1. ZOHO CRM
  2. CRM/SFA 導入事例
  3. NPO法人キープ・ママ・スマイリング

CRM/SFA 導入事例小児病棟に泊まり込む家族を支える事業をZoho CRM で一元管理。申し込み受付、発送、在庫管理もワンストップで完結。

難病と闘う子どもたち。子どもと同じ病室に泊まり込み、付きっきりで看病する家族の力になりたい——。自らも当事者であった一人の女性が設立した特定非営利活動法人(NPO法人)キープ・ママ・スマイリング。
主要事業の「付き添い生活応援パック」は、小児病棟などでの付き添い入院する家族のための食事や生活必需品など、企業から募った寄付品を、病室まで届ける。そのためには、支援を希望する家族、病院、個人・企業の寄付者といった多岐にわたるステークホルダーとの良好な関係性が不可欠であり、ともすればその全容は一般企業よりも複雑だ。

「エクセルやGoogle スプレッドシートで管理していたステークホルダー情報をなんとか一元化したい」。属人化していた利用希望者の審査から発送も含めて完結できるツールとして選ばれたのが、Zoho CRM 。キープ・ママ・スマイリングが、Zoho CRM により、脱エクセルと業務効率化を達成するまでのプロセス、今後の展望などについて、同NPO法人理事長・光原ゆき氏と、導入パートナーとして支援した株式会社etika(エティカ)・宮村佳祐氏に話を聞いた。

「Zoho CRM のおかげで、“こんなことができたらいいな”と長年思い描いていた業務オペレーションを短期間で実現できました」

NPO法人キープ・ママ・スマイリング 理事長
光原ゆき氏

― はじめに、キープ・ママ・スマイリングの活動について教えてください。

光原氏:私どもは2014年に設立したNPO法人で、病気で入院している子どもに付き添う、お母さんやそのご家族を支援する活動をしています。
私自身も当事者だったのですが、世の中には先天性の病気などにより生まれながらに長期入院を余儀なくされる赤ちゃんや入院治療が必要な子どもたちが数多くいます。そんな子どものお母さんたちの多くが、病院に寝泊まりして看病しているのが実情です。

とはいえ、そこはあくまで病室。お母さんたちが寝泊まりするような設備は整っていません。簡易ベッドがあっても寝返りも打てず、仮眠を取るスペースも無く、食事はコンビニのおにぎりで済ませる…というような過酷な状況で長ければ1年にも及ぶ看病を付きっきりで行っています。
キープ・ママ・スマイリングはそんなお母さんやご家族を支援するために、おいしいご飯をお届けする「ミールdeスマイリング」と、食品、衛生用品や生活雑貨などをお届けする「付き添い生活応援パック」という、主に2つの支援を実施しています。

病院、支援団体、個人・企業の支援者…複雑なステークホルダー管理に複数のデータベースが乱立

― 活動内容を伺うと、さまざまな医療機関や企業、個人との連携が必要そうですね。

光原氏:はい。当法人では支援を受けるご家族、ご寄付くださる個人・法人、食品や生活必需品などを提供くださる企業などステークホルダーは実に多種多様です。
例えば、クラウドファンディングやふるさと納税を介して支援してくださる方もいれば、毎月定期的に支援してくれる「マンスリーサポーター」の方もおります。

また、私たちのもとにはしばしばたくさんの物資を寄付いただくことがあるのですが、その際、「付き添い生活応援パック」で梱包するだけではお届けしきれないそれらの物資を、全国各地にある「家族会」や「患者会」にお裾分けする場合もあります。これらの支援団体も重要なステークホルダーです。

私たちはそんな支援者に対して、活動報告書を送るなどさまざまなコミュニケーションを図るため、情報の管理が極めて重要です。

― システム導入の背景には、その複雑なステークホルダーの情報管理に課題があったということでしょうか。

光原氏:まさにその通りです。一部の寄付に関しては寄付決済と支援者管理機能を兼ね備えたシステムで管理できていたのですが、それ以外の寄付については、それぞれ個別のエクセルやスプレッドシートで管理している状況でした。
ただ、お話ししたように私たちの活動はステークホルダーが多岐にわたるため、管理も複雑です。複数のデータベースが乱立する状態になり、ステークホルダーへ何かアクションを起こそうにも、複数のデータベースを参照する必要が生じ、非常に手間がかかる状況になっていました。
「なんとかしてデータベースを一元化できないものか」と、考えるようになり、CRM(顧客管理システム)の導入を検討し始めました。
その際、候補として最初に名前が挙がったのは、多くのNPO法人が導入しているSalesforce でした。ところが、実際に使っている人の声を聞くと、どうやら私たちが使いこなすのは簡単ではなさそうだぞ、と。また、kintone も候補に挙がりましたが、いろいろ調べたところ、私たちがやりたいことを実現するのにはあまり適していない印象を受けました。
そんなこんなで1年以上システムを検討しているなかで、たまたま知ったのがZoho CRM 。そこから、今回導入を支援してくれた株式会社etika・宮村さんと出会い、詳しく聞いてみたところ、「Zoho CRM なら私たちがやりたいことは実現できそうだ」と、すぐに導入に踏み切りました。

― 数あるCRMの中から、Zoho CRM を選んだ決め手を教えてください。

光原氏:先ほどお話しした通り、当初はエクセルやスプレッドシートで管理していた支援者のデータベースを一元化したいというのがCRM導入の目的でした。
ですが、その前に実現したい喫緊の課題がありました。それは、「付き添い生活応援パック」応募者審査システムの構築です。
「付き添い生活応援パック」という、現在の活動の柱になっている事業は、まず利用を希望するお母さんなりご家族がWebフォームからエントリーし、その情報を私たちが確認して、応募条件に合致する方にパックを送付し、発送通知を送り、発送後にアンケートもお送りする、という手順を踏んでいます。
ところが、Zoho CRM を導入する前はこの複雑な業務を複数のスプレッドシートを横断しながら手作業で行っていました。
その結果、かなり複雑で手間のかかるタスクになり、特定のスタッフしか対応できない状況になっていました。つまり、業務が完全に属人化してしまっていたのです。
ですから、まずその確認から物資の送付、送付後のアンケート回収までを完結できるシステムをいち早く構築したいと考えました。これを実現するには、柔軟性とコストパフォーマンスを兼ね備えたZoho CRM しかないという結論に達しました。

Zoho CRM を中心に、「付き添い生活応援パック」の手間が半分に

― システムの具体的な設計については、今回、導入パートナーとしてサポートした株式会社etika・宮村さんに伺います。

宮村氏:「付き添い生活応援パック」のWebフォームは、応募者に対してかなり詳細にヒアリングするフォームになっています。
フォームから応募してもらい、支援品の発送処理を行い、最後にアンケートを回収するまでのオペレーションをZoho CRM を中心としたZoho ツール内で行えるようにしました。
具体的には、まずZoho Creator で作成したフォームを使って、入ってきた顧客情報をCRMへ受け渡します。その際、重複チェックをはじめとするさまざまなルールを設けて、「(前回の利用から)3カ月以内の人は申し込めないようにする」といった実際の事業運用ルールに即した挙動を実装しました。ここまでが第1フェーズとしての取り組みです。
続いて第2フェーズ。「付き添い生活応援パック」を構成する寄付品を企業から受け取って在庫管理する、という一連の流れの中には、支援者の企業データと寄付してもらう物品と、その寄付を受領する、というステップがあります。
これに関してもZoho Creator で在庫の入出庫管理ができるアプリを作成し、CRMに保存している寄付品在庫数の増減処理を簡単にできるようにしました。また、在庫の出庫についてはまとめて処理を行うケースも多く、Zoho Sheet 上で在庫数の増減処理をまとめて行うこともできるようになっています。「どの企業から、何を、どのタイミングで受領したのか」という情報を、Zoho CRM 上の取引先にひも付けました。
これにより、エクセル管理から脱却し、いつ何を受領して、それを在庫として管理していき、申し込みがあると、その在庫が減っていく」という在庫管理も実装しました。
この第2フェーズの山となったのが、データの一元化です。光原さんがおっしゃっていましたが、キープ・ママ・スマイリングへの寄付には通常の寄付に加え、クラウドファンディングやふるさと納税などさまざまな形式があります。それら複数の経路から寄付していただいた個人と企業のマスターデータをZoho CRM の中で管理する。そして、「寄付をしてくれた」というトランザクション(取引)データをZoho CRM へひも付けて毎月アップデートしていきます。
以前は複数のデータベースにまたがっていた顧客情報を一元化すると同時に、常にデータを重複などがないクリーンな状態で保持できるようにする、という部分大きなリソースを割きました。

光原氏:在庫管理は一番の悩みどころで、エクセルやスプレッドシートで管理していたころは、気がついたら在庫がマイナスになっていた、なんてこともありました。また、寄付をいただいたらその支援者に対して受領証を送るというタスクが、別のフローとしてあり骨が折れました。
しかし、Zoho CRM を導入してからは、その問題も解決しました。受領証もファイルで作ってメールで送るだけで完了するし、受領証の履歴もすべて残ります。かつ、そこに商品と在庫の数も入っていって、毎週その「付き添い生活応援パック」を作るたびに在庫を減らすという作業もZoho Sheet と連携しているので、入力するだけで個数が減る。Zoho CRM のおかげで、在庫管理にかかる手間は半分以下になったと思います。

それほど高度なIT知識がなくてもカスタマイズできる点も魅力

― Zoho CRM の導入にはどれくらいの期間を要しましたか。

宮村氏:第1フェーズに着手したのが2022年末で、そこから1月、2月、3月、と要件定義から設計、実装へと進めていきました。
2023年のゴールデンウィーク明けにリリースしなければならなかったため、4月末までに「付き添い生活応援パック」の申し込みからアンケートまでをワンストップで行えるシステムが構築できました。
現在(2023年8月時点)は第2フェーズを仕上げようとしている段階です。

― Zoho CRM の使い勝手や評価をお聞かせください。

光原氏:現在は、Zoho CRM を含むオールインワンパッケージであるZoho One を契約しています。
私たちには実現したいことがたくさんあって、一度作りこんでいただいたシステムに対して、「やっぱりこうしたい」とリクエストすることもざらです。そんな私たちの要求を、いつも迅速かつ柔軟に動いていただき、宮村さんには本当に感謝しています。
難しい部分は宮村さんにお願いしつつも、一方でZoho CRM はそれほど高度なIT知識がなくてもカスタマイズできる点も魅力です。たとえば、データを入れ替えるといったちょっとした修正は自分たちでも済ませられます。このあたりはとても便利だなと実感しているところです。
それに、Zoho にはCRM以外にもいろいろなツールがあります。先日もクラウドサインの導入を検討していたら、当団体はZoho One を導入しているのでZoho Sign で代替できることに気づきました。
また、私たちはいろいろなイベントを開催し、その際に参加していただいた方へアンケートを取る機会が多いんですね。Zoho を導入する前は、Google フォームでアンケートを取って、その結果をスプレッドシートで個別に管理していました。でも、今はZoho Survey とZoho CRM を連携させているので、アンケートの回収から集計、顧客情報との紐づけまでワンストップで行えるのでとても便利です。

たくさんのビジョンをZoho のプラットフォームを使って一つひとつ実現したい

― 今後の展望をお聞かせください。

光原氏:今回、宮村さんの協力を得てZoho を導入しましたが、まだまだ実現できていないことがたくさんあります。
私たちの活動は本当にたくさんのステークホルダーと入り組んだ連携の上で成り立っています。ですから、これからもまだまだつながっていけるところはあると思っていますし、今まで別にフォームを取ってたものも移植しながら、最終的にはZoho でまとめてステークホルダー情報を管理できるようにしたいですね。
もちろんキープ・ママ・スマイリングとしてももっと支援の輪を広げていきたいというビジョンもあります。
現在は、支援対象がお子さんの入院に付き添い泊まり込む親御さんのみとなっていますが、、ゆくゆくは「面会」という形で毎日病院に通われているご家族もサポートしていきたいですし、付き添い時の見守り支援や買い物支援なども行っていきたいです。こうしたたくさんのビジョンをZoho のプラットフォームを使って一つひとつ実現できればと思っています。

― 最後に、顧客管理システムの導入を検討しているNPO法人へ向けてメッセージをお願いします。

光原氏:私たちほど複雑なステークホルダー管理を行っているNPOはあまり無いのかもしれません。
これまで本当に情報管理には手こずってきましたが、Zoho CRM で十分に情報を管理できるようになってきましたし、業務効率化も図れています。今、情報管理で悩んでいる、あるいはもっと簡単でリーズナブルなシステムへ乗り換えたいと考えているNPOの皆さまにはおすすめしたいなと思います。

特定非営利活動法人キープ・ママ・スマイリング

  • 所在地:東京都中央区銀座4-13-19 銀林ビル4階
  • 業種:特定非営利活動法人
  • 正会員:46名(2023年10月時点)
  • 対象:BtoB/BtoC
  • 事業内容:小児病棟に付き添い入院中の家族に対する食事、食品・物品等の提供を通じた支援事業、普及啓発活動
  • 設立:2014年11月
  • URL :https://momsmile.jp/

導入支援パートナーについて

株式会社etika

Zoho CRM のカスタマイズはもちろん、他のZoho アプリ及び各種SaaSとのAPI連携によってお客様に最適なMA・CRM・販売管理システムを構築します。Zoho CRM の基本設定では満たせないカスタマイズも、過去のカスタマイズ経験と関数及びDelugeによって解決を目指します。
当社はオンライン及びチャットにて東京等の関東地方と中国九州地方を始めとして全国のクライアントを支援しています。

  • 本社所在地:〒750-0003 山口県下関市阿弥陀寺町7-8
  • 設立:2019年7月
  • 従業員数: 3名
  • 業種:ITサービス・コンサルティング
  • パートナー認定: 認定パートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域: 全国
  • 対応サービス: 全サービス
  • 詳細・お問い合わせはこちら