DXにおける失敗とは

DXにおける失敗とは、デジタル化やテクノロジーの導入や活用に関わる取り組みやプロジェクトが、期待された成果や目標を達成できなかったり、予想されたような変革や効果を実現できなかったりすることを意味します。

日本におけるDXの取り組み割合

DXは、企業間競争が激しい現代において、企業がビジネスモデルの変革や競争上の優位性を確立するために不可欠な取り組みとされています。
しかし、経済産業省が2020年公開した「DXレポート2」では、95%の企業は DX にまったく取り組んでいないと指摘されています。さらに、2022年に帝国データバンクが発表したDX推進に関する企業の意識調査においても、DXに取り組んでいる企業は15.5%と指摘されており、日本企業におけるDXへの取り組みはまだまだ低いと言わざるを得ません。これは、DXの重要性やメリットに関する認識不足や、組織全体の変革に向けた意識の欠如が背景にあると考えられます。

成果の出ている割合は1割以下

日本企業のDXの実績を見ると、成果の出ている企業はごく一部にとどまっています。JUAS 企業IT動向調査報告書2022
(2022年)
によれば、DXの成功を収めている企業の割合はわずか1割以下とされています。これは、DXの取り組みが困難
さや課題を伴い、成功するためには、十分に練られた計画と継続的な努力が必要であることを示唆しています。

このような状況を踏まえて、日本企業はDXへの取り組みを加速させる必要があります。デジタルテクノロジーの活用やビジネスプロセスの改善によって、効率性の向上や顧客エクスペリエンスの向上などの成果を生み出すことができます。また、市場の変化に柔軟に対応し、競争力を維持・向上させるためにも、DXは不可欠な戦略となっています。

DXが失敗する理由

DXに向けた取り組みがうまくいかない理由はいくつかあります。例えば、使いにくいシステム、課題に対してニーズを満たしていない多機能なシステム、プロジェクトの管理や準備不足、リソースや費用不足、組織間の連携不足などが挙げられます。これらの要素が組織のDXプロジェクトにおいて成功を妨げる要因となるのです。

現場とのニーズに合わないツールの選択

現場のニーズに応えられない多機能ツールの導入や、自由度が高いと思い導入したが、実際の現場で必要なカスタマイズができず、課題に対応できない場合、DXプロジェクトは失敗する可能性があります。さらに、実際の実装段階での検証も非常に重要です。現場のニーズを正確に把握し、適切な計画を立てることがない場合、プロジェクトの成功を妨げる要素となるでしょう。

プロジェクトの範囲を定めずに実行し費用面で頓挫

DXプロジェクトのスコープや目標が不明確な場合、プロジェクトの進行や成果の評価が困難になります。具体的なスコープと目標を設定せずに進めると、初期費用、ランニングコスト、さらには追加の改修・開発コストが増加し、予算や期日のオーバー、結果的に失敗につながることがあります。

サイロ化された組織

異なる部門やチームとの連携が十分に機能せずに、情報や知識の共有がされない、協力がされない場合、DXへの推進が困難になります。組織内のサイロ化がDXプロジェクトの進行を妨げ、失敗の要因となります。

目的や方向性が曖昧

本来DXは単なるテクノロジーの導入だけではなく、組織のビジョンや戦略に基づいて進めるべきものです。それに基づいた計画を立てないと、DXの方向性が曖昧になり、失敗につながる可能性があります。ビジョンや戦略の欠如によって、DXの実現が困難になり、結果として失敗に終わってしまうのです。

不適切なプロジェクト管理する人材やリーダーシップ人材の欠如

DXの実現には適切なリソース(人材、予算、技術)が必要です。プロジェクトの適切な計画、リソースの管理、チームの協力などが欠如している場合、DXの実施は頓挫し失敗に終わることがあります。

DXの失敗事例とそこからの学び

いざDXを推進と焦っても失敗して可能性は高いです。そこで実際にあった失敗事例をご紹介します。

事例1準備不足による失敗

ある企業が大規模なDX構想の一環として、新しいPOSシステムの導入を試みました。新システムは技術的な問題や運用上の課題に直面し、店舗運営や顧客サービスに支障をきたすことになりました。移行プロセスの計画と実行が不十分であったため、従業員とお客様の双方に多大な迷惑をかけることになりました。結果として、多額の投資と時間を費やしたにもかかわらず、業務の改善や効率化が実現できませんでした。

失敗からの学び

新しいシステムや技術を本格的に導入する前に、徹底的なテストと試験運用を行うことが重要です。DX移行時の運用リスクを軽減するためには、適切な計画、トレーニング、変更管理戦略が重要です。ステークホルダーを巻き込み、彼らのフィードバックを考慮することで、潜在的な問題を特定し、導入を成功に導くことができます。

事例2プロジェクト管理不足、現場のニーズ
を汲み取れないことによる失敗

ある大手食品製造会社はERPシステム導入において課題に直面しプロジェクトは失敗に終わりました。以下の要因により失敗しました。失敗要因の一つは、組織の変革管理が不十分だったことです。組織内の文化やプロセスの変更を適切に管理できず、従業員の抵抗や適応の困難さが生じました。これにより、システムの効果的な活用が妨げられました。
もう一つの要因は、ユーザーフォーカスの不足です。ユーザーのニーズや要件を適切に把握せず、システムの導入がビジネスプロセスとの整合性を欠いていました。その結果、現場でのシステム活用が適切に行われず、目標の達成につながりませんでした。

失敗からの学び

組織の変革管理とユーザーフォーカスの重要性を認識することは大切です。組織の変革を適切に管理し、文化やプロセスの変更を円滑に進めるためには、適切な計画とコミュニケーションが必要です。また、ユーザーのニーズや要件を正確に把握し、システムの導入をユーザーの視点で行うことが重要です。これにより、システムの受容性と効果的な活用が促進されます。

DXの成功秘訣と要素

DXを成功させるためには、5つのポイントを押さえて進めましょう。

適切なゴール設定

DXプロジェクトの成功には、明確なゴール設定が必要です。具体的で測定可能な目標を設定し、それに向けて組織全体が取り組むことで方向性が明確になります。

スモールスタートで進める

大規模な一括導入ではなく、スモールスタートのアプローチを取ることが重要です。小さな範囲での実証実験やパイロットプロジェクトを通じて、効果や課題を把握し、修正やスケーリングのための学びを得ることができます。

外部の専門家やパートナーと連携する

DXの導入や実行には、外部の専門家やパートナーとの連携が有益です。外部のパートナーは豊富な知識と経験を持ち、成功事例やベストプラクティスを提供してくれます。彼らと協力し、適切なアドバイスやサポートを受けることで、DXプロジェクトの成功につなげることができます。

経営層がリーダシップを発揮する

DXの成功は経営層のリーダーシップによって支えられます。経営層がDXの重要性を認識し、主導し、サポートすることで、組織全体の意識と取り組みが促進されます。
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の調査によると、IT業務が分かる役員の比率が高いほど、DXへの取組み成果が出ている企業の割合が高いという調査結果も出ています。

全社的に活用できるシステムを導入する

部署ごとに異なるシステムを導入すると、全社的な連携が難しくなります。特定の部署の業務フローに合わせたシステムを導入すると、部署間での連携が十分になり、組織内のサイロ化に陥る可能性が高くなります。全社的な業務効率化やデータ共有を可能にするためには、全社的に活用できるシステムを導入することが重要です。

専門家の役割と重要性

DX推進においては専門家の関与が非常に重要です。専門家は経験豊富な知識とスキルを持ち、DXの導入や実施において企業をサポートする役割を果たします。以下に、専門家の関与が重要な理由をいくつか挙げます。

専門知識と豊富な経験をもつ

DXは多岐にわたる技術やプロセスの統合を必要とします。専門家はその分野における深い知識と経験を持ち、DXプロジェクトにおいて最適なアプローチやベストプラクティスを提供します。専門家は、組織が直面する課題やリスクを識別し、適切な戦略やソリューションを提案することができます。

プロジェクトマネジメントの支援

DXを成功させるには、部門間調整、多岐にわたるプロジェクトの管理は必須です。専門家はプロジェクトマネジメントの知識と経験を持ち、計画立案やリソースの管理、進行状況の把握など、プロジェクトの成功に必要な要素を支援します。

レビューとアドバイスの提供

専門家はDXプロジェクトの計画や戦略、システムの設計や実装などをレビューし、問題や改善のポイントを特定することができます。専門家は、客観的な視点を持ち、意見やアドバイスを提供することで、プロジェクトの品質や効果を向上させる役割を果たします。

ビジネスへのアプローチ

専門家はビジネスの視点からDXを捉え、組織の目標やニーズに合わせた戦略を提案します。経済性や収益性を考慮しながらDXを推進することで、組織により大きな価値をもたらすことができます。

外部ネットワークと連携

専門家は幅広い業界や企業とのネットワークを持っています。また、業界や市場のトレンドを把握し、最新のテクノロジーやソリューションの紹介を行うことで、組織のDX推進を支援することができます。

クラウドツールの選定に専門家は必要不可欠

クラウドツールの導入においても専門家の関与は重要です。クラウドツールはデジタル変革を支援するためのソフトウェアやプラットフォームであり、組織がデジタル化や効率化を実現するために利用されます。専門家の関与がクラウドツール導入において重要な理由をいくつか挙げます。

技術的な知識と経験

クラウドツールの導入には幅広い技術的な知識が求められます。専門家はその技術的な知識と経験を持っており、組織のニーズや目標に合わせて最適なツールを選定し、導入をリードすることができます。

ツールの評価と選定

クラウドツールの市場は多様で、数多くの選択肢が存在します。専門家は組織の要件や予算に基づいてツールを評価し、最適な選択肢を提案することができます。

カスタマイズと統合

専門家はクラウドツールのカスタマイズや既存システムとの連携に精通しています。組織の要件に合わせてツールを設定し、他のシステムとのシームレスな連携を実現することができます。

トレーニングとサポート

クラウドツールを導入後、効果的に活用するためには、ユーザーへのトレーニングとサポートが必要が不可欠です。専門家はトレーニングの計画と実施を担当し、ツールの最適な活用方法を伝えることができます。

Zoho 認定パートナーによる「DX導入支援」について

Zoho は、クラウドツールを利用したビジネス運用を開始する企業を支援し、さまざまな課題に対するソリューションを提供できるパートナー企業を認定する制度を設けています。Zoho は日本全国のさまざまな地域に対応するパートナー企業を揃えており、大手企業から中小企業まで、あらゆる課題の解決をサポートしています。

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パートナー企業は、企業の課題や業務フローの評価、クラウドツールの選定、アドバイスや技術支援、導入後のトレーニングや問い合わせへのサポートなど、DXの成功に向けた手厚いサポートを提供します。

導入支援パートナーを利用したお客さまの声

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Zoho がお客さまのご要望をヒアリングし、各パートナーが得意とする分野、実績、
対応状況などを踏まえて適切なパートナーをご案内します。

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