることで営業プロセス全体の効率を向上させることが可能です。一方、うまくいっているステージに関しては、そのステージでの成功要因(例:顧客ニーズに合った提案内容や迅速な対応)を特定し、それを他の商談やステージでも活用することで、より多くの商談を受注につなげる施策を検討します。

また、商談数と商談金額の両方の観点から、各ステージが全体に占める割合を分析します。商談数は営業プロセス内での進捗状況を把握する指標となり、商談金額は各ステージが売上にどれだけ貢献しているかを示します。これらの視点を組み合わせることで、営業活動全体の健全性を評価し、さらに将来の売上予測の精度を向上させることが可能です。

以下に、具体的な分析例を示します。

分析項目

気づき

今後のアクション

条件確認ステージ

条件確認ステージには商談が2件停滞しています。この段階で進みが遅れると、商談が受注につながらず、営業全体のパイプラインに悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 条件確認ステージで停滞している理由を調査し、明確な進捗基準を設定する
  • 顧客からの条件確認を速やかに進めるため、提案資料やヒアリング項目を事前に共有する体制を強化する

提案ステージ

提案ステージの商談も2件停滞していますが、商談金額が増加しているため、顧客の興味が一定以上高まっている可能性があります。この段階で停滞が続くと、顧客が他社提案を選択するリスクがあるため、迅速なフォローアップが必要です。

  • 提案資料が顧客ニーズに合致しているかを再確認する
  • 提案内容について顧客からのフィードバックを迅速に取得し、次のステージへの移行を促進する
  • 顧客が抱える懸念点を洗い出し、追加資料や補足提案を準備する

見積もり提示および交渉ステージ

見積もり提示(商談金額2,000,000円)および交渉ステージ(商談金額3,000,000円)の商談は、商談金額が大きく売上に直結する重要な段階です。この段階での停滞は受注機会の損失に繋がる可能性があります。

  • 見積もり提示後のフォローアップを迅速化し、価格に対する顧客の懸念を解消する
  • 交渉ステージでの条件提示や対応の迅速化を図り、顧客の意思決定を促進する

受注ステージ

受注ステージでは商談数3件、商談金額4,020,000円と最多で、営業活動が一定の成果を上げていることが示されています。これを再現するためには、受注に至った商談のプロセスを分析し、成功要因を特定することが重要です。

  • 受注ステージに至った商談の共通点を分析し、成功事例を営業プロセス全体に展開する
  • 成果が出ていない商談との比較を行い、プロセス全体の最適化を図る

このように、ステージ別の商談総額分析を行うことで、営業活動の現状を把握し、売上向上につながる具体的なアクションを検討することができます。

ダッシュボードの作成

これまでに、さまざまなレポートや分析を通じて、営業プロセス全体を詳細に評価する方法を学びました。それぞれのレポートを確認することで、商談の進捗状況やボトルネックを深く理解することができましたが、これらを一元的に管理し、全体像を一目で把握するには「ダッシュボード」の活用が効果的です。

ここでは、例として営業プロセス全体を可視化するダッシュボードを作成し、これまで作成したレポートを追加します。

営業プロセス全体可視化ダッシュボード作成手順

<営業プロセス全体を可視化するダッシュボードの作成手順>

手順

内容

ダッシュボードを作成する

  1. [アナリティクス] タブを選択し、 [+] ボタンをクリックします。
  2. 画面上部の [ダッシュボード名を入力] に任意の名称を入力します。(例:営業プロセス全体可視化ダッシュボード)

リード獲得元別分析レポートを追加

  1. [グラフ] → [レポートから、既存のレポートから取得する] を選択します。
  2. 以下の項目を更新します。
    • 表/グラフ名:リード獲得元別
    • レポート:リード獲得元別分析レポート
    • 並び替える:値の降順
  3. [完了する] ボタンをクリックし、[保存する]ボタンを押下したら完了です。

この手順を参考に、他のダッシュボードも作成しましょう。

ダッシュボードを作成することで、複数のレポートの情報を一箇所に集約し、営業プロセス全体(リード獲得から受注まで)を俯瞰的に把握することが可能です。情報が一箇所に集約されることで、データの傾向や問題点の把握がしやすくなり、迅速に適切なアクションにつなげやすくなります。

営業プロセス全体可視化ダッシュボード作成手順
営業プロセス全体可視化ダッシュボード作成手順