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KPIを設計し、「何を増やすと成果につながるか」を見える化する
アウトバウンド営業を行っている組織が抱える悩みは次の2つです。
- 頑張っているのに成果が出ない
- 何を改善すればいいか分からない
この状態の根本原因は、ほとんどの場合「業務フローとフローに沿ったKPIが定義されていない」ことです。
ここでいうKPIとは、架電数・接続率・アポ率など「成果に至る途中の数字」です。業務フローを進める中での行動数や中間成果を都度記録し、どこで業務フローが詰まっているかを特定して改善するための物差しのことを指しています。
標準的な業務フローがなかったり、フローのステップごとにKPIが定義されていないと、業務の改善は個人の感覚頼りになります。感覚をもとにした業務の改善を行ってしまうと、人によって行動・判断が変わり、チームとして業務を前に進めることができません。だからこそ、先にKPIを決めて、共通言語にする必要があります。
KPIは「量」だけでなく「率」や「成果」もセットで持つ
アウトバウンド営業においては、「架電数」や「メール送信数」などがKPIとして採用されることが一般的です。しかし、このような行動量だけを追うKPIを採用してしまうと、「忙しいのに成果が増えない」状態に陥ります。
量と成果をセットで見て、どこを改善すれば良いか判断できるようにします。KPIは、活動量だけでなく成果指標も組み合わせて管理することが重要です。
KPIのイメージ(例)
- 行動量:架電数、メール送信数
- 行動の質:接続率、開封率、返信率、アポ率
- 中間成果:接続数、返信数、アポイント数
- 成果:商談化数、受注数
最終的な成果としてどこまで計測するのかは決めの問題ではありますが、アウトバウンド営業においては、受注数や受注金額といった成果に直結する数値と繋げて評価できる仕組みを作り上げることを意識するとよいでしょう。(最終的なゴールの数値は、KPIではなく、KGIと呼ばれることもあります)
業務フローとKPIをセットで整理する
組織で成果を上げるための仕組み化を進める際には、KPIだけでは不十分で、業務フローの「プロセス」を明確にし、プロセスごとにKPIを定義していく必要があります。
アウトバウンド営業においても、業務の一覧の流れを「プロセス」として分解することで、業務改善を行うやすくなります。
アウトバウンド営業では、以下のようなプロセスとKPIの定義が例として挙げられますい。
電話中心(テレアポ中心)のKPIツリー例
プロセス | KPIの例 | KPIの意味 |
架電 | 架電数 | 行動量が適切か |
接続 | 接続数/接続率 | 時間帯・連絡先品質が良いか |
通話 | 会話できた件数/反応率 | トークの切り出しが適切か |
アポイント | アポ数/アポ率 | 話の組み立て・提案の入口が良いか |
成果 | 商談化数、受注数 | ターゲット・提案の適合性 |
メール中心のKPIツリー例
プロセス | KPIの例 | KPIの意味 |
メール送信 | 送信数 | 行動量が適切か |
開封 | 開封率 | メールの内容(件名・差出人)、ターゲットの適合性 |
返信 | 返信率 | 本文・依頼(CTA)の明確さ |
アポイント | アポ率 | 次アクションが作れているか |
各プロセスのどこを改善すべきかは、数値や率(%)が特に低い場所を中心として判断します。これがボトルネック特定の土台になります。
KPIの定義を明確にする
同じ「接続率」「アポ率」でも、定義が曖昧だと組織内の共通言語としては利用できません。
例えば、業務を進める中で、
- 架電数:存在しない番号は架電数に含めない?
- 接続:受付につながったらOK?担当者と会話できて初めてOK?
といった疑問を組織内のメンバーが持もたないようにする必要があります。
ここが揃っていないと、メンバーごとに「都合の良い数字」を蓄積することになり、数字に基づく改善や意思決定の精度が低くなっていきます。
KPIは「定義」を文章で書いて、チームで共有することが重要です。以下のような形でまとめ、いつでも誰でも参照できる状態を作るようにしましょう。
KPI名 | 定義 | 目標 | 集計頻度 | 記録する場所 |
架電数 | 1日に発信した件数※存在しない番号への発信は除く | 30件/日 | 日次 | CRMの通話履歴 |
接続率 | 担当者と会話できた数÷架電数 | 10% | 週次 | CRMの通話履歴の通話結果(選択式) |
アポ率 | アポ獲得数÷接続数 | 20% | 週次 | タスク/予定の作成数 |
メール開封率 | 開封数÷送信数 | 25% | 週次 | メール履歴 |
返信率 | 返信数÷送信数 | 3% | 週次 | 受信メールの件数 |
商談化数 | 商談設定が完了した件数 | 5件/月 | 月次 | アウトバウンドからの商談作成数 |
アウトバウンド業務の型をつくる
KPIの設計ができたら、具体的な業務を型に落とし込む業務の設計を行いましょう。「標準の型」を作って、その型通りに行動することで、KPIを活用した業務の改善を行うことができるようになります。
今回は、電話によるアポイント獲得を行う場合の業務の型について解説していきます。
テレアポ(電話)の基本:最初から売り込まない
アウトバウンド営業で大切なのは、初回接触でいきなり売り込まないことです。最初は「関心を持ってもらう」「信頼を作る」ことを優先し、以下のようなトークスクリプトを用意しましょう。
最低限のトークの型(例)
- 名乗り
- 相手の時間確認(「1分だけよろしいでしょうか」)
- 要件(結論)
- 相手に関係がある理由(仮説)
- 質問(状況確認)
- 次アクション(資料送付、再連絡、商談打診)
さらに、電話の時間帯配慮も重要です。相手の業務や時間を尊重する姿勢が印象を左右します。
「実行→記録→次アクション」を型に落とし込む
机上のKPIを作っても、行動にともなったデータが残らなければ、実際にKPIを集計・計算することはできません。
KPIの設計と各業務の型が見えてきたら、次は「記録を残す型」を作っていきます。ポイントは、「行動の結果」と「次の行動」を必ず残すことです。
アプローチ後の最新情報を管理し、接触履歴を漏れなく残して、顧客情報に紐づけることは、次の対応や改善に繋げることができるようになります。
通話(架電)の記録の残し方
多くのCRM/SFAツールでは、では「通話」(架電)などの営業活動に関連する行動を記録できる機能を持っています。ツールの機能を使って、必要な情報を簡単に蓄積できる仕組みを作っていきましょう。
通話後に残すべき情報としては以下のようなものが挙げられます。
- 通話日時
- 通話結果(選択式:接続/不在/折り返し依頼/不要 等)
- メモ(会話の要点)
- 次回アクション(次回架電日など)
Zoho CRM にも通話記録を残す機能があります。
以下の動画で、通話記録を手動で残す操作をご確認いただけます。

また、Zoho CRM では、CTIツールやクラウド電話システムなどと連携することで、通話時間や会話の録音などを自動で蓄積することが可能です。
ボトルネックを特定する:どこが詰まっているかを数字で判定する
アウトバウンド営業の主な活動となる通話履歴を蓄積できるようになると、そのデータを使って、現在の業務をボトルネックを分析できるようになります。
ボトルネックとは「業務プロセスの中で、成果が出ない原因になっている、一番詰まっている場所」のことを指します。
ボトルネックを把握することで、改善すべきプロセスが明確になり、業務改善サイクルを回せるようになっていきます。
アウトバウンド営業のボトルネックの例
アウトバウンド営業のプロセスのボトルネックの例と改善の方向性を以下の表にまとめてみました。
症状(数字の出方) | ボトルネック候補 | ありがちな原因 | 最初の改善アクション例 |
架電数が少ない | 行動量 | 架電時間が確保できていない/リスト準備に時間が掛かる | 架電時間を先にブロック、リストはツールで提供 |
接続率が低い | つながり | 時間帯が悪い/代表番号ばかり/情報が古い | 時間帯を変えて比較、リストの見直し |
接続できるがアポ率が低い | 会話の質 | 切り出しが刺さらない/質問が弱い/ターゲットずれ | トーク冒頭を2パターンでABテスト |
アポは取れるが商談化しない | ターゲット・温度感 | 温度感判定ミス/課題が深掘りできていない | ホット基準(定義)を見直す、質問設計 |
このように各業務プロセスを評価するKPIを計算して、数値が低くなっているところをボトルネックとして原因究明と改善アクションを実行しています。
KPIを利用するときの注意点は、KPIだけでは問題が起こっている個所は把握できても原因までは分からないことです。ボトルネックを把握したあとは必ず現場で何がおこなっているのかは把握した上で、適切な改善アクションを取るようにしましょう。
CRM/SFAツールでボトルネックを可視化する
ここからは実際にZoho CRM を使ってボトルネックを可視化する手順を見ていきましょう。
ボトルネックを把握するためには、ダッシュボード機能を利用するのがお勧めです。
Zoho CRMにおけるダッシュボード機能は、蓄積されたデータを様々な形に可視化する機能で、プロセスのボトルネックを把握するのに適した「ファネル」表現も可能です。
「ファネル」とはレポートやダッシュボードで使われるグラフ化表現の一つで、アウトバウンド営業の業務プロセスが進むごとに対象見込み客が絞り込まれていく様子を一目で理解できる便利な表現方法です。
ファネルでは、各業務プロセスごとに各種データを集計する設定を行うことで、次のプロセスに進んだ率を自動で計算してくれます。

上記のファネル分析では、プロセスごとに
- アウトバウンドの対象となる獲得した見込み客数
- 対象のうち架電済みの見込み客数
- 通話がつながり、顧客のニーズや状態が確認できた見込み客数
- アポイント獲得ができた見込み客数
を集計しています。
上記のファネルの具体的な設定方法は以下の動画でご確認ください。

まとめ
このレッスンでは、ターゲットリストに対するアプローチを「やりっぱなし」にせず、活動→活動データの蓄積→KPIの算出→ボトルネックの把握を行うことで、アウトバウンド営業の業務改善ができる仕組みを作る方法を学んできました。
次のレッスンでは、リードジェネレーション手法の一つであるインバウンド営業の基本について学んでいきます。
