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なぜ見込み客が増えないのか
見込み客が増えない企業には、さまざまな理由が考えられます。
一つは、マーケティング施策そのものを行っていないケースです。Webサイト上には企業概要やサービス・商品紹介のページと問い合わせフォームが設置されているのみで、コンテンツが更新されず、サイト流入もほとんどないため、見込み客が増えないという状況です。
もう一つは、展示会の出展や広告出稿などさまざまなマーケ施策を実行しているにもかかわらず、見込み客が増えないというケースです。
この場合は、施策の「量」が問題ではなく「質」に問題があるかもしれません。「誰にどのような施策を打つと見込み客が増えるのか分析ができていない」問題や、「見込み客を獲得した後のフォローの設計ができていない」などの問題が挙げられます。具体的にどのような問題があるか次に整理していきます。
情性ベースの施策実行になっている
見込み客が増えない企業に見られる一つの例が、施策が「情性」で実行されているケースです。
展示会に出展したり、広告を出稿したり、定期的にメルマガを配信するなど、マーケティング施策は行われているものの、実施理由を掘り下げると、「毎年やっているから」「昔からの付き合いがあるから」「上司が必要だと言っているから」など、成果に基づくものではなく、過去の慣習により施策実施を判断している企業も多くみられます。
本来、施策は誰に対して何を行うか、ターゲットと目的を定めて設計と実行がされるべきものです。
施策実施の目的にも様々なものがあります。
- 新規見込み客の獲得
- 既存顧客との関係強化
- 情報提供による見込み客の検討段階を進めること
前提が整理され、目的に沿って企画・実行がされていなければ、施策は「やること自体」が目的になってしまいます。
見込み客獲得後のフォロー設計がない
見込み客は一定数獲得ができているにもかかわらず、獲得後にサービスや商品の申し込みまでをフォローする設計ができていないため、質の高い(申し込みに至る可能性が高い)本当の意味での見込み客が増えていかないというケースです。
BtoB領域のビジネスの場合、顧客が購買に至るまで比較的長い時間を費やして情報収集を行い、比較検討をするのが一般的です。そのため、見込み客獲得後も、定期的な接点を持ち、見込み客が抱える課題に対して見合う適切な情報を段階的に提示する、といったナーチャリング設計が大事になってきます。
またこの設計がなければ、せっかく獲得した見込み客との接点は途切れてしまい、検討が本格化するタイミングで競合に先を越される、といった機会損失につながることも起こり得ます。
属性データが不足している
もう一つは、属性データが不足していることで、どの見込み客をターゲットにして施策を行うかの目星がついていないという問題です。
データが不足しているというのは、見込み客の業種や企業規模、役職、関心テーマといった基本情報を取得する設計ができていなかったり(フォーム内に情報を取得するための項目が設置されていない)、取得できているのに登録がされなかったりして、うまくデータを蓄積できていないという状態です。
また、マーケティングの施策を幅広く実施している場合は、どの経路の施策が費用対効果が高く、効率的に獲得できたのか、といった分析が重要になりますが、その分析に必要な獲得流入元のデータが不足しているという状態も問題です。属性データや、流入元のデータがなければ、見込み客の分析ができず増やし方が分からないという結果にもなります。
どの業界の受注率が高いのか、どの企業規模が商談化しやすいのか、どの施策が売上に貢献しているのかといった観点が抜けてしまい戦略的な施策設計や、意思決定ができなくなってしまうでしょう。
このような状態にならないためには、個々の担当者が自由な場所に自由にデータを入力するような属人的な運用は廃止し、CRM/SFAツールを活用してデータを蓄積し、管理する仕組みをまずは整える必要があります。またその上で、蓄積されたデータをどのように活用するかを設計して整備する必要があります。
ここまでで、見込み客が増えない要因の例をいくつか挙げました。次は、見込み客を増やすためにどのような情報を蓄積し、どのように活用していくべきかを具体的に整理していきます。
見込み客を増やすためにCRMで蓄積すべき情報
ここからは、見込み客を増やすために、どのような情報を蓄積して活かしていくと良いかを整理していきます。
見込み客を増やすには、どのような見込み客が増えているのか「傾向」を捉えることが大事です。「XXの業界の見込み客の場合は多く獲得しやすい傾向にある」「どれくらいの企業規模見込み客は結果的に商談につながりやすい傾向にある」など、パターンを見つけるためのデータを蓄積していきます。
見込み客創出に必要な3種類のデータ
パターンを見つけるために必要なデータは、「属性データ」「行動データ」「流入元データ」の3つの軸に分類できます。データの詳細は次に整理していきます。
1 属性データ
最も基本となるのが「属性データ」です。代表的な項目としては、以下のようなものが挙げられます。
- 業種
- 従業員規模
- エリア
- 売上規模
- 役職
これらは、マーケティングや営業戦略設計の土台としても重要になってくるデータです。
例えば、BtoBの製造業を例に考えてみましょう。CRM/SFAツール上に先に挙げた「業種」「従業員規模」「エリア」のデータを蓄積し、見込み客の傾向値を分析した結果、以下のようなことが見えてきます。
業種別データ:自動車部品メーカーは受注率が高い従業員規模別データ:従業員300名以上の企業の方が商談化率が高いエリア別データ:関東エリアの企業は単価が高い
このような傾向がざっくりと見えてくると、重点的に狙うべきターゲットが明確になり、施策も検討しやすくなります。
2 行動データ
次に「行動データ」です。行動データの中での代表的なものとしては、
- メールの開封やクリックの履歴
- Webフォーム経由での問い合わせ内容
- セミナーやウェビナーの参加履歴
などが挙げられます。
行動データは、見込み客が自社のサービスや商品に「どれくらい関心があるか」を示す指標であり、属性データと組み合わせて分析するのに適しています。
属性データでは企業の業種や企業規模別での傾向が分かりますが、その中でもメールの開封率が高い見込み客や、何度もウェビナーに参加している見込み客、何度も問い合わせをしてきている見込み客などの特に興味関心度の高い見込み客がどれかを絞り込むことができます。また、見込み客の興味関心の度合い別で、どの企業を優先的にフォローすべきかの判断もつきやすくなります。
さらに、行動データがCRM/SFAツールに蓄積されていれば、「スコアリング」を活用して見込み客の優先順位をつけることも可能になります。「スコアリング」とは、CRM/SFAツールに搭載された機能で、見込み客の属性や行動に応じて点数を付与し、その合計点によって関心度の高さや商談化の可能性を可視化する仕組みのことです。
例えば、セミナーの参加+サービス資料のお申し込み2回以上の企業を「高関心の見込み客(ホットリード)」と定義し、ホットリードを得たタイミングで営業が即座に優先的にアプローチする、といった具体的な戦略設計ができるようにもなります。
3 見込み客の流入元データ
三つ目が、見込み客の「流入元データ」です。流入元データとは、どのマーケ施策経由で獲得した見込み客か、がわかる情報のことを指します。
主なマーケ施策例として以下が挙げられます。
- 展示会
- Web広告
- 紹介
- セミナー、ウェビナー
- 自社サイト
- メール施策
- 既存顧客経由
見込み客を増やすためによくありがちな行動が、「成果が出ないから施策を増やす」という判断です。
施策を増やし、対策をするのは良いことですが、施策を増やしただけでは見込み客が増えるとは限りません。重要なのは、たくさん施策を行った結果、どれが費用対効果・ROIの高い施策なのかを分析し、施策の取捨選択を行うことです。
例えば分析の結果、展示会は件数は多いが商談化率が低い。一方で、既存顧客からの紹介は件数は少ないが受注率が高く単価も高い、という傾向が見えた場合、展示会の予算を増額するより紹介を増やす仕組みづくりに投資する方が、効率的に見込み客を増やせる可能性があります。
このように取捨選択を行うためには、どのマーケ施策がどれだけ成果を出しているのか、流入元データを分析し、把握する必要があります。
ターゲットを明確にした中長期視点の顧客開拓の実施
見込み客を獲得する施策は重要ですが、短期的に施策を行うだけでは、見込み客を増やし続けることはできません。安定的に増やすには、「誰を増やすのか」というターゲットを明確にした上で、
- ターゲットを定める
- 獲得施策を実施する
- 見込み客をフォローし育成する
- 施策の効果を計測する
- 結果をもとに施策を絞り込む
という一連の流れを、中長期の視点で回していくことです。
ここでは、ターゲットを軸とした中長期的な顧客開拓プロセスと、それぞれのステップで押さえるべきポイントを具体的に整理していきます。
ターゲットを定める
まず最初に行うのはターゲットを定めることです。過去の受注データなどを基に、自社にとって相性の良いターゲット属性を分析します。
例えば、BtoB向けのITソフトウェアサービスのビジネスを展開している企業を例とした場合、CRM/SFAツールに蓄積された見込み客のデータを分析した結果、
- 情報システム部門からの問い合わせは受注率が高い
- 従業員200〜800名規模の企業は商談化率が高い
- クラウド移行やDX関連キーワードで流入した企業は単価が高い
といった傾向が見えてきたとします。
この場合、単に「中堅企業を狙う」という抽象的な方針ではなく、より具体的に「従業員200〜800名規模の企業の情報システム部門で、クラウド移行やDX推進を検討している層」を重点ターゲットとして設定できるようになります。
ただし、CRM/SFAツールの導入初期段階の場合は必ずしも十分なデータが揃っていないこともあります。その場合は、営業現場の実感や過去の成功事例をもとに仮説ベースでターゲットを仮置きしても構いません。
重要なのは、データが蓄積されてきたタイミングで必ず検証と見直しを行うことです。そのためにも、属性データを正しく入力し、継続的に蓄積していく運用を徹底できるようにしておきましょう。
ターゲットを獲得するのに適した施策を検討する
前のステップで「従業員200〜800名規模の企業の情報システム部門で、クラウド移行やDX推進を検討している層」を重点ターゲットとして定義できましたので、次に施策を検討します。
施策を検討する際に重要なのは、定めたターゲットはどこに集まり、どのようにすれば効率的に獲得できるか、という視点です。
今回の場合、重点ターゲットは「情報システム部門」となりますので、幅広い部門の担当者が集まるセミナーを企画するよりも、「DX推進における実践セミナー」や「クラウド移行の実践セミナー」など、情報システム担当者が実際の業務に直結し、すぐに活かせそうだと感じるテーマを設定する方が、見込み客の反応は高まりやすくなります。
セミナーやウェビナー施策以外にも、情報システム部門が日常業務で直面しがちな課題に焦点を当てたコンテンツ、例えば、「DX推進準備チェックリスト」や「クラウド移行の失敗事例と成功のポイントをまとめたホワイトペーパー」などは、実務担当者にとって具体的なヒントとなり、資料ダウンロードでの新規見込み客の獲得につながりやすくなります。
また、広告で見込み客を獲得する方法もあります。広告は細かくターゲットセグメントを設定することができますので、ピンポイントにほしい見込み客を獲得できるメリットがあります。例えば、「情報システム部門」「ITマネージャー」「DX推進担当」といった職種に細かく絞って配信するといった設計もできます。
このようにターゲットが明確になれば、そのターゲットはどこにいるのか、どの情報に反応するのか、どのタイミングで課題を感じるのかを想定しながら、獲得施策を設計していきます。
見込み客フォローの仕組みを決めておく
施策により見込み客を獲得した後に、適切なフォローを行えるよう、自動化も取り入れながら、見込み客獲得後のフォローの仕組みを決めておきます。
例えば、資料ダウンロードがあった際のダウンロードのお礼メールは、毎回担当者がそれぞれ作成して送付してしまうと、手間がかかり非効率ですし、人によってメール内容が異なり属人的な対応になってしまいます。この場合、CRM/SFAツールを活用し、同じメール内容が毎回、自動でメールが届くという仕組みに切り替え、一定の基準に基づいたフォローを実行できるようにします。
中には、自動化ではなく、担当者が見込み客に直接対応した方が良いケースもあります。
見込み客獲得後、フォローは誰が行い、何を使って、どのように行うのか、一連のプロセスを定めることが大事です。
例えば、組織として見込み客獲得はマーケティング部門の役割、獲得後の見込み客への架電フォローはインサイドセールス部門の役割、商談はフィールドセールスの役割、などと業務を部署ごとで分業している場合は、見込み客獲得時の初回のフォロー、2回目以降の追客フォロー時、商談化時、商談対応、といったフェーズごとにどの部署がどこまでを対応するかを明確にしておくことが重要です。
以下に、見込み客フォローのプロセス設計例を載せます。
どのプロセス | どのタイミング | 誰が | いつ | 何のツールで | 何を実施 |
見込み客獲得 | 資料ダウンロード | マーケティング | 即時 | CRM/SFAツール(自動配信) | お礼メール自動送信 |
初回フォロー | DL後1〜3営業日 | インサイドセールス | 3営業日以内 | CRM+電話 | 架電・課題ヒアリング |
追客フォロー | 架電未接続 | インサイドセールス | 初回接触後3日以内 | CRM | フォローメール送信 |
商談対応 | アポイント確定 | フィールドセールス | 商談進行に応じて | CRM | 提案・見積・クロージング |
失注後 | 失注登録 | マーケティング | 3ヶ月後再接触 | CRM | ナーチャリングへ戻す |
施策の効果を想定する
施策を実施した場合にかかる金額と、実施した施策により得られる見込み客数や、商談数などを先に予測して「どの程度の成果があるのか」という仮説を立てて目標値を設定しておきましょう。
目標値を設定せずに施策を実行すると、「思ったより反応があった」「なんとなく良かった」といった感覚的な評価になり、振り返りができなくなることもあるため、仮説でも立てておくと良いでしょう。
例えば、ウェビナーを実施する場合、以下の目標数値を事前に設定します。
- 集客用の広告費
- 想定見込み客獲得数
- 参加率
- 商談化率
- 受注率
仮に、広告費50万円をかけてウェビナーを開催し、見込み客を100件獲得できると目標を立てたとします。そのうち商談化率が10%、受注率が30%であれば、3件の受注が見込まれます。平均単価が200万円であれば、売上は600万円という計算になります。
あくまで想定にはなりますが、コストに対してどの程度の成果を目指すのかを明確にしておくことで、後の効果測定の基準値を立てることができるようになりますし、改善の余地がどこにあるのかを具体的に検証できるようにもなります。
施策を実施する
目標値を立てたあとは、早速施策を実行します。
ここで一番重要なのは、施策の実行と同時にデータを正しく記録することです。見込み客の属性、流入元、行動履歴が正確にCRM/SFAツールに登録されていなければ、後の分析が意味を持ちません。
例えば、ウェビナー経由で獲得した見込み客には、流入元として「ウェビナー」と明確に登録する、広告経由であれば広告名や広告キャンペーン名を正しく入力する、といった運用を徹底し、次の改善につなげるためのデータを蓄積しておきましょう。
効果測定を行う
施策実施後は、効果測定を行います。効果測定時に確認すべき主な指標は以下です。
- 見込み客獲得数
- 商談化数
- 受注数
- 受注額
- 費用対効果(ROI)
事前に想定した数値と施策実施後の結果を比較し、どこに数値の乖離があるのか、次回実施時の改善余地があるかを確認します。
見込み客数は目標通りの結果だったが、商談化率が低い結果であった場合、獲得した見込み客がターゲットとずれていたり、見込み客獲得後のアプローチが甘いなど、フォロー設計に課題がある可能性が考えられます。逆に、商談化率は高いが受注率が低い結果の場合は、提案内容の質に問題があるかもしれません。
このように、見込み客獲得数の結果だけを見て成果を判断するのではなく、「どの工程にボトルネックがあるのか」を分析することが効果測定時は重要です。
CRM×マーケ連携としての活用
ここまで、ターゲット設定から施策設計、実行、効果測定までの一連の流れを整理しました。効果測定時は、マーケティング施策が実際に成果につながっているか、CRM/SFAツール内に搭載されたレポート機能を使い、可視化してみましょう。
ここでは、実際にZoho CRM を活用し、マーケ施策別の集計レポートを作成していきます。
施策別の集計レポートを作成する
実際に、マーケティング施策実施後の効果分析を行っていきましょう。具体的には、以下の3つの指標を施策別に確認します。
- 見込み客のデータ元ごとの件数
- 商談化数
- 受注額
見込み客のデータ元別、件数レポートを作成
Zoho CRM のレポート機能を活用し、見込み客の「データ元」別に件数を集計します。
どの施策からどれだけ見込み客を獲得でき、どれが商談に繋がっているかを一つのレポートで可視化することで、施策ごとの成果を客観的に把握できます。
手順は以下の通りです。
- [レポート]をクリック
- [レポートを作成する]をクリック
- 基準タブのプルダウンから[商談]を選択し、[続ける]をクリック※関連タブは「なし」のまま進めますここでは商談に紐づく取引先や連絡先のなどのデータを追加できますが、今回は「商談件数と金額の分析」が目的のため追加は不要です
- 左側の「列」から以下を選択します。・ステージ(任意)・商談の担当者(任意)・売上の期待値・総額・商談名設定後[完了する]をクリック
- 左側の[行グループ]をクリック
- [見込み客のデータ元]を選択
- 右上の[保存する]をクリック
- レポート名を入力し、[保存する]をクリック 例: 見込み客データ元別 商談レポート





このレポートからは、見込み客の件数は社内セミナーと展示会が多く、量を生み出すチャネルだということがわかります。また、外部紹介は件数は少ないものの高額案件が受注につながっており、質の高いチャネルといえます。
一方で、広告は提案段階で止まっており改善余地がありそうです。不明データ元では失注が目立ちますので、まずデータ元が不明な点を明確にすること、また失注が起きている理由の確認を行うことが必要になります。
このように、施策元ごとの見込み客数や商談化した内容や商談の質をレポートを活用して可視化することで、どの施策に注力すべきか、どこに改善余地があるかを具体的に判断できるようになるでしょう。
