労働者名簿とは
労働者名簿とは、労働基準法第107条に基づき作成および保存が義務付けられている、従業員の重要な情報を記載した書類のことを指します。「賃金台帳」や「出勤簿」、「年次有給休暇管理簿」と並び、「法定四帳簿」の一つとして最も重要な書類であり、労働基準監督署の調査(臨検)においても必ず確認されます。
作成のルールと対象者
作成義務
従業員を1人でも雇っていれば、必ず作成しなければなりません。
単位
会社全体で1冊ではなく、事業所(店舗、支店、工場など)ごとに作成・保管する必要があります。
対象者
正社員だけでなく、パート・アルバイトを含むすべての労働者が対象です。
※ 代表取締役などの「役員」は対象外です(兼務役員は対象)。
※ 日雇労働者は別の規定があるため、通常の労働者名簿の対象からは除かれます
記載必須項目
- 氏名
- 生年月日
- 履歴(社内での異動歴や昇進歴など。入社前の学歴・職歴は必須ではありませんが、記載しても構いません)
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類(従業員数30人未満の事業場では記載不要)
- 雇入の年月日(入社日)
- 退職の年月日およびその事由(解雇の場合はその理由も必須)
- 死亡の年月日およびその原因
保存期間と更新
労働基準法第107条の改正(2020年4月)により、労働者名簿保存期間のルールが変更されています。更新が必要なことが履歴書との最大の違いで、労働者名簿は法的書類として会社が管理・更新し、最新情報が常に記載されている必要があります。
保存期間
労働者の死亡・退職・解雇の日から5年間(※当分の間は経過措置として3年間で良いとされていますが、トラブル防止のため5年保存が推奨されます)。
更新
記載事項(住所や姓など)に変更があった場合は、「遅滞なく(すぐに)」訂正・更新しなければなりません。
電子データでの保存について
紙での保存が基本ですが、以下の要件を満たせばパソコン等でのデータ保存も認められています。
- すぐに表示・印刷できること。
- 労働基準監督署の調査等で提示を求められた際、直ちに写しを提出できること。
労働者名簿のテンプレートとダウンロード先
労働者名簿のテンプレートとしては、厚生労働省から発行されている様式第19号(第53条関係)のExcelファイルが最も有用です。迷ったらこちらのファイルを活用することで、必要な記載項目を確認することができます。
様式第19号(第53条関係)

「履歴」欄の記載事項
法律上、「履歴」の定義について厳密な規定はありませんが、一般的には「社内での経歴(職務の変遷)」記載します。また、履歴書の学歴・職歴をすべて転記する必要はありません。
履歴欄に必ず書いておくべき事項
異動・配置転換: 所属部署が変わった年月日と新部署名
昇進・昇格: 役職がついた、等級が上がった年月日
雇用形態の変更: 「アルバイトから正社員へ登用」「有期雇用から無期雇用へ転換」など
書かなくてもよい事項
入社前の学歴・職歴: 必須ではありません。多くの企業では「最終学歴」のみ記載するか、入社前の情報は履歴書(別保管)で管理し、労働者名簿には記載しないケースも一般的です。
パート・アルバイト特有の記載注意点
パートやアルバイトであっても、たとえ1日だけ雇用した場合でも、作成義務が生じます。正社員と区別して管理しても問題ありませんが、記載内容に手を抜くことは許されません。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
① 契約更新の記録
「履歴」欄に「契約更新の年月日」と「更新後の契約期間」を記録し続けることが推奨されます。これは、通算5年を超えた際の「無期転換ルール」への対応や、雇い止めトラブル時の証拠として非常に重要になります。
②「従事する業務の種類」の具体性
常時30人以上の従業員がいる事業所では、記載が必須となります。正社員の場合は「営業」や「総務」といった職種名が多く記載されますが、パートの場合は契約書の内容と一致するように、「ホール接客」「調理補助」「清掃」など、より具体的に記載することが望ましいです。
労働者名簿と従業員名簿、人事台帳、年次有給休暇管理簿の違い
労働者名簿と従業員名簿(社員名簿)や人事台帳との違いを一言で表すと、「法律で作成が義務付けられているか、あるいは会社の利便性を考えて作成されたものか」という点にあります。また、労働者名簿と同様に作成と保存が義務付けられた法定帳簿として、年次有給休暇管理簿があります。
| 比較項目 | ① 労働者名簿 | ② 従業員名簿 (社員名簿) | ③ 人事台帳 | ④年次有給休暇管理簿 |
|---|---|---|---|---|
| 性格 | 【法定帳簿】 法律で決まっている書類 | 【実務資料】 業務連絡用のリスト | 【管理資料】 人材マネジメント用のカルテ | 【法定帳簿】 法律で決まっている書類 |
| 法的義務 | あり(労基法) 作成・保存義務あり | なし(任意作成) | なし(任意作成だが実質必須) | あり(労基法) 作成・保存義務あり(5年※当分の間は3年) |
| 主な目的 | 労基署への提示 法的な雇用管理 | 社内連絡、所在確認 緊急時の対応 | 評価、昇進・昇格の判断 処遇決定、育成計画 | 年5日の取得義務管理 残日数・時効の把握 |
| 情報の深さ | 定められた項目のみ | 浅く・広く | 深く・詳細に | 日付と日数に特化 |
| 主な記載内容 | 氏名、生年月日 住所 社内履歴(異動など) 退職・解雇理由 ※電話番号は不要 | 氏名、内線 メールアドレス 携帯電話番号 自宅の緊急連絡先 顔写真 | 評価 賃金推移 資格、スキル 家族構成(扶養) 面談記録 | 基準日(付与日) 付与日数 取得した日付(時季) 取得日数 |
| 形式イメージ | 個人票 (1人1枚が基本) | 一覧表 (全員が並んだリスト) | 個人カルテ (1人ごとの詳細ファイル) | 管理表 (システムやExcel台帳) |
| 閲覧者 | 労基署、人事担当 | 全社員 (連絡先のみ公開の場合) | 経営層、人事責任者 (極秘扱い) | 労基署、人事担当、本人 |
労働者名簿作成の課題は「アナログ管理(Excel・紙)の限界」
「ただ氏名や住所を書けばいい」わけではなく、常に最新状態を維持し続けることが最大のハードルです。
| 課題 | ポイント |
|---|---|
| 情報の鮮度 | 引っ越しや結婚(改姓)があっても、本人の申告漏れや担当者によるExcelの更新忘れにより、データが古いまま放置されることがあります。 |
| 履歴の蓄積 | Excelでは「最新情報」の上書きは容易ですが、「過去の履歴(異動日時など)」を記録するには、行の追加やシートの分割が必要となり、管理が複雑化してしまいます。 |
| 履歴の蓄積 | Excelでは「最新情報」の上書きは容易ですが、「過去の履歴(異動日時など)」を記録するには、行の追加やシートの分割が必要となり、管理が複雑化してしまいます。 |
| 契約更新管理 | パート・アルバイトの契約期間満了日が近づいてもアラートが表示されないため、更新手続きの漏れや無期転換のカウントミスが発生しやすい状況です。退職や解雇の理由については、人の入れ替わりが頻繁にあっても必ず明確に記載する必要があります。具体的には、「自己都合」なのか「契約期間満了」なのかをはっきり区別して記録する必要があります。助成金の申請時に「会社都合退職の有無」が問われる場合、この記録が重要な根拠となります。 |
| 三帳簿の不整合 | 「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」が別々のファイルで管理されていると、名簿は修正したものの台帳の修正を忘れるといったミスが発生し、労働基準監督署の調査で指摘されることがあります。 |
労働者名簿を簡単に管理できる人事管理システム
人事管理システムとは
人事管理システムとは、人材に関する情報をITによって管理・可視化するためのデータベースのことです。人事管理システムはExcelでは困難だった労働者名簿の「作成」と「更新」の課題を解決します。
例えばZoho People の「従業員情報」メニューでは、氏名、生年月日、住所、雇入れ年月日、業務内容、履歴などの法定必須項目を登録・更新し、日本の法令に準拠した管理が可能です。保存したデータをCSVやExcelなど様々な形式でエクスポートし、一覧として出力することもできます。

住所変更や家族情報の変更は、従業員がスマホから申請できます。管理者は申請内容を確認・承認したうえで対応する運用となり、やり取りや確認の負担を軽減できます。
指定したユーザー(例えば管理職や経営層)に限定して共有できますので、セキュリティの面でも安心です。ドロップダウンを使用して、自分のデータ、部下のデータ、直接の部下のデータといった条件に基づいてデータを抽出できます。

Zoho People のインターフェイスは、説明不要で誰でも使えます。かんたんで直感的なZoho People を使用するために、IT知識は必要ありません。そのため導入当初の研修やトレーニングも最低限でスタート可能です。
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