顧客との信頼関係を深めるコンサルティング業界における案件管理

コンサルティング業界では、顧客の課題に対してオーダーメイドの提案を行い、実行支援までを伴走するケースが一般的です。そのため、案件管理では、顧客ごとに異なるプロセスや判断軸に柔軟に対応することが求められます。さらに、案件化までに時間を要する商談や、複数のステークホルダーとの調整、提案後の長期フォローなど、関係性を軸とした案件管理の重要性が特に高い業界でもあります。このレッスンでは、コンサルティング業界における案件管理の特徴を押さえながら、実務でつまずきやすいポイントや、CRM/SFAツールを活用した管理の仕組み化まで、わかりやすく解説していきます。

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顧客との信頼関係を深めるコンサルティング業界における案件管理
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コンサルティング業界の案件管理の特徴を知ろう

コンサルティング業界の案件は、他の業界と比べても「情報量の多さ」や「進め方が個別で異なる」など、特徴が際立っています。さらに、一つひとつの案件が顧客ごとの課題や業種、組織体制にあわせたオーダーメイドであるため、管理の難易度は高くなりがちです。ここでは、コンサルティング業界特有の案件管理の特徴を3つの視点から整理し、どのような対応が求められるのかを確認していきます。

顧客ごとに異なる課題に対応する個別性の高さ

コンサルティングの案件は、「製品を売る」のではなく、「課題を解決する」ことが目的です。そのため、同じ業種や規模の企業であっても、提案内容がまったく異なることが多くあります。例えば、同じ「営業改革支援」というテーマでも、ある企業では営業フローの見直しが必要な一方、別の企業ではCRMの導入が主な課題となることもあります。つまり、案件ごとにゴールもアプローチも大きく変わるのが特徴です。そのため案件管理においては、下記の点に注意し情報をしっかりと整理しておく必要があります。

まず、顧客の業種や組織構造を把握しましょう。提案の方向性や検討プロセスは、業種特性や社内体制によって大きく左右されます。初期の段階でその企業特有の構造をつかんでおくことで、より的確なアプローチが可能になります。

次に重要なのが、現状の課題や目指すゴールの明確化です。ヒアリングを通じて、顧客が本当に困っていること、そしてどこを目指しているのかを正確に捉えることが、提案の軸となります。これが曖昧なままでは、課題のすり替えや認識のズレが発生してしまいます。

さらに、提案内容の背景や狙いもあわせて記録しておくことが重要です。なぜこの提案になったのか、どんな優先度や意図で組み立てたのかといった経緯を残しておくことで、社内での引き継ぎや次回提案への応用がスムーズになります。

案件ごとにしっかりと記録・整理し、後から見ても意図がわかる状態にしておくことが非常に重要です。属人的に管理していると、チームでの共有や引き継ぎが困難になるため、情報の一元管理と見える化が案件管理においては重要なポイントです。また、このような情報は、CRM/SFAツールに残しておくことで、プロジェクト後半での再提案やアクションの振り返りにも活用できます。

長期的な提案・実行プロセスと関係性重視の営業

コンサルティング案件は、提案してすぐに契約になるケースはまれで、数ヶ月〜半年以上かけて検討・提案・調整が行われることが多くあります。契約後も、プロジェクトとして実行支援まで関わることが一般的です。このように、商談から契約、そして実行までの期間が長期にわたるため、単発的なやり取りではなく、継続的な信頼関係の構築が非常に重要になります。

また、プロジェクト中に顧客の状況や方針が変わることもあるため、「契約したら終わり」ではなく、都度ニーズを確認しながら提案内容を柔軟に調整していく姿勢が求められます。案件管理においては、

  • 提案履歴や議事録などを時系列で記録しておく
  • フォロー履歴や次回提案のタイミングを管理する
  • 顧客との関係フェーズ(信頼構築中/提案中/支援中など)を明確にする

といった工夫を取り入れることで、長期的な信頼関係の維持と案件の確度向上につながります。

複数のステークホルダーが関与する意思決定構造

コンサルティング案件の多くは、経営層だけでなく、事業部門や現場責任者など複数の立場の関係者が関与するため、意思決定が複雑になりがちです。提案の初期段階では現場とのヒアリングが中心でも、最終的には役員の判断が必要だったり、各部署との合意形成に時間がかかったりするケースもあります。そのため、営業やコンサルタントは、関係者の役割や立場を把握し、それぞれに適した情報提供や説明を行う必要があります。

案件管理においては、まずどの関係者が案件に関与しているのかを明確にしておかないと、誰に何を伝えるべきか判断できず、提案が前に進まなくなってしまいます。また、それぞれの関係者がどのような立場にあり、何に関心を持っているのかを理解しておくことも重要です。現場は実行のしやすさを重視しているかもしれませんし、経営層はコストや全社的なインパクトに注目しているかもしれません。さらに、誰がキーパーソンとなるのか、またどこで意思決定が止まっているのかといった情報をつかんでおくことで、提案のタイミングや訴求の切り口を調整しやすくなります。

このような情報を整理しておくことで、合意形成に必要なアクションや次の動きが明確になります。CRMやSFAツールを使えば、顧客企業内の関係者情報を可視化し、対応履歴や関係性の深さをメンバー間で共有することも可能です。

案件管理でよくある課題とつまずきポイント

コンサルティング業界における案件は、提案から実行、さらにその後のフォローに至るまで長期的かつ多くの段階にわたるため、管理が複雑になりやすく、情報共有や進捗管理に不備があると、商談の停滞や機会損失につながる恐れがあります。ここでは、現場でよく見られる「つまずきやすいポイント」を3つの視点から整理し、それぞれの背景と課題の構造を明らかにしていきます。

案件ステージが複雑で進捗管理が難しい

コンサルティング案件は、「ヒアリング → 提案 → 調整 → 契約 → 実行支援」など複数のフェーズを経て進行します。しかし、顧客の反応や組織内の承認フローによって進行が前後したり、複数の提案が同時並行で進んだりすることもあるため、「今この案件がどの段階にあるのか」が非常に見えづらくなりがちです。特に以下のようなケースでは注意が必要です。どれも「動いていそうで実は止まっている」状態であり、適切に管理していないと、フォローのタイミングを逃し、案件の失注や信頼低下につながる恐れがあります。

  • 初期ヒアリングは終えているが、提案内容の合意が取れていない
    提案資料の準備が進んでいるにもかかわらず、顧客側のニーズが変わったり、他社と比較しているうちに検討自体がストップしてしまう可能性があります。この状態を放置すると、「手間をかけたが成果に結びつかない」という事態になりかねません。
  • 現場とは合意しているが、経営層の判断が保留のまま止まっている
    実務担当者からは前向きな反応を得ていても、最終的な決裁権を持つ経営層で議論が進まなければ、案件は前に進みません。にもかかわらず、現場対応だけに注力していると、提案が宙に浮いた状態になってしまいます。
  • 一度提案したが、半年後に再始動の可能性がある
    顧客から「今は時期が早いが、来期に再検討したい」と言われたようなケースでは、再提案のタイミングを正しく管理しておかないと、そのまま忘れ去られてしまうこともあります。再始動の機会を逃せば、競合に先を越されるリスクも出てきます。

このような案件が複数あると、全体像を把握するのが難しくなり、提案タイミングを逃してしまう恐れがあります。

情報が属人的で共有がされにくい

コンサルティング業界の案件では、顧客の課題、提案の背景、各関係者とのやりとりの履歴など、言語化しにくい情報が数多く存在します。こうした情報を営業担当やコンサルタント個人が自分のノートや記憶、メールボックスなどにバラバラに管理していると、いざというときに情報が活かされないまま終わってしまうリスクがあります。特に以下のような場面では、情報共有の不備が機会損失につながることが少なくありません。

  • 担当者が不在の際に、他のメンバーが状況を把握できず、対応が止まってしまう
  • 顧客の過去の反応や提案内容が分からず、同じ説明を繰り返してしまう
  • 前任者が退職や異動をしてしまい、顧客との関係性や信頼の積み重ねが失われる

こうした状況を放置すると、顧客からの信頼を損ねたり、「この会社には任せられない」と判断されてしまう可能性もあります。また、社内でも「誰がどこまで対応しているのか」がわからなくなり、二重対応や対応漏れといったトラブルが起きやすくなります。

案件完了後のフォローが継続されない

コンサルティング案件では、納品や実行支援が完了した後こそが、次の提案や契約につながる重要なフェーズです。顧客の課題解決を一度支援したからこそ、新たなニーズが生まれやすく、追加提案や継続支援のチャンスにもつながります。しかし現場では、案件の納品・完了を「ゴール」として扱ってしまい、その後のフォローや関係維持が行われずに止まってしまうケースが少なくありません。特に以下のような状況が多く見られます。

  • 案件が終了した後の定期フォローが未設定
    納品完了と同時に対応が止まってしまい、顧客とのやりとりが一切なくなってしまう。数ヶ月後に連絡を再開しようとしても、「すでに他社と新しい取り組みが始まっていた」といったケースもあります。
  • 契約更新や次の課題提案のタイミングが社内で管理されていない
    SaaS製品の導入支援やBPR(業務改革)のように、初期提案の段階から複数フェーズにわたる支援を想定して進められる案件では、継続的な支援や段階的な施策提案が計画の一部として組み込まれていることもあります。しかし、そうしたタイミングや期日が社内で可視化されていないと、営業やコンサルタントが提案の好機を逃してしまい、継続支援の機会を失うリスクがあります。
  • 顧客のs状況変化(人事異動や方針転換)を把握できていない
    担当者の異動や経営方針の変更など、組織内の変化を把握していないまま放置すると、関係性が一気にリセットされ、せっかく築いた信頼が白紙に戻ってしまい、再提案の機会を逃してしまうリスクが高まります。

このような「フォローの放置状態」が続くと、顧客側としても「連絡がない=もう興味がない」と受け取ってしまい、再提案や継続支援の機会を逃すだけでなく、他社に乗り換えられてしまうリスクも高まります。

案件のステージを整理して進捗を「見える化」しよう

これまで見てきたように、コンサルティング案件では、ステークホルダーが多く、進行期間も長期にわたるため、「今この案件はどのフェーズにあるのか」「次に何をすべきか」が曖昧になりがちです。さらに、提案が一時中断されたり、意思決定の途中で止まっていたりするケースも少なくありません。そうした中で案件をしっかり進行していくためには、「案件のステージ(段階)を明確に分けて管理すること=見える化」が非常に重要です。ここでは、案件をフェーズに分ける意義と、CRM/SFAツールを活用してステージの進行状況を可視化する方法、そしてチーム内で連携しやすくするための工夫について見ていきます。

案件をフェーズに分けて管理するメリット

案件を「ヒアリング → 提案 → 合意調整 → 契約 → 実行支援 → フォローアップ」などのフェーズに分けて管理することで、今どの段階にあるのか、どこで止まっているのかが明確になります。例えば、

  • A社の案件は現在『提案済み・合意調整中』
  • B社は『実行支援中』
  • C社は『ヒアリング後、次回提案準備中』」

というように、ステータスが一覧で把握できる状態をつくることで、どの案件を優先して動かすべきか、どのフェーズで停滞している案件が多いのか、次にどんなアクションが必要かといった判断がしやすくなります。

また、以下のようなケースでも、フェーズ分けの効果は大きく発揮されます。

  • 提案書を出したが返事がない案件
    →「合意調整フェーズ」として案件を明確に区分しておくことで、顧客からの返答待ちで停滞している状態を可視化できます。その結果、「いつリマインドすべきか」「まだ様子を見るべきか」といった判断がしやすくなり、対応の遅れや抜け漏れを防げます。
  • 契約済みだが実行支援が始まらない案件
    →「キックオフ準備中」としてステージ管理しておけば、本来進めるべき重要フェーズで止まっているという認識がチーム全体で共有されます。開始タイミングの遅れや顧客側の準備不足にも気づきやすくなり、着手漏れの防止やフォローの強化につながります。
  • 次回提案タイミングが数か月後の案件
    →「フォロー待ちフェーズ」として分類し、時期が来たら自動でリマインドされるよう設定しておくことで、営業チャンスを逃さずに済みます。 忙しい日常業務の中でも、先送りされた案件の管理精度を高めることが可能です。

このように、案件をフェーズごとに整理しておけば、「今この案件に必要なアクションは何か」が明確になり、属人的な判断に頼らず、誰が見ても次の一手が見える状態をつくることができます。結果として、対応のスピードと精度が向上し、失注や信頼低下のリスクも大きく減らせます。

CRM/SFAツールでステージ進行を可視化し、抜け漏れを防ぐ

案件管理をExcelで行っている現場も多いですが、Excelには進捗管理においていくつかの限界があります。例えば、

  • 案件ごとのフェーズを手動で更新する必要があるため、更新漏れや反映ミスが起こりやすい
  • 担当者が変わったときに過去の対応履歴が把握できず、引き継ぎが難しい
  • 案件数が増えてくると一覧性が失われ、重要な案件が埋もれてしまう
  • 「ステージが止まってから◯日経過」などの経過時間の自動計算やアラート機能がない

といった課題があり、「どの案件がどこで止まっているのか」「次に何をすべきか」が非常に見えづらくなります。

こうした課題を解消するのが、CRM(顧客管理)/SFA(営業支援)ツールです。

CRM/SFAツールでは、あらかじめ「ヒアリング」「提案中」「合意調整中」「契約済」などのステージを設定し、案件ごとにその進行状況をドロップダウンやボード形式などで直感的に管理できます。

例えば、CRM/SFAツールを使えばステージの更新履歴が自動で記録され、次に何をすべきかをリマインダーや通知で教えてくれるほか、チーム全体で案件の進行状況をリアルタイムに共有できるため、対応漏れを防ぎやすくなります。さらに、ステージごとの案件数や進捗率、停滞日数といった情報もレポートで可視化できるため、「いま案件がどこで止まっているのか」「次にどこを動かすべきか」が一目で分かるようになります。

特にコンサルティング業界のように、商談が長期化しやすく、進行が複雑な案件が多い場合には、情報を正確かつタイムリーに把握できる仕組みが必要です。CRM/SFAは、まさにそのための有効なツールです。

営業や実務チームとの連携を円滑にする工夫

案件管理は、営業担当だけで完結するものではありません。提案を準備するチーム、実行支援を担当するコンサルタント、契約内容を管理する事務スタッフなど、多くの関係者が関わるため、情報の共有が非常に重要です。CRM/SFAツールを活用して案件の進捗・履歴・対応状況を共有しておけば、誰がどの案件に関わっているのか、今どこまで進んでいるのかを全員が把握できるようになります。これにより、例えば営業が不在のときでも、他のメンバーが代わりに対応することが可能になります。

また、連携をスムーズにするためには、「誰が・いつ・何を更新するか」というルールをチーム内で定めておくこともポイントです。更新ルールを整えておくことで、情報のズレや連携ミスを最小限に抑えることができます。

顧客ごとの情報を一元管理して提案の質を高める

コンサルティング業界では、顧客ごとに課題もニーズも異なるため、「一度やり取りした情報」や「過去に行った提案内容」が、次回の提案活動にとって非常に大きな意味を持ちます。ところが、こうした情報が担当者個人のメモや資料にとどまっていると、必要なときに探せなかったり、引き継ぎがうまくいかないといった問題が起こりがちです。

そこで重要になるのが、顧客とのやり取りや提案内容を、社内で共有・再活用できる状態で一元管理することです。CRM/SFAツールを活用すれば、こうした情報の蓄積・検索・共有がスムーズになり、提案の質とスピードの両方を高めることができます。

課題や提案内容、対応履歴をCRMに蓄積する

コンサルティング案件は、顧客の課題やゴールにあわせて一社一様に設計されるため、商談の中で出てきた要望や懸念点は重要な情報です。

しかし、打ち合わせ内容が担当者の手元にしか残っていない、あるいは議事録がバラバラに管理されている状態では、提案の精度が下がったり、顧客との認識のズレが起きたりするリスクがあります。

CRM/SFAツールを活用すれば、以下のような内容を一元的に記録・蓄積できます。

  • 初期ヒアリングで把握した顧客の課題や現状の整理
  • 提案の狙いや、提示に至った背景・前提条件
  • 顧客の懸念点や、意思決定に影響するキーワード

これらの情報を時系列で記録することで、後から見直したときに「なぜこの提案になったのか」が誰にでもわかり、再提案やチーム連携も格段にスムーズになります。

チーム内で情報を共有し、誰でも対応できる状態に

コンサルティング案件では、提案・調整・実行支援・改善提案など、関与メンバーがフェーズごとに入れ替わることが多く、1人の営業やコンサルタントだけでは対応しきれない場面が頻繁に発生します。にもかかわらず、情報が属人的に管理されていると「担当者が不在で対応が止まる」「過去のやりとりがわからず、ゼロから説明を求められる」といった事態になりかねません。CRM/SFAツールで対応履歴や関係性の深さ、ステークホルダーの情報などを一元管理しておけば、

  • 担当外のメンバーでもすぐに状況を把握し、対応を引き継げる
  • 複数のメンバーがチームで顧客対応できる体制を築ける
  • 「話が通じない」といった顧客の不満も軽減できる

といった効果が得られ、長期的な関係性の中でも質の高い対応が維持できます。

過去の提案履歴をもとに再提案のチャンスを作る

「今は見送りだが、半年後にまた検討したい」「今回は別案件を優先したが、そちらも興味はある」といった未確定な見込み案件が多く存在します。

このような案件こそ、将来的な再提案のチャンスですが、管理ができていないとタイミングを逃してしまい、競合に取られるリスクすらあります。CRM/SFAツールでは、こうした過去の提案履歴や見送り理由、次回提案希望の時期などを記録しておけるため、

  • 「再検討予定月に自動でリマインド」が可能になる
  • 「以前どんな提案をしたか」がすぐに確認できる
  • 「当時と今で状況がどう変わったか」の比較も簡単

となり、営業アクションの精度とスピードを大きく高められます。再提案の「漏れ」や「やり直し」を防ぎながら、継続的な営業機会をつくるためにも、CRM/SFAツールに情報を記録しておくことは極めて重要です。

案件終了後のフォローアップで信頼関係を強化する

コンサルティング業界では、「案件の完了」がゴールではありません。むしろ、実行支援が終わった後こそ、顧客との関係性を深め、次の案件につなげる重要なタイミングとなります。単発で終わらずに継続支援へとつなげるためには、案件完了後も適切なタイミングで接点を持ち、顧客の状況を見ながら再提案の機会を作ることが重要です。

プロジェクト完了後も定期的な接点を持つ

「ひとつのプロジェクトを成功させる」ことは、ゴールであると同時に、次の案件へのスタート地点でもあります。特にコンサルティングでは、ひとつの課題を解決したことで、新たな課題やテーマが顕在化するケースが多く、そこから継続支援や別部門への展開に発展することが少なくありません。以下のようなアプローチを継続的に行うことで、「案件が終わっても伴走してくれる会社」という印象を残し、信頼の維持・深化につながります。

  • 案件終了後1〜3ヶ月での定期ヒアリングの実施
    「その後、現場ではどのような変化がありましたか?」「導入した施策の運用でお困りのことはありますか?」といった確認の場を持つことで、課題の再発見や新たな支援テーマが見えてきます。対応が迅速かつ的確であれば、顧客からの継続支援の期待値も自然と高まります。
  • 顧客の業界に関するニュースや法改正情報の共有
    「●●省が発表した最新ガイドラインが、御社の現場運用に影響しそうです」といった情報提供は、顧客から見て“自社の業界に詳しく、常にアンテナを張ってくれているパートナーという印象を強めることができます。コンサルタントとしての信頼感・専門性のアピールにもつながります。
  • 成果報告書の送付とあわせた、今後の課題提起
    プロジェクトの振り返りを成果報告書にまとめて提出する際に、「今回の支援を通じて、組織間連携という新たな課題も見えてきました」などと、次なる提案のきっかけを添えることで、再度の検討に自然な流れをつくれます。

こうした接点作りは、他社との差別化にもなり、顧客との信頼関係を継続的に強化する大きな要素となります。

顧客の状況変化に応じた提案をCRMでタイミングよく実施

コンサルティング対象の企業は、人事異動や組織改編、経営方針の変化など、目まぐるしく環境が変わります。その変化をいち早くキャッチし、提案の内容やタイミングを調整することが、次の支援につながるきっかけになります。

CRMを活用すれば、案件終了後の顧客フォローにおいても、「情報を活かした先回りの提案」や「最適なタイミングでのアプローチ」が実現しやすくなります。以下のような活用が代表的です。

  • 異動情報などを記録し、新しいキーパーソンへのアプローチを検討
    顧客企業内でキーパーソンが異動した場合、その情報をCRMに記録しておけば、新任担当者への紹介メールや、新しい部署の状況を踏まえた提案が可能になります。たとえば、「前任の〇〇様からお話を伺っていた件ですが、御社の方針にあわせて新たなご支援案を検討しております」といった形で、スムーズに関係性を引き継ぐことができます。
  • 経営方針や部門目標の変更をもとに、新たな課題を想定した仮説提案
    年度計画の見直しや中期経営計画の発表など、企業の方針に変化があった場合、その内容をCRMに蓄積しておけば、「今後は業務効率化がテーマになりそうだ」「人材育成への関心が高まっている」といった仮説を立てた上で、次の提案を準備できます。顧客の変化に対して“後追い”ではなく“先回り”でアクションできるのが、CRM活用の大きな強みです。
  • フォロー履歴から、提案タイミングの最適化(年度替わり・決算月など)
    CRMには過去の提案時期や、ヒアリング・訪問の履歴が時系列で残っているため、「前回は年度替わりの3月に検討が活発化した」「決算前にコスト圧縮の提案をして成功した」といったデータから、最も効果的なアプローチ時期を見極めることができます。

このように、状況の変化に応じた提案」ができる体制を整えておくことが重要になります。

継続的な支援が次の案件の入り口になる

「ひとつのプロジェクトを成功させる」ことは、ゴールであると同時に、次の案件へのスタート地点でもあります。

特にコンサルティングでは、ひとつの課題を解決したことで、新たな課題やテーマが顕在化するケースが多く、そこから継続支援や別部門への展開に発展することが少なくありません。CRM/SFAツールで過去の支援履歴を蓄積しておくと、

  • どのフェーズでどんな課題があったか
  • どのような成果が出たか
  • どのような要望が未解決として残っているか

といった「次の提案の種」を見逃さず、継続的な関係を構築できます。このように、「提案→契約→実行→終了→再提案」という一連のサイクルをCRM/SFAツールでつなげていくことで、案件の“点”を“線”に変えていくことが可能になります。

CRMを活用して案件管理を仕組み化するポイント

コンサルティング案件は、提案から実行、フォローアップまでの期間が長く、関係者も多岐にわたるため、情報が点在したり管理が属人化したりすると、対応漏れやタイミングの逸失が起こりやすくなります。

そこで活用したいのが、CRM/SFAツールです。ここでは、CRMを活用して案件管理を“個人の記憶”に頼らず“チームで動かせる仕組み”に変えていくための具体的なポイントを紹介します。

ステージ進行・タスク管理・アラート機能の活用

案件の進捗をフェーズごとに設定し、進行状況を可視化することで、「今この案件はどのステージにあるか」「次に何をすべきか」が一目でわかるようになります。例えば、「合意調整中」というステージに案件が止まっていたら、◯日経過で自動的にアラートを出し、次のアクションを促す設定も可能です。

活用イメージ:

  • 提案から1週間以上返信がない場合、担当者にリマインド通知
  • 「次回提案予定日」が近づいたら、自動でアラートを送信
  • ステージ更新履歴を残しておけば、どこで停滞したかを分析できる

この結果対応漏れや“動いているように見えて止まっている案件”を見逃さず、確実に次のアクションへとつなげることができます。

担当者別のアクションや商談数の可視化

営業やコンサルタントの活動状況を可視化することで、属人化の回避や改善点の発見がしやすくなります。例えば、「この1ヶ月で誰が何件フォローしたのか」「提案済み案件は何件あるのか」といった情報をダッシュボードで確認できます。

活用イメージ:

  • 営業Aは提案までは多いが、フォロー回数が少ない → 改善の指導
  • コンサルBは成約率が高い → ナレッジをチームに共有
  • 商談履歴を見ながら、活動のばらつきや偏りを可視化し、対応計画を立てられる

このように、活動を「見える化」することで、チーム内でのバランス調整や個々のスキルアップにもつなげることができます。

案件情報を一元管理し、誰でも見える状態をつくる

CRMでは、案件のステータスだけでなく、顧客とのやり取り・提案内容・過去の課題など、あらゆる情報を一元管理できます。

担当者が不在でも、「この案件は前回こんな話をしていた」「次回はこの資料を送る予定だった」といった情報がすぐに把握できるため、対応の属人化を防げます。

活用イメージ:

  • 打ち合わせの議事録、提案資料、メールの履歴を案件ごとに保存
  • 案件を横断して、「同じ業種の過去提案例」をチームで参照できる
  • フォロー漏れを防ぎつつ、引き継ぎや再提案がスムーズになる

特に、複数の部署や役割の人が関与するコンサル案件では、「誰でも案件の全体像がわかる」状態をつくっておくことが、組織としての対応力向上に直結します。