CRM/SFAを活用した休眠顧客の掘り起こし戦略の最適化

前のレッスンで解説したような休眠顧客を対象としたアプローチ施策を実行する際に、継続的に効果を出し続けるために必要となるのは、「施策の効果を可視化し、改善する仕組みを作る」ことです。
各アプローチ施策の成果を見える化し、効果の高いアプローチや顧客セグメントに絞り込んで注力することで、より効率的に休眠顧客の掘り起こしを行い継続的な業績の向上が可能となります。
本レッスンでは、CRM/SFAツールを活用して、休眠顧客へのアプローチの効果検証から、施策の自動化までを効率的に行う実践方法を解説します。
※CRM/SFAツールの例として、Zoho CRM の画面が登場します。

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CRM/SFAを活用した休眠顧客の掘り起こし戦略の最適化
目次

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休眠顧客アプローチの効果検証

休眠顧客や休眠顧客になりそうなセグメントに対するアプローチ施策を実践しても、施策の目的を達成できなければ意味がありません。

実際にはすべてのアプローチ施策を成功に導くことは困難であるため、まずは施策の効果を測定・検証し、必要に応じて施策の改善や別セグメントのアプローチを行うことが欠かせません。

ここからは、休眠顧客へのアプローチの効果検証の考え方と、CRM/SFAツールでどのような機能を使って、効果検証を行うかを解説します。

効果検証の考え方

休眠顧客の掘り起こし施策は、中長期的な取り組みになることが多いため、売上や利益といった最終的な業績を評価する指標だけでなく、中間指標といわれるKPI(重要業績評価指標)を設定し、段階的に効果を評価する視点が大切です。

休眠顧客の掘り起こし施策を評価する中間指標の例としては、以下のようなものが上げられます。

  • アプローチ後のメールの開封率・クリック率休眠顧客の興味を引くことができているか
  • Webサイトへの再訪問率興味を引くだけでなく、より具体的な行動のきっかけとなっているか
  • 問い合わせ件数アプローチにより、再商談化などに繋がる行動がどの程度起こっているか
  • 商談化率アプローチ施策と営業活動内容がきちんと連動しているか
  • 受注率アプローチ施策は顧客が受け入れられるような内容だったか
  • 顧客セグメントごとの顧客数の変化アプローチ施策により、各セグメントの顧客の引き上げができているか

こうした数値を「施策(キャンペーン)単位」「顧客セグメント単位」で把握することにより、どの施策がより効果的だったかを明確にできます。

マーケティングと営業活動にまたがる効果検証のポイント

休眠顧客向けのアプローチ施策では、マーケティング部門と営業部門の活動が連携・役割分担しながら進むことが多く、先ほどご紹介したように評価指標が複数存在するため、効果検証の難易度が高くなります。

例えば、メール配信はマーケティング部門、メール配信後のフォロー架電や訪問は営業部門が担当する場合、それぞれの成果を個別に・かつ連携して評価する必要があります。

ポイントとなる視点:

  • メール配信→開封やクリックの把握→優先順位をつけて営業担当者がフォロー実施→商談化→受注という一連の流れを途切れることなく数値で追うことができるか?
  • Zoho CRM上で営業が残した活動履歴(通話、訪問など)と、マーケティングとして実施した施策内容を関連付けて検証できるか?
  • 「どのチャネル」「どのアプローチ」「どのタイミング」が休眠顧客の再活性化につながったかを把握できるか?

このように、各部門が行う単独の活動だけを評価するのではなく、「休眠顧客が顧客として戻ってくるまでの流れを各部門の行動と紐づけたストーリー」のような形で効果をとらえる視点を持てるかがポイントとなります。

しかし、データが残らない形での通常のメール配信や、マーケティング部の活動と営業部の活動が連携しにくいExcelやスプレッドシートでの情報管理を行っている場合には、このような効果測定を行うことができません。

一方、CRM/SFAツールでは、メールへの個別の反応や、施策の対象者が何人いて、そのうち何人から反応があったのか、実際に受注に至った数などを把握・管理する機能を持っています。

そのため、休眠顧客のアプローチ施策やそれ以外の顧客セグメントに対する施策の効果検証を出来るだけ手間をかけずに行いたい場合には、CRM/SFAツールを利用するのが現実的といえるでしょう。

CRM/SFAツールを利用した効果検証の実践

休眠顧客に対する施策の効果検証を行うためには、適切なデータの蓄積・管理し、蓄積したデータを分析・可視化できる仕組みが必要です。

ここからは、CRM/SFAツールの例としてZoho CRMを題材とし、施策実行に関連するデータを適切に蓄積するための「キャンペーン管理機能」、蓄積されたデータを迅速に集計・可視化するための「レポート・ダッシュボード機能」の設定方法や活用方法について解説していきます。

キャンペーン機能による休眠顧客施策の管理

休眠顧客向けのアプローチ施策の実施や効果検証には、対象者を管理し、施策の実施状況や投資対効果を明らかにする必要があります。

CRM/SFAツールではそのような機能を「キャンペーン管理機能」として提供していることが多く、今回はZoho CRMのキャンペーンタブを利用した管理方法を解説していきます。

キャンペーンの作成

Zoho CRMでは一連の販促活動などを管理するタブとしてキャンペーンタブを利用します。

キャンペーンタブでは、キャンペーン名やキャンペーンが行われる期間、活動に必要なコストなどの計画時点の情報を登録し、対象者を登録した上で活動管理を行っていきます。

最初から用意されているキャンペーンの管理項目は以下のようになっています。

  • キャンペーン名:一連の施策を表す名称
  • 種類:セミナー、メール、イベントなど自社が扱う施策の種類
  • ステータス:施策が行われている状態
  • 予算:施策の実施に必要なコストの予定
  • 開始日:施策の開始日
  • 終了日:施策の終了日
  • 予想反応数:イベントなどの場合は参加予定者数など
  • 実際の費用:実際に掛かったコストを終了時点で入力
  • 売上の期待値:一覧の施策で上がる売上の予測数値を入力
  • 送信数:メールキャンペーンやダイレクトメールなどの場合の送信済み数など
  • 親キャンペーン:複数のキャンペーンをまとめて管理するための情報

例えば、休眠間近の顧客向けのWebセミナーを企画した場合には、以下のような情報を登録します。

キャンペーン詳細画面

キャンペーンメンバーの登録

キャンペーン情報を登録したら、次に行うのはキャンペーンの対象者の登録です。

キャンペーンには、「見込み客」や「連絡先」を施策の対象者として登録可能です。休眠顧客が対象となる場合には、過去に取引のあった「連絡先」が対象となるでしょう。

具体的な登録の操作手順については、以下の動画を参考としてください。

キャンペーン情報への連絡先の紐づけ

動画内では、「休眠間近」のタグがつけられた「連絡先」を対象者としてメンバー登録し、「キャンペーン反応ステータス」の更新を行っています。

キャンペーンメンバーとして登録すると、各対象の状態を管理するための項目「キャンペーン反応ステータス」を利用することができるようになります。

最初から用意されているステータス(状態)は、以下のようなものですが、イベント管理を行う場合には、他に「参加」「不参加」なども追加しておくと、出欠管理などにも利用できます。

キャンペーン反応ステータスのカスタマイズ

自社の施策にあったキャンペーン反応ステータスをカスタマイズして施策の実施結果を確実に蓄積できるようにしましょう。

掘り起こし施策の実行と管理

施策の対象者まで明らかになったら、次は施策の実行です。

キャンペーンメンバーに登録された連絡先には、キャンペーンタブからメールの一斉送信が可能です。

「連絡先」に対してメールを一斉送信する場合には、事前にメールテンプレートを用意して送信します。

メールの件名や内容次第で反応率が変わってきますので、顧客の立場に立ったメッセージの作成を心がけましょう。

メールの送信が終わったら、キャンペーンステータスを「送信済み」としておくことで、新たにキャンペーンメンバーとして追加された連絡先が出た場合に招待メールが送られていないことが一目でわかるように管理することが可能です。

さらにイベントの実施後に個別にフォローを行う場合には、営業担当者のフォロー状況をステータスとして作成しておけば、フォロー漏れなどを防ぐことができるようになります。

施策終了後の効果の検証

施策の実施が終わったら、次は効果検証を行っていきます。

キャンペーンタブは、施策の終了後に実際に掛かったコストを入力し、施策から生まれた商談の金額などを集計する機能を持っています。

キャンペーンによる効果検証

また、キャンペーンタブの画面では、必要な情報の入力やデータの紐づけを行えば、上記のように、

  • 予算と実際にかかった費用の比較
  • 売上の期待値と実際に受注した商談の金額の比較

などを一つの画面で行うことも可能です。

効果検証を金額以外の項目(例えばイベントの参加人数など)で行う場合には、キャンペーンタブの項目をカスタマイズして、必要な項目を管理できるようにしていきます。

多くの組織では、さまざまな施策の実行が最後まで行われなかったり、実行はしても効果検証が行われず、惰性で施策を実施しているという状況が発生しがちです。

そのような状況を起こさないために、CRM/SFAツールによる休眠顧客施策の実施と効果検証を行うようにしましょう。

レポート機能による効果検証

ここまでキャンペーンタブを使った施策の実施状況の管理とデータの蓄積方法を見てきました。

キャンペーンタブでもある程度の効果検証を行うことができます。しかし、キャンペーン単体での最終的な効果検証を行うことは可能ですが、複数のキャンペーンを横並びで検証する、時系列で施策の実行状況を把握するといったことには向いていません。

横並びでの効果検証や時系列での実施状況を把握は、Zoho CRMの「レポート」機能を使うことで可能となります。

レポート機能を使って、作成・利用できる例として以下のようなレポートが挙げられます。

  • 特定のキャンペーンのキャンペーンステータスの一覧レポート
  • キャンペーン別のメールの開封率/クリック率一覧レポート
  • 特定のキャンペーンから発生した商談の進捗状況レポート
  • 顧客セグメント別のキャンペーン実施状況レポート

Zoho CRM のレポート機能では、情報量が多くなる施策の対象者を1画面内で一覧化したり、施策やセグメントごとに横並びで実施状況や効果のほどを一覧化するのに向いた機能を多数持っています。

また、複数のタブ(例:連絡先・商談・キャンペーンなど)の情報を組み合わせたレポートも作成可能なため、各タブで個別の情報を見るだけでは見えてこない情報の可視化にも向いています。

レポート機能を積極的に活用することで効果検証がより進みやすくなるでしょう。

レポートの作成手順は以下の動画を参考としてください。

キャンペーンに関するレポートの作成手順

上記の動画では、特定のキャンペーンの施策実施状況を対象者ごとに把握するためのレポートを作成しています。

キャンペーンの施策実行状況確認レポート

ダッシュボード機能による効果検証

レポート機能よりも横並びのデータを直感的・視覚的に把握したり、受注率のような率の計算結果を算出しやすいのがダッシュボード機能です。

Zoho CRMのダッシュボード機能では、棒グラフ・円グラフ・数値指標(KPI)などを使って、効果検証を行うためのグラフや数値を1画面に集約できます。

おすすめのダッシュボード構成例:

  • 個別のキャンペーンダッシュボード施策単位で実施状況を把握するためのダッシュボード
  • 顧客セグメントごとのダッシュボード休眠顧客など、特定のセグメントを対象とした複数のキャンペーンの実施状況や施策の効果を把握するためのダッシュボード
  • マーケティングダッシュボード休眠顧客などに限らないマーケティング施策全体の実施状況や効果を把握するためのダッシュボード

こうしたダッシュボードを週次や月次で定点観測すれば、個別の施策の改善点だけではなく、マーケティング活動全体の中で注力すべき施策を決めたり、次に行うべき施策を早期に発見できます。

キャンペーンの施策実行状況を確認するためのダッシュボードサンプル

上記は「施策単位で実施状況を把握するためのダッシュボード」のサンプルです。

休眠間近の顧客向けのイベントの「招待数」「参加数」「発生した商談数」「受注した金額」「商談の発生タイミングごとの件数」「頴娃町担当者ごとの担当商談数と受注商談数」などを一つの画面で表示しています。

このように施策の実施状況などを一つの画面でまとめて表示できるため、例えばマーケティング部と営業部が合同で進捗状況や施策の効果検証を行うような場面でこのようなダッシュボードが役に立ちます。

ダッシュボードの各要素は、以下のような設定画面で、集計条件や視覚化のテンプレートを選んで、設定を行うことでダッシュボード内に配置可能です。

ダッシュボードに配置されたKPIテンプレートの設定画面
ダッシュボードに配置された営業担当者のスコアカードテンプレートの設定画面

効果の高かった施策の自動化

効果検証により「これは使える」と判断された施策については、再現性を高めるためにも「自動化」を検討しましょう。

Zoho CRMの自動化機能(ワークフロー)を活用することで、手作業による漏れや対応遅れを防ぎつつ、効果的なアプローチを定常的に実行できるようになります。

自動化すべき施策の例

休眠顧客に対するよくある施策の中で、以下のようなものは自動化に向いています。

  • 一定期間以上未接触・未受注の顧客への自動メール送信やタスク追加
  • フォローアップキャンペーンメール送信後に、営業担当に自動でタスクを割り当て

これらは、あらかじめ設定しておけば、営業やマーケ担当がフォローを忘れていてもシステムが確実にアクションを起こしてくれます。

また、担当者が途中で退職しても、担当顧客を適切に引き継いで担当者割り振りを行っておけば、担当者変更後にもタスクが自動で割り振られるようになり、タスク漏れが発生しにくくなります。

ワークフロー機能を使った自動化設定

Zoho CRMの「ワークフロー」機能を使えば、以下の3要素を組み合わせて自動化を実現可能です。

  • トリガー:例)「最後の接触日から60日経過したとき」「特定のタグが付与されたとき」
  • 対象条件:例)「特定の業界の取引先」、「一定以上の会社規模の取引先」
  • アクション内容:例)「メール送信」「タスク作成」「担当者への通知送信」

実践例:

「過去6ヶ月間未受注の取引先に対して、営業担当に再アプローチタスクを割り当てる」

このようなワークフローを実現するには、取引先ごとに最新受注日を設定し、最新受注日から6か月経過をトリガーとして、タスクを作成するような処理が必要となります。

Zoho CRMのセグメンテーション機能の最新受注日などはトリガーとしては利用できないため、各タブに設定可能な集計項目を利用して、トリガーとする必要があります。

最新受注日の集計項目の設定例

集計項目は上記のような設定を行うと、商談が受注となるたびに最新の受注日付(完了予定日)をもとに日付を自動で計算し、値が更新されます。

最新受注日の計算結果を含んだ一覧画面

この項目の日付をトリガーとするワークフロー設定は以下のような内容となります。

休眠顧客のフォロータスクを作成するワークフロー設定の例
  • トリガー:「最新受注日から60日が経過したとき」
  • 対象条件:すべての取引先
  • アクション内容:「フォロータスク作成」

このようなワークフローを1度設定すれば、「休眠化→掘り起こし」のアクションのタイミングを意識することなく、フォロータスクを実行することが可能になります。

まとめ

休眠顧客の掘り起こしは、1回の施策で完結するものではありません。

「見込みあり」と判断したセグメントに対して、アプローチを行い、その結果を検証し、効果の高い施策をテンプレート化・自動化していく「PDCAサイクル」を回し続けることが成功の鍵です。

CRM/SFAツールは、このPDCAサイクルの遂行を強力に支援してくれるツールです。

本レッスンを参考に休眠顧客の掘り起こしや他の顧客セグメントに対する施策実行のPDCAサイクルを適切に回し仕組みを作り上げてみましょう。