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なぜ営業リストの質が低くなるのか
営業リストの質が低くなる原因はさまざまなものがありますが、ここでは代表的な原因を2つ挙げて整理をしていきます。
ターゲットが曖昧なまま見込み客を獲得している
営業リストの質が低くなる原因の一つが、ターゲットが明確でないまま見込み客を獲得し、リストを増やしてしまうことです。
アプローチできる見込み客数を増やすためには、展示会で交換した名刺や外部の企業データベースを活用するなどさまざまな見込み客の獲得施策を実行する必要があります。
しかし、獲得した見込み客をそのまま営業リストとして使い、架電やメール配信を行いつづけるという方法の場合、施策の実行数だけ営業リストの数は増えますが、必ずしも営業成果につながるとは限りません。
例えば、500社の営業リストを作成して架電を行った場合でも、実際に商談化した企業情報を分析してみると、特定の業界や企業規模に偏っていることがあります。こうした結果を基に仮説を立てることで、自社にとって成果につながりやすい見込み客の条件が見えてきます。
しかし、過去の受注データが十分になかい場合やせっかくたまった情報を活かしきれていない場合、どの業界で受注率が高いのか、どの規模の企業が商談化しやすいのかといった情報がいつまでも整理されていきません。
その結果、業界も企業規模もばらばらな状態の商談化や受注に繋がる可能性の低い営業リストが作られ、あてもなくアプローチを続けることになります。
このように営業リストの量だけを頼りにした営業活動では、成果につながらないアプローチが増えて、成果につながらないばかりか、営業担当者の疲弊やモチベーションの低下を招く可能性も高くなります。
リストの中に異なる関心度の見込み客が混在している
営業リストの質が低くなってしまうもう一つの原因が、リスト内の見込み客の関心度が整理されていないことです。
営業担当者であれば、商品やサービスの検討が進んでいる興味関心の高い見込み客がいれば優先的にアプローチしたいと考えるでしょう。しかし、営業リストの中に興味関心の高い見込み客と情報収集中の見込み客が混在している状態で、見込み客の関心度が明らかになっていない場合には、どの見込み客を優先すべきか判断しづらくなり、営業活動の効率が下がってしまいます。
例えば、営業リストの中に次のような見込み客が混在しているケースがあります。
- セミナーに参加し、資料ダウンロードも行っている見込み客
- メールを一度も開封していない見込み客
- Webサイトを何度も閲覧している見込み客
- 名刺交換のみで、その後接点がない見込み客
この中であれば、資料ダウンロードを行っている見込み客やWebサイトを複数回閲覧している見込み客など、何らかの行動を起こしている見込み客から優先的にアプローチしたいと考えるのが自然です。営業担当者が効率的にアプローチできるように、こうした見込み客をすぐにフィルターで抽出し、優先的にアプローチできる状態を作って置くことが理想です。
しかし実際には、メールの開封やクリック履歴、セミナー参加、資料ダウンロードといった行動履歴が見込み客に紐づいて整理されていないケースも少なくありません。これらの情報は見込み客の関心度を判断する重要な材料になりますが、正しく紐づいていないと優先順位をつけることができません。
その結果、営業担当者は「最近連絡していない企業だから」「何となく気になる企業だから」といった感覚でアプローチ先を決めることになり、効率的な営業活動が難しくなってしまいます。
成果が出る営業リスト作成方法
「ターゲットが曖昧なままアプローチしていること」と「見込み客の関心度が整理されていないこと」という2つの主な原因を見てきましたが、どちらにも共通しているのは、営業活動の中で営業リストを単なる企業や見込み客一覧として扱ってしまっている可能性がある点です。
重要なのは、営業リストを単なる情報の羅列である一覧として扱うのではなく、成果につながる見込み客を抽出するための「仕組み」として設計することです。そのためにも、まずは自社にとって成果につながりやすいターゲットを明確にし、その条件に基づいて見込み客を選定する必要があります。
ここからは、過去のデータを基に理想の顧客像を表す方法と、見込み客の属性情報と行動履歴を組み合わせて営業リストの精度を高める方法について解説します。
「理想の顧客像」であるターゲットを定義する
まず、自社がどのような見込み客に強みを発揮できるのかを考えます。その際に準備するのが、自社にとって最も成果につながりやすい見込み客の条件を整理した「理想の顧客像」の定義です。
これは感覚で決めるものではなく、過去のさまざまな見込み客のデータを分析することで導き出します。
分析時は一般的に、次のようなデータを整理します。
■属性データ
- 業界・業種
- 企業規模
- 部門
- 役職や役職クラス
- 抱えている課題
属性データは、どのような企業・担当者が自社のサービスと相性が良いのかを整理し、優先的にアプローチすべきターゲットを定義するために活用します。具体的にはこの後紹介する商談実績データと組わせるとよいでしょう。
■商談実績データ
- 業界別の受注率
- 規模別の商談化率
- 役職別の決裁スピード(商談の期間)
- 失注理由の傾向
商談実績データは、属性データと組み合わせることで、自社がどの市場(業界・業種)で勝ちやすいのか、どの条件の見込み客(部門・役職・課題)が成果につながりやすいのかを客観的に把握し、営業リストの精度を高めるために活用します。
ここからは実際に、BtoBビジネスの例としてCRM導入支援を行っている企業を例に、理想の顧客像を分析・定義する流れを考えてみましょう。
例えば属性データの業界・業種の中でも、「IT業界」「製造業」「人材業界」の3つの業界を比較した場合、次のような受注データが得られたとします。
① 業界別の受注データ分析結果
業界 | 商談数 | 受注数 | 受注率 |
IT業界 | 80 | 24 | 30% |
製造業 | 60 | 9 | 15% |
人材業界 | 50 | 18 | 36% |
この結果を見ると、IT業界と人材業界の受注率が高く、比較的成果につながりやすい市場であることが分かります。
次に従業員規模で分析してみます。
② 規模別分析結果
従業員規模 | 商談化率 | 受注率 |
~50名 | 20% | 18% |
100~300名 | 35% | 32% |
1,000名以上 | 28% | 14% |
この場合、従業員100~300名規模の企業が最も効率的に商談や受注につながっていることが分かります。
最後に役職別の分析です。
③ 役職別分析
役職 | 商談化率 | 受注率 |
主任・担当者 | 25% | 15% |
部長クラス | 40% | 35% |
役員クラス | 38% | 33% |
役職別に見ると、部長クラス以上の役職者と接点を持つことで商談化率や受注率が高くなる傾向があります。
これらの分析結果から、以下の3つの傾向が見えてきます。
- IT業界・人材業界で受注率が高い
- 従業員100~300名規模の企業が最も効率的
- 部長クラス以上が決裁に近く、商談につながりやすい
ここから以下のように理想の顧客像を導き出すことが可能です。
項目 | 定義 |
業界 | IT業界・人材業界 |
企業規模 | 従業員100〜300名 |
役職 | 部長クラス以上 |
今回は分析例を分かりやすくするために、比較的シンプルな分析結果をつかいましたが、実際には、年度ごとの推移などから変化を見て、これから伸びそうな顧客像なども検討した上で、理想の顧客像を定義するとよいでしょう。
このような手順で理想の顧客像を定義すると、条件抽出されていない営業リストから理想の顧客像に近い見込み客を対象とした営業リストを作りだせるようになります。そうすることで、営業リストの精度が高まり、成果につながりやすい見込み客に優先的にアプローチできるようになります。
属性 × 行動でスコアリングする
精度の高い営業リストが作成できたら、次に、営業担当者が営業リスト内で優先順位を判断できるよう、「スコアリング」を活用します。
スコアリングとは、見込み客の属性情報や行動履歴に点数を付けて評価し、アプローチの優先順位を可視化する仕組みのことです。
営業リストの精度をさらに高めるためには、先にお伝えした属性データや商談実績データの情報だけでなく、見込み客の行動データも組み合わせて評価する必要があります。
属性情報は自社と相性が良い見込み客かどうかの判断材料を示すために活用できますが、行動データは今どれだけサービスや商品に関心が高まっているか、検討の度合いを示すことができるからです。
ここからは、先ほど定めた属性情報と行動に対して実際にスコアリングを設定しています。
なお、営業リストにおいて、属い情報を使って絞り込みをしている場合には、属性スコアは使わず、行動スコアだけを使うことも検討しましょう。
■属性スコアの例
- 業界がターゲット市場に該当する:+20点
- 従業員100〜300名:+15点
- 部長クラス以上:+15点
属性スコアは、自社が勝ちやすい条件にどれだけ当てはまっているかを評価する軸です。理想顧客像に近い見込み客ほどスコアが高くなります。
■行動スコアの例
- メール内リンクをクリック:+10点
- 資料ダウンロード:+30点
- セミナー参加:+40点
見込み客の行動には、メールの開封やリンククリック、関連資料のダウンロード、ウェビナーやセミナーの申し込み・参加など、さまざまなものがあります。
上記のように中でも、資料ダウンロードやセミナー参加など、サービスや商品への関心が高いことが分かる行動には高いスコアを設定します。具体的な行動を起こしている見込み客ほど、検討度合いが高いと考えられるため、スコアも高くなるように設計します。
このように、属性スコアと行動スコアを組み合わせて評価することで、相性が良く、サービスへの関心度が高い見込み客を優先的に抽出できるようになります。
優先的な見込み客を可視化する
次にスコアを営業活動にどう活用するかを決めます。営業担当者がすぐに優先順位を判断できるよう、運用ルールを明確にしておくことが大切です。
例えば、次のようにスコアごとに対応方針を決めておきます。
- スコア80点以上:優先架電対象(Hot)
- スコア60〜79点:フォロー対象(Warm)
- スコア59点以下:育成対象(Cold)
基準を決めておくことで、営業担当者は営業リストを見たときに、どの見込み客からアプローチすべきかをすぐに判断できるようになります。
多くのCRM/SFAツールには、見込み客の状態を管理するための「ステータス」という項目があります。(名称はツールによって異なります)
このステータス項目をスコアごとの対応方針と紐付けて設定しておくことで、見込み客の優先度を分かりやすく管理できるようになります。
また、営業リストの中から「Hotの見込み客だけを抽出する」「Warmの見込み客をフォロー対象としてリスト化する」といった形で、後から条件検索やフィルタを使って簡単に対象を抽出できるようにもなります。
このようにスコアリングとステータス管理を組み合わせて、営業担当者が優先すべき見込み客をすぐに把握できる営業リストを作りましょう。
条件検索・フィルタで精度を高める
スコアリングによる見込み客の優先度化をした後は、「条件検索」や「フィルタ」を活用し、営業リストの中から特定の条件に合致する見込み客のリストを作成していきます。
条件検索やフィルタは、主に2つの使い方があります。
一つは、スコアリングと組み合わせて活用する方法です。例えば、ステータスが「Hot」の見込み客の中から、さらに特定の条件に合う企業を絞り込むなどを行い、今まさにアプローチすべき対象を明確にすることができます。
もう一つは、スコアリングを使わず、属性情報や行動データをもとに直接リストを作成する方法です。特定の業界や企業規模などの条件を設定して検索をし、営業対象となる見込み客リストを作成することができます。
CRM/SFAツールでは「カスタムビュー」などの機能を活用することで、条件に合致する見込み客を一覧表示し、そのまま営業リストとして活用することが可能です。また、ステータスごとに表示を切り分けることで、優先度別に見込み客を整理することもできます。
このようにスコアリングと条件検索を組み合わせ、より精度の高い営業リストを作成します。結果、営業担当者がリストの中から今攻めるべき見込み客を素早く見つけ、アプローチを行うことができるので、商談化にもつながりやすくなります。
改善サイクルを回す
精度が高い営業リストを作成し、営業活動を進めた後は、そのリストが本当に成果につながっているのかを数値で確認します。結果を見て思うような成果に至っていない場合は、スコアリングの配点やターゲット条件が実態と合っていない可能性がありますので見直しが必要です。
また、優先的な見込み客をセグメント化してアプローチした場合でも、実施して終わりにするのではなく、その後の反応を確認しながら対応を判断することが大切です。例えば、次のようなケースでは追加の分析や対応が必要になります。
- 一定期間アプローチを行っても反応がない場合は、見込み客のステータスを育成フェーズへ戻す
- 失注が発生した場合は、その理由を分析する
このように営業活動の結果をもとに月次で評価基準を調整することで、スコアリングやターゲット条件がより実態に合ったものになります。
また、定期的にアプローチ実施 → 商談化率を測定 → スコア配点を調整といった改善サイクルを回すことができれば、営業リストの精度は徐々に高まり、成果につながる営業活動を実現できるようになります。
Zoho CRM で実現する営業リストの高品質化
営業リストの質を高めるための考え方として、理想顧客像の定義やスコアリング、優先的な見込み客の可視化、そして改善サイクルの回し方について整理してきました。
ここからは、実際にZoho CRM を活用して顧客データを一元管理しながら、スコアリングの設定やホットリードの抽出を行う方法について学びます。
スコアリング設定方法
Zoho CRM を活用し、属性条件を基準にスコアリングを設定してみましょう。
今回の例では、レッスンの前半で整理した「理想顧客像」の条件をもとに、見込み客の属性情報に点数を付ける形でスコアリングを設定します。
手順は以下の通りです。
- 画面右上の「歯車マーク(設定)」をクリック
- 設定画面の「自動化」メニューから「スコアリングルール」をクリック
- 「新しいスコアリングルール」をクリックスコアリングルール作成画面が表示されるので、次の項目を設定
- 名前に「営業見込み客スコア」と入力
- 種類で「Manual Score」を選択
- タブで「見込み客」を選択
- レイアウトで「標準」を選択
- 「次へ」をクリック
- 「条件を追加」をクリック
- 以下の条件を設定・業界がターゲット業界に該当する:+20ポイント・従業員数が100〜300名:+15ポイント・役職が空ではない:+10ポイント
- 条件の設定が完了したら「完了する」をクリック
- 項目名に「属性スコア」と入力
- スコア項目で「スコア」を選択
- 「保存する」をクリック






これで、見込み客の属性情報に応じてスコアが自動的に計算されるようになります。
ホットリードの自動抽出方法
次は先ほど設定したスコアをもとに優先的にアプローチすべき見込み客「ホットリード」を抽出します。
Zoho CRM では、フィルタ機能を使うことでスコア条件に合致する見込み客を簡単に抽出することができます。
ホットリードを抽出する手順は以下の通りです。
- 上部メニューから「見込み客」タブをクリック
- 左側のフィルタ項目から「属性スコア」を選択
- スコア条件に「80以上」など、ホットリードとする基準値を入力
- 「フィルターを適用する」をクリック
- 抽出された見込み客をすべてチェック
- 画面上部の「処理」をクリック
- メニューの中から「一括更新」をクリック
- 更新項目で「見込み客ステータス」を選択
- ステータスを「Hot」に変更
- 「更新する」をクリック



このようにステータスを更新しておくことで、後から「Hotの見込み客だけを抽出する」といった形で営業リストを簡単に作成できるようになります。
今回は手動でステータスを更新しましたが、一定条件を満たした場合に、ステータスが自動でHotに更新されるような処理も設定可能です。
ターゲットの抽出方法
次に営業担当者がすぐにターゲットを把握できるよう、一覧画面で見込み客の状態を確認できるようにします。
見込み客の一覧ビューに表示される項目に「見込み客ステータス」が含まれていない場合は、事前に項目を増やしてステータス詳細を見れるようにしておきましょう。
見込み客の一覧画面に「見込み客ステータス」を表示する手順は以下の通りです。
- 上部メニューから「見込み客」タブをクリック
- 画面左上のビュー名(例:すべての見込み客)の横にある「編集アイコン」をクリック
- 「標準の一覧に表示する列を選択する」画面が表示される
- 左側の項目一覧から「見込み客ステータス」を選択
- 右側の「選択中」欄に追加
- 「保存」をクリック




このように一覧画面でステータスが確認できるようにしておくことで、営業担当者は「Hot」「Warm」「Cold」などの状態を把握できるようになります。また、フィルタ機能を使って「Hotの見込み客だけを表示する」といった形でターゲットを簡単に抽出することもできるようになります。
なお、Zoho CRM では以下の手順で表示方法を切り替えることで、見込み客の状態をより分かりやすく確認することもできます。
- 見込み客一覧画面の右上にある表示切り替えアイコンをクリック
- 表示メニューから「かんばん表示」を選択


「かんばん表示」に切り替えると、見込み客がステータスごとにカード形式で表示されます。「Hot」「Warm」「Cold」のステータスごとに見込み客が整理され、それぞれのステータスに何件の見込み客が存在するのかも一目で確認できるようになります。
