1. ZOHO CRM
  2. CRM/SFA 導入事例
  3. 合同会社高知カンパーニュブルワリー

CRM/SFA 導入事例Zoho CRM で集めた顧客情報を起点に
ECサイトを中心としたBtoC販路の強化に成功。
実店舗と統合したマーケティングも視野に

今や全国各地に600以上あるといわれるクラフトビール製造業者。
各々が地域独自の原材料を用いるなど、醸造者のこだわりの製法によって生み出される味わいは、主に小売店を通して一般消費者に親しまれている。

そんなクラフトビールの消費形態に大きな変化が訪れたのが2020年のこと。
新型コロナウイルス感染症の拡大により飲食店が軒並み営業自粛となり、製造者たちは新たな販路を見出さざるを得なくなったのだ。
本事例で紹介する合同会社高知カンパーニュブルワリーもそんな時流を受けて、新たな取り組みを目指した製造者のひとつ。同社ではECサイトに注力することで、手薄だったBtoCにも進出。Zoho CRM による顧客情報に立脚したマーケティング・販売活動へ着手し始めている。

合同会社高知カンパーニュブルワリーの代表・瀬戸口信弥氏と、Zoho CRM の導入を支援した森本伸夫氏に話を聞いた。

「これまで見えなかった顧客の姿を、定量化し、細部まで可視化できるのがZoho CRM の最大の魅力。ECだけでなく今後オープン予定の直営店におけるPOS連携なども期待しています」

合同会社高知カンパーニュブルワリー
代表取締役 瀬戸口信弥氏

―はじめに、高知カンパーニュブルワリーについて教えてください。

瀬戸口氏:当社は2017年、高知県香美市に創業したクラフトビールメーカーで、ビールの製造及び販売を主要な事業としています。
主力商品はゆず・土佐文旦の果皮や棚田米といった高知県産の素材を使った高知県で初めてとなるクラフトビール『TOSACO(トサコ)』というブランド。一般的にクラフトビールは苦みが強く特に女性は苦手とする人も多いのですが、『TOSACO』はビールが苦手な方でもおいしく飲んでいただける味に仕上げており、男女問わず多くの人に支持されています。
通常、我々のような小規模なクラフトビールメーカーは、コンパクトなスタートアップが基本。ですが、当社はあえて醸造設備なども自分たちの手で作り、ビールを製造しています。
また、いわゆるクラフトビールメーカーというのは、東京都内などに一般のお客様と直接触れ合えるパブやバー、直販施設などを設けるケースが多いのですが、当社の場合、それらは設けず、シンプルにビール製造だけに特化してきました。

―当初、卸販売がメインの販路だった貴社が、BtoCにも注力したのにはどのような経緯があったのですか。

瀬戸口氏:当初は卸販売だけで経営してきたところに、2020年新型コロナウイルスの感染拡大が直撃。その影響を受け、当社の主な取引先である飲食業からの発注は激減し、急遽ECによる一般消費者への販売に注力せざるを得ない状況に追い込まれました。
もちろんそれまでもECサイト自体はあったのですが、力を入れておらず月の売上も5~10万円程度と小規模なもの。このままでは売れないと考え、外部のWebデザイナーに協力を仰ぎ、ECサイトをデザインから一新するなど整備したところ、それだけでも売上が伸びたのです。ここからECが持つポテンシャルに気づかされました。

「お客様はどのような思いで買ってくれているのか?」
CRM導入への第一歩はそんな顧客情報への興味から

―なるほど。そこから、CRMへ興味を持たれたということですね。

瀬戸口氏:はい。ECにテコ入れをしたところ、売上自体はずっと伸びているので心配はありませんでした。
ただ、売れはするものの、「何人ぐらいのお客様がいて、どのくらいの頻度で買ってくれているのか?」、「どういう人が一番優良なお客様なのか?」といった情報が全く見えなかったのです。
野球に例えると「ヒットは打っているけど、正確な打率が分からない」という非常に気持ち悪い状態でした。
そんなタイミングで、とあるウェビナーを通して出会ったのが今回Zoho CRM の導入を支援してくださった森本商店の森本さん。森本さんのお話しを通して、CRM が持つさまざまな機能の中でも特に「数値的な定量性」が手に入るという部分に魅力を感じたのが大きかったですね。

―単に一般の方へ売るだけなら楽天市場などの既存プラットフォームでもできますが、そうではないと。

瀬戸口氏:その通りです。
BtoCで販売していく上で重要なのは、「お客様がどのような思いで当社の商品を選んでくれているのか?」であったり、「どのような商品を求めているのか?」という情報を起点として事業を組み立てていくことだと思います。
これまでも懇意の小売店やバイヤーを介して耳にすることはありましたが、面と向かってリアルな感想を自分のものにできると全く違う世界が見えてくるはずです。
実のところクラフトビール業界って、大半が当社のような小規模の製造者ばかりなので、まだまだCRMを使って、顧客情報に立脚した経営をできている会社はほとんどありません。
ですから、競合に先んじるという意味でもZoho を使いこなすという決意は間違ってはいないと思っています。

―今回、Zoho CRM の導入に際しては、他社製品との比較はされましたか。

瀬戸口氏:実は、CRMツールというもの自体、Zoho CRM をきっかけに知りました。
とっかかりは高知県内で行われたセミナーの中で講師の方が放った「Zoho CRM は低価格ながらいろいろな機能を備えている」という発言。この言葉がずっと頭の片隅に残っていたのです。
と言うのも、私自身、「これから直販(BtoC)を強化していくためには、やはり顧客中心にビジネスを構築しなければならず、それを実現する何らかの仕組みが必要だ」と常々考えていました。
お客様たちと直接関わるからこそ、「お客様がどういう思いをもってウチのビールを飲んでいるのか?」とか、「どういう製品を求めているのか?」という、“情報”を起点として事業を組み立てていく。これを実現するためには、顧客の意見が我々にきちんと届く状態にする必要がありますが、我々のような小規模のクラフトビール製造業者はまだそこまで手が回っていないのが現状です。
そんな折に、森本さんがウェビナーで見せてくれたのが、沖縄にあるアパレルショップの事例です。大企業ではない、我々とさほど変わらない規模のショップが、Zoho CRM を使うことで顧客情報に基づいたビジネスを実践している。それを見た瞬間、「Zoho CRM こそ私が実現したいことの理想形だ」と確信しました。

―具体的にはZoho CRM のどのような部分に惹かれたのでしょうか。

瀬戸口氏:「顧客情報に基づいたビジネスを実践したい」という大枠の考えがあった上で、特に大きな決め手となったポイントの一つは「見える化」です。
Zoho CRM なら一つひとつの定量性の分析結果を見ながら、「ファンがどれだけいるのか」、「施策を打ったらフォロワーが何人増えたのか」というようなデータが細かく可視化される。こういう情報がないとそもそも経営に必要なPDCAサイクルが回せませんからね。
また、Zoho SalesIQ を使い、Facebook と連携するだけで、一人ひとりの顧客の情報がビジュアライズされて視認できるという部分も革新的でおもしろいと思いました。
加えて、当社では工場に併設した直営店舗の出店を計画しているのですが、ちょうど森本さんのウェビナーでも「Zoho CRM を使ったアパレル直販店舗とオンラインストアの統合的運営」という事例を見せていただいたので、ゆくゆくは我々もそこを目指したいという将来的な願望もあります。

Shopifyとの連携によって蓄積した顧客情報を活用し、
実店舗のポイントカードといったマーケティング施策も視野に

―Zoho CRM を選ばれたのは必然だったともいえますね。では、ここからは導入を支援したZoho認定パートナーの森本さんも交えてZoho CRM の導入プロセスについて教えてください。

森本氏:本件におけるZoho CRM の導入は、はじめに私からやり方をお伝えして、実際の設定は瀬戸口さんと奥様ともう1名の社員さんの合計3人でやられました。
普通、こういったITツールの導入支援は、一から十まで全部パートナーがやってしまうんですね。でも、それだといざ初期設定が終わった後、お客様は提示された操作手順に従った運用はできるが、お客様独自の創意で運用していくのは難しくなってしまいがちです。
そうなっては困るので、私はあえてご本人の手でCRMを設定してもらうようにしています。今回もShopify連携まですべて瀬戸口さんご自身にやっていただきました。
また、この方法だと、CRMの使い方をレクチャーする「社内勉強会」がいらないというメリットもあります。
CRMに限らずITツールの導入に際しては、まず私のような専門家が導入担当者に教えて、その導入担当者が実際にツールを活用する社内のメンバーに教える......という流れが多い。でも、それだと時間がかかる上に、メンバーの中にはまじめに習得しようとしない人も少なからず出てきます。そういう事態を避けるためにも、実際に使う人に初期設定から全部ご自身でやってもらうわけです。
このような取り組みの結果、3か月ほどで導入が完了しました。

―森本さんの導入支援もあってスムーズに導入されたZoho CRM ですが、現在はどのように活用されていますか。

瀬戸口氏:導入して間もないこともあり、今はとにかく「CRMを基軸に業務を回していくことを習慣にしよう」と日々取り組んでいるところです。
たとえばメールを打つ際もメーラーではなくZoho CRM を立ち上げて、そこからメールを打つようにする。こうすることでお客様とのやり取りが顧客情報として蓄積されていきます。
あるいは、お客様から名刺をもらったらすぐにCard Scanner(カード・スキャナー)を通してZoho CRM へ登録する。
こうした一つひとつの基本的な作業を、実務を通して徹底しようとしているところです。

森本氏:高知カンパーニュブルワリーの場合、Shopifyと連携しているのでShopifyからどんどんデータが入ってきます。
たとえばShopifyの購入履歴はすべてZoho CRM にも蓄積されている。こうした蓄積が、今後マーケティング施策を打っていく際に生きてくると思います。
その他にもポイントカードを作ったり、POS連携を進めたり......やりたいことは山ほどあるのですが、あいにく瀬戸口さんが非常にお忙しい。

瀬戸口氏:Zoho CRM は他ツールとの連携を含めて、できることがたくさんありますが、実用性や操作性を加味して構築していくにはやはり私一人では難しいと思います。
森本さんのように親身になってサポートしてくれる人がいないと、せっかく手間暇かけて作っても、思っていたものと全然違うものに仕上がってしまうはずです。

森本氏:最初の第一歩のアカウント設定を間違えるだけで、地球の裏側にいってしまうので、「設定だけは絶対に一緒にやらせてください」とお願いしています。
ですから瀬戸口さん含めて、私の顧客はだいたい皆さん1か月ぐらいで、最初の設定は終わってしまうのでZoho ってそんなに難しいように感じていらっしゃらない。
実際、瀬戸口さんもShopifyとZoho CRM 、Zoho Campaigns 、Zoho SalesIQ の設定は、わずか1日で終えられました。

導入支援パートナーの親身なサポートを受けながら、
まずは実際に使える段階まで持っていくことが先決

―瀬戸口さんご自身は、現時点でのZoho CRM の導入効果をどのように感じてらっしゃいますか。

瀬戸口氏:導入してまだ間もないということもあるのですが、今は少しずつ手ごたえを感じ始めているところです。
今後、顧客の購入履歴を分析するところに到達すると、もっと目に見えて効果を実感できると思っています。
もちろん部分的な効果や期待はすでに感じています。たとえばチャットボットが使えるZoho SalesIQ もそのひとつ。Webサイトへの訪問者を追跡できるこのツールに、さらに顧客の個人名が紐付いてきたら、「またこの人がアクセスしてくれている」あるいは「購入してくれてる」とリアルな反応が見えておもしろそうです。
似たようなことはGoogle Analytics などでもできるかもしれませんが、Zoho ほど全てが紐付かない。
後はZoho CRM の一つの画面で顧客のあらゆる情報が瞬時に把握できる部分。画面を見るだけで、購入履歴などの顧客にまつわるさまざまな情報がひと目で細部にいたるまでキャッチできる――そんな画面を構築できれば、という期待感も大きいです。

―このインタビューにも同席されていますが、導入を支援した森本商店に対する評価はいかがでしょう。

瀬戸口氏:今回、Zoho CRM の導入に際しては、森本さんと一緒にあらかじめいくつかのフェーズに区切り、設計を進めています。
現時点は「フェーズ1」、つまりZoho CRM 導入までの部分が完了した段階ですが、ここまでは森本さんの支援もありかなりスムーズに進められたと思います。
先ほど森本さんもおっしゃっていましたが、今回の高知カンパーニュブルワリーにおける導入は基本的に「森本さんのレクチャーを受けて、実際に運用する私たちが自ら設定する」スタイルです。
ですが、もちろん分からないことが出てきたらZoom でつないで教えてもらったり、同じくZoho のコミュニケーションツール・Zoho Connect で質疑応答を行うなど、常に森本さんが伴走してくださる。だからこそ、3か月という比較的短期間で導入できたのだと思います。

―最後にZoho CRM の導入を検討されている方にメッセージをお願いします。

瀬戸口氏:Zoho CRM は他ツールとの連携を含めて機能が非常に豊富です。
ですから、はじめは「これを使いこなしたら、ものすごく生産性が上がるんだろうな」という大きな期待感が得られます。
しかし、とはいえ使ったことのないITツールを導入するわけですから、当然、軌道に乗るまでにはある程度の“慣れ”は必要だということは頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれません。
自分の中で「将来的にこんな画面を組んでみたい!」という理想像を描くことで、高いモチベーションで自分のものにしていけると思います。

森本氏:Zoho CRM は、実際にやってみると実に簡単です。
ユーザーインターフェースに慣れるまで少し時間がかかるので、急いであれこれやろうとするのではなくまずは使える段階までもっていくことが重要です。
私が「フェーズ1」って言ってるのは「Zoho CRM の導入が終わり、実際に使える段階になること」。将来的にさまざま自動化や効率化を実現するためにも、まずはここまでを目指すことをおすすめします。

合同会社高知カンパーニュブルワリー

  • 所在地:高知県香美市土佐山田町栄町2番29号
  • 業種:食料品
  • 従業員数:4名(2020年2月時点)
  • ビジネス:BtoB/BtoC
  • 事業内容:・酒類製造業(ビール・発泡酒)
    ・お客様独自のオリジナルビールの製造・販売
    ・お客様独自のオリジナルラベルでの販売 他
  • 創業:2017年
  • URL :https://tosaco-brewing.com/

導入支援パートナーについて

森本商店

森本商店では、戦略立案の代表事例として、2003年から始まった北海道ニセコ倶知安町観光協会の戦略立案支援があります。BSC(Balanced Score Card)を利用することで、運営組織の設立(くっちゃん観光局、DMOのベース)から始まり、どのように顧客を増やしてゆくかを中長期の観点で戦略構築し、その実践を確実なものにしました。 DXについては、観光協会のデジタルマーケティングとして、Zoho CRM Plusの導入と活用を推進しています。

  • 本社所在地:〒233-0006 神奈川県横浜市港南区芹が谷4-2-28-304
  • 設立:2006年5月
  • 従業員数: 2名
  • 業種:ITコンサルティング
  • パートナー認定: 認定パートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域: 全国
  • 対応サービス: 全サービス
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