すべて表示する
Webマーケで生まれる見込み客は 、経路によって温度感が違う
まず押さえたいのは、Web経由で獲得した見込み客は「獲得方法」や「経路」によって、相手の温度感がまったく違うことです。ここを意識せずに同じ対応にしてしまうと、商談化のチャンスを逃したり、そこまで検討が進んでいない見込み客から見ると無理矢理な押し売りに見えて敬遠されることになります。
獲得方法や経路の違いによって顧客視点で整理すると、以下のように考えると分かりやすいでしょう。
- 問い合わせ(デモ・見積依頼など):今すぐ課題を解決したい、欲しい情報が具体化されている可能性が高い
- 資料DL:情報収集中。いきなり商談より、前提確認と課題の方向性づくりが重要
- セミナー参加:課題がある程度はっきりしていることが多い。興味領域に沿った提案が効きやすい
- 広告流入+ページ閲覧:比較検討の入口。押し売りではなく課題整理が喜ばれる
前回のレッスンでも触れていた通り、インバウンド営業では「即時対応体制の整備」や「反応速度の可視化」が重要です。つまりインサイドセールスや営業側から見ると、獲得した見込み客を受け取った瞬間に 「どのようなルートで獲得したの」「何に興味があるか」「他の見込み客と比べての優先順位」などが明らかになっている状態を作っておくことが素早いフォローの実現に繋がります。
営業がラクになる3つの仕組み
ここからは、CRM/SFAツールの例として、Zoho CRM で具体的に作る「素早い営業フォローを実現する3つの仕組み」を紹介していきます。
他のツールやExcel等での管理でも参考になる情報です。
カスタムビュー=「営業活動の土台」を作る
カスタムビューは、見込み客などのリストを一定条件で絞り込み、一覧表示する機能です。
現場の感覚で言うと「今日フォローすべきリスト」「今週フォローすべきリスト」などがCRM/SFAツール内に用意され、そこにアクセスすれば対応すべき見込み客が明らかになる状態を作るイメージです。
スコアリング=「優先順位を自動で付ける」
スコアリング機能は、見込み客の 属性データ(業種・規模・役職など) と 行動データ(資料請求、セミナー参加、メール開封など) を点数化して、優先順位を自動的に付与するものです。加点だけでなく、確度が下がる行動を減点する仕組みなども入れると精度が上がります。
見込み客のリストの一覧の中で、スコアリング機能で数値化された優先順位をもとにフォローすればよいので、担当者が迷わず行動を起こしやすくなるというメリットがあります。
なお、優先順位は必ずしもスコアリング機能を使わなければならない訳ではありません。スコアリング設定は、何をもって加点・減点とするのかなど、難易度が高い設定でもあるので、最初は属性そのもの(例:製造業の見込み客や役職者を優先するなど)を使って優先順位を決めておく形でも問題ありません。
スコアリング機能を使わない場合には、カスタムビューを使って優先順位の高いリストを一覧表示できる仕組みを作るようにしましょう。
テンプレート化=「速さと品質を標準化する」
テンプレートは、メールであれば返信の速さと品質をそろえるための業務の標準型です。差し込み項目(会社名・担当者名など)を上手く使えば、機械的な対応に見えない個別対応感を出すことも可能です。
メール以外のフォローを行う場合には、顧客の状態に応じたトークスクリプト(営業台本)をテンプレートとして用意しておくとよいでしょう。ただし、トークスクリプトを用意する場合には、担当者が台本を読み上げるのに必死になってしまうと、顧客が置き去りになってしまうこともあるため、活用する際には注意してください。
対応を標準化し、一定期間業務を回してみて、担当者ごとに違いが出たら、各テンプレートをどのように使っているのかなどを検証することで、組織単位で業務を改善させていくことができるようになります。
素早い営業フォローの実践のためにどのような仕組みが必要かが見えてきたところで、ここからは、それぞれの具体的な設定方法をご紹介していきます。
カスタムビュー(営業リスト)を作る
スコアリング機能を設定し、標準化を進めて各種テンプレートを作っても、「誰に使うか」が決まっていなければ業務は回っていきません。そのため、まずはアクションを起こすべき見込み客のリストを画面上に表示するビューの作成から進めていきます。
このような見込み客のリストがあると、チームで同じ画面を見ながら「今日やること」を揃え、振り返りとしてどこまで実施できたのかなども明らかにすることができます。
Zoho CRM でのカスタムビュー(リスト)作成手順
Zoho CRM では、対象タブ(例:見込み客)からビュー選択リストを開き、「新しいカスタムビュー」 で作成します。ビュー名、抽出条件、表示する列、共有対象を設定して保存します。
共有対象(重要)は次の3つから選べます。
- すべてのユーザー
- 自分のみ
- 特定のユーザー
共有設定によっては、組織で共有する目的でビューを作成したのに他の人が見られない状況が発生してしまうので、注意しましょう。
具体的な作成手順は以下の動画を参考としてください。

上記の手順に沿ってカスタムビューを作成すると、本日登録された見込み客のうち、Web広告、Web問い合わせ、資料ダウンロード経由で入ってきたリードの一覧が表示されます。

さらに、フィルタ条件を追加することで、Web問い合わせのみを表示させたり、自身の担当見込み客だけを表示させるといったことも簡単に実現できるため、自身がアクセスしたいリストに数クリックでアクセスできるようになります。
スコアリング:営業が追う価値を数値で決める
スコアリングの強みは、「どの見込み客からフォローを行うべきか」の判断を属人的な感覚ではなく数字で揃えられることです。
属性(会社規模・業種・役職)で商談化に繋がりやすい見込み客なのかを測り、行動(資料請求・Web訪問・メール反応)で検討がどの程度するんでいるのかを測り、それぞれの数値を合算して優先順位を決めるのが基本的な考え方です。
そして、スコアリングの精度を上げるポイントが減点です。
たとえば「製品導入には関わらない部門に所属している」など、属性や行動によってを減点する設定も行うと、営業が追うリストの精度が高まり、営業活動の無駄打ちが少なくなり効率が上がります。
スコアリング機能の設定
スコアリングは、Zoho CRM の [設定]→[自動化]→[スコアリングルール]→[新しいスコアリングルール] から作成します。
最初は、次のように少ないルールから始めるのがおすすめです。
- 属性:業種(製造業+10点/従業員数:100名以上+10点)
- 行動:資料ダウンロードあり+10点/セミナー参加あり+20点
- 減点:会社名が競合他社-50点
「完璧なスコア設定」を目指すより、まずはインサイドセールスや営業担当者が「迷わずアクションに繋げられる」ことを優先し、あとから営業現場のフィードバックを受けて点数化の調整を行う順番で進めるのが現実的です。
具体的な設定方法は以下の動画を参考としてください。


なお、Zoho CRM では複数のスコアリングルールを作成することが可能です。
営業活動の優先順位は、組織の状況によって変更となる可能性があります。例えば、期末に近い時期では、すぐに商談に繋がりそうな見込み客の優先順位が高くなりますし、新たな商品が発売されたら、すぐに商談に繋がるよりも、さまざまな見込み客に意見を聴き、情報収集を行うことの優先順位が高くなるかもしれません。
状況によって複数のスコアリングルールを設定しておけば、状況によってスコアを使い分けるといった柔軟な運用が可能となります。
メールテンプレート:返信の速さと質を同時に作る
インバウンド営業では、「もっと詳しく知りたい」、「デモを見たい」といった相手の熱が上がっているタイミングで顧客からのコンタクトが発生します。
だからこそ、営業側はメールでの返信を行う場合に、毎回文章を作り上げるのではなく、迷わず送れて、次の行動が決まる型を用意しておくことが重要です。
また、組織で型を作り上げ、徐々にブラッシュアップさせていくことで、精度を挙げていくことができるようになります。
メールテンプレートの作成手順
Zoho CRM にあるテンプレート作成機能は、メーラーなどにあるテンプレート機能と同等のもので、そこにCRM/SFAツールに保存された顧客データ(氏名や会社名)などを自動で挿入する差し込み機能があったり、テンプレートごとに開封率などを集計できる分析機能があったりします。
メールテンプレートは [設定]→[カスタマイズ]→[テンプレート]→[メール]→[+ 新しいテンプレート] から作成することが可能です。
具体的な作成方法は以下の動画を参考としてください。

動画内では、以下のメールの件名と本文をもとにテンプレートを作成しています。
件名:{担当者名} 様向け:資料の補足と、デモのご案内(15分)
本文:
{会社名}
{担当者名} 様
お世話になっております。
{自社名}の{自分の名前}です。
このたびは資料をダウンロードいただき、ありがとうございます。
もし「まだ検討はこれからで、まず全体像をつかみたい」という段階でしたら、15分のオンラインデモで、要点に絞ったご案内が可能です。
(画面を見ながら、できること・できないことも含めて整理します)
ご興味がおありでしたら、ご都合の良いタイミングで、以下からお申し込みください。
▼デモ申し込みフォーム
URL:https://・・・・
差し支えなければ、フォームからの申込時、もしくは本メールの返信として、下記だけ先に教えていただければ、課題に合わせてデモもご用意可能です。
・今いちばん困っていること(例:見込み客管理、商談管理、Excelの属人化 など)
・想定の利用人数(例:3名、10名 など)
よろしくお願いいたします。
{署名}
メールテンプレートの目的は「文章をきれいにする」ことではなく、営業活動の標準の型をそろえることです。ここを揃えると、対応スピードを上げ、改善サイクルを継続的に回すことができるようになります。
毎日10分で回す初回フォロー運用
インバウンド営業のフォローの仕組みでは「毎日素早く回せる小ささ」が重要です。
例えば以下のような運用を回せるとよいでしょう。
- 朝:出社したらCRMにログインしビューを開く
・「昨日の新規Webリード」を開き、未対応のものを確認 - 優先順位はスコアで決める
・フォロー対象数が多い場合には、スコアが高い順から手を付ける - テンプレで初回連絡を即実行する
・問い合わせ→即返信し、アポイントをを取るためのメールを送信
・資料DL→DL資料や属性を確認し、適切な情報提供を行う準備があることを伝えるメールを送信
・セミナー申込→セミナーの案内メールと必要に応じて個別ミーティングも可能であることを伝えるメールを送信 - 次回アクションを入力しておく
インバウンド営業の初回フォローはタイミングが命です。まずは問い合わせを受けてから1営業日以内に必ず初回アクションを起こせるような運用を意識するようにしましょう。
見込み客の獲得やフォロー状況を可視化する
ここまで、インバウンド営業のフォローの仕組み化の具体的な方法を学んできましたが、運用が回る仕組みを作るのはあくまでスタート地点です。
実際にWebからの見込み客の獲得や活用を最適化するには、どのルートで獲得した見込み客が、初回フォローに反応しているのか、商談に繋がっているかなどを可視化する仕組みも欠かせません。
CRM/SFAツールでは、獲得した見込み客のルートごとのフォロー状況や商談化状況をレポート等で見える化する仕組みを持っていることがほとんどです。
ここでは、Zoho CRMのレポート機能を使って、見込み客の獲得・フォロー状況を一目で把握する仕組みの作り方をい解説していきます。
レポートの作成方法
Zoho CRMでは、蓄積されたデータを様々な視点で集計し、今後の戦略立案や進捗管理等に活かすことができるレポート機能を持っています。
例えば、以下のようなレポートを作成することが可能です。

上記のレポートでは、見込み客のデータ元(獲得経路)と見込み客のステータス(状態)別にグループ化した見込み客の一覧を出力するレポートです。
また、同じ設定を使って、集計条件などを変更すると以下のようなクロス集計表を作ることもできます。

上記のレポートでは、見込み客のデータ元(獲得経路)と見込み客のステータス(状態)に加えて、担当者別に集計を行うことで、誰がどの程度の見込み客の対応を行い、どのような結果になっているかを確認することができます。
レポート作成は、Zoho CRM の [レポート]→[レポートを作成する]→[タブの選択]→[表示列やフィルタ―の設定] で作成が可能です。
具体的な作成方法は以下の動画をご確認ください。

ここまで解説してきたように、レポート機能を使うことで、さまざまな視点でデータ集計・分析ができるようになります。
Webマーケティングで獲得した見込み客の戦略立案においては、
- 獲得経路別の見込み客数や商談発生数、受注数
- 獲得経路別×営業担当者別の込み客数や商談発生数、受注数
- 獲得経路別の見込み客の属性(業界、役職、課題など)
の実績を明らかにすることで、どの獲得経路に予算や人的リソースをつぎ込むべきかが見えてきます。
ここでのポイントは、実績をもとに戦略の立案・見直しを行うことです。
戦略立案ばかりに目を向けても、机上の空論にしかならない可能性があるため、まずは見込み客を獲得した後のフォローの仕組みを作り、実績ベースで新たに戦略を練り直すことが、戦略最適化の近道といえるでしょう。
まとめ
このレッスンでは、Webから獲得した見込み客を素早くフォローし営業成果に繋げるための仕組み化やレポートによる実績の見える化や戦略の見直しについて具体的に解説してきました。
次のレッスンでは、今回構築した仕組みを使って、インバウンドリードを商談につなげる営業の動き方や更なる見える化などについて学んでいきます。
