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営業リストとは
営業リストとは、企業が営業活動を効率化するために、見込み顧客や既存顧客の情報(企業名、連絡先、商談履歴など)を整理して活用するためのリストのことです。
営業リストは単なる顧客情報の集まりではなく、営業活動を効率的に進めるための貴重な資産です。実は、営業リストに類似した仕組みは昔から存在しており、江戸時代には『大福帳(だいふくちょう)』と呼ばれる帳簿が使用されていました。この帳簿には顧客の名前や購入記録、支払い記録などを詳細に記録されており、大きな福をもたらす帳簿として重宝されていました。
現代において、営業リストの管理方法は企業の規模や体制によってさまざまです。小規模な企業では、営業担当者がメモ帳やエクセルを用いて個別に管理することもあります。一方で、中規模以上の企業では、チーム全体で情報を共有できるように、CRM(顧客管理)やSFA(営業支援)ツールを活用するケースが増えています。
使用するツールや方法は異なりますが、営業リストの本質は「顧客を深く理解し、最適なタイミングでアプローチする」ことにあります。
営業活動におけるリストの役割
営業リストは、営業活動の生産性を向上させ、成約率を高めるための基盤となるツールです。営業成果への貢献度を考慮する際には、成約率を構成する2つの要素である「アプローチの量」と「見込み顧客の質」を最適化することが重要です。
- 量:見込み顧客へのアプローチ回数・件数
- 質:購買意欲や自社との適合性が高い見込み顧客の割合
営業リストを適切に作成・管理することで、「購買意欲の高い見込み顧客」に優先的にアプローチできるようになります。その結果、限られた時間や人員といった営業リソースの中でも、アプローチの“量”と“質”のバランスを最適化できるようになります。このような取り組みが、最終的には成約率の向上につながるのです。
営業リストを作成するメリット
営業リストを作成・活用することで、営業活動におけるさまざまな面で効果が期待できます。ここでは、特に重要な3つのメリットについて解説します。
営業活動が効率化される
営業リストを活用することで、顧客情報やコミュニケーション履歴、対応状況などが整理・可視化され、チーム内で共有できるため、営業活動がよりスムーズになります。
例えば、営業リストをクラウドツールで管理することで、外出先で顧客情報を確認する際にオフィスに問い合わせる手間が省け、スマートフォンを使うだけで必要な顧客情報を簡単に確認できるようになります。
また、担当者が不在の場合でも、クラウド上の営業リストを確認することで、他のメンバーがスムーズに適切な対応を行えるようになります。営業リストには顧客情報が集約されているため、さまざまな営業活動の効率化につながります。
長期的な営業資産として活用できる
営業リストには、既存顧客や見込み顧客だけでなく、過去にアプローチしたものの成約に至らなかった企業の情報も蓄積できます。
例えば、「今は必要ない」と断られた企業でも、将来的にニーズが生じる可能性は十分にあります。過去の対応履歴や断られた理由を記録しておくことで、適切なタイミングで再アプローチが可能になります。
また、営業リストを組織全体で共有・管理することで、個々の営業情報が会社全体の資産として蓄積されます。担当者が異動や退職をしても、情報は引き継がれ、長期的に活用することが可能です。
成約率を高めるためのデータが蓄積される
営業リストに商談の内容や顧客の反応を詳細に記録することで、どの営業手法が効果的であったのかを分析できるようになります。
例えば、過去の商談データを分析し、「○○業界では○〜○月に成約率が高い」という傾向が明らかになった場合、その時期に合わせてアプローチの優先順位を設定することができます。また、Aの提案資料よりBの資料の方が成約率が高いことが判明した場合、資料の内容や営業トークの改善を行うことも可能です。
このような分析を行うためには、商談結果や顧客からのフィードバック、断られた理由などを営業リストに正確に記録することが重要です。
営業リストの作成プロセス
以下では、営業リストを実際に作成するためのステップを、順を追って解説します。
ステップ1 情報収集の項目を決定する
まずは、営業リストに記載する情報の項目を明確にします。基本的な項目は以下の通りです。
1. 企業情報
- 会社名
- 業種(細分類があるとより良い)
- 所在地(本社・拠点情報含む)
- 企業規模(従業員数、売上高)
2. 担当者情報
- 氏名
- 役職(決裁権の有無がわかるとより良い)
- 電話番号/メールアドレス
- 過去の接触履歴(該当する場合のみ)
3. 営業履歴
- 初回アプローチ日
- 現在の商談ステータス(未接触、アプローチ済み、商談中など)
- 次回アクション予定日
- 購買意欲のレベル(温度感)
4. 興味・関心情報
- ダウンロード資料の履歴
- セミナーやウェビナーの参加状況
BtoB企業においては、購買プロセスに情報収集担当者や決裁者だけでなく、技術者や利用部門など複数の部署や役職が関与することが一般的です。そのため、部署や役職、導入目的などの情報を追加で管理しておくことで、誰に、どのようなアプローチをすれば効果的かを判断しやすくなります。
ステップ2 情報を収集する
営業リストを作成するためには、まず顧客情報をできるだけ網羅的に収集することが重要です。情報収集の精度が営業リストの質を左右するため、社内外のあらゆるリソースを活用しましょう。
集める情報の例:
- 名刺情報(商談や展示会、セミナーで取得した名刺データ)
- ウェブお問い合わせ履歴(お問い合わせフォームのデータ)
- アンケート回答(ウェビナーおよびイベント時のアンケート情報)
- 商談履歴(過去の提案内容、顧客の反応、成約や失注の理由など)
この中でも特に重要なのは、社内に散在している名刺情報です。営業部門だけではなく、マーケティング部門や製品開発部門が多くの情報を保有している場合があるため、社内横断的な情報収集が必要です。また、既存顧客に関する情報は営業リストの精度を高めるための重要な要素です。過去の取引履歴や問い合わせ履歴を整理し、再アプローチのタイミングを適切に判断できるようにしておきましょう。
ステップ3 収集したデータを整理・クリーニングする
収集したデータをそのまま営業リストに登録すると、重複や誤った情報が含まれる可能性があります。特に、同じ企業の情報が複数登録されている場合、営業担当者同士での重複対応が発生し、適切なアプローチができなくなることがあります。
例えば、同じ企業に対して異なる担当者が何度もアプローチを行うと、「社内での情報共有ができていない会社」と見なされ、顧客の信頼を失うリスクが高まります。また、営業担当者同士の重複した対応が発生することで無駄な工数がかかり、本来アプローチすべき見込み顧客への対応が遅れる可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、データの整理とクリーニングを実施しましょう。主なポイントは以下の通りです。
- 重複データの削除
- 誤った情報や古い情報の修正と更新
- 表記ゆれの統一(例:「株式会社」「(株)」のどちらにするのか)
ステップ4 見込み顧客を分類し、優先順位をつける
営業活動ではアプローチするタイミングが重要です。しかし、営業リストに登録されている見込み顧客は、それぞれ購買意欲や検討段階が異なるため、一律に対応するのは非効率です。例えば、すぐに商談につながる可能性が高い見込み顧客(ホットリード)と、関心はあるもののまだ購買意欲が低い見込み顧客(コールドリード)では、適切な対応が異なります。そのため、営業リストでは見込み顧客の優先順位を明確にし、効率的にアプローチできるようにしましょう。
注意すべき点は、個人の経験や感覚に基づいて優先順位をつけないことです。営業の現場では、「この顧客は以前の商談で好感触だったから」や「直感的に見込みがありそう」といった主観的な判断(認知バイアス) に陥ることがあります。
認知バイアスを防ぐためには、ニーズの有無や直近の商談履歴、行動データなどを基に優先順位をつけましょう。
ステップ5 管理するツールに登録し、管理・活用する
各営業担当者がメモ帳やノートで営業リストを個別に管理していると、「個人商店状態」になり、企業の資産として十分に活用できません。さらに、アプローチの重複や営業担当者の異動、退職時におけるリストの引き継ぎ漏れなどのリスクも生じるため、チーム全体で同じリストを共有し活用することが重要です。
エクセルやスプレッドシートを用いた手動管理も有効ですが、クラウド型のCRM(顧客管理)やSFA(営業支援)ツールを導入して、顧客管理の自動化を推奨します。
営業リストの作成方法
営業リストの作成方法は、主に「外部リストを購入する」か「自社で作成する」かの2つに分かれます。どちらを選択するかによって、営業活動の進め方や見込み顧客の質が大きく変わるため、それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。ここでは、各方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
外部のリストを購入する方法
外部リストとは、第三者企業が提供する見込み顧客リストのことを指します。そのメリットは、営業リストをゼロから作成する手間を省き、短期間で大量の見込み顧客情報を得られる点にあります。
一方で、自社と関連性の低い見込み顧客が含まれている可能性や、連絡先が無効である場合もあり、アプローチが無駄になるというデメリットがあります。また、接点のない企業から突然の営業の連絡が来ることで、顧客が不信感を抱く可能性もあります。
自社でリストを作成する方法
外部リストの購入は、短期的にまとまった見込み顧客を獲得するためには有効ですが、ターゲットとのズレが生じる可能性があります。また、他社も同じリストを購入している場合があり、すでにアプローチを受けていることも考えられます。
一方で、自社で作成したリストは時間と労力がかかるものの、「自社にとって本当に必要な見込み顧客情報」を蓄積できるため、将来的には貴重な資産となります。
リストの作成方法
自社でリストを作成する方法は、大きく「既存データの活用」と「新規データの獲得」の2つに分類されます。
まず、既存データの活用とは、社内にすでに蓄積されている顧客情報を収集し、整理してリスト化する手法です。具体的には、名刺、アンケート結果、問い合わせ履歴、セミナーやウェビナーの参加者情報などを集約することで、これまで見逃していた見込み顧客を発見する可能性があります。
一方、新規データの獲得においては、新たな顧客情報を収集し、リストを拡充していきます。デジタルマーケティングや展示会への出展、ウェビナーやセミナーの開催などを通じて、ターゲット層にアプローチし、新しい見込み顧客を獲得することが目的です。自社でリストを作成するには根気が必要ですが、それに見合った成果を得ることができます。
既存データを活用することで、手持ちの情報を最大限に活かしながら効率的にリストを構築でき、新規データの獲得によって、将来的なビジネスチャンスを広げることが可能 になります。両者を適切に組み合わせることで、より効果的な営業リストを作成できます。
営業リスト作成時に直面しやすい課題
ここでは、営業リスト作成時に直面しやすい4つの課題を紹介します。
情報の収集が思うように進まない
営業リストの作成においては、既存顧客や見込み顧客の情報をできる限り網羅的に収集することが求められます。しかし、担当者が多忙で情報収集の時間を確保できない場合やWeb検索を行っても必要な情報が見つからない場合、さらには社内の顧客情報が各担当者の手元に点在しており整理されていないことから、情報収集が滞るケースも少なくありません。また、これまでマーケティング活動に注力してこなかった場合、インバウンドリードの数が増えず、リストの拡張が困難になるという課題も生じます。
特に、社内の顧客情報が分散していることは大きな問題です。営業部門だけでなく、マーケティングやカスタマーサポート部門などが保有する顧客情報が一元管理されていない場合、リストの作成が進まず、適切なアプローチの機会を逃す原因になります。
リストの精度が低く、無駄なアプローチが増える
営業リストを用意しても、その精度が低ければ十分に活用することはできません。その原因の一つとして、リストの精度が低さことが挙げられます。
そもそも営業リストの精度はどのように決まるのでしょうか。リストの精度は以下の3つの要素によって左右されます。
- 情報の正確性:リストに記録された情報が正しく入力されているかどうか・
- 情報鮮度:定期的に更新され、最新の情報が反映されているかどうか。
- 情報粒度:ニーズやコミュニケーション履歴など、具体的な情報が記載されているかどうかを確認する・
例えば、「情報鮮度」が低く、すでに退職した担当者の情報が更新されずに放置されている場合、連絡が取れずアプローチが無駄になってしまってしまったり、企業側で新たな担当者が決まっていてもその情報を把握できず、営業機会を逃したり、さらには新たな担当者との関係構築をゼロからやり直さなければならなくなり、営業活動の非効率化につながります。
このように無駄なアプローチを減らすためには、上記の3つのポイントを意識し、リストの精度を向上させる必要があります。
営業チーム内でリスト管理のルールが統一されていない
営業リストはチーム全体で統一されたルールのもとで管理・運用される必要がありますが、ルールが統一されていない場合、以下のような問題が発生します。
- 担当者ごとにデータの入力内容やフォーマットが異流ため、統一性が欠けてしまう
- リストの入力基準が不明確で情報の抜け漏れが発生する
- 営業担当者が個別で管理し始め、情報共有が困難になる
特に、新しいツール(CRMやSFAツール)が導入される際には、慣れ親しんだ方法に固執し、現場での拒否反応が生じやすい点にも注意が必要です。
リスト作成後の活用が十分にできていない
多くの企業では、せっかく営業リストを作成しても、「とりあえず電話をかける相手を探すだけ」という使い方にとどまりがちです。
しかし、営業リストの本来の役割は、単ににアプローチする相手を見つけることだけではありません。もし営業リストを適切に活用しなければ、
- 購買意欲の高い顧客を見極められず、効率的なアプローチができていない。
- 見込みの低い顧客にも手当たり次第に連絡し、営業成果が上がらない。
- データの蓄積・分析が進まず、戦略的な営業・マーケティング施策につなげられない。
こうした課題を防ぐためにも、営業リストは「アプローチの対象を決める」だけでなく、データ分析やセグメント分け、営業・マーケティング活動の最適化にも活用すべきです。例えば、
- 過去の商談履歴や反応データを分析し、優先度の高いリードを抽出する。
- 業界や企業規模ごとにリストをセグメント分けし、それぞれに最適なアプローチを設計する。
- メールマーケティングや広告施策と連携し、ナーチャリング(育成)に活用する。
営業リストを効果的に活用することで、営業効率の向上だけでなく、成約率アップやマーケティング施策の精度向上にもつながります。
営業リストの管理と運用ポイント
先に挙げた課題を解決するための営業リストの管理および運用に関するポイントを紹介します。
情報収集を継続的に行い、リストを充実させる
営業リストは、一度作成したら終わりではありません。継続的に情報を収集し、更新することで、リストの拡充および情報鮮度の維持を行えます。営業リストの拡充には、次のようなマーケティング施策に取り組みましょう。
- 広告施策
- 展示会への出展
- セミナー/ウェビナーの開催
- コンテンツマーケティング
同時に、獲得した見込み顧客情報を営業リストにスムーズに反映できる仕組みを構築することも重要です。例えば、以下のツールを活用することで、情報の管理と更新が効率化されます。
- 名刺管理ソフト:(展示会などで獲得した名刺を自動でデータ化)
- CRMやSFAツール:(Webサイトからの問い合わせを自動でリスト化)
- MA(マーケティングオートメーション):(見込み顧客の行動履歴を記録し、リストに反映)
情報収集の仕組みを整えることで、営業リストを常に最新の状態に保ち、成約率の向上につなげることができます。
リストの精度を高め、無駄なアプローチを減少させる
営業リストの精度は、「情報の正確性」「情報の鮮度」「情報の粒度」の3つの要素によってで決まります。その中でも特に重要なのは「情報の粒度」の向上です。
営業リストの情報粒度を高めるためには、顧客との会話内容や商談履歴を詳細に記録することが重要です。特にBtoBビジネスにおいては、購買に関与する意思決定者が複数存在するため、以下の点をリストに記録することで、無駄なアプローチを防ぐことができます。
- 顧客のランク付け:A:受注可能、B:受注の可能性あり、C:受注の見込みが低い
- 各担当者の役割と関心度:技術部門の担当者は製品の使用に重点を置き、決裁者はコストを重視している
- 過去の商談履歴:どの製品に興味を持ち、どのような課題を抱えているのか
例えば、ある顧客が「予算の関係で導入を1年後に検討する」と言っていた場合、その情報をリストに記録し、適切な時期にフォローアップを行うことで、商談の機会を逃さずに済みます。このように、リストの情報を詳細に管理することで、無駄なアプローチを減らし、営業活動の成功率を高めることができます。
営業チーム全体でリスト管理のルールを統一する
営業リストを効果的に活用するためには、チーム全体で統一された管理ルールを策定し、適切に運用することが重要です。リスト管理のルールを統一するために、以下のポイントを押さえましょう。
- 各営業担当者が決められたフォーマットで情報を入力できるようにする
- 「株式会社」や「(株)」などの表記の揺れをなくし、一貫性を持たせる
しかし、最大の課題は、「営業担当者がリストの重要性を理解し、活用するかどうか」です。せっかくルールを作っても、現場の営業メンバーがリストを更新しなければ、管理の仕組みが形骸化してしまいます。この問題を解決するためには、以下のような施策を取り入れることが効果的です。
- リスト管理の目的とメリットを明確に伝える。
→ 「営業リストを更新することで、見込み客の優先順位が明確になり、商談化率が上がる」など、実務へのメリットを具体的に説明。 - リスト更新を習慣化する仕組みを作る。
→ CRMツールを活用し、一定期間ごとに情報更新のアラートを出す。 - 営業リストの活用事例を共有する。
→ 「リストを活用して成約につながった成功事例」をチームで共有し、活用の重要性を実感してもらう。
営業チーム全体で管理ルールを徹底し、日々の営業活動に活かせるように努めましょう。
営業リストの活用方法
営業リストの具体的な活用方法として、ターゲティングの最適化とアプローチ手法について解説します。
営業リストを基にターゲットアプローチを最適化する
営業リストの代表的な活用方法は、リストをセグメント化し、ターゲティングの精度向上させることです。企業の規模、業界、売上高、従業員数、地域などの多角的な視点で分類し、各セグメントごとに最適な手法でアプローチ手法を用いることで、成約率を向上させることが可能です。
具体例としては、大企業では複数の意思決定者が関与するため、現場の担当者や情報収集担当者だけではなく、その上司や経営層に向けたアプローチが求められます。一方、中小企業では社長や役員が直接決裁を行うため、導入コストや運用負荷など、意思決定に直結するポイントを、経営視点でわかりやすく提示することが重要です。
このようなセグメンテーションを行うことで、限られた営業リソースを購買意欲の高い顧客に集中できます。また、各セグメントに適した説得材料を準備しやすくなります。
営業リストを活用したアプローチ手法
営業リストは他部門の施策にも活用可能です。
例えば、営業リストの中から売上高が10億円以上の製造業の部長以上を方々を抽出し、最適化されたメールを配信するなど、ターゲットを絞った施策を推進できます。
さらに一歩進んだ例としては、営業リストとMAツールを連携させ、3回連続でメールを開封した興味関心の高い見込み顧客に対して、インサイドセールスが迅速にアプローチすることが可能です。
このように他部門と連携することで、営業リストの効果は一層高まります。特にマーケティング部門が主導となり、メール配信や広告運用、イベント招待などに取り組むことで、見込み顧客が抱く疑問や興味に応え、最適なタイミングで営業に引き継ぐという理想的なリードナーチャリングを実現することができます。
営業リストの管理におすすめのツール
営業リストを効率的に管理するためには、適切なツールの活用が不可欠です。ツールを利用することで、情報の整理や共有、更新の手間を削減し、営業活動をスムーズに進めることができます。ここでは、代表的な管理ツールである 「エクセル・スプレッドシート」 と 「SFA・CRMツール」 について解説します。
エクセル・スプレッドシート
エクセルやスプレッドシートは、多くの人が使い慣れているため、導入が容易で、コストを抑えつつ手軽に営業リストを管理できるツール です。特に、小規模な営業チームや、営業リストの運用をこれから始める企業にとって適しています。
メリット
- 低コストで導入が可能(多くの企業がすでに導入済みの場合が多い)
- カスタマイズが自由(必要な項目を自由に設定可能)
- シンプルな操作性(基本的な表計算ソフトの知識があれば運用できる)
- スプレッドシートならリアルタイムで共同編集が可能
デメリット
- データの入力や更新が手作業で行われるため、管理の負担が大きい
- 営業活動の履歴管理がしにくい(過去の商談履歴やコミュニケーション履歴の一元管理が難しい)
- 情報が増えると管理が煩雑になり、検索や分析に時間がかかる
- アクセス管理が難しく、誤ってデータを削除するリスクがある
エクセルは使いやすい一方で、データが増加するにつれて管理の負担が大きくなり、活動の履歴をリアルタイムで管理できないというデメリットもあります。まずはエクセルを用いて営業リストを整理し、運用体制を確立した後に、SFAやCRMツールへの移行を検討することをおすすめします。
CRMやSFAツール
CRMやSFAツールは、営業リストの管理を効率化し、営業活動を強化するためのツール です。これらのツールは、顧客情報の管理に特化しているため、エクセルよりも高度な管理機能があり、リードのステータス管理や商談履歴の記録、データ分析などを一元化することができます。その結果、営業チームの生産性向上に大きく貢献します。
メリット
- 営業活動の履歴を一元管理できる(アプローチ履歴、商談の進捗状況を記録可能)
- データの自動更新が可能(入力の手間を削減し、リアルタイムで情報を反映)
- 営業パフォーマンスの分析ができる(成約率や案件の進捗を可視化)
- チーム全体で情報共有がしやすい(クラウド上で一元管理できる)
- リード管理・スコアリング機能がある(見込み度の高いリードを優先的にアプローチ可能)
デメリット
- 導入コストがかかる
- 操作に慣れるまで時間が必要(チーム全体での活用を定着させる必要がある)
- 機能が多いため、使いこなすにはトレーニングが必要
ツールを使いこなすには慣れが必要なため、営業チームの規模や業務内容に応じて適したツールを選定するようにしましょう。また、営業担当者がツールを活用できるよう、定期的に運用ルールを見直し、社内研修を実施しましょう。