CRM/SFAを使った休眠顧客管理の実践

ここまでのレッスンでは、休眠顧客の定義から掘り起こし施策の重要性、具体的なアプローチ戦略の考え方などを解説してきました。
休眠顧客の掘り起こしは、多くの企業が後回しにしがちな領域ですが、適切な分析とアプローチによって業績向上に貢献できる重要な施策です。
本レッスンでは、CRM/SFAツールを活用して、休眠顧客の管理からアプローチまでを効率的に行う実践方法を解説します。
※CRM/SFAツールの例として、Zoho CRM の画面が登場します。

Zoho CRM のアカウントをご用意して読み進めることを推奨します。Zoho CRM 無料トライアル
CRM/SFAを使った休眠顧客管理の実践
目次

すべて表示する

休眠顧客管理の基本

休眠顧客とは、一定期間接点がなかったり、購入・取引が停止している顧客を指します。しかし、その定義は企業や業種によって異なるため、まずは自社にとっての「休眠状態」を明確に、その判断に必要な情報を蓄積していく必要があります。

休眠顧客を判断するためのデータを整理・分類する

休眠顧客と判断するための指標としては、以下のような項目が使われます。

  • 最新購入日からの期間経過
  • 最終商談日からの期間経過
  • サービスの最終利用日からの期間経過
  • メールの開封・クリック履歴
  • サイトへのアクセス状況(MAツールなどと連携している場合)

基本的には購入に関するアクションが取られてから半年や1年といった一定期間が経過した段階で休眠顧客として判断するという形が基本です。

一方、通常の商品の販売ではなく、クラウドサービスの提供やBtoCビジネスで言えばスポーツクラブなどを運営しているような企業の場合には、契約は残っていてもサービスが利用されていない状態となっている顧客を休眠顧客と判断する場合もあるでしょう。

ECビジネスのような場合は、実際の購入はなくても、メールの開封やリンクのクリック、ECサイトへの訪問があれば、購入意志はあると判断することはできるかもしれません。

CRM/SFAツールでは、これらのデータをシステム内に蓄積して、休眠顧客の分類のための指標として活用することができます。

自社にとって必要な判断軸を定義し、必要なデータを整理・分類することで休眠顧客の管理の定義を決めましょう。

休眠顧客の条件を設定して抽出する

休眠顧客の定義が固まったら、具体的な条件を設定して対象を抽出します。条件例としては、

  • 最終購入日から90日以上経過
  • 過去3か月サービスにログインしていない
  • 6か月以内にメールを一度も開封していない

といった条件が一般的です。

CRM/SFAツールでは、顧客リストの情報をもとに条件を絞り込んで抽出する機能(フィルタ機能)を持っていることがほとんどです。

そのため、フィルタ機能を使って休眠顧客に該当する条件を設定し、休眠顧客をリストアップして、具体的なアプローチ先として管理していきます。

条件設定では、複数の条件を組み合わせることで、より精緻な休眠顧客リストが作成可能です。

しかし、このような条件設定で、各営業担当者が個別にリストアップと対応を行おうとすると条件設定が属人的となり、適切な休眠顧客へのアプローチが行われない可能性もあります。

組織だった休眠顧客管理やアプローチを行うためには、誰が行っても同じ条件のリストに対して確実にアプローチを行える仕組み化を進めていく必要があります。

セグメンテーション機能による顧客の自動分類

休眠顧客管理の仕組み化に役立つ機能としてセグメンテーション機能と呼ばれるものがあります。ここからはセグメンテーション機能がどのような機能かを解説していきます。

CRM/SFAツールにおけるセグメンテーションとは?

セグメンテーションとは、条件に応じて顧客をグループ化することを指します。マーケティング戦略や営業的なフォロー活動を効率的に行う上で、非常に重要な考え方です。

CRM/SFAツールにおいては、セグメンテーションを自動化したり、効率化する機能を持っていることがあり、このような機能をセグメンテーション機能と呼びます。

ただし、一言でセグメンテーションといっても様々なものがあり、静的な顧客属性を基にしたものとして、

  • 業種別(製造業・小売業・建設業など)
  • 地域別(都道府県、自社の支社ごと)
  • 企業規模別(売上規模、従業員人数など)

といった分類で顧客をグループ化することもあれば、顧客の行動結果による動的なものとして、

  • 取引規模別(年間取引額・件数)
  • 行動別(メール開封・資料請求履歴・サイト訪問履歴)

のような情報をもと顧客をグループ化するものもあります。

休眠顧客管理においては、顧客の行動をもとに休眠状態を定義することが必要となるため、動的なセグメントを行える機能が必須といえます。

Zoho CRMでのセグメンテーション設定手順

セグメンテーション機能は少しイメージが湧きづらい機能でもあるため、ここからは動的なセグメンテーション機能を持つZoho CRM での設定例を見てみましょう。

Zoho CRM ではRFM分析と言われる手法で顧客をセグメンテーションすることが可能です。

RFM分析とは、「最新購入日」「購入頻度」「購入金額」という3つの指標を用いて顧客をグループ化する分析手法です。

休眠顧客の分類では、3つの指標が一定の基準を下回る場合に休眠客として定義しますが、RFM分析によるセグメンテーションでは、休眠客だけではなく、優良客なども定義することが一般的です。

Zoho CRM では、以下のような手順でセグメンテーション機能を設定します。

  1. セグメント分けを行うタブを選択(企業を分類するなら「取引先」、個人を分類するなら「連絡先」)
  2. 分類を行うための指標計算のもととなるタブと項目を指定(「商談」の「完了予定日」、「受注件数」、「受注総額」など)
  3. 各指標のしきい値を指定(受注件数○○件以上など)
  4. 各指標の組み合わせによってセグメントの名称を指定
  5. CRM/SFAツールに適用

具体的な設定手順は以下の動画を参考としてください。

セグメンテーション機能の設定

上記の動画の設定では、RFMそれぞれの要素と組み合わせを以下のように設定して分類しています。

最新購入日の設定例
購入頻度の設定例
購入金額の設定例

また、RFM各指標に基づき、セグメント名(セグメントラベル)を以下のように設定しています。

セグメントラベルとRFMスコアの設定

セグメントラベルについては、RFMのスコアに基づいて、ツール側で自動で付与されますが、名称も含めて自社の想定しているセグメント条件に応じて適切に設定を行ってください。

設定上のポイントは、単に購入日からの期間経過ではなく、それまでの購入金額などの実績と組み合わせてセグメント分けを行うことです。

実績と組み合わせて分類を行うことで、購買されなくなったが重要ではない顧客を除外して、休眠顧客に対するアプローチを効果的に実施できるようになります。

セグメントのメンテナンス

セグメントは作って終わりではなく、運用と更新が重要です。たとえば、以下のような運用ルールを設定すると効果的です。

  • 月1回、条件の見直し(季節や業界トレンドに応じて)
  • 3か月に一回フォロー結果や効果などをもとにセグメントを見直す

Zoho CRMでは、複数のセグメンテーションルールを設定することが可能なため、季節ごとの設定を切り替えてセグメントするなどの運用が可能となっています。

CRM/SFAツールをセグメンテーション機能をもとに選ぶ場合には、運用の観点も含めて選ぶようにするとよいでしょう。

休眠顧客へのアプローチの考え方

休眠顧客へのアプローチは、ただ連絡を取ればよいというものではありません。適切なメッセージとタイミング、チャネルの選定がカギとなります。

特にBtoBビジネスにおけるアプローチであれば、企業としての取引は担当者の意向だけで決まっている訳ではないため、単なる値引きの案内といったものでは効果が薄く、逆効果になることもありあえます。

具体的には、以前は取引量が多かった企業との取引量が減っている状態で、いきなり「もう一度買いませんか?」といったメッセージをメールで一方的に送るのではなく、担当者が電話や訪問といった手段を使い、丁寧にヒアリングを行い取引量低下の原因を探ることから始めるべきでしょう。

一方、それほど取引量が多くなかった企業相手であれば、そこまで時間を割くことが難しいため、一旦メールで同様の問いかけを行い、反応があった顧客を中心に対応を進めるといった工夫が必要となります。

セグメンテーション機能を使って、顧客を分類した後に、顧客とのこれまでの関係性や経緯を基にして、具体的なアプローチを検討するとよいでしょう。

セグメント情報を使った休眠顧客へのアプローチの手順

では、ここからはセグメント分けを行った顧客に対して具体的なアプローチを行う手順を見ていきましょう。

フォロー対象のリストアップ

まずは、アプローチ対象を明確にしてフォロー漏れが起こらないようにしましょう。

また、機械的に行われたセグメント分けでは、理由があって取引を行わないことにした企業や現時点ではフォローを行うべきではない顧客が含まれていることがあります。

CRM/SFAツールでは様々な形で顧客をリストアップする機能がありますが、セグメンテーション機能による分類では、顧客の行動によりセグメント分けが最新状態となるため、ある時点の情報をもとに顧客をリストアップして状態を保存しないと、適切なアプローチ先を難しいことがあります。

そのため、休眠顧客のリストアップ、対象顧客へのタスクを作成、確実なアプローチの実施、施策を終えた段階で効果検証を行える形を作る必要があります。

一番シンプルな形であれば、セグメントラベルを基に取引先を抽出し、そこからタスクを作って、フォロー結果を情報として残すといった実施方法が有効です。

具体的な手順は以下の動画を参考としてください。

セグメンによるリスト抽出とタスクの作成

動画内では、セグメントラベルに基づいて、タスクを作成する顧客を絞り込み、タスクを作成する操作を確認できます。

タスクが作成されたら、タスクを割り振られた担当者が具体的なアプローチを実施していくことになります。

リストに基づいたアプローチ方法の検討

リストアップされた企業に基づいて、いくつかの企業にヒアリングなどを行い、情報収集を行います。

そこで、取引が行われなくなった経緯を確認し、適切な対策を決定しましょう。

もちろんすべての顧客が満足するような対策を行うことは不可能ですが、複数の顧客の話を聞くことで、取引再開に向けた勝ち筋のある顧客を見極める方法やどのようなメッセージを伝えれば取引が再開される可能性があるのかなどが見えてくるはずです。

リストに基づいたアプローチの実施

検討したアプローチ方法に基づいて、粛々とリストに対してアプローチを実施していきます。

リストアップされた企業にランダムにアプローチしてもよいですが、より効果的にフォローを行うのであれば、顧客の過去の取引量などを元に優先度を決めてもよいでしょう。

単に優先度の高い顧客からアプローチを実施するのではなく、効果的なフォローが見いだせるまでは優先度の低い顧客で経験を積むといったやり方も一つの方法です。

効果の高いフォロー施策の自動化

一通りアプローチが終わったら効果検証を行い、効果の高かったアプローチ方法を継続的に行えるように施策の自動化を進めていきます。

レポート・ダッシュボードを活用した効果検証方法やワークフロー機能を使った施策の自動化については、次のレッスンで学んでいきます。

まとめ

休眠顧客へのフォローによる再活性化は、マーケティング・営業活動の中でも費用対効果が高い取り組みです。

本レッスンで紹介したように、CRM/SFAツールを活用すれば、「見つける」「分類する」「アプローチする」という一連の流れを再現可能な仕組みとして組織内に構築することが可能です。

顧客情報の眠った可能性を掘り起こし、継続的に関係性を再構築していくために、今こそCRM/SFAツールの本格活用に踏み出しましょう。