すべて表示する
このレッスンで学べること
このレッスンでは、CRM/SFAツールを活用することで、ステップメールの反応や営業成果をどのように見える化できるか、そしてその情報をどう次の施策改善につなげるかを学びます。Excelでの集計や個人の経験に頼った判断では捉えきれなかった「成果の傾向」や「見込み顧客の反応」が、CRM/SFAツールを使うことでリアルタイムかつ具体的に把握できるようになります。※CRM/SFAツールの例として、Zoho CRM の画面が登場します。
このレッスンで学べること | |
分析 |
|
メール分析のために知っておくべき主要指標
メールを送信した後は、結果を数値で把握し、その背景にある原因や傾向を読み解く視点が必要です。CRM/SFAツールを活用することで、配信結果がリアルタイムで可視化され、どのメールがどの顧客に影響を与えたのかを把握できます。
不達率
まずは不達率に着目します。メールは相手に届かなければ意味がないため、不達率はリストの精度やメールの配信環境に問題がないかを判断するための基本的な指標です。
不達率が高い場合、「古いアドレスが混在している」「ドメインの信頼性が低い」など、配信の基盤そのものに課題がある可能性があります。特に、何度も不達となるアドレスを放置しておくと、スパム判定のリスクが高まり、他のメールも届きにくくなる恐れがあります。
CRM/SFAツールを活用すれば、どのメールアドレスが何度も不達になっているかを把握でき、自動で除外・リスト精査を行う仕組みを作ることも可能です。
開封率
次に見るべきは開封です。開封率は、件名や配信タイミングがターゲットの関心を引けているかを判断するための指標です。開封率が低い場合、「件名が魅力的でない」「配信時間が合っていない」「差出人名やプレヘッダーが信頼されていない」といった要因が考えられます。つまり、開封率の低さは「メールの入口」に課題があるサインと捉えることができます。
CRM/SFAツールでは、開封率をセグメント別・メールテンプレート別に比較して可視化できるため、「誰に、どんなタイトルが響いているのか」「どの配信タイミングが効果的か」といった傾向を把握しやすくなります。
クリック率
開封されたメールが、実際に顧客の行動を引き出したかどうかを測る指標がクリック率です。メールの本文にあるリンクやボタンが、どれだけクリックされたかを見ることで、コンテンツの訴求力やCTA(行動喚起)の効果を判断できます。クリック率が低い場合、「内容が関心に合っていない」「リンクが見つけにくい」「CTAの文言や配置が適切でない」など、本文の構成や訴求内容に課題がある可能性があります。
Excelのみの分析では、セグメントごとの比較や、顧客の属性・行動履歴と関連付けた分析までは難しいですが、CRM/SFAツールを使えば、メール別・セグメント別のクリック率を比較でき、どのメールが行動を促したか、どの顧客層が反応したかを詳細に把握できます。さらに、クリックの多い顧客をホットリードとして抽出し、営業への優先連携につなげるといった活用も可能になります。
メール施策の成果を確認・分析する
ここからは、実際に、CRM/SFAツールを使って、メール施策の成果を確認・分析していきます。メールの配信結果を把握することで、「どの施策が成果につながったのか」「どこに改善の余地があるのか」を具体的に見極められるようになります。
分析の際は、「個々のメールの反応」と「施策全体の流れ」の両方をチェックすることが重要です。CRM/SFAツールでは、テンプレートごとの詳細な反応状況から、全体としての商談創出への貢献までをひと目で可視化でき、次の改善アクションにつなげる判断がしやすくなります。
ここでは、Zoho CRM を例に、メールの成果をどのように確認できるのか、そして「そこから何がわかり、どう次に活かせるのか」という視点で見ていきます。
メールテンプレート単位の成果を把握する
ステップメールでは、各メールが異なる目的を担っており、メールごとに成果の基準が異なります。集客メールでは開封率やクリック率が重要ですが、リマインドメールでは開封率や到達率が重要です。
CRM/SFAツールを使えば、これらのメールをテンプレート単位で評価できるため、「どの内容・どの表現・どのタイミング」が成果につながったのかを分析できます。
例えば、「開封率が低いメールは件名に課題があるかもしれない」「クリック率が低いのはCTAの位置や文言に原因があるかも」といった仮説が立てられます。
ここでは、「中小企業向けCRMウェビナー案内メール」のテンプレートを例に、CRMでどのように成果を把握するか見ていきましょう。

テンプレート単位の成果は、管理画面からリアルタイムで確認できます。一覧で表示されているテンプレートの中から、成果を確認したいものをクリックするとプレビュー画面が開きます。画面上部にある[分析]タブをクリックすれば、開封率やクリック率といった指標が表示され、どのメールが期待通りの反応を得ているかを確認することができます。

分析画面では、開封率、クリック率などの指標がグラフ形式で表示されます。配信日時ごとに確認できるため、「どの時間帯に開封されやすいか」「曜日ごとの反応の違い」なども把握でき、傾向を掴むことで、次回の配信タイミングを見直す際の判断材料として活用できます。

メール配信全体の成果を把握する
ステップメールのように複数のメールを段階的に配信する施策では、一通ごとに異なる目的が設定されていることが一般的です。そのため、開封率やクリック率が一部のメールで良好だったとしても、ステップ全体として商談や受注につながっていない場合には、どこかのステップが機能していない可能性があります。
こうした配信全体の傾向を把握する際に活用するのが、CRM/SFAツールの「レポート機能」です。Zoho CRM は、CRM内のデータを自動で集計して一覧化する「レポート機能」があり、複数のテンプレートを横断した配信実績に加え、見込み客のステータスや商談状況など、営業データと紐づけた分析を一括で行うことができます。
レポート機能には、あらかじめ用意された「標準レポート」と、分析目的に応じて自由に項目を設定できる「新規レポート作成」の2つの使い方があります。
メールに関する標準レポート |
|
[レポート]タブを開き、左のフォルダーの中から[メールのレポート]を選択すると、メールに関する標準レポートが表示されます。ここでは、例として[開封率が上位10件のテンプレート]を開いて見ましょう。

このレポートでは、メールテンプレートごとの送信数や開封数、不達数、クリック数などの実績を確認できます。フィルターを使って抽出期間を変更し、テンプレートごとの反応を比較することで、反応が高いメールのパターンや改善が必要なテンプレートを見極め、次回施策の検討に活かせます。
また、レポートは分析したい軸に合わせて自由に作成することもできます。例えば、ウェビナー参加履歴や商談・受注の進捗状況など、複数のデータを組み合わせることで、施策が実際に営業成果につながっているかどうかを多角的に可視化することが可能です。
今回はその一例として、「ウェビナーに登録した見込み顧客が、実際に参加したかどうか」を把握する「ウェビナー参加状況レポート」を作成してみましょう。

手順 | 内容 |
レポート作成 |
|
ダッシュボードでメールと商談成果を可視化する
マーケティング施策の成果を正しく把握し、次のアクションにつなげるためには、「点」ではなく「線」で見る視点が重要です。
CRM/SFAツールの[ダッシュボード機能]を活用すれば、メール配信、反応状況、商談化、受注といった施策の流れを一つの画面に集約し、成果のつながりを視覚的に把握できます。これまで別々に確認していたメールの効果や営業の情報が一つにまとまり、「どの施策がどの成果にどうつながっているか」が一目で把握できるようになります。
例えば、
- ウェビナー参加者のうち、どれだけが商談化したか
- 商談化した案件のうち、受注に至った割合はどれくらいか
- 反応が高かったメールは、商談にも貢献しているか
など、マーケティング活動と営業成果を横断して見える化することで、次に注力すべきポイントが明確になります。
Zoho CRM では、[アナリティクス]タブにダッシュボードを作成でき、既存のレポートを組み合わせて、自社の施策に応じたオリジナルのダッシュボードを作成できます。今回はウェビナー施策の成果を分析するため、「ウェビナー参加状況」「参加者からの商談創出数」「ウェビナー経由の受注実績」のグラフを組み合わせて表示する例を見ていきます。

手順 | 内容 |
ステップ1:ダッシュボード作成 |
|
ステップ2:レポートの追加 |
|
3つのグラフがダッシュボードに追加された後、それぞれのグラフの大きさを調整した画面が以下の通りです。

分析結果に基づいてメールを改善する
分析を行っていく中で、「件名で開封されなかった」「リンクがクリックされなかった」「ホットリードが営業に連携されていない」など、どこに課題があるかが明確になってくるでしょう。
ここから重要なのは、見つけた課題をそのままにせず、改善へとつなげていくことです。改善とは決して大がかりなものではなく、「件名を変えてみる」「配信時間を見直す」「営業への通知タイミングを調整する」など、小さな調整を積み重ねることが成果向上につながります。
例えば、メールの件名や本文の内容、CTAボタンの文言や配置などを改善したい場合、Zoho CRM では、既存のテンプレートを編集して再利用することができます。
テンプレート一覧から再利用したいテンプレートにカーソルを合わせて、 鉛筆アイコンを押下します。内容を編集し「保存する」をクリックすると、バージョンに関するコメントを記載する欄が表示されます。更新の目的や更新箇所を明記しておくと、後から見返すときに分かりやすくなります。入力が終わったら「完了する」を押下します。

テンプレートを更新すると、「バージョン(V)+数字」という名称が付与されます。それぞれのバージョンごとの成果を比較分析することで、改善によってどの程度効果が出たかどうかを把握できます。このように、テンプレートを更新して比較分析することで、「件名を変更したら開封率が上がったか」「CTAの位置を変えたらクリック率が改善したか」といった検証も簡単に行えます。

このように、分析結果に基づいて小さな改善を繰り返すことで、ステップメール施策は少しずつ成果につながるようになっていくでしょう。
CRM/SFAツールを活用すれば、改善の効果を客観的に測定しながら、施策の精度を高めていけるようになります。
