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アウトバウンド営業の基本概念
アウトバウンド営業とは、自社から積極的に見込み顧客へアプローチして、商談のきっかけをつくる営業手法です。いわば「待ち」ではなく、「攻め」の営業スタイルであり、新規顧客を獲得したり、売り上げを拡大したりするうえで重要な役割を果たします。まずは、アウトバウンド営業とは何か、その定義とよく比較されるインバウンド営業との違いについて理解しておきましょう。
アウトバウンド営業の定義
アウトバウンド営業とは、自社から能動的に見込み顧客に連絡を取り、関心を引き出して商談の機会をつくる営業活動のことを指します。ここでいう「見込み顧客」とは、まだ取引はしていないものの、自社の製品やサービスに関心を持つ可能性のある相手です。
アウトバウンド営業では、電話をかけてサービスを紹介する(テレアポ)、メールで資料や提案を送る、実際に企業を訪問して情報提供を行う、といった手法でアプローチするのが特徴です。この営業スタイルでは、まだ自社のことを知らない相手に対して、「どんな価値があるのか」「なぜ興味を持つべきなのか」をわかりやすく伝える必要があります。そのため、相手の立場に立った提案力や、興味を引き出すための伝え方(コミュニケーション力)が非常に重要になります。
また、アウトバウンド営業では、以下のようなプロセスを丁寧に管理していくことが成果につながります。
- ターゲットの選定(リスト作成)
- アプローチの実施
- 相手の反応の記録
- 次回のフォロー内容の決定
例えば、製造業向けの部品を扱う企業では、全国の工場を対象とした営業リストを事前に作成し、購買担当者や設備管理者など、役職ごとの優先順位をつけてアプローチを行っています。
電話やメールでアプローチした際には、反応内容(興味あり・検討中・不要など)をCRMに記録し、数日後に送るフォローメールの内容や、再度電話をかけるタイミングもあらかじめ設定しておきます。
このように、ターゲットの選定から接触履歴の記録、次のアクションまでを一貫して管理することで、見込み顧客への対応精度が高まり、商談につながる確率も大きく向上します。
アウトバウンド営業とインバウンド営業の違い
アウトバウンド営業とよく比較されるのが、インバウンド営業です。この2つの違いを一言で言うと、「営業のきっかけがどちらから始まるか」です。
営業スタイル | 主なきっかけ | 特徴 |
アウトバウンド営業 | 自社から連絡する | 興味が明確でない相手にアプローチし、関心を引き出す |
インバウンド営業 | 顧客から問い合わせがある | すでに興味を持っている相手に対応し、商談につなげる |
アウトバウンド営業は、自社が主体となって接点を作るため、スピード感のある営業活動ができますが、相手の興味が薄いことが多いため、断られることも多く、提案力や粘り強さが求められます。
一方、インバウンド営業は、顧客が自らアクションを起こしているため、商談化しやすいというメリットがありますが、問い合わせを「待つ」スタイルのため、そもそもリードの数が足りなくなるという課題もあります。
以下に、アウトバウンド営業とインバウンド営業の特徴をまとめました。
項目 | アウトバウンド営業 | インバウンド営業 |
アプローチ方法 | 自社から見込み顧客へ連絡する | 見込み顧客から問い合わせを受ける |
主な営業手法・ツール | 電話、メール、訪問、DM、SNSなど | Webサイト、SEO、広告、セミナーなど |
メリット |
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デメリット |
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アウトバウンド営業とインバウンド営業には、それぞれ得意・不得意があります。
どちらか一方を選ぶのではなく、営業の目的やターゲットによって組み合わせて使うことが効果的です。新規顧客の開拓にはアウトバウンド、既存リードのフォローにはインバウンド、といった使い分けが現実的です。
アウトバウンド営業が重要である理由
アウトバウンド営業は、自社から積極的に見込み顧客へアプローチを仕掛ける、いわゆる「攻めの営業スタイル」です。受け身では得られない商談機会を創出できるという点で、他の営業手法にはない強みを持っています。特に、成果をスピーディに求められる営業現場や新規顧客の開拓が求められるフェーズでは、アウトバウンド営業が果たす役割は非常に大きくなります。ここでは、アウトバウンド営業が営業戦略において必要とされる理由を、具体的な視点から見ていきましょう。
自社からすぐにアプローチできるため、スピード感を持って営業できる
アウトバウンド営業の大きな強みは、営業側の意思で「今すぐアプローチを開始できる」と言うスピード感にあります。例えば、新しいキャンペーンを急いで告知したい時や月末の商談数を増やしたい時など、短期間で営業成果を求められる場面では、非常に効果的です。
特にBtoB領域では、顧客側がすぐに意思決定をするとは限らず、「まずは検討のきっかけをつくる」ことが重要です。アウトバウンド営業では、こちらから能動的に電話やメールで働きかけることで、顧客自身も気づいていなかった潜在的なニーズを引き出すことができます。
一方で、インバウンド施策は、コンテンツを通じて信頼を築くアプローチであるため、成果が出るまでに一定の時間がかかります。スピードを重視した営業活動を展開したい企業にとって、アウトバウンド営業は即効性のある強力な武器になります。
狙ったターゲットに集中してアプローチできる
アウトバウンド営業のもう一つの特長は、「誰に売るか」をあらかじめ決めたうえで、集中してアプローチができることです。例えば、製造業向けの検査装置を販売している企業であれば、「従業員100人以上」「関東圏に本社・工場を持つ」「生産ラインが複数ある」といった条件でターゲット企業を絞り込み、購買部門の担当者や工場長など、意思決定に関わる人物に対してピンポイントでアプローチできます。
このように戦略的にターゲティングができるのは、アウトバウンド営業ならではです。インバウンド営業では、来訪するユーザーを完全にコントロールすることは難しく、Webサイト経由で資料請求などの問い合わせがあっても、相手が購買に関与していないケースもあり、必ずしも狙った相手からのアクションとは限りません。
営業リソースに限りがある企業にとって、「成約に近い相手」に絞って活動できることは、アウトバウンド営業は大きな強みといえるでしょう。
潜在的なニーズを掘り起こせる
見込み顧客の中には、自社の課題に気づいていない、あるいは課題を明確に認識できていない層が一定数存在します。アウトバウンド営業は、こうした潜在層に直接アプローチできる有効な手段です。こうした相手に対して、電話やメールを通じて営業側から話しかけることで、「そういえばうちも同じようなことに困っている」といった反応を引き出せることがあります。
例えば、「業務の属人化に課題はありませんか」といった切り口で電話をかけることで、相手企業の内部でまだ顕在化していないニーズを喚起できる場合があります。
このようなアプローチは、Webコンテンツでは届きにくい層への接触手段として有効であり、新たな市場を開拓する手段としても非常に有効です。
さらに、早い段階で接点を持って関係性を築いておくことで、相手のニーズが明確になったときに他社より先んじて商談につなげられる可能性も高まります。
アウトバウンド営業の主な手法
アウトバウンド営業にはさまざまなアプローチ方法がありますが、すべてに共通しているのは、営業側が主導権を持って「動く」スタイルであり、自社から見込み顧客に働きかけ、関係を築いていくことで商談のきっかけをつくり出します。
ここでは、代表的な3つの手法である、電話営業(テレアポ)、メール営業、飛び込み営業について、それぞれの特徴や活用シーンを見ていきましょう。
電話営業(テレアポ)
電話営業は、アウトバウンド営業の中でも最もよく知られた手法のひとつです。事前に用意した営業リストをもとに見込み顧客に電話をかけ、アポイントを取得したり、相手の関心や興味を探ったりします。
この手法の最大の強みは、相手の反応をその場で確認できることです。声のトーンや話し方のテンポ、相槌の有無などから、相手の興味関心の度合いや温度感をその場で把握することができます。例えば、ITソリューションを提供している企業が、過去に問い合わせのあった企業に架電して「現在、御社でDXに関する取り組みは進んでいますか?」といった切り口で会話をスタートさせることで、興味の有無を確認し、次のアクションへとつなげていくことができます。
ただし、営業色が強くなりすぎると、すぐに断られてしまう可能性もあります。相手にとって価値のある情報や提案を準備したうえで、丁寧な言葉づかいや配慮のある対応を心がけることが成果につながります。
メール営業(営業メール)
メール営業は、見込み顧客に営業メールを送って接点をつくる方法です。文章で情報をしっかりと伝えることができ、相手に考える時間を与えられるため、初回接触の手段としても非常に有効です。
例えば、「同業の〇〇社でも活用いただいています」といった実績を紹介することで、相手の関心を引きやすくなります。資料や導入事例を添付すれことで、より詳しい情報を伝えることも可能です。
メール営業の強みは、非対面かつ記録に残ること、そして、忙しい相手にも時間を問わず届けられることです。電話よりも心理的ハードルが低いため、相手によっても受け入れやすい手法とも言えます。
ただし、メールは開封されなければ意味がありません。件名や冒頭の文章で関心を引く工夫が必要です。テンプレートをそのまま使うのではなく、相手の業種や状況に合わせた「パーソナライズ」を取り入れることが重要なポイントとなります。
例えば、件名を「業務改善に役立つ事例資料のご案内」とするよりも、「【御社と同業】〇〇業界で成果が出た業務改善事例のご紹介」のように具体的で関係性のある内容にすることで、開封率を高められます。
また、本文でも、「突然のご連絡失礼いたします。〇〇業界向けに業務効率化ツールを提供している△△社の××と申します。」といったように、相手の業界や課題に触れる一文を加えるだけで、メールが読まれる確率は大きく変わります。
飛び込み営業(訪問営業)
飛び込み営業は、事前のアポイントなしに企業を訪問し、直接対面で営業活動を行う手法です。電話やメールとは異なり、相手と実際に顔を合わせて会話ができるため、表情や雰囲気、リアクションを肌で感じながら営業を進められるのが最大の特長です。
特に、現場に常駐している担当者に接触したい場合や地場密着型の営業活動では、飛び込みによって新たな商談機会が生まれることもあります。
例えば、地域密着型のオフィス機器販売会社が、地元の中小企業を一軒ずつ訪問して名刺交換から関係づくりを始めるといった取り組みは、今もなお行われている有効な営業スタイルの一つです。
ただし、現代ではアポイントのない訪問を歓迎しない企業も増えているため、訪問先の業種や時間帯への配慮が必要であり、最初の接触だけで終わってしまわないよう、名刺交換後のフォローアップも欠かせません。
アウトバウンド営業と相性の良いケース
アウトバウンド営業は有効な営業手法ですが、すべての企業や商材に適していると言うわけではありません。特定の目的や状況にある企業にとっては、極めて効果的な営業手法となります。ここでは、アウトバウンド営業が特に効果を発揮しやすい代表的なケースを紹介します。
新規顧客の開拓が必要な場合
既存顧客からの売上が安定している一方で、成長の頭打ちになっていたり、特定の顧客に依存していたりする場合には、新しい顧客層の開拓が必要になります。
例えば、創業間もない企業や新規事業の立ち上げフェーズでは、認知度がまだ低いために問い合わせも少なく、待っていても商談にはつながりにくいのが実情です。そのような時は、営業側から積極的に電話やメールでアプローチすることで、自社の存在や価値を知ってもらう、商談のきっかけを作ることができます。
導入の決定権を持つ特定の担当者にリーチしたい場合
インバウンド施策では、どのような人物が問い合わせてくるかをコントロールすることができません。そのため、決裁権を持たない担当者からの問い合わせが多く、商談が進まないというケースも多く見られます。
一方、アウトバウンド営業では、あらかじめ営業リストを作成する段階で、「情報システム部長」「人事責任者」などの意思決定者(キーパーソン)を選定し、その人に直接アプローチできます。例えば、労務管理クラウドを提供している企業が「従業員数100名以上の企業の人事部長」をターゲットに絞ってメールを送り、実際の商談につなげるといったような戦略がアウトバウンド営業では可能です。
比較的高単価・高関与の商材を扱っている場合
製品やサービスの価格が高く、導入に複数部署の関与が必要な商材(業務システム、大型設備、BtoB向けコンサルティングなど)の場合は、一回の資料請求や問い合わせだけで受注につながることはほとんどありません。
こうした商材には、営業担当者が直接対話を重ねながら、相手の課題を深掘りし、信頼関係を築いていくことが必要です。アウトバウンド営業は、その最初の接点から自社が主導権を持って関係性をつくれるという点で、とても相性が良いといえます。顧客との関係構築に時間がかかる商材ほど、アウトバウンド営業の強みが発揮されます。
地域密着型や業種特化型の営業を展開している場合
限られたエリアや特定の業種に絞って営業活動を行っている企業にとっても、アウトバウンド営業は効果的です。例えば、「関東圏の中小病院」「地場の製造業」「地域に根ざした小売チェーン」など、あらかじめ絞り込んだ属性に対して個別にアプローチできるのがアウトバウンド営業の強みです。
さらに、Web検索やデジタル施策ではリーチしづらい業界や、インターネットの活用が活発でない企業にも、電話や訪問といった手法が有効に機能します。
このような“人と人との関係”が重視される営業では、対面や電話でのやり取りからスタートできるアウトバウンド営業が効果的です。
アウトバウンド営業を成功させるために必要な考え方
アウトバウンド営業は、単に「たくさん電話をかければいい」「営業メールを送りまくればいい」というものではありません。
成果につなげるためには、ターゲットの選定、伝え方、継続的な改善など、いくつかの重要な視点が必要です。ここでは、アウトバウンド営業を効果的に進めるために押さえておきたい3つの基本的な考え方を解説します。
誰に、どう届けるか
アウトバウンド営業では、「数を打つこと」も大切ですが、それ以上に重要なのが「誰に、何を届けるか」というターゲット戦略です。
製造業向けの高額な機器を販売している企業が、個人経営の小売店に電話をかけても、ニーズが合わず、時間だけが無駄になってしまいます。一方、対象を明確に絞れば、少ない接触でも高い成果を得られる可能性があります。
営業リストの精度を高め、「このサービスは、どのような業種・規模・役職の人にとって価値があるのか?」を具体的に言語化することが重要です。
顧客視点に立ったコミュニケーションを意識する
アウトバウンド営業では、「売り込み」感が強くなると、相手に警戒されやすくなります。そのため、常に相手の視点に立ち、共感や課題解決を重視した伝え方が求められます。
例えば、営業電話の冒頭でいきなり「サービスを紹介させてください」と話し始めるのではなく、「同業の企業様から、最近このようなお悩みを多く伺っておりまして…」といった切り口で相手の関心に寄り添った話題から入ると、ぐっと聞く姿勢を引き出しやすくなります。
メールの場合も同様です。「商品説明」だけでなく、「お役立ち情報の共有」「同業他社の事例紹介」といった切り口で構成するだけで、相手の受け取り方は大きく変わります。小さな一文でも、「貴社のような〇〇業界の企業様にご好評いただいております」といった表現を添えることで、関心を引き出すメールになります。
適切な指標で営業の改善ポイントを見える化する
アウトバウンド営業は、行動量を積み重ねることも重要ですが、ただ動くだけでは成果につながりません。成果を出すためには、「どの活動が、どのくらい成果につながっているのか」を定期的に振り返ることが不可欠です。以下のような基本的な営業指標(KPI)を確認することで、ボトルネックを発見しやすくなります。
- 架電数(1日に何件電話をかけたか)
- 接続率(電話がつながった割合)
- アポイント取得率(つながったうち、アポが取れた割合)
- メール開封率・返信率
- 訪問後の商談化率・受注率
「架電数は多いが、アポ率が低い」のであれば、話し方や切り出し方の改善が必要かもしれません。「開封率は高いが、返信が少ない」なら、本文や提案内容に問題がある可能性もあります。このように、数値に基づいて営業活動を可視化することで、感覚に頼らず、改善のポイントを明確にすることができます。定期的にチームで振り返りを行い、成果を出すためのPDCAを継続していきましょう。
営業とマーケティングの連携でターゲット精度を高める
アウトバウンド営業を戦略的に行うには、営業チームだけで完結するのではなく、マーケティング部門との連携が非常に重要です。例えば、「どの業種からの反応がよいか」「どのキーワードが関心を引いているか」といったWebや広告施策のデータは、ターゲットリストや営業トークの設計に活かすことができます。
また、ホワイトペーパーや導入事例といったコンテンツも、営業の補助ツールとして効果的です。営業とマーケティングが情報を共有し、戦略をすり合わせていくことで、ターゲットの精度と提案力の両方が高まります。
ファネル全体を意識したアプローチを設計する
アウトバウンド営業は、多くの場合「最初の接点づくり」が主な役割です。しかし、成果を出すには、その後の商談化・ナーチャリング・受注に至るまでの流れも見据えた活動設計が欠かせません。
まだ情報収集中の企業に対しては、いきなり商談の打診をせず、まずは事例資料を送付し、一定期間後にフォローコールを入れるなど、段階的なアプローチが必要になります。顧客の検討フェーズに合わせて、アプローチ内容やタイミングを調整することで、「押し売り感」を抑えながら、確実に関係性を深めていくことができます。
アウトバウンド営業を実践する際の注意点
アウトバウンド営業は即効性がある一方で、やり方を間違えると相手に不快感を与えたり、企業イメージを損ねたりするリスクもあります。
成果を出すためには、相手との信頼関係を損なわないように注意しながら、戦略的かつ丁寧な対応を心がけることが重要です。
いきなり売り込まない
アウトバウンド営業では、第一印象がその後の関係性を大きく左右します。初回の電話やメールで、製品の機能や価格の話ばかりを押しつけると、「営業色が強すぎる」と警戒され、話すら聞いてもらえなくなるケースも少なくありません。
電話営業では、「まずはお話だけでもお聞きいただけませんか?」という一言を添えるだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。また、初回のメールでも、「製品紹介」ではなく「業界の最新事例を共有したい」というニュアンスで切り出すと、相手の心理的なハードルを下げることができます。
最初の接点では売ることよりも、「関心を持ってもらう」「信頼を築く」ことを第一に考えるようにしましょう。
相手の業務や時間を尊重する
電話をかける時間帯が悪かったり、訪問のタイミングが業務のピークと重なったりすると、内容がよくても相手にストレスを与えてしまいます。
例えば、始業直後の忙しい時間帯(9:00〜10:00)や、終業間際(17:30以降)は避けるのが無難です。反対に、昼食後の13:30〜15:00頃は比較的対応してもらいやすい傾向があります。
また、飛び込み訪問を行う場合も、事前に「ご挨拶だけでも構いませんので」と断りを入れたり、「お忙しい時間に申し訳ございません。1分だけお時間いただけますか?」といった配慮ある言葉がけが印象を大きく左右します。
営業活動の成果は、製品力だけでなく、相手の立場への思いやりによっても大きく変わるのです。
個人情報・営業リストの取り扱いに注意する
営業リストを活用する際は、個人情報保護や迷惑メール対策に十分な注意が必要です。特にBtoB営業でも、個人名が含まれるメールアドレスや氏名は「個人情報」として扱われるため、管理には細心の注意を払いましょう。
例えば、Web上で収集したメールアドレスを、本人の同意なしに一括配信で使用するのはリスクがあります。送信対象に対しては、配信の目的を明示し、配信停止リンクを設けるなどの対応が必須です。
さらに、法令(例:特定電子メール法、個人情報保護法)に違反してしまうと、企業としての信用失墜にもつながりかねません。営業リストの収集・利用ルールはチーム全体で共有し、定期的な見直しも行うようにしましょう。
効率よく成果を上げるアウトバウンド営業の実践ポイント
アウトバウンド営業は、自社から積極的にアプローチできる一方で、「手間がかかる」「反応が得られにくい」と感じる場面も多い手法です。
限られた時間と人員で成果を上げるには、闇雲に動くのではなく、効率的に成果を出す工夫が不可欠です。
ここでは、アウトバウンド営業を無理なく継続し、成果につなげるための“効率化のコツ”を3つの観点から紹介します。
成果につながる見込み顧客に絞って効率化する
まずは、「誰にアプローチするか」を見極めることです。例えば、過去に問い合わせ履歴がある企業や、展示会で名刺交換した企業など、すでに自社との接点がある相手は、まったくの新規よりもアプローチの成功率が高くなります。
また、同業他社での導入実績がある業界や規模の企業に絞ることで、営業トークの説得力も高まり、商談化率も上がります。優先度の高いリストを作ることが、営業効率を左右します。
営業活動を記録・分析する
効率的に営業成果を出すには、「なんとなく」ではなく、数値に基づいた振り返りと改善が重要です。例えば、「何時頃に電話するとつながりやすいか」「どの件名でメールの開封率が高かったか」といった記録を残すことで、次回以降のアプローチの精度が高まります。
CRMやSFAツールを活用すれば、アプローチの履歴をチームで共有しやすくなり、個人の経験に頼らず、組織全体で“勝ちパターン”を見つけて再現できるようになります。
テンプレートやツールで作業を効率化する
毎回ゼロから営業文面を作るのではなく、効果の高い営業トークやメール文面をテンプレート化しておくと、時間を大幅に節約できます。
さらに、以下のようなツールを併用することで、手間を減らしながら成果を高められます。
- メール配信ツールでの一括送信と開封確認
- 営業管理ツール(CRM/SFA)でのリード状況の一元管理
- 通話録音・スクリプト表示機能付きのクラウド型電話ツール
「人の手でやる部分」と「ツールに任せる部分」をうまく分けることで、営業担当者の負担を軽減し、より多くの商談チャンスに集中できる環境をつくることが可能です。