「誰に業務が集中しているか」を人単位で可視化
Zoho People の工数管理で進めるリソースマネジメント改革

- 株式会社NX総合研究所
- 所在地東京都千代田区神田和泉町2番地
- 業種シンクタンク・コンサルティング
- 設立1961年(昭和36年)3月15日
物流・ロジスティクスに特化した、国内有数のシンクタンク・コンサルティング会社である株式会社NX総合研究所。コンサルタントや研究員が中心の同社では、成果主義のもと、各メンバーが自律的に案件を手がける文化が根づいていた。一方で、「誰が・どの仕事に・どれだけ時間をかけているか」という稼働の“中身”は見えにくく、特定の個人に業務が集中しても、実態の把握には感覚に頼るほかなかった。
こうした課題を背景に、同社が工数管理の用途で導入したのが「Zoho People 」である。プロジェクト単位ではなく“人単位”で稼働を可視化できる点を評価して採用に至り、現在は約60名のコンサルタントと事務スタッフが日々の工数を入力し、業務量の偏りの発見や、見積り工数と実績工数の対比による改善へと活用を広げている。
導入の背景や選定の決め手、現場に入力を定着させるための工夫、そして見え始めた変化、同社取締役の井上浩志氏に話を聞いた。
「これまで感覚に頼っていた“誰に・どの仕事が集中しているか”を、人単位で可視化できるようになりました」
株式会社NX総合研究所取締役 兼 リサーチ&コンサルティング ユニット4 ゼネラルマネージャー 井上 浩志 氏
― まず、株式会社NX総合研究所の事業概要と強みについて教えてください。
井上氏:当社は「NX」という社名の通り、NX(NIPPON EXPRESS)グループのシンクタンク・コンサルティング会社です。設立は1961年で、物流分野のシンクタンクとしては国内で最も長い歴史を持ち、積み重ねてきた知見や調査データが強みです。また、NXグループの一員として「現場にすぐ行ける」「現場をよく分かっている」点は、戦略系のコンサルティングとは違う持ち味です。近年は物流コンサルティング業務が増加傾向にありますが、提案も抽象論ではなく、すぐに着手できること、中長期で取り組むことを具体的に提示し、お客様に伴走しながら進めています。
― 井上様ご自身の役割と、今回の導入での立場を教えてください。
井上氏:取締役とゼネラルマネージャーを兼任し、コンサルティング部門のユニットと、デジタルソリューション事業を主に管掌しています。今回のZoho People 導入は、私とサポートメンバー1人の2名体制のプロジェクトで、私は推進責任者として携わりました。Zoho People は現在、役員と総務を除く全部門、ユニット1から5までのメンバー全員、約60名が工数管理の用途で利用しています。
― Zoho People 導入前は、社員の稼働をどのように把握されていたのでしょうか。
井上氏:当社は成果主義で、案件ごとの金額は可視化される一方、これまではコンサルタントの案件に関わるプロセスが重視されてきませんでした。良くも悪くもメンバーの裁量に任される環境で、各自が目標金額に向けて自発的に案件に手を挙げ、進めていくスタイルです。その結果、一人ひとりが「どの仕事に、どれだけ時間をかけているか」という稼働の“中身”は、なかなか把握できませんでした。
株式会社NX総合研究所 取締役 兼 リサーチ&コンサルティング ユニット4 ゼネラルマネージャー 井上 浩志 氏
成果主義の裏で見えなかった“稼働の中身”を
“人単位”でシンプルに可視化できる点が決め手に
― 稼働の中身が見えないことで、どのような問題が生じていたのでしょうか。
井上氏:いちばんは、業務量の偏りです。人によっては夜遅くまで働く一方で、比較的、余裕がある人もいる。ただ、その実態は感覚値としてしか把握できませんでした。「何にそんなに時間がかかって忙しいのか」が見えないので、改善もうまく進みません。そこで、働き方改革で長時間労働の是正に取り組むのを契機に、稼働状況のデータによる可視化を実現したいと考えました。
― 過去にも、工数管理に取り組まれたことがあったと聞きました。
井上氏:はい。以前は別のツールで工数入力を試みたのですが、定着しませんでした。今振り返ると、「何のためにやるのか」という目的が十分に共有されないまま「とにかく工数を入力してください」とお願いしていたんですね。入力しない人や、1週間分をまとめて入力する人もいるため、実態と乖離したデータも少なくありませんでした。入れない人への声かけやサポートの仕組みもなく、運用ルールが整っていなかったことも、定着しなかった原因でした。
― その反省を踏まえ、今回はどのような方針で臨まれたのですか。
井上氏:まず、取り組みの目的を4つ明確にし、説明会で共有しました。「労働時間の適正管理・負荷管理」「業務効率化・コスト意識の醸成」「リソース配分の最適化」、そして「過去の類似案件の実績活用」です。これらを理解してもらったうえで、日々入力することを徹底しました。
― 工数管理には「プロジェクト単位」と「人単位」の見方がありますが、どちらを重視されたのでしょうか。
井上氏:私たちが知りたかったのは、「1日の中で、誰がどのプロジェクトにどれだけ時間を使っているか」という人単位の情報でした。プロジェクトの中の細かい作業まで把握できれば理想ですが、過去の経験からも、そこまで細かい粒度で把握するよりも、まずはプロジェクト単位で「どの案件に従事していたか」を確実に可視化することを優先しました。
― Zoho People を検討するきっかけは何だったのでしょうか。
井上氏:もともと当社では、デジタルソリューション事業でZoho CRM を導入し、その後全社に広げて使っていました。そこで「Zohoに工数管理に使える機能はないか」と探したのが出発点です。当初はZoho Projects から検討を開始し、社長から「Zoho People でも工数管理ができそうだ」と助言を受け調べてみると、私たちの目的に合致していることが分かりました。Zoho Projects はプロジェクトの進捗管理が中心で、「案件がどこまで進んだか」を見るツール。一方、私たちが見たかったのは「人が1日のうち、どのプロジェクトに時間を使ったか」です。その点で、Zoho People の工数管理機能が合致していました。
― 最終的な決め手は何だったのでしょうか。
井上氏:やはり、プロジェクト単位で見積り工数と実績工数を入力できるという、私たちにとって必要最低限の機能要件が満たされていたこと。そして、誰でも直感的に使えるシンプルさと分かりやすさが決め手でした。加えて、コストパフォーマンスの高さも総合的に勘案し、Zoho People の導入に至りました。


“入力漏れがある”前提で組んだ、定着の仕組みと
可視化によりマネジメントに生まれた「変化」
― 導入までは、どのようなスケジュールで進められたのですか。
井上氏:2025年5月にお問い合わせをして、しばらく無償トライアルで検証しました。目処が立ったところで、まず私のユニットの11名で9月1日から先行導入し、11月から全社に展開しました。
― 導入で最も工夫された点はどこでしょうか。
井上氏:「いかに入力を習慣づけてもらうか」です。過去の失敗から、「入力が漏れる人はいる」という前提で運用を組みました。具体的にはリマインドの仕組みで、当社は定時が18時なので、17時頃に「今日の工数を入れてください」という通知が全員に届きます。それでも入力を忘れた人には20時頃に再度メールを送り、翌日10時には、上司であるGM(ゼネラルマネージャー)に未入力の社員に対するフォローを促すメールが自動で届く仕組みにしました。こうした入力を促す仕組みが、運用の定着に寄与した一つの要因だと思います。
― マネージャーを巻き込む設計を、どのように実現したのでしょうか。
井上氏:リマインドの仕組みそのものは、ゾーホージャパンの担当の方に「こういうことをしたいのですが、どうすればできますか」と相談しながら一緒に作り上げました。入力は、見積り工数と実績工数の両方をプロジェクトごとに、30分や1時間単位で、1日のスケジュールを振り返りながら埋めていくイメージです。細かすぎず、現場が無理なく続けられる粒度を意識することで、マネージャーの理解を得ました。
― 現在は、蓄積したデータの分析フェーズに入られたそうですが、どのような変化が見え始めていますか。
井上氏:本格的な効果を実感するのはこれからですが、確実に変わったのは「個人ごとに、稼働の状況が見えるようになった」ことです。営業日数から考えれば一定の工数が入っているはずなのに入力が少ない人や、逆に想定を大きく超えて働いている人が、データから浮かび上がってきます。これまで感覚でしか把握できなかった稼働状況が、根拠を持って把握できるようになりました。
― そのデータは、どのように活用されているのでしょうか。
井上氏:2026年5月初旬には、蓄積したデータをもとに得られた気付きを整理し、GM以上で共有・意見交換をしました。働きすぎの傾向が見られる人は理由を確認して改善し、逆に余力のありそうな人には逼迫したプロジェクトを手伝ってもらう、といった調整につなげ始めています。感覚頼みだったアサインの判断に、データの裏付けが加わりつつあります。採算面でも、受注時に想定した工数に対して実際どれだけかかったかを振り返れるようになり、プロジェクトリーダーが自分の案件を意識するきっかけになっています。

― 現場のマネージャーの方々の反応はいかがですか。
井上氏:「こういう情報も取れたほうがいいのでは」「この見方はどうだろう」といった意見が、GM以上の打ち合わせで活発に出るようになりました。可視化そのものよりも、それをきっかけにマネジメント層の議論や意識が変わりつつあることのほうが、今は大きな手応えだと感じています。


可視化の先にある、リソースマネジメントの高度化
― 導入にあたって、ゾーホージャパンのサポートはいかがでしたか。
井上氏:本当に手厚く対応していただきました。特にレポートの作成は自分だけでは難しく、「こういう集計を出したいのですが」とメールでスクリーンショットをやり取りしながら、一つひとつ教えていただきました。これができなければ導入そのものができなかったと思うので、非常に助かりました。単に操作を教えるだけでなく、「なぜそれを知りたいのですか」と目的から聞いてくださるので、ある意味、コンサルティングに近い関わり方をしていただいたと感じています。
― 今後、蓄積したデータをどのように活用していきたいですか。
井上氏:まずは、どのプロジェクトで誰が、見積り工数に対してどれだけの実績だったのかを正確に把握し、管理職以上が一人ひとりの働き方を理解する。次の段階として、プロジェクトリーダー自身が、自分のメンバーの稼働や見積りと実績の差を意識しながらマネジメントできる状態を目指します。さらにその先は、プロジェクトの振り返りです。過去の類似案件も、これまでは企画書上の見積りしか参照できませんでしたが、実績ベースの工数も併せて見られるようになれば、より精度の高い見積りが立てられます。
― 健康面への活用も重視されているとうかがいました。
井上氏:そこは最も大切にしたい点です。働きすぎの傾向がある人には定期的に声をかけ、負荷をどう軽減できるかを一緒に考える。可視化を、単なる管理ではなく社員を守るために使っていきたい。将来的には、AIが稼働の異常に気付いて本人やマネージャーにアラートを出し、対話のきっかけをつくってくれる形になると理想的ですね。
― 最後に、工数管理やリソースの可視化に課題を感じている企業の担当者へ、メッセージをお願いします。
井上氏:大切なのは、「可視化すること自体を目的にしないこと」だと思います。可視化した先で何をしたいのかを起点に、そこから逆算して最適なツールを選ぶのがよいでしょう。Zoho People は、1日を振り返って、プロジェクト単位・業務単位でライトに工数を入力していくような使い方にとても向いています。すぐに始めたい、コストパフォーマンスよく取り組みたいという企業には、特におすすめできます。まずは現状を把握するところから、スモールスタートしてみてはいかがでしょうか。

株式会社NX総合研究所
- 所在地:東京都千代田区神田和泉町2番地
- 業種:シンクタンク・コンサルティング
- 事業内容:・物流コンサルティング
・デジタルソリューション
・調査・研究
・物流人材育成/SCM教育 - 設立:1961年(昭和36年)3月15日
- URL :https://www.nx-soken.co.jp/
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