営業の成果が見えない

前回のレッスンでは、「営業リストの質が低く、成果が出ない」という課題について具体的な解決策も含めて解説しました。今回は、「営業活動の成果が見えない」という課題について学びます。
営業活動を継続しているにもかかわらず、「思うように成果が出ない」「具体的にどの活動が成果につながっているかが見えていない」と感じる企業も少なくありません。そのような課題に対しては、営業プロセスのどこに課題があるのかボトルネックを分析し、改善につなげることが重要です。しかし、営業プロセスの進行状況や担当者の活動内容が可視化されておらず、原因を特定できないといったケースも多く見られます。
本レッスンでは、営業成果が見えなくなる原因を整理し、営業プロセスを可視化する考え方と、Zoho CRM を活用した具体的な管理方法を学びます。

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営業の成果が見えない
目次

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営業活動の成果が見えなくなる理由

営業活動を行っているにもかかわらず成果が見えない企業には、いくつか共通した課題があります。ここでは、なぜ成果が見えないのか、その代表的な理由について整理します。

売上という結果しか見ていない

営業活動の評価を、売上や受注額といった最終結果だけで判断しているケースがあります。しかし、売上はあくまで結果指標であり、営業活動の途中のプロセスを把握することはできません。

一般的な営業活動は、条件確認>ニーズ分析>提案>意思決定>見積提示>交渉といった複数のステップを経て、最終的に受注へつながります。

そのため、最終到達点である売上の結果だけを見るのではなく、営業プロセスを各ステップごとに分解し、それぞれの段階でどのような状況になっているのかを確認することが重要です。

営業活動が属人的になっている

もう一つの要因として考えられるのが、営業活動が属人的になっているという問題です。営業活動の進め方が担当者ごとに異なっていたり、商談の進捗状況や顧客とのやり取りが個人のメモや記憶に依存するなど、営業活動が標準化されていないケースです。

このような状態では、営業担当者本人は状況を把握できていても、営業活動の全体像を組織として把握することが難しくなります。その結果、進捗管理や適切なフォローが行いにくくなり、組織として営業活動を管理できない状態が生まれてしまいます。

営業成果は「結果」ではなく「プロセス」で管理する

前述のように、売上結果だけを見ている場合や、営業活動が属人的になっている場合、営業プロセスを分解し、各段階の状況を把握することが重要です。

ここでは、営業プロセスの考え方と、成果につなげるための可視化のポイントについて整理します。

営業プロセスを理解する

営業プロセスにはさまざまな考え方があります。一般的に利用されるプロセスとしては、以下のように大きく分けて7つのステップに分けられます。まずはこのプロセスを理解していきましょう。

標準的なステージの例

条件確認

顧客のニーズ、期待、購入条件を明確にする最初のステップです。この段階で得られた情報は、その後に続く全ステップの基礎となるため、非常に重要です。顧客の課題や目標を深く理解し、信頼関係を築くことが求められます。

ニーズの分析

条件確認で得た情報を基に、顧客の真のニーズを分析します。顧客の課題や目標を明確にし、自社の商品やサービスがどのように貢献できるかを具体的に示すことが重要です。

提案

ニーズ分析の結果に基づき、顧客に最適な解決策を提案します。提案は、顧客の課題を解決し、目標達成に貢献できるものでなくてはなりません。具体的なデータや事例を交えながら、提案の価値をわかりやすく伝えることが重要です。

意思決定

顧客が提案を検討し、購入の意思決定を行う段階です。営業担当者は、顧客の疑問や懸念を解消し、安心して購入を決断できるようサポートします。誠実かつ迅速な対応が求められます。

見積もりの提示

顧客が提案を受け入れた後、詳細な見積もりを提示します。見積もりは、透明性が高く、顧客が理解しやすいものである必要があります。不明点があれば丁寧に説明し、顧客の納得感を高めることが重要です。

交渉

必要に応じて、価格や条件の交渉を行います。双方が納得できる合意点を見つけることが重要です。顧客の要望に耳を傾け、柔軟に対応することで、Win-Winの関係を築くことができます。

受注/失注

交渉が成立すれば受注、成立しなければ失注となります。失注の場合は、その原因を分析し、改善策を検討することで、次の営業活動に活かすことが重要です。

ここまで説明した7つのステップはあくまで、法人向けの営業を行う側からみた標準的な営業プロセスです。

当然ながら、扱う商材や顧客の業界、商習慣などによって営業プロセスは異なって来ますので、標準型を理解した上で、自社のプロセスに当てはめたり、独自のプロセスを作り上げていく必要があります。

また、購入する側の購買プロセスも意識しないと、顧客の検討段階は進んでいないので、見積提示が行われるなどのギャップが生まれ、失注が詰み上がってしまうということも起こりがちです。必要に応じて、顧客視点でのプロセスも意識するようにしてください。

ボトルネックを可視化する

営業プロセスでは、それぞれの段階ごとに次のステップへ進む割合、いわゆる転換率が存在します。

例えば、以下のような指標です。

  • リード:商談化率(商談化した数÷有効なリード数×100)
  • 商談 :提案率(提案ステージ以降に進んだ商談数÷商談化した数×100)
  • 提案:受注率(受注した商談数÷提案ステージ以降に進んだ商談数×100)

これらの転換率を把握し、営業プロセスのどの段階で案件が減少しているのか、ボトルネックを可視化することができます。なお、転換率は個別のステージごとに測る場合と、リード数や商談化した数を母数として計算する場合がありますので、目的に応じて使い分けましょう。

転換率を使うと、目標数値である受注数を単なる足し算ではなく、各転換率を使ったかけ算で算出することも可能です。

具体的には、

  • リード100件で商談30件が獲得できた場合:商談化率30%
  • 商談30件で受注が6件の場合:受注率20%
  • 受注数(6件)=リード数 (100件)× 商談化率(30%) × 受注率(20%)

このように単なる足し算ではなく、率であらわされる数字を使って、目標となる数値(指標)を掛け算や割り算で分解することを、指標分解と呼びます。

目標となる数値を指標分解で表現すると、例えば受注数が昨年より下がっている場合に、単に数が減ったというだけでなく、以下のような事実が明確になります。

  • リードは多いが商談化率が低い
  • 商談は多いが提案に進んでいない
  • 提案はできているが受注率が低い

このようにプロセスを分解して数値化することで、目標とする受注数に対して未達だった場合は、どのプロセスにボトルネックがあるのかを特定でき、具体的な対策が打てるようになります。

営業活動を可視化するための指標を設計する

それぞれの転換率を正しく算出するためには、商談に紐づく営業活動に関するデータを日々蓄積し、管理することが大事です。

例えば、商談化率 = 商談数 ÷ リード数(30%= 30 ÷ 100)を算出するには、 どのタイミングで何件のリードを獲得したのか、またそのリードが、いつ・何件商談に進んだのかを管理する必要があります。

ここでは、さまざまな営業活動データの中でも管理すべき代表的な指標について整理します。

活動指標

活動指標は、営業担当者がどれだけ営業活動を行っているか、「量」を把握するための指標です。営業成果が出ない場合、その原因が活動量によるものなのかを判断するために使用します。

例えば、以下のような指標が挙げられます。

  • 架電数
  • メール送信数
  • 初回面談数

これらの活動指標は、商談化率や受注率に影響します。

例えば、「リードは十分にあるが商談化率が低い」といった状況が発生した場合、架電数やメール送信数を記録していれば、営業担当者ごとの活動量を分析することができます。

活動量の分析により、担当者ごとに架電数にばらつきがあり、十分な接触ができていない担当者がいる、などの原因がわかれば具体的な対策も可能です。

上記のような状況であれば、1日あたりの架電件数の目標を担当者ごとに設定してモニタリングを行うなど、活動量を増やしたり、維持するための仕組みを作ることでリードとの接触機会を増やすことができるようになります。

もし活動量が十分であると判断できる場合には、活動に質に問題がないかに目を向ける必要があります。

商談指標

商談に関する進行状況を把握するための指標も管理します。例えば、以下のような指標が挙げられます。

  • 商談数
  • 提案数
  • 見積提出数
  • ステージ転換率(次の段階へ進んだ割合)
  • 商談停滞期間(商談が特定のステージに留まっていて動きがない期間)
  • 受注率

例えば、「提案数は多いが受注数が足りない」というケースでは、提案以降の意思決定〜受注までのプロセスに課題がある可能性が高くなります。

実際にステージ移行率や停滞期間を確認することで、提案後に適切なタイミングで次のアクションが取れていなかったり、意思決定フェーズで止まっているといった具体的なボトルネックが見えてきます。

各指標を担当者別に計算する

営業組織全体のパフォーマンスを底上げするために必要なことが、これまで見てきたような指標を担当者別で分析することです。同じ数のリードや商談を担当していても、担当者によって成果に大きな差が出るケースが多いです。

担当者ごとに成果に差が出ている場合に確認したい指標の例は以下の通りです。

  • 担当者別受注数・率
  • 担当者別商談数・率
  • 売上貢献度(全体の売上に対する担当者ごとの売上割合)

これらの指標を確認し、担当者ごとに明らかにパフォーマンスに違いが出ていることをまずは明らかにします。

次に、

  • 担当者別のステージ転換率(次の段階へ進んだ割合)
  • 担当者別の商談停滞期間(商談が特定のステージに留まっていて動きがない期間)

などのプロセスのボトルネックを明らかにする指標を使って、どのプロセスに問題があるのかのあたりをつけます。

例えば、同じ商談数を実施しているにもかかわらず、受注数に大きな差がある(=受注率が低い)場合は、ヒアリング力や提案内容の質の違い、またクロージングの進め方に何か課題があるかもしれません。

そこで、プロセスごとの転換率を比べて、どこに問題があるかを発見し、個別にヒアリングや営業同行などを行うことで、問題のある箇所を明確にし、改善のためのアクションを行うという流れが担当者ごとの活動の質の向上につながります。

また、改善だけでなく成果を挙げている担当者の活動内容を明らかにすることで、個人のスキルに依存していた営業活動を標準化し、組織全体に展開することが可能になります。

属人的な営業から脱却し、再現性のある営業プロセスを構築するうえでも、担当者別の成果指標の確認と活用は非常に重要です。

営業プロセスを管理する仕組みをつくる

ここからは、より詳細に営業プロセスを設計する流れを学んでいきます。

どの段階でどのデータをどこで管理すべきか、誰でも同じ基準で管理できる仕組みを作ります。

ここでは、仕組みづくりに必要なステップを整理します。

商談ステージを定義する

まずは、営業プロセスをステージとして定義します。どの段階にある商談なのかを明確にし、進捗状況を一貫した基準で把握できるようにします。

例えば、先ほどご紹介した標準的なプロセスをシンプルにし、以下のようにステージを設定してみましょう。

  • 初回接触
  • ヒアリング
  • 提案
  • 見積提出
  • 受注

重要なのは、担当者ごとに解釈が分かれてしまわないように各ステージに明確な定義を持たせることです。例えば「提案」とはどの状態を指すのか、「ヒアリング完了」とは何をもって判断するのか、といった基準を詳細に定めます。

以下のように、ステージごとに次のステージに進む状態を定義しておくと良いでしょう。

ステージ

判断基準

初回接触

顧客と初めて接触し、担当者情報や簡易的なニーズを把握できた状態

ヒアリング

顧客の課題・ニーズ・導入背景・検討状況など、提案に必要な情報が整理できている状態

提案

顧客の課題に対して、自社サービスの具体的な提案内容を提示し、顧客が内容を認識している状態

見積提出

提案内容に基づき、価格や条件を含めた見積を提示し、顧客側で意思決定の検討に入っている状態

受注

顧客から正式な合意を得て、契約または発注が確定した状態

ステージごとの管理項目を設定する

商談ステージを定義したら、各ステージで管理すべき項目を設定します。特に、どの情報をどのタイミングで取得・更新するのかを明確にしていきます。

まず、すべての商談に共通して管理すべき基本情報が以下の項目です。

■ 基本情報(商談情報としてではなく、取引先や担当者情報として管理する項目含む)

  • 企業名
  • 業種
  • 企業規模
  • 担当者名、役職
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 住所

■ 流入・施策情報

  • どの施策から獲得したか(展示会、Web広告、紹介など)
  • キャンペーン名
  • 獲得日

■ 顧客状態情報

関心テーマ 導入予定時期 現在のステータス(情報収集段階、比較検討中など)

■履歴

  • 対応履歴(問い合わせ内容やメールのやり取り等)
  • 商談履歴(面談などを実施した際に確認した情報や反応)

これらに加えて、ステージごとに確認すべき情報を整理していきいます。

例えば、以下のように各ステージで必要な情報を設定します。

■初回接触ステージ

  • 基本情報
  • 担当者
  • 接触方法(電話またはメールのどのチャネルで接触したか)
  • ヒアリングした課題
  • 次のアクション

■提案ステージ

  • 提案内容
  • 提案予定日
  • 同席者
  • 決裁者

どの段階でどの項目を管理するかの認識が統一されれば、営業担当者ごとの対応のばらつきを抑え、営業プロセスの質を均一化することができます。

営業履歴を蓄積する

商談ごとに管理する項目や各ステージで押さえるべき項目が定義でき、蓄積する仕組みが整ったら、あとは日々の営業履歴を蓄積していく段階です。

営業活動の結果だけでなく、その過程となる行動ややり取りを記録することで、どのアプローチを行い、その結果どうなったかを時系列で把握できるようになります。

具体的な蓄積すべき情報は以下の通りです。

  • 架電履歴(架電した日時や話した内容)
  • メール履歴(メールの送受信日時や内容)
  • 商談メモ(面談で話した内容や決定事項)
  • 次回アクション

例えば、商談が停滞している場合は、直近の対応履歴を確認します。

対応履歴として、架電状況や商談メモを見ることでフォローが遅れているのか、見込み客側で検討が止まっているのかといった状況を判断し、次のアクションにつなげることができます。

また、成果が出ている商談の履歴を分析し、成功パターンを導き出すことで、他の案件に展開することも可能になります。

Zoho CRMで営業活動を可視化する方法

ここからは、Zoho CRM を活用して営業活動をデータとして蓄積し、可視化する具体的な方法を見ていきます。

前章で整理した営業プロセスや指標、管理項目を、どのようにツール上で実現していくのかを具体的に学びます。

ステージごとの必須項目を設定する

Zoho CRM では、最初から標準的なステージや他の項目が設定されていますが、営業活動を行う中で、必要な情報が揃っていない状態で次のステージに進んでしまうと、結果としてデータの精度が低下してしまいます。

そこで、商談ステージごとに「この情報が揃っていなければ進めない」というルールを設定し、入力漏れを防止する機能を設定します。

Zoho CRM では「レイアウトルール」を活用することで、特定の条件に応じて必須項目を設定することができます。

ここでは、商談ステージが「提案中」になった際に、必要な項目の入力を必須にする設定手順を説明します。

  1. 上部メニューから歯車アイコン(設定)をクリック
  2. 「カスタマイズ」内の「タブと項目」をクリック
  3. 対象モジュールとして「商談」を選択
  4. 商談タブの右側にある「…」をクリックし、「レイアウト」を選択
  5. 上部メニューの「レイアウトルール」をクリック
  6. 「新しいレイアウトルール」をクリック
  7. ルール名に「提案中ステージ時の必須入力ルール」と入力
  8. ルールの説明に「商談ステージが提案中になった際に、必要項目の入力を必須とするルール」と入力し、「保存する」をクリック
  9. 条件設定画面で「ステージ」を選択
  10. 条件を「次の値と等しい」に設定し、値に「提案」を選択、「完了する」をクリック
  11. 「項目の処理」から「項目を必須にする」を選択
  12. 必須にする項目として「提案内容」「予算」「決裁者」などを選択
  13. 設定後、「完了する」をクリックし、最後に「保存する」をクリック
設定画面
タブの選択
タブの設定メニュー
レイアウトルールの作成
レイアウトルールの条件設定
レイアウトルールの処理の設定

商談履歴を活用してレポートを作成する

営業活動情報が蓄積されてきたら営業活動の実態を把握するためにも、日々の活動の履歴を可視化するレポートを作成します。

Zoho CRM では、通話・予定・タスクといった活動履歴をレポートとして集計することで、担当者ごとの営業活動量を可視化することができます。

担当者別の活動数をレポートとして確認することで、以下のような状況を把握できます。

  • 担当者ごとの営業活動量の違い
  • 架電やフォローの実施状況
  • 商談フォローが不足している案件

では、ここからレポートの作成手順を説明します。

  1. 上部メニューから「レポート」タブをクリック
  2. 「新しいレポートを作成」をクリック
  3. 基準タブで「タスク」を選択
  4. 「続ける」をクリック
  5. 抽出条件の画面で必要に応じて条件を設定し、「完了する」をクリック (例:すべてのタスクを表示、または特定期間のタスク)
  6. レポート作成画面で表示項目を設定 ・タスクの担当者 ・件名 ・ステータス
  7. 右側の「行グループ」で「タスクの担当者」を選択
  8. 「集計項目」で「件数」を設定
  9. 画面右上の「保存する」をクリック
  10. レポート名に「担当者別活動件数レポート」と入力
  11. 保存先フォルダを選択し、「完了する」をクリック
基準タブの選択
関連タブの選択
レポートの詳細情報の入力
レポートの表示列の設定
作成された活動レポート

今回作成したレポートからは、担当者ごとの活動量に大きな差があり、特に一部の担当者に活動が偏っている状況が確認できます。未完了や遅延しているタスクも一定数存在しており、フォロー不足や対応遅れによる商談停滞が起こっている可能性も読み取れます。

このような状況に対しては、担当者ごとの活動量やフォロー頻度(何回、どれだけアプローチをすべきか)の基準を設け、未完了や遅延タスクを定期的にモニタリングします。営業マネージャーがモニタリングを行った上で、対応漏れが発生しなように営業会議での定期的なフォローや停滞している商談が担当者に通知されるなどの運用の仕組みやルールを整備することが重要です。

このようにレポートを作成し営業活動を可視化することで、活動量の不足やフォローの偏りといった問題を特定し、具体的な改善施策へとつなげることが可能になります。