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このレッスンで学べること
コンテンツマーケティングにCRM/SFAを活用する流れは、大きく3つの段階に分けることができます。「ツール導入の準備をする」「スコアリングとナーチャリングでMQLを創出する」「成果につながるコンテンツを見極める」という流れです。このLesson 7では、その中でも「スコアリングとナーチャリングでMQLを創出する」に焦点を当て、獲得したリードをどのように分類し、見極め、育成していくのか、そのイメージをつかんでいきます。
それぞれのレッスンで学べること | |
ナーチャリングとスコアリングを活用してMQLを創出する |
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リードを分類して優先順位をつける重要性
コンテンツマーケティングで獲得したリードの多くは、まだ情報収集の段階にあり、すぐに商談へ進む可能性は高くありません。とはいえ、その中には課題解決への意欲が強く、将来的に商談化につながる有望なリードも含まれています。
例えば、ブログ記事やホワイトペーパーを閲覧したリードと、ウェビナーに参加したリードとでは、購買意欲の度合いに差があることが多いでしょう。
そこで重要になるのが、リードを適切に分類し、優先順位をつけて対応することです。スコアリング機能を活用すれば、リードの属性や行動を数値で可視化できるため、購買意欲の高いリードを見極めやすくなります。優先度の高いリードにはすぐにフォローアップを行い、そうでないリードには段階的なナーチャリングを行うことで、商談化の可能性を着実に高めていくことができます。このように、リードの分類とスコアリングを組み合わせることで、効率的なリード育成と、営業部門へのスムーズな引き渡しが実現します。
リードを分類するスコアリングの仕組み
まずは、リードスコアリングの仕組みについて見ていきます。スコアリングには、リードの基本情報をもとに評価する「属性スコアリング」と、リードの行動をもとに評価する「行動スコアリング」の2つの種類があります。
項目 | 内容 |
属性データ | 企業規模や業種、担当者の役職など、リードの基本的な情報を基にスコアリングを実施。 |
行動データ | リードの行動を追跡することで、購買シグナルを検知。ポジティブな行動(資料請求やセミナー参加など)には高いリードスコアをつけ、営業チームが優先的にフォローするようにします。 |
属性データは、リードが自社のターゲットにどれだけ近いかを判断するための指標であり、初期段階の分類に有効です。一方、行動データは、リードの関心度や購買意欲を測るための指標として活用します。この2種類のスコアリングを組み合わせることで、リードの「見込み度」をより正確に見極めることができ、商談につながる可能性の高いリードを特定しやすくなります。
Zoho CRM では、両方のスコアリングに対応しているため、事前に設定したスコアリングルールにしたがってスコアを付与することができます。この仕組みを活用すれば、営業チームは「今すぐ対応すべきリード」と「ナーチャリングを継続すべきリード」とを自動で判断でき、スムーズな対応が可能になります。
属性データによるスコアリング例
例えば、BtoB向けにセキュリティ対策製品を販売している企業を想定し、属性データを活用したスコアリングの例を見ていきます。この企業では、以下のような特徴を持つ企業を主なターゲットとしています。
- 業種:IT、金融、医療など、高度なセキュリティ対策が求められる業界
- 企業規模:従業員数100~500人の中堅企業で、リモートワークを実施している企業
- 職務内容:IT部門の責任者やセキュリティ担当者など、対策予算を持つ決裁者が存在する
- 決定権の有無:製品選定や契約に関する最終決定権を持つ人物が含まれる企業
このように、自社の商談パターンを踏まえると、従業員数が一定以上あり、複雑な製品やサービスを取り扱う企業では、導入の意思決定が部長クラス以上で行われる傾向があり、商談や受注につながる可能性も高くなります。
こうした特徴をもとに、リードの属性情報に点数をつけてスコアを設定することで、有望なリードを客観的に見極めやすくなります。以下は、その一例です。
項目 | 条件 | スコア |
業界 | IT業界 | +15点 |
金融業界 | +15点 | |
医療業界 | +15点 | |
従業員数 | 100~500名 | +15点 |
500名以上 | +5点 | |
役職 | 経営者/役員 | +20点 |
部長 | +15点 | |
課長/マネージャー | +10点 |
このルールでは、属性情報に基づいて最大50点までスコアがつく設計になっており、スコアの合計によってアプローチの優先度を判断できます。例えば、35点以上は最優先で営業フォローを行う、20~34点はやや優先度が下がり状況を見ながらフォローを行い、19点以下は様子見といった区別をつけることができます。
行動データによるスコアリング例
属性スコアでは、リードが自社のターゲット像にどれだけ近いかを判断できますが、実際の購買意欲までは読み取れません。そこで重要になるのが、リードの行動をもとに関心度を評価する「行動スコアリング」です。
例えば、メールマーケティングを行っている場合、メールを開封した、リンクをクリックしたといった行動は、関心度の表れと考えられます。こうした行動ごとにスコアを加算することで、リードの温度感をリアルタイムで把握できます。
一度は「様子見」と判断されたリードであっても、その後の行動次第でスコアが上昇し、ホットリードとして営業に引き渡す対象になることもあります。以下は、行動スコアリングの一例です。
項目 | 条件 | スコア |
メール | メール開封済み | +1点 |
メール内のURLをクリック | +3点 |
この例では、リードが複数の行動を取ることでスコアが積み上がっていきます。例えば、メールを4回開封し、リンクを2回クリックした場合、合計で10点が加算される計算です。
行動スコアは、前のセクションで紹介した属性スコアと組み合わせて評価します。
例えば、属性スコアで30点のリードが行動スコアで10点を獲得すれば、合計40点となり、ホットリードとして営業へトスアップされる対象になります。逆に、属性スコアが高くても行動スコアが低ければ、引き続きナーチャリング対象として対応するなど、状況に応じた判断が可能になります。なお、ここで紹介したスコア設定はあくまで一例です。実際の運用では、自社のビジネスモデルや顧客行動に応じて、適切な項目や基準をカスタマイズすることが重要です。
コールド・ウォーム・ホットの判断基準
スコアリングは、リードの価値を評価するだけでなく、「いま、そのリードがどの購買フェーズにいるのか」を見極め、適切な対応方針を決めるための重要な指標です。
属性情報と行動情報の合計スコアに応じて、リードを次のように分類します。
- コールドリード:0〜29点
- ウォームリード:30〜49点
- ホットリード:50点以上
このように分類することで、購買意欲が高くすぐに営業がアプローチすべき「ホットリード」と、ナーチャリングを通じて関係構築を進めるべき「ウォームリード」や「コールドリード」とを、明確に区別できるようになります。
この基準をもとに、どのリードにいつ・どのようなアクションを取るべきかを判断し、営業・マーケティングの連携を効率化していきましょう。
スコアリングルールの設定
ここからは、これまでに紹介した「属性スコア」や「行動スコア」を、CRM/SFAツール上でどのように設定し、実務に活かしていくかを見ていきます。
Zoho CRM を例に、スコアリングルールの作成からリードの自動分類までの流れを確認していきましょう。今回は見込み客に対してスコアリングを行うため、[見込み客]タブでルールの設定を行います。
スコア設定の準備
スコアリングを行うには、CRM内で取り扱うリード情報(属性項目や行動履歴)が、あらかじめ整備されていることが前提になります。例えば、「業界」や「従業員数」「役職」などの項目が未設定だったり、入力が統一されていなかったりすると、スコアリングルールを作成しても十分に活用できません。
Zoho CRM の初期設定では、「IT」「金融」「医療」などの業界区分があらかじめ用意されていないため、自社のターゲットに合わせて選択肢をカスタマイズする必要があります。また、「役職」「従業員数」など、スコアに関係する他の項目についても同様に確認・整備しておきましょう。項目をカスタマイズする手順は以下の通りです。

<タグのカスタマイズの手順>
- [設定]→[カスタマイズ]→[タブと項目]→[見込み客] を開く
- [項目] タブを押下し、 [項目の作成と編集] を押下
- [業界]の[•••] を選択し、 [プロパティの編集] を押下
- [選択リストの値] の [+] を押下し、「IT」「金融」「医界」と入力し、[完了する] →[保存して閉じる]ボタンを押下
スコアリングルールの作成
必要な項目が整ったら、スコアリングルールの設定に進みます手順は以下の通りです。設定の手順が以下の通りです。
- Zoho CRM 右上の歯車マークの[設定]を開く
- [自動化]のセクションの[スコアリングルール]を押下
- [新しいスコアリングルール]を押下
- ポップアップ画面で必要情報を入力して[次へ]を押下
- 属性スコアリングとして、[見込み客の項目]を設定
- 行動スコアリングとして、メールのごとアクションを設定
- [スコアリングルールの項目]を設定
- [保存する]を押下
- 既存データにもスコアを反映する場合「以前のデータを更新する」を押下

以上で、あらかじめ定めた条件に基づいてリードにスコアが自動的に付与されるようになります。設定後は、Zoho CRM の見込み客データにスコアが表示されるようになり、営業部門での優先度判断にも活用できるようになります。
スコアに応じたリードを分類する
スコアリングルールの設定が完了したら、次はスコアの合計値に応じてリードを「コールド」「ウォーム」「ホット」の3つのステータスに分類します。
Zoho CRM ではスコアが特定の値に達したときにステータス変更やタスク作成、通知などを自動で実行する「ワークフロールール」を設定できます。以下は、スコアが「コールド」に該当するリードを自動分類する設定手順です。
- [設定] → [自動化] → [ワークフロールール] を開き、[+ルールを作成する] を押下
- 対象タブは「見込み客」、ルール名は「リードの分類」と入力し、[次へ] を押下
- [タイミング]で「データのスコア」→「増加」→「BtoBソフトウェア企業のスコアリング」を選択し、[次へ] を押下
- 条件1で、「スコア」が0〜29の間になるように設定し、[完了する] を押下
- [すぐに実行する処理]で**[項目の更新]**を選び、「項目の更新処理を作成する」を押下
- 以下のように設定し、[保存して関連付ける] を押下
- 名前:コールドへのステータス変更
- 項目:見込み客ステータス
- 更新する値:コールド
- 最後に[保存する]を押下して完了
同様の手順で、スコアが30〜49のリードには「ウォーム」、50点以上のリードには「ホット」のステータスが自動で付与されるように、それぞれのルールも設定しておきましょう。
リードに合わせた情報提供の流れを設計する
スコアリングによって有望なリードを見極められるようになったら、次は、MQLを生み出すための情報提供の流れを設計します。
MQLとは、マーケティング活動によって十分に関心を高められたリードであり、営業がアプローチすべきタイミングにあると判断された状態です。
この状態にリードを引き上げるには、「誰に・どのタイミングで・どのような情報を届けるか」を明確にしたナーチャリングシナリオが必要です。特にBtoBでは、製品導入までの検討期間が長く、複数の関係者が意思決定に関わるため、段階的に情報を提供しながら関心を深めていく必要があります。
例えば、まだ課題に気づいていないリードには、業界トレンドや問題提起型のコンテンツを、製品やサービスへの関心が高まってきたリードには、具体的な導入事例や比較情報など、次のアクションを後押しする情報を提供していきます。
このように、スコアによって分類したリードごとに、適切な情報を計画的に設計することで、効率的にMQLを創出し、営業部門へのスムーズな引き渡しにつなげることができます。
メール配信設定
ナーチャリングのシナリオが固まったら、次は実際に情報提供を行う「メール配信」の準備に入ります。メールは、MQLを創出するための主要なチャネルの一つであり、適切な設定を行うことで、確実にリードへメッセージを届けることができます。
Zoho CRM では、メール配信にあたって、以下の3つの基本設定が必要です。
- 配信元メールアドレスの登録
- 送信ドメイン認証(SPF/DKIM)
- 配信停止リンクの設置
これらの設定が不十分なまま配信を行うと、迷惑メール判定を受けたり、リードの信頼を損ねたりするリスクがあるため、最初にしっかりと整えておくことが重要です。
配信元メールアドレスの登録
まずは、配信元メールアドレスを登録します。Zoho CRM では個別のユーザーアカウントに対してメールアドレスを紐づける形で配信設定を行います。登録されたアドレスが、リードへのメール送信時の「差出人」として表示されるため、営業やマーケティングの担当者名義で一貫したコミュニケーションが可能になります。登録の手順は以下の通りです。
- [設定] → [チャネル] → [メール] →[組織のメールアドレス] を押下
- [新しいメールアドレス] から登録したいメールアドレスを入力し設定
- 登録後、入力したアドレス宛に届く認証メールに記載されている認証コードをコピーして、Zoho CRM に入力する

この登録が完了すると、今後メールを送信する際に、対象のアドレスを差出人として選択できるようになります。
登録するメールアドレスは、実際に営業が担当する場合はその本人のメールアドレスを、ナーチャリング全体をマーケティング部門が管理する場合は専用の代表アドレスなど、運用体制に応じて使い分けると効果的です。
送信ドメイン認証
メールアドレスの登録をした後は、メールの到達率を高めるために「送信ドメイン認証」を行います。これにより、自社のメールが正当な差出人から送られたものであることを証明でき、迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクを軽減することができます。Zoho CRM の送信ドメイン認証は、「ドメイン認証」「レコード認証」の2ステップで行えます。

✔横の[必須]を押下し、対象のドメイン名にカーソルを合わせると[認証する]ボタンが表示されます。画面に従って必要情報を入力します。ドメインの認証が完了したら、レコードの認証も同様に進めましょう。

配信停止リンクの設定
メールを配信する際には、受信者がいつでも簡単に配信を停止できるように「配信停止リンク(オプトアウトリンク)」を設けることが必須です。これは特定電子メール法やGDPRなどの法令対応としても重要であると同時に、受信者との信頼関係を保つうえでも欠かせない要素です。
Zoho CRM では、配信するすべてのメールに対して、配信停止リンクを簡単に挿入することができます。設定を行っておけば、メールテンプレートやキャンペーン作成時に自動的にリンクを含めることができるようになります。設定の手順は以下の通りです。
[設定] → [チャネル] → [メール] → [メール配信停止リンク] を押下します。

Zoho CRM では、デフォルトで「標準」の配信停止リンクが用意されています。「標準」を押下すると、配信停止ページの設定画面に遷移します。この画面で、「標準ページ」横の(プレビューアイコン)を押下すると、配信停止ページのプレビューが表示されます。

受信者が配信停止リンクをクリックすると、配信リストから自動的に除外されるようになります。
配信停止リンクを適切に設置しておくことで、「興味のない相手に何度もメールが届く」ことを防ぎ、ブランドやマーケティング活動への信頼性を損なわずに済みます。 また、リンクがないメールはスパムとみなされやすくなり、メールの到達率にも悪影響を及ぼします。必ず設定しておきましょう。
ナーチャリングメール用のテンプレートを準備する
ナーチャリング施策を継続的に行うためには、あらかじめメールテンプレートを整備しておくことが重要です。特にBtoBにおけるナーチャリングでは、検討段階にあるリードへ段階的に価値ある情報を提供し、関心を高めながらMQLへと引き上げる役割をメールが担います。
テンプレートを準備する際には、リードの状態やスコアに応じて複数のパターンを用意しておくのが基本です。例えば、以下のような構成を意識すると、ナーチャリングの流れを組み立てやすくなります。
- コールドリード向け:業界トレンドや課題喚起、ブログ記事の紹介など
- ウォームリード向け:製品・サービス紹介、導入事例、比較資料の案内など
- ホットリード向け:デモの案内、個別相談の提案、営業との接点を促す内容など
テンプレート作成のポイントは、「誰に・どんな行動を期待して・何を伝えるか」を明確にしておくことで、情報提供のブレがなくなり、営業との連携もスムーズになります。
Zoho CRM には、HTML形式とリッチテキスト形式のメールテンプレートを作成する機能があり、テストメールを送信して表示内容を確認したり、開封やクリックなどの効果測定を行うことも可能です。
ここでは例として、「リモートワーク時代のセキュリティ対策完全ガイド」をダウンロードしたリードに向けて、テンプレートを作成する手順を見ていきましょう。
メール本文は以下の通りです。
メール本文
${見込み客.姓}${見込み客.名}様
いつもお世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇です。
この度は、「リモートワーク時代のセキュリティ対策完全ガイド」をダウンロードいただき、誠にありがとうございます。
より安全なテレワーク環境を実現するために、以下の特典資料をご用意いたしました。
特典1: リモートワーク環境におけるセキュリティ監査チェックリスト
特典2: セキュリティ対策導入事例集
▼ リモートワーク環境におけるセキュリティ監査チェックリスト
(ダウンロードページURL)
本チェックリストでは、テレワーク環境におけるセキュリティリスクを洗い出し、適切な対策を講じるための項目を網羅的にまとめています。
▼ セキュリティ対策導入事例集
(事例紹介ページURL)
貴社と同様の課題を抱えていた企業様が、どのようにセキュリティ対策を導入し、効果を上げたのか、具体的な事例を交えてご紹介しています。
ぜひ、これらの資料もご活用いただき、貴社のセキュリティ対策にお役立てください。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
テンプレートを作成する
テンプレートの作成は、[設定]→[カスタマイズ]→[テンプレート]→[ 新しいテンプレート]から行います。

<メールテンプレートの作成手順>
手順 | 内容 |
テンプレートの新規作成 |
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テンプレート名と件名の入力 |
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特定電子メール法への対応 | メールマーケティングを行う上で、迷惑メールの送信を規制し、受信者の利益を守るための法律である特定電子メール法を遵守することが非常に重要です。違反すると罰則が科せられる可能性もあるため、注意しましょう。特定電子メール法では、メールに以下の3つの項目を記載することが義務付けられています。
このように、Zoho CRM のテンプレート機能を使えば、特定電子メール法に必要な情報を簡単に記載できます。 |
テンプレートの保存 |
|
特定電子メール法用の本文例
特定電子メール法用の文章 |
株式会社A|イベント事務局 弊社からのメール配信を希望されない方はこちらをクリックしてください。 |
作成したテンプレートは、ワークフローやキャンペーンメールの自動配信にも活用できます。あらかじめ想定されるコミュニケーションパターンをテンプレート化しておきましょう。
リードの状態に応じて自動で情報を届ける仕組みをつくる
スコアリングによってリードの状態が可視化され、ナーチャリングメールの準備が整ったら、次はそのリードに対して、適切なタイミングで情報を自動的に届ける仕組みを構築していきます。
例えば、スコアが一定以上になったリードに対しては、ウォームやホット向けのメールを自動的に配信したり、反応が薄いリードには定期的に課題喚起のメールを送るなど、状態に応じたアクションを事前に設定しておくことで、育成の精度と効率が大きく向上します。このような仕組みを作っておくことで、
- 常にリードの動きに合わせた最適な情報を届けられる
- 担当者の手作業に頼らずにMQLまでの育成が進む
- 営業への引き渡しタイミングを見極めやすくなる
といった効果が期待できます。
CRM/SFAツールには、リードのスコアやステータスの変化に応じて、あらかじめ用意したメールを自動で配信するための機能(ワークフローや自動化ルール)が用意されています。マーケティング部門でこの仕組みを活用することで、属人的な対応に頼ることなく、効率的かつ継続的にMQLを創出する体制をつくることができます。
ワークフロー作成手順
ここでは、見込み客の状態が「ウォーム」に変化したタイミングで、特定のEbookをダウンロードしたリードに対し、フォローメールを自動で送信するワークフローの一例を示します。これは、ステップメールのような複雑なシナリオではなく、スコアリングと連動した単発のフォローアップ施策を実現するシンプルな自動化です。以下の手順で、Zoho CRM上に設定することができます。

<ワークフロー作成手順>
手順 | 内容 |
ワークフロー作成手順 |
|
これで、リードの状態が変化した際に自動でフォローメールが送信されるようになりました。
営業にトスアップする
スコアリングとナーチャリングによって、営業に引き渡すべきリードが明確になったら、速やかに営業にトスアップ(引き渡し)しましょう。そうすることで、営業チームは「今すぐアプローチすべきリード」を見逃さず、確実に対応できるようになります。ただし、単にリード情報を渡すだけでは、対応漏れやタイミングの遅れが発生するリスクもあります。そこで、ホットリードが発生したタイミングで通知メールを送る/営業タスクを自動で作成するといった仕組みを用意しておくことで、対応の抜けを防ぎ、連携の質を高めることができます。
Zoho CRM では、ワークフロー機能を使って以下のようなトスアップの仕組みを構築できます。
- 営業担当者へのリアルタイム通知
リードのスコアやステータスが一定条件を満たしたとき、自動で営業担当者に通知メールを送ることができます。 - 対応タスクの自動登録
条件に応じてフォローアップタスクを営業担当者に割り当て、対応の遅れや抜けを防ぎます。
このように、リードを営業に引き渡す仕組みをツール内に組み込んでおくことで、属人的な対応に依存せず、組織全体で商談化のスピードと精度を高めることができます。
営業への通知やタスクを自動で設定する
ここでは、見込み客のスコアがホットリードの基準を超えたときに、担当営業へ通知を送り、フォローアップタスクを自動で登録するワークフローを作成します。
まず画面右上の歯車マークから [設定] → [ワークフロールール] に進みます。

遷移後の画面で [ルールを作成する] を押下するとポップアップが表示されます。[タブ] は「見込み客」を選択し、ルール名を「ホットリード通知とタスク作成」など分かりやすい名前に設定します。CRMでは、ワークフローはタブごとに管理されるため、対象のデータに応じて適切なタブを選びましょう。内容のメモ欄には「スコアが一定以上の見込み客に対して通知とタスクを自動で作成する」と記入しておくと、後で内容を見返すときに役立ちます。

ワークフローは、「いつ」「何に対して」「何を実行するか」という手順で設定していきます。まず「いつ」の設定を行います。データを操作したタイミングや、あらかじめ設定した日時など、さまざまな条件から選択することができます。
今回のワークフローの実行条件は [データの操作] → [編集] → [特定の項目が更新されたとき] を選択します。ここでは、「見込み客ステータス」が「ホット」と等しくなる場合を条件に指定します。

続いて「何に対して」の設定です。ルールを何に対して適用するかを設定します。今回は「すべての見込み客」に適用するため、そのまま [次へ] を押下します。

「何を実行するか」のステップでは、まず [ユーザーの割り当て] を選択し、該当する営業担当者(例:「田中 吾郎」)を指定します。次に [活動] → [タスクを追加する] を押下し、[新しいタスク] を作成します。

タスクの内容には、例えば以下のように設定します。
- 件名:ホットリードへの初回コンタクト
- 期限:ルール実行から2日以内
- 割り当て先:商談の担当者
- リマインダー:実行日の午前9時に通知

最後に [保存して関連付ける] → [保存する] を押下すれば、設定完了です。
このワークフローを設定しておけば、ホットリードが自動的に営業担当へ通知され、タスクも登録されるため、抜け漏れなく即座にアクションを開始できます。
最後に、実際にワークフローがどのように実行されるか、確認してみましょう。[見込み客]タブにおいて、見込み客のステータスが「ホットリード」になった時、タスクが新たに作成されたことが確認できます。

このレッスンでは、スコアリングとナーチャリングの考え方から、MQLを創出し、営業へスムーズに引き渡すまでの全体像を学びました。
リードを正しく分類し、適切なタイミングで価値ある情報を届けることで、見込み客の関心度を高め、確度の高いホットリードへと育てることができます。そして、そのリードを営業にタイムリーかつ確実に引き渡すことで、商談化のチャンスを逃さず、成果につなげることが可能になります。CRM/SFAツールを活用すれば、これらのプロセスを仕組みとして実装できるため、属人的な対応に頼らず行うことができます。