CRM/SFAを活用してステップメールの準備を整えよう

このレッスンで学べること

ここからのレッスンでは、CRM/SFAツールを活用したステップメールの実践方法を、ウェビナー施策を例に学びます。ステップメールの実践は、「準備」「実践」「配信後の分析」 の3つの段階に分けられます。このレッスンでは、最初のステップである「準備」に焦点を当て、ステップメールの運用をスムーズに進めるための環境を整えます。環境を整えたら、ステップメールを自動化し、効率的かつ効果的なフォローを実現しましょう。まずは手動でステップメールを試し、自動化に取り組むことで、イメージしやすくなります。

CRM/SFAツールを用意する

ステップメールの運用を効率的に行うために、CRMまたはSFAツールを用意しましょう。メールの配信機能だけでなく、リード管理・ナーチャリング・SFAを含めた十分な機能を持つツールを選ぶ必要があります。

具体的には、以下の機能を備えたCRM/SFAツールを活用すると、リードの獲得からフォローアップ、商談化までのプロセスをスムーズに運用できます。

• リード（見込み客）と顧客を分けて管理できる機能
• 顧客の行動や属性に基づくスコアリング機能
• 営業チームとの連携機能
• メールの配信機能
• レポート・分析機能

今回は、CRMツールの一例として「Zoho CRM」を活用し、ステップメールを運用する手順を学びます。

Zoho CRM のアカウントを登録する

まずはZoho CRM サイトのトップページへアクセスし、以下の手順でアカウントの登録を進めます。

1. Zoho CRM トップページへアクセス
2. アカウント作成フォームへ必要な情報を入力し送信
3. 登録したメールアドレス宛てに認証メールが届き次第開封
4. メールに記載された認証用URLをクリック
5. アカウント認証完了
6. 6で認証成功した場合は、自動でZoho CRM のダッシュボードが表示
7. アカウント登録完了

Zoho CRM のアカウントは無料で作成ができ、15日間のトライアル期間中は有償プランの全機能の利用が可能です。トライアル終了後は、自動的に無料プランへ移行します。

アカウント認証が完了すると、画面は自動的にZoho CRM に切り替わります。切り替わらない場合は、トップページ右上の「サインイン」からログイン情報を入力し、アクセスします。ログインができ次第、表示内容に従って利用を開始しましょう。

ユーザーを追加する

ウェビナーの申込受付からフォローアップまでの一連のプロセスを円滑に行うためには、事前にマーケティング担当者と営業担当者をZoho CRM にユーザーとして追加し、適切な権限を設定します。ここでは例として、下記の担当者を追加します。

• マーケティング担当者：佐藤 健太
• 営業担当者：田中 祐希

ユーザー追加の手順は以下の通りです。

1. Zoho CRM にログインし、画面右上の歯車マーク（設定）を押下します。
2. [一般]のセクションから[ユーザー]を選択します。
3. ユーザー管理ページで、[+新しいユーザー]を押下します。
4. 新しいユーザーの情報を入力します。
5. [送信]を押下します。
6. 招待メールが新しいユーザーに送信されます。
7. 新しいユーザーは、受信した招待メールに記載されているリンクを押下します。
8. アカウント認証を行います。

招待されたユーザーは、アカウント認証後すぐにZoho CRM を利用できます。無料トライアル期間中は、最大3ユーザーまで追加可能です。

配信先となる顧客情報を登録する

メールを配信するには、見込み顧客のデータをZoho CRM に登録する必要があります。顧客情報の登録方法は、主に以下の4つの方法があります。

1. 手動登録（1件ずつ入力）
2. CSV/Excelファイルを使った一括インポート（複数のデータをまとめて登録）
3. 名刺スキャンでの取り込み（紙の名刺情報をデジタル化）
4. Webフォームを利用（自動でZoho CRM に登録）

ここでは、基本となる「手動登録」と「一括インポート」の手順について説明します。

手動で登録

ホーム・見込み客・連絡先、など画面上部に並ぶカテゴリを「タブ」と呼びます。見込み客の情報を登録する場合は、[見込み客]タブから追加を行います。登録する方法は以下の通りです。

1. [見込み客を作成]ボタンを押下
2. 表示された登録画面で、見込み客のそれぞれの項目を入力
   • 氏名
   • 会社名（BtoBの場合）- メールアドレス
   • 電話番号など
3. [保存する]ボタンを押下してデータを保存
4. 見込み客の情報登録完了

配信リストを一括インポート

すでにエクセルやCSVファイルで保存している配信リストを、一括でZoho CRM に登録したい場合はインポートが便利です。インポートする方法は以下の通りです。

1. [見込み客]タブを開く
2. [見込み客を作成]ボタンの横にある[▼]を押下し、[見込み客をインポート]を選択
3. エクセルファイルまたはCSVファイルをドラッグ&ドロップまたは[参照]ボタンからアップロード
4. データの重複処理を設定
5. 新しいデータとして登録するか、既存の見込み客と重複する場合の処理を選択
6. [既存の見込み客と重複するデータをスキップする条件：メール]を選択して、重複登録や二重配信を防ぐ）
7. Zoho CRM の項目（例：名前、電話番号）と、インポートファイル内の列を指定して結び付ける
8. 自動で関連付ける場合は、画面下部の[自動関連付けを適用する]を押下
9. 設定が完了したら、インポートを実行
10. 数分以内に通知メールやポップアップでインポート完了の通知を確認
11. 通知受け取り次第、インポート完了

誤って、登録する予定ではないリストをインポートしてしまった場合は、以下の手順で、インポートしたデータを取り消すことができます。

1. [設定]を開く
2. [インポート]→[インポート履歴]を選択
3. 取り消したいインポート履歴を探す
4. [インポートを取り消す]を選択

インポートから30日が経過すると取り消せなくなり、注意が必要です。

案内メールを送信する配信リストを作成する

Zoho CRM に顧客情報を登録したら、次に、案内メールを送信するための「配信リスト」を作成します。

メールを配信するには、配信リスト（ビュー）の作成が必要です。ビューとは、設定した条件に基づいて抽出されたデータの一覧のことを指します。Zoho CRM では、カスタムビューを作成することで、特定条件に沿った顧客に対して一括でメールを送信できます。例えば、カスタムビューを使用すれば、[11月の展示会で獲得した見込み客]や[広告経由で獲得した見込み客]など、特定の見込み客だけを抽出し、ターゲットを絞って配信することが可能です。

カスタムビューを作成する

それでは、実際にカスタムビューを活用し、配信リストを作成する手順を見ていきましょう。今回は、ウェビナー案内メール見込み客にメールを配信するため、[見込み客]タブにカスタムビューを作成し、特定の条件に合致したリストを準備します。カスタムビューの作成手順は以下です。

1. [見込み客]タブを開く
2. 左上の [すべての見込み客 ▼] を押下し、[新しいカスタムビュー]を選択
3. 条件を設定し、リスト名を入力
4. 例：「ウェビナー案内対象リスト」
5. 特定の条件に合致するリードを絞り込む
6. すべての設定が完了後、[保存する]を押下

すべての設定が完了後、[保存する]を押下すると完了です。

ウェビナーの申込管理の準備（Webフォームの作成)

ウェビナーの参加申込をスムーズに管理するために、Webフォームを作成し、Zoho CRM に自動でデータを登録する仕組みを作ります。Webフォームを活用することで、以下のメリットがあります。

• 申し込み情報を自動でZoho CRM に登録できる
• 登録時に「申し込み済み」などのタグを自動付与でき、リード管理を効率化

Webフォームの作成の手順は以下の通りです。

＜ウェビナー申し込みWebフォームの作成の手順＞

次は、「ウェビナーの施策に必要なメール」を作成していきます。

ウェビナーのメール施策を設計する

ウェビナー施策には、適切なタイミングで複数のメールを配信することが重要です。以下の4種類のメールを作成・配信します。

ウェビナーのメール配信フロー

• 案内メール（初回案内） → 見込み客へウェビナーを告知し、参加登録を促す
• 追加案内メール（未申込者向け） → 申込していないリードに再案内
• リマインドメール（登録者向け） → 申込済リードに参加を忘れさせないよう通知
• フォローアップメール（不参加者・参加者向け） → ウェビナー後の次のアクションを促す

案内メール

ウェビナーの参加者を集めるために、見込み客へ案内メールを送信し、参加登録を促します。ウェビナー集客には、ターゲットの関心を引くメール配信が重要です。ここでは、ウェビナーの内容、日時、メリットを明記し、申込につながある導線を設計したテンプレートを作成します。また先ほど作成したWebフォームのリンクをメール内に設置し、スムーズに申し込みが完了できるようにします。

今回は中小企業をターゲットにした、Zoho CRM 活用ウェビナーの案内メールを例に作成しました。以下のテンプレートを参考にしてください。

案内メール例

テンプレートを作成する

ウェビナー案内メールでは、集客状況によっては、複数回案内を配信する可能性が高いため、ひな型となるテンプレートを用意しておくと、メールの作成時間を減らせます。Zoho CRM には、HTML形式とリッチテキスト形式のメールテンプレートを作成する機能があります。それでは実際にやってみましょう。

＜ウェビナー案内メールテンプレートの作成手順＞

特定電子メール法用の本文例

未申込者への追加案内メール

ウェビナーへの参加申し込みをしていないリードに対して配信する、参加率向上を目的とした追加案内メールを作成します。追加の案内メールでは、前回の案内とは異なる切り口でウェビナーの魅力を訴求します。

ここでは、以下の日程を想定し、メールを作成します。

• 未申込者への再案内メール配信日：2025年2月12（水）
• ウェビナー開催日：2025年2月18（火）

追加案内のメール例

追加案内のメールテンプレートも、前述の「案内メールのテンプレート」作成手順と同様に、Zoho CRM 上で作成します。

リマインドメール

ウェビナーの参加率を高めるために、事前にリマインドメールを作成し、適切なタイミングで配信することも必要になります。ここでは、参加者へのリマインドという目的に特化し、簡潔で分かりやすい内容と、参加意欲を高めるための工夫を行います。

リマインドのメール例

リマインドのメールテンプレートは、前述の「案内メールのテンプレート」作成手順と同様、Zoho CRM 上で作成します。

ウェビナー不参加者へのフォローアップメール

ウェビナーに申し込みをしたものの、当日参加しなかった見込み客（不参加者）へのフォローアップメールを送信することで、関係を維持し、次の機会につなげることができます。不参加だった理由を考慮し、別のウェビナーへの誘導や資料ダウンロード、個別相談など、次の行動を促す内容とします。

ウェビナー不参加者へのフォローアップメール例

これまでの手順と同様に、Zoho CRM 上でテンプレートを作成しましょう。

ウェビナー情報を登録する

CRM/SFAツールには、データベースをマーケティングや営業に活用するという考え方があり、その一環として「キャンペーン管理」という機能があります。この機能は、販促活動を「キャンペーン」として登録し、一連の販促活動で獲得した見込み客情報や生じた売上を関連付けることで、費用対効果を把握できるようになっています。キャンペーンの一つとして特定のウェビナー情報を登録し、獲得した予約者（見込み客）の情報を関連付けることで、ウェビナーの成果を追いかけることができます。

キャンペーンを作成する

上部に並ぶ[キャンペーン]タブから[キャンペーン作成]を押下します。表示されていない場合は非表示のタブが格納されている[…]から選択します。キャンペーンの作成手順は以下の通りです。

＜ウェビナーキャンペーンの作成手順＞

キャンペーン反応ステータスをカスタマイズする

ウェビナーに申し込んだリードは、その後の行動（参加・不参加など）に応じて異なるフォローが必要になります。Zoho CRM の「キャンペーン反応ステータス」を活用すると、各リードの状態を正確に把握し、営業担当者やマーケティング担当者が「誰が参加したか」「誰が不参加だったか」を即座に把握でき、フォローアップの優先順位を決めることが可能になります。ステータスのカスタマイズの手順は以下の通りです。

＜キャンペーン反応ステータスのカスタマイズ手順＞

ウェビナー開催後のフォローの仕組みを整える

ウェビナーは、開催後にリードごとに適切なフォローをしっかり行うことで、商談や次のアクションにつなげられます。そのため、開催前に、開催後も見据えて、フォローアップの仕組みを整えておくことが重要です。

仕組みを整えるには「ワークフロールール」を活用すると便利です。ワークフロールールは、特定の条件を満たしたときに自動的に処理を実行できる機能で、メール送信、タスク作成、営業担当者への通知、データ更新などを業務を自動化できます。

今回は、リードに「ウェビナー参加」または「ウェビナー不参加」のタグが付いたときに、ワークフロールールが実行されるように設定します。まずは、タグの新規作成を行います。

ウェビナー「参加」「不参加」タグの新規作成

ウェビナー後のフォローアップをスムーズに行うためには、参加者と不参加者を正確に識別し、それぞれに適したアクションを実行できる仕組みが必要です。そのために、「ウェビナー参加」「ウェビナー不参加」のタグを作成し、リードの状態を明確に管理します。タグの作成手順が以下の通りです。

＜タグ新規作成手順＞

タグを作成した後は、ワークフロールールでそのタグを活用して、ウェビナー不参加者とウェビナー参加者へのフォローアップを設定していきます。

ウェビナー不参加者へのフォローアップ

次に、ウェビナー不参加者へのフォローアップを自動化するために、ワークフロールールを設定し、ウェビナー終了後に「不参加者」タグが付与されたリードに対して、フォローアップメールが自動送信されるようにします。設定の手順は以下の通りです。

＜ウェビナー不参加者へのフォローアップ自動化手順＞

ウェビナー参加者へのフォローアップ

ウェビナーに参加したリードに対しては、営業が直接フォローを行うことが重要です。しかし、営業の中にはフォローを忘れてしまったり、対応が遅れてしまったりすることもあります。 そのため、タスクを自動で作成し、確実にフォローできる仕組みを整えます。ウェビナー参加者へのフォローアップは、開催後できるだけ早く、遅くとも翌日までに行うのが理想です。それでは、ワークフロールールを活用して、フォローアップのタスクを自動で作成する手順を見ていきます。設定の手順は以下の通りです。

＜ウェビナー参加者へのフォローアップ自動化手順＞

ここまでで、ウェビナーの案内を始めるまでに必要な準備がすべて整いました。次のレッスンでは、メールをリードに配信する実践編に入ります。準備した内容を実際に運用しながら、ステップメールの効果的な活用方法を学んでいきましょう。