はじめに Salesforceからの移行は、
目的の明確化と現在の活用状況の整理が出発点

Salesforceを活用してきた企業にとって、CRMの見直しは、単なるツールの置き換えでは終わりません。
特に、Salesforce特有の高度なカスタマイズや複雑な運用フローが定着している場合は、
現在の業務の進め方やシステムの使い方をあらためて見直すことが求められます。

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目的の明確化

なぜ、移行するのか?

「なぜ移行するのか」を明確にすることで、目的と優先順位が整理されます。その整理によって、どこまで対応が必要か、何を再構築すべきかが明らかになります。

移行する目的の例

コスト最適化

現在のライセンス費用、運用コスト、外部ベンダーへの依存状況を見直したい

機能面での課題解決

Salesforceでは使いこなせない機能が多く、対応しきれない要件がある。より柔軟な設計を実現したい。

運用・管理の簡素化

Salesforceで対応しきれない要件がある、あるいはより柔軟な設計を実現したい

業務改善・変革の契機

業務全体を見直し、マネジメントや運用体制の再構築を進めたい

要件を整理

機能棚卸と要件整理

現在のシステムで使用している機能を洗い出し、それぞれの利用目的や実際の使用状況を整理します。どの機能を維持するか、削除するか、あるいは別の方法で代替するかを分類・整理し、移行に向けた要件定義の土台とします。このとき、移行の目的で明確にした優先順位が、機能の取捨選択や実現手段の判断基準として重要な役割を果たします。

Salesforce 利用状況と移行の要件整理例

カテゴリ

利用中のSalesforce機能/構成

業務目的

Zoho CRMでの対応方針

優先度

備考/補足

顧客管理

標準の取引先・取引先責任者

顧客マスタ管理

ほぼ同等の構成で対応可能

移行時に属性項目のマッピングが必要

案件管理

商談オブジェクト+独自項目あり

案件進捗/見込管理

商談タブで対応、カスタム項目を再構成

項目定義の見直し予定あり

活動管理

タスク・ToDo・活動履歴

営業アクションの記録

活動タブで対応、カスタム項目を再構成

項目統合の可能性あり

承認プロセス

ワークフロー+Apexコード

上長承認(見積・契約)

承認ルール+カスタム関数で再構成

条件分岐の複雑度に応じて要設計

レポート/ダッシュボード

カスタムレポート多数

実績・予測の可視化

CRM標準 + Zoho Analyticsで再構成

複雑な集計はAnalyticsを検討

自動化処理

フロー+Apexトリガー

顧客状況に応じた通知、割当

ワークフロー + Blueprint + Delugeで再構成

条件設計の精査が必要

外部連携

MA連携/Google Calendarなど

他システム連携

CRM標準連携機能+Zoho Flowで再構成

API仕様の再確認必要

カスタムオブジェクト

「契約管理」「保守履歴」等

業務独自データの管理

カスタムタブで再作成

モデル構成と依存関係を再設計予定

AppExchange

ドキュメント管理アドオン

ファイル共有・検索

Zoho WorkDrive連携で対応

ストレージ整理・対象範囲を限定予定

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フィット(一致点)とギャップ(差分)を見つけましょう

フィット&ギャップ分析とは、「自社が求める業務要件・機能」と「Zoho CRMで提供される標準機能・構成可能な範囲」との間にある一致点(フィット)と差分(ギャップ)を明確にする作業です。

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ギャップが生じるケースの例:

  • Salesforceで構築された複雑な承認フロー(ZohoではBlueprintや関数で再構成が必要)
  • 独自に作り込んだカスタムアプリ(Zoho Creator等を活用して再構築するか判断)
  • Salesforce AppExchangeを利用した外部連携(Zoho MarketplaceまたはAPI連携で代替検討)
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カスタムアプリの移行方針をどう立てるか

Salesforceで構築されたカスタムアプリの移行時には、再現コストや設計工数が大きくなる傾向があります。
すべてを一対一で再現することにこだわらず、業務目的やコストに照らして、再構築または別の手段での補完の妥当性を判断しましょう。
再現の可否を判断する際は、「業務上の本質的な目的に対して、その機能が不可欠かどうか」を基準にし、再構築や段階的な導入、他のツールでの補完といった柔軟な選択肢を考慮します。
目的を明確にし、必要性を再確認することで、ゼロベースでの設計し直しが移行成功の鍵となります。

実際の移行ステップ 成功の鍵は、段階的かつ現実的な設計と実行

SalesforceからZoho CRMへの移行は、段階的かつ計画的に進めることが求められます。
単なるシステム変更ではなく、業務要件や運用の見直しを伴うプロジェクトであるため、
各フェーズでの検討と準備が成功のカギとなります。

Salesforce から Zoho CRM への移行スケジュール例

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移行コストを考える 「ここまでは投資できる」の判断基準に応じて、
移行の再現範囲や実施方式を選ぶ

移行にかかる費用を見積もることも大切ですが、それ以上に重要なのは、
「いくらまでならコストをかけてよいか」を先に把握しておくことです。
目的に対してどのくらいの効果(コスト削減や運用改善)が見込めるかを踏まえたうえで、
投資上限を逆算します。

ROIの計算方法

(削減効果 × 3年 − 再現コスト) ÷ 再現コスト × 100

投資上限の逆算式

再現コストの上限 = 削減効果 × 3年 ÷ 1.5

※ ここではROIの一例として「3年間の効果」で試算しています。
  CRM導入・移行においては初年度にコストが集中し、2年目以降に安定運用・定着が進むため、中期スパンでの費用回収が一般的なモデルです。

年間コスト比較例

項目

現行システム

Zoho CRM

年額ライセンス費用

¥1,800,000

¥1,200,000 (ライセンス費+運用・保守を含めた月額想定合算)

カスタマイズ・保守費用

¥1,000,000

¥200,000 (軽微なカスタマイズ・設定支援費などを含む仮定)

間接費(外注調整・管理負荷など)

¥500,000

¥150,000 (定常的な簡易運用・定着支援・設定管理対応など)

利益合計

¥3,300,000

¥1,550,000

年間コスト削減額

¥1,750,000

※ 10ユーザーでZoho CRMスタンダードプラン(@¥2,160/月/ユーザー)を利用し、ライセンス費・軽微な運用人件費・想定される保守サポート費を含めた試算例です。金額はあくまで参考値であり、実際の利用状況によって変動します。

再現コストの上限
¥1,750,000 × 3 ÷ 1.5 = ¥3,500,000

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上限を超える場合は、再現対象や方式を見直す判断が必要に

移行計画を綿密に立てたとしても、実際の見積もり段階で「コストが見合わない」と判断されれば、全体が白紙に戻ります。「どのくらいの費用をかけるべきか。」その見極めは、構想段階から始まっています。再現の可否を費用対効果の観点から見直し、優先順位の低い機能は段階導入・簡略化・代替運用などの選択肢も含めて検討する必要があります。

データ移行コスト

顧客情報、活動履歴、商談、タスクなど、どのデータをどこまで正確に移行するかにより工数が変わります。特に添付ファイルや履歴データの移行は要注意です。

機能・カスタマイズ
再現コスト

Salesforceで作り込まれたロジックやUIを、Zohoでどの程度再構築するか。Blueprintや関数で対応できるか、Zoho Creator等での開発が必要かにより差が出ます。

外部ツール連携・
API開発

既存の外部システムとの連携を維持するには、API連携やWebhook設定、外部ベンダーとの調整など追加作業が発生する場合があります。

ユーザー教育・
マニュアル整備

使い方が変わる部分に対してのトレーニングや社内展開の準備も含めて考慮する必要があります。

ベンダー・
パートナーの支援範囲

要件定義・移行設計・開発・検証・定着支援まで、どこを外部に依頼するかによってコストは大きく変動します。

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