HTMLメール作成時の基本ルールと注意点

HTMLメールは、視覚的に訴求力の高いメルマガを実現できる反面、表示崩れや読み込みトラブルを防ぐためには、いくつかの基本ルールを押さえておく必要があります。ここでは、HTMLメールを正しく、効果的に作成するための基本と注意点を順に解説します。

  • DOCTYPE宣言と文字コード
  • テーブルレイアウト
  • CSSの記述方法
  • レスポンシブデザイン
  • 容量に注意
  • スマホ対応・ブラウザ表示

DOCTYPE宣言と文字コードの設定をする

HTMLメールを正しく表示させるためには、メール本文の冒頭に書くHTMLの基本的な設定がとても重要です。特に、「どの文字コードで表示するか」が明確でないと、メーラーによっては文字化けが発生したり、意図しない表示崩れを引き起こすこともあります。主に設定すべき項目は次の2点です。

DOCTYPE宣言

HTMLメルマガを作成する際は、まずDOCTYPE宣言(文書型宣言)を行います。これはHTML文書のバージョンなどを指定するもので、メールクライアントがHTMLを正しく解釈するために必要です。HTMLメルマガを作成する際は、テーブルレイアウトの使用が許容されているHTML 4.01 またはXHTML 1.0 の宣言をします。

文字コードの指定(例:UTF-8)

HTMLメールで日本語を使用する場合は、<meta charset="UTF-8"> を <head>タグ内に必ず記述しましょう。これにより、受信者の環境に関係なく日本語が正しく表示されるようになります。

このように、HTMLメールの冒頭にはメール全体の「土台」になる基本情報を記述する必要があります。見た目のデザインに目が行きがちですが、まずはこの基本設定をしっかり押さえておくことが、トラブルの少ない配信への第一歩です。

テーブルレイアウトで構造を組む

HTMLメルマガでは、基本的にテーブルレイアウトで構成する必要があります。
table要素は本来表形式を作成するためのものであり、Web制作ではtable要素をレイアウトに使用するべきでないとされていますが、HTMLメルマガの場合は、PCやモバイルなど多様な閲覧環境を考慮し、テーブルレイアウトが最適とされています。

CSSはインラインスタイルで記述

Web制作ではCSS(Cascading Style Sheets)の外部読み込みが一般的ですが、メールクライアントの多くがCSSの外部読み込みをサポートしていないため、HTMLメルマガの場合は「埋め込み形式」または「インライン形式」のいずれかを利用します。特にインライン形式はHTMLに直接CSSを記述する方式であり、メールクライアント間での互換性があるため、広く利用されています。

レスポンシブデザインを意識する

現代では、メールの多くがスマートフォンで読まれます。レスポンシブデザインとは、さまざまなデバイスや画面サイズに応じてコンテンツの表示を調整する手法であり、HTMLメルマガにおいても欠かせない要素となっています。
レスポンシブデザインを実現するには、主に以下の2つの設定が必要です。

  • 端末の画面幅に表示幅を合わせるビューポ
    ート(viewport)の指定

  • 表示幅に応じてCSSを切り替えるメデ
    ィアクエリの設定

加えて、スマホではクリックやスクロールなどは指による操作が前提なので、リンク間の距離や画像の大きさも考慮します。

容量が大きくなり過ぎないよう注意

HTMLメールの容量が大きすぎると、読み込みが遅くなったり、メーラーによっては途中までしか表示されないことがあります。目安として、全体で100KB以内に収めるのが理想です。画像は圧縮し、不要なタグやスタイルは省きましょう。

スマホ対応・ブラウザ表示の設定も忘れずに

HTMLメールは、受信者の環境によっては正しく表示されないこともあります。そんなときに役立つのが「ブラウザで表示」リンクの設置です。
また、スマホでの可読性向上のためには、以下のような工夫が有効です。

  • フォントサイズは15-18px程度

  • タップできるボタンは横幅500px程度を確保

  • 適切な余白を設ける

こうした細やかな対応が、ユーザー体験の質を大きく左右します。

HTMLメルマガのテンプレート構成例

HTMLメルマガを一から作成する際、まず迷うのがどのようにパーツを組み立てればいいかという点です。
ここでは、基本的なテンプレート構成を具体例とともに解説します。全体像をつかめば、制作のスピードもクオリティもぐっと向上します。

  • レイアウトの枠組み
  • ヘッダー・フッター
  • 本文テキスト
  • CTAボタン
  • 画像やアイコン
  • 罫線・中見出し

全体レイアウトの枠組み(width, heightなど)

まずはメルマガ全体を囲む枠組みを作成します。
多くの場合、横幅(width)は600px前後に設定するのが一般的です。これは、多くのメーラーやスマホ画面に適したサイズだからです。

<table width="600" cellpadding="0" cellspacing="0" border="0" align="center">
  <tr>
    <td>ここにコンテンツが入ります</td>
  </tr>
</table>
  • width="600"で横幅を固定
  • cellpadding="0" cellspacing="0"で余計な隙間をなくす
  • align="center"で中央寄せ

全体のサイズ感をまず決めることで、後続のパーツ配置がスムーズになります。

ヘッダー・フッターの設置

次に、ヘッダーとフッターを設定します。
ヘッダーにはブランドロゴやタイトル、フッターには会社情報や配信停止リンクを入れるのが一般的です。
ポイントは以下の通り:

  • ヘッダーには第一印象を意識したデザインを
  • フッターには法的な表記(会社名、住所、配信停止リンク)を忘れずに
  • どちらもシンプルで目立ちすぎない設計が理想

本文エリアにテキストを追加

本文エリアは、メルマガの主役となる情報を載せる場所です。
テキストは単に並べるのではなく、メリハリのある構成を意識しましょう。

  • 見出し・本文でフォントサイズを変えると読みやすさUP
  • 行間(line-height)は1.4〜1.6程度を確保
  • テキストブロックは適度に区切る(改行や段落)

CTAボタンの設置(Web誘導など)

HTMLメルマガでは、行動を促すCTA(Call-To-Action、行動喚起)ボタンが欠かせません。「詳しくはこちら」「今すぐ登録」など、具体的なアクションを促しましょょう。

  • 目立つカラーでデザイン(ブランドカラーを使用すると統一感が出る)
  • ボタンは大きめ・タップしやすいサイズに
  • リンク先が正しく機能しているか必ず事前確認

画像やアイコンの挿入(alt属性やパス指定)

画像を使う場合は、正しく読み込めない場合を想定してalt属性を設定しましょう。
また、パス(URL)は絶対パスで指定するのが基本です。

  • alt属性を必ず記述(画像が非表示の場合に備える)
  • https://〜の絶対URLを使用(相対パスは不具合の原因に)
  • 画像のサイズをあらかじめ調整しておく(受信者側の負担を軽減)

ALT未設定の表示例

htmlmaildistributionimg1

ALT設定済の表示例

htmlmaildistributionimg2

罫線・中見出しで読みやすさアップ

長文のテキストが続くと読みにくくなるため、罫線や中見出しを挟んでメリハリをつけましょう。
また、途中に中見出し(サブタイトル)を挟むことで、読者は情報をスムーズに整理できます。

  • 罫線は色を薄めに設定(主張しすぎない)
  • 見出しは本文より大きめのフォントサイズに
  • セクションの切り替えが明確になり、離脱率防止にも効果的

このように、HTMLメルマガは「枠組み → ヘッダー・フッター → 本文 → CTA・画像 → 整理」と順を追って組み立てることで、誰にでもわかりやすい構成を実現できます。

各メーラー別のHTMLメール送信方法

HTML形式でメルマガを作成できたら、次は実際に配信する方法を押さえましょう。ここでは代表的な4つのメーラーで、HTMLメールを送信する方法を紹介します。

  • Gmail
  • Outlook
  • Mac
  • Thunderbird

Gmailから送信する方法

Gmailは基本的に、直接HTMLコードを入力する仕組みがありません。
そのため、以下の手順で送信します。

GmailでHTMLメールを送る手順

Step 1

メールの新規作成画面を開く

Step 2

画面右下のその他のオプションから「プレーンテキストモード」のチェックを外す

htmlmaildistributionimg3
Step 3

画面右下のその他のオプションから「プレーンテキストモード」のチェックを外す

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Step 4

送信先・件名を入力して送信(メルマガの場合、送信先メールアドレスが「BCC」に
なっているかを確認)また、以下の記事も参考にしてください。

Outlookから送信する方法

Gmailと同様に、OutlookでもHTML形式のメールを作成することが可能です。

OutlookでHTMLメールを送る手順

Step 1

既定の書式を変更する(表示タブ>ビューの設定)

Step 2

メールの新規作成画面を開く

Step 3

右上部にあるリボン表示オプションをクリックし、詳細なリボンに変更する

Step 4

適宜装飾を追加する。基本的な装飾は、一般的なエディターと同様

Step 5

送信先・件名を入力して送信(メルマガの場合、送信先メールアドレスが「BCC」になっているかを確認)

Macのメーラーから送信する方法

Mac標準のメールアプリでも、HTMLメールを送信できます。

Macの標準メールアプリでHTMLメールを送る手順

Step 1

Macのメールアプリを開く

Step 2

メッセージで、「フォーマット」>「リッチテキストにする」(現在のフォーマットが標準テキストの場合のみ使用可能)と選択

Step 3

適宜装飾を追加する。リッチテキスト(HTML)フォーマットには、書式設定、表、画像を含めることが可能

Step 4

送信先・件名を入力して送信(メルマガの場合、送信先メールアドレスが「BCC」になっているかを確認)

Thunderbirdの設定と送信方法

無料で利用できるThunderbirdでも、HTMLメールを送信できます。

ThunderbirdでHTMLメールを送る手順

Step 1

Thunderbirdを起動し、「新しいメッセージ」を作成

Step 2

メッセージペインの上部の書式バーにあるワープロ機能を使って、メッセージの外観をカスタマイズ

Step 3

送信先・件名を入力して送信(メルマガの場合、送信先メールアドレスが「BCC」になっているかを確認)

HTMLメールの送信方法

HTMLメールの準備ができたら、いよいよ実際に配信する段階です。
配信方法には、少人数向けに手動で送信する方法と、大規模向けにシステムを使う方法の2つがあります。
それぞれの特徴と使い方を見ていきましょう。

BCCで手動送信する方法(小規模向け)

配信対象が少人数(例えば数十件程度)であれば、BCC(ブラインド・カーボン・コピー)機能を使って手動送信することも可能です。

BCC手動送信の基本手順

  1. メール作成画面を開く
  2. 宛先欄の「BCC」フィールドに複数の受信者アドレスを入力
  3. 本文にHTMLメールを貼り付けまたは挿入
  4. 件名・差出人名を確認して送信

BCC送信のメリット

  • 追加のコストなしで手軽に実施できる
  • 個別アドレスが他の受信者からは見えない

BCC送信のデメリット

  • 1通あたりの送信数制限(Gmailなら最大500件/日など)に注意
  • 開封率やクリック率のトラッキングができない
  • 情報漏洩のリスクやスパム判定による配信制限

メール配信システムを使って一斉配信

配信対象が数百件以上になる場合は、専用のメール配信システムやマーケティングオートメーションツール(MAツール)を利用するのが現実的です。

配信システムを使った基本手順

  1. 配信システムにHTMLメールをアップロードまたはエディタで作成
  2. 配信リスト(宛先リスト)を登録
  3. 件名・差出人設定、配信スケジュールを設定
  4. テスト配信で表示やリンクをチェック本配信を実施

配信システム利用のメリット

  • 配信数制限を気にせず大量送信が可能
  • 開封率・クリック率・配信エラー率など効果測定ができる
  • 配信停止管理(オプトアウト)機能が標準搭載されている

注意点

  • 無料プランでも一定の機能は使えるが、本格的な運用には有料プランが必要になる場合も
  • メールの品質(認証設定やドメイン管理)によっては迷惑メール扱いされるリスクがあるため、初期設定は慎重に行う

Zoho Campaigns の導入事例

単体のMAツールでは配信のたびに連絡先のインポートが必要でしたが、Zoho CRM とZoho Campaigns を連携させればスムーズに連絡先情報を同期できますし、リストやセグメントで対象ごとの配信も可能となるため、使い勝手が良いと感じています。

株式会社イムラ

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特にHTMLのメルマガを、ドラックアンドドロップで簡単に作成できる機能は重宝しています。「誰でも簡単に使いこなせるツール」だと思います。

セイスイ工業株式会社

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Zoho Campaigns のレポート機能を活用して、電話でフォローし、顧客管理データベース上にお客さまの状況をアップデートするようにして商談に活かしています。

株式会社コンテックス

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要件に合う機能が一通りそろい、結果がわかり改善ができる機能(A/Bテスト)も魅力でした。Zoho Campaigns は配信先数による課金体系で、売上の増加と連動する条件で費用対効果が出せるのが選定の決め手となりました。

株式会社すららネット

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サイトに設置しているメルマガ配信の申し込みフォームから登録された方などは自動でデータをインポートして配信しています。メールの開封率は、平均30%くらいあり、集客メールを配信するとすぐに数件の申し込みが確認できています。

株式会社オプンラボ

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