製造業における人事評価の課題
職務によって大きく異なる評価項目
製造業における人事評価が難しい根本的な理由は、同一企業内で全く異なる二つの評価基準が共存していることにあります。
一つ目は、研究開発や営業部門のように、イノベーションや成果が強く求められる分野です。もう一つは、製造現場のように、標準化されたルールの遵守や安全性、正確性が最優先される分野となります。
多くの失敗事例は、これら二つの要素を無理に一つの評価フォーマットに統合しようとした際に生じています。特に製造現場において、単純に成果主義(数値目標の達成度のみで評価する方法)を導入することは非常に危険です。
過度な生産目標の追求は、安全確認の省略や設備の微細な異常の見落としを招く恐れがあります。製造現場で真に評価されるべきは、派手な成果ではなく、定められたルーチンを高い精度で着実に遂行するプロセス遵守と、そこから生まれる小さな改善の積み重ねです。
また、同じ製造現場でも職務によって評価項目は細分化されます。
人事評価シートを作成する際のテンプレートとしては、厚生労働省の職業能力開発シートが有名です。
同じねじ製作メーカーの中ですら「圧造・フォーマー」と「製造・タッピング」の間に評価項目に大きな差異があるのが確認できます。
職業能力評価シート抽出 選択能力ユニット ねじ製作(圧造・フォーマー)レベル3 スペシャリスト
| 能力ユニット | 能力細目 | 職務遂行のための基準 | |
|---|---|---|---|
| 圧造・フォーマーの高度加工 | ①圧造・フォーマー高度加工の企画・計画 | 43 | 圧造・フォーマー及び付属機械の取扱いや条件設定、関連技術についても幅広い知識を有している。 |
| 44 | 設備・機械の傾向を考慮した段取りを行うなど、効率的、かつ、高精度な加工を行うための作業準備を迅速に行っている。 | ||
| 45 | 加工品の形状や加工法に応じて治工具を考案し製作するなど、必要となる工具等の研削及び最適な治工具の考案や準備を行っている。 | ||
| 46 | 圧造・フォーマーの作業手順書や作業マニュアルの作成を行うと同時に、品質向上や作業の効率化に向けたプロセスの見直しや工夫を行っている。 | ||
| 47 | 圧造・フォーマー作業におけるコツやポイントを部下や後輩に指導して技能継承に取り組んでいる。 | ||
| ②圧造・フォーマー高度加工の実施 | 48 | 材料の状態や加工の形状・要求精度など様々な条件を考慮しながら、圧造・フォーマー及び付属機械の条件を設定している。 | |
| 49 | 設備・機械の性能を最大限に引き出し、自由自在に操りながら、極めて複雑かつ高精度・高品質な加工を行っている。 | ||
| 50 | 材料、金型・治工具、検査具・測定具、生産設備、加工条件(潤滑油・冷却油も含む)が適切かどうか判断している。 | ||
| 51 | 加工経験に乏しい材料への対応、応用加工・特殊加工への対応など、加工方法を創意・工夫しながら様々な加工条件に柔軟に対応している。 | ||
| 52 | 圧造・フォーマー及び付属機械の些細な異常も見逃すことなく、故障・トラブルの未然防止処置を行っている。 | ||
| ③作業の評価と検証 | 53 | 圧造・フォーマー及び付属機械、金型などを常に最良の状態に維持するため、日常保全、精度検査、定期点検などの自主保全を的確に行っている。 | |
| 54 | 不良品や設備のトラブルの発生原因が複雑な場合、自ら直接問題解決に当たり、必要に応じて関係部門と連携しながら原因を解明し、適切な処置を行っている。 | ||
| 55 | 加工品質に影響するパラメーター(材料、金型・治工具、計測機器、生産条件、加工条件)の変化点及び品質を把握し、適切に合否判定、処置・対策を実施している。 | ||
| 56 | 計算を要する複雑な測定、五感による加工状態の判定など、目的に即した手法を選択しながら加工品を正確に測定、計測、検査している。 | ||
| 57 | 外観検査における製品の良否判定基準の取決めを行っている。 | ||
| 58 | 効率的な測定、計測、検査を行うための改善を実践している。 | ||
| 59 | 要求品質に対してばらつきが生じた場合に精度を保持・保障するための改善を行ったりするなど、加工品の品質の安定化を実現している。 | ||
職業能力評価シート抽出 選択能力ユニット ねじ製作(製造・タッピング)レベル3 スペシャリスト
| 能力ユニット | 能力細目 | 職務遂行のための基準 | |
|---|---|---|---|
| 転造の高度加工 | ①転造高度加工の企画・計画 | 43 | 転造加工用機械及び付属機械の取扱いや条件設定、関連技術についても幅広い知識を有している。 |
| 44 | 設備・機械の傾向を考慮した段取りを行うなど、効率的、かつ、高精度な加工を行うための作業準備を迅速に行っている。 | ||
| 45 | ブランクの形状や加工法に応じて治工具を考案し製作するなど、必要となる工具等の研削及び最適な治工具の考案や準備を行っている。 | ||
| 46 | 転造の作業手順書や作業マニュアルの作成を行うと同時に、品質向上や作業の効率化に向けたプロセスの見直しや工夫を行っている。 | ||
| 47 | 転造作業におけるコツやポイントを部下や後輩に指導して技能継承に取り組んでいる。 | ||
| ②転造高度加工の実施 | 48 | ブランクの状態や加工の形状・要求精度など様々な条件を考慮しながら、転造及び付属機械の条件を設定している。 | |
| 49 | 設備・機械の性能を最大限に引き出し、自由自在に操りながら、極めて複雑かつ高精度・高品質な加工を行っている。 | ||
| 50 | 材料、金型・治工具、検査具・測定具、生産設備、加工条件(潤滑油・冷却油も含む)が適切かどうか評価している。 | ||
| 51 | 加工経験に乏しい材料への対応、応用加工・特殊加工への対応など、加工方法を創意・工夫しながら様々な加工条件に柔軟に対応している。 | ||
| 52 | 転造加工用機械及び付属機械の些細な異常も見逃すことなく、故障・トラブルの未然防止処置を行っている。 | ||
| ③作業の評価と検証 | 53 | 転造加工用機械及び付属機械、金型などを常に最良の状態に維持するため、日常保全、精度検査、定期点検などの自主保全を的確に行っている。 | |
| 54 | 不良品や設備のトラブルの発生原因が複雑な場合、自ら直接問題解決に当たり、必要に応じて関係部門と連携しながら原因を解明し、適切な処置を行っている。 | ||
| 55 | 加工品質に影響するパラメーター(材料、金型・治工具、計測機器、生産条件、加工条件)の変化点及び品質を把握し、適切に合否判定、処置・対策を実施している。 | ||
| 56 | 計算を要する複雑な測定、五感による加工状態の判定など、目的に即した手法を選択しながら加工品を正確に測定、計測、検査している。 | ||
| 57 | 外観検査における製品の良否判定基準の取決めを行っている。 | ||
| 58 | 効率的な測定、計測、検査を行うための改善を実践している。 | ||
| 59 | 要求品質に対してばらつきが生じた場合に精度を保持・保障するための改善を行ったりするなど、加工品の品質の安定化を実現している。 | ||
| タッピングの高度加工 | ①タッピング高度加工の企画・計画 | 60 | タッピングマシン(タッパー)及び付属機械の取扱いや条件設定、関連技術についても幅広い知識を有している。 |
| 61 | 設備・機械の傾向を考慮した段取りを行うなど、効率的、かつ、高精度な加工を行うための作業準備を迅速に行っている。 | ||
| 62 | ブランクの形状や加工法に応じて治工具を考案し製作するなど、必要となる工具等の研削及び最適な治工具の考案や準備を行っている。 | ||
| 63 | タッピングの作業手順書や作業マニュアルの作成を行うと同時に、品質向上や作業の効率化に向けたプロセスの見直しや工夫を行っている。 | ||
| 64 | タッピング作業におけるコツやポイントを部下や後輩に指導して技能継承に取り組んでいる。 | ||
| ②タッピング高度加工の実施 | 65 | ブランクの状態や加工の形状・要求精度など様々な条件を考慮しながら、タッピング及び付属機械の条件を設定している。 | |
| 66 | 設備・機械の性能を最大限に引き出し、自由自在に操りながら、極めて複雑かつ高精度・高品質な加工を行っている。 | ||
| 67 | 材料、金型・治工具、検査具・測定具、生産設備、加工条件(潤滑油・冷却油も含む)が適切かどうか評価している。 | ||
| 68 | 加工経験に乏しい材料への対応、応用加工・特殊加工への対応など、加工方法を創意・工夫しながら様々な加工条件に柔軟に対応している。 | ||
| 69 | タッピングマシン(タッパー)及び付属機械の些細な異常も見逃すことなく、故障・トラブルの未然防止処置を行っている。 | ||
| ③作業の評価と検証 | 70 | タッピングマシン(タッパー)及び付属機械、金型などを常に最良の状態に維持するため、日常保全、精度検査、定期点検などの自主保全を的確に行っている。 | |
| 71 | 不良品や設備のトラブルの発生原因が複雑な場合、自ら直接問題解決に当たり、必要に応じて関係部門と連携しながら原因を解明し、適切な処置を行っている。 | ||
| 72 | 加工品質に影響するパラメーター(材料、金型・治工具、計測機器、生産条件、加工条件)の変化点及び品質を把握し、適切に合否判定、処置・対策を実施している。 | ||
| 73 | 計算を要する複雑な測定、五感による加工状態の判定など、目的に即した手法を選択しながら加工品を正確に測定、計測、検査している。 | ||
| 74 | 外観検査における製品の良否判定基準の取決めを行っている。 | ||
| 75 | 効率的な測定、計測、検査を行うための改善を実践している。 | ||
| 76 | 要求品質に対してばらつきが生じた場合に精度を保持・保障するための改善を行ったりするなど、加工品の品質の安定化を実現している。 | ||
(出典:職業能力開発シート / 厚生労働省 より一部抽出)
Excel管理の限界
製造業特有の課題の一つに、スキルマップ(力量管理表)の管理があります。多くの現場では、どの従業員がどの機械を操作できるか、またどの工程を担当できるかを、表計算ソフトや紙ベースで管理しているのが現状です。しかし、Excelや書類による管理には複数の欠陥があります。
更新頻度が低く、最新の状況が反映されていない
個人の評価シートとスキルマップが連動していない
「できる」と判定された根拠が曖昧で、班長の主観に依存している
このままでは、団塊世代のベテランが退職した後に「誰もこの機械を操作できない」という事態を避けられません。技能伝承(技術継承)を真剣に推進するのであれば、スキルマップを単なる一覧表にとどめず、教育計画や評価と連動した、実践的で活用可能なデータベースへと進化させる必要があります。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型のハイブリッド戦略
近年注目を集めている「ジョブ型雇用」ですが、日本の製造業においては慎重に導入を検討する必要があります。
高度な専門技術を有するエンジニアや、特定の役割を担う工場長クラスに対しては、職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づくジョブ型評価が効果的です。
一方で、多能工化が求められるライン現場においては、業務範囲を限定せずに互いに支え合うメンバーシップ型の要素も技能伝承において重要な役割を果たしています。
つまり、製造業の人事評価には、職種や階層に応じて評価ロジックを柔軟に切り替えられる機能が不可欠です。画一的なパッケージソフトでは、こうした現場の細やかなニーズに対応することは困難です。
製造業における人事評価と人事評価システムのあり方
これらの課題を踏まえると、これからの製造業における人事評価システムには、以下の3つの要件が求められます。
を許容する柔軟性
シームレスな結合
「見えない貢献」の可視化
複合的な評価制度を許容する柔軟性
全社共通の評価シートを一律に適用するのは合理的ではありません。成果を重視する部門と、プロセス(行動特性)を重視する部門では、それぞれ異なる評価ロジックを一つのプラットフォーム上で共存させる必要があります。制度を分断することなく、運用面では最適化を図る。このバランス感覚こそが、人事評価に求められる要件です。
その点、Zoho People の強みのひとつは、評価項目カスタマイズの柔軟性です。営業職には「目標管理(MBO)」ベースのフォームを、製造現場には安全遵守や改善提案数を重視した「コンピテンシー評価」フォームを適用するなど、職種ごとに全く異なる評価プロセスを一つのシステム内で構築できます。
これにより、全社的なデータ統合と、現場に即した納得感のある評価を両立できます。

評価と育成のシームレスな結合
「評価して終わり」では意味がありません。「スキルが不足している」と判定された従業員に、自動的に次に受講すべき研修や習得すべきマニュアルが提示される仕組みが必要です。これまで現場のOJTに任せきりだった育成から、評価データを起点としてシステムが補完する体制への移行が求められています。
Zoho People のスキルマップ管理機能は、マネージャーによるメンバーの状況把握や従業員教育を支援します。さらに、学習管理メニューにマニュアルや作業指示動画を「営業」「生産管理」「品質管理」などのコースに分類してアップロードし、スキルマップと連動させてトレーニングに活用することもできます。

安全や技能伝承に対する「見えない貢献」の可視化
ライン作業における貢献は、生産数量だけで評価できるものではありません。「トラブルの兆候にいち早く気づいた」「後輩の指導に熱心に取り組んだ」といった、数値化が難しい貢献の過程をしっかりと捉える仕組みこそが、現場の納得感(エンゲージメント)を高める基盤となります。
Zoho People なら、直属の上司だけでは見逃してしまう現場の貢献を、360度評価機能によって多角的に収集できます。同僚からの「ありがとう」や「助かった」というフィードバックを評価に組み込むことで、数値成果が出にくい現場スタッフのモチベーション維持に大きく貢献します。

Zoho People はかんたんに導入してかんたんに使える、
初めての導入に最適な人事評価システムです
Zoho People のインターフェイスは、説明不要で誰でも使えます。かんたんで直感的なZoho People を使用するために、IT知識は必要ありません。
画面言語は日/英含む24言語に対応している点も多くのお客様に喜ばれています。Zoho People は、外国人労働者を抱える製造業の企業様にとっても最適な人事管理ソリューションです。
まずは無料トライアルで、その優れた機能性と操作性を、ご体感ください。
「どのプランが適しているか分からない」「契約前に確認したい
ことがある」などお気軽にお問い合わせください。
