営業の進捗をステージ分けして営業プロセスを標準化
Excel管理で行き詰っていた案件管理精度を大きく改善

複数の案件を同時並行で展開する営業活動において、ひとつの取引を最初の商談から納品まで、一切の遅滞なく行うことは簡単ではない。とりわけ、それが年をまたぐような長期にわたる取引になれば、難易度はさらに高まるだろう。

今回紹介する三井金属計測機工株式会社もそんな長期取引を前提としたビジネスを展開する企業のひとつ。食品の内部の状態を非破壊で検査する装置などの製造・販売を手掛け、納品までに3年を要するケースもあるこの会社ではそれまでExcelで行っていた顧客情報管理を、Zoho CRM へとスイッチ。これにより、それまで見えなかった案件のリアルな現状をつぶさに把握できるようになっただけでなく、営業担当の動きも目に見えて変わってきたという。

同社におけるZoho CRM の導入の経緯や導入後の変化、そしてプロジェクトをけん引したZoho認定パートナー・カイト合同会社のサポートなどについて、企画管理部 部長補佐・大重成正氏に話を聞いた。

膨大なExcelから苦労して情報を読み取っていたのですが、
Zoho CRM にしてから営業の進捗確認がスムーズになりました。

三井金属計測機工株式会社
大重成正氏

―三井金属計測機工の会社概要を教えてください。

大重氏: 大きく4つの事業があります。
1つは食品関連事業で食品の内部の状態を非破壊で検査する装置の開発販売。
2つ目は OEM関連事業で電子基板の実装や組み立て。
3つ目は農業青果物関連事業で、果物の甘さなどを非破壊で測定する光センサーの販売。よくみなさんがスーパーマーケットなどのくだもの売り場で「糖度○%」といった表示を見ることがあると思いますが、ああいった糖度を調べる機器ですね。
そして、4つ目が FAソリューション関連事業で手作業を自動化する装置の開発販売を行っています。
私自身は企画管理部において、製品のプロモーションや営業活動支援、生産管理などを担当しています。

Zoho CRM の導入により、営業の進捗を4つのステージで管理。
より高精度の営業管理を達成

―Zoho CRM を導入する前は顧客管理においてどのような課題がありましたか。

大重氏: まず、顧客情報管理を行う先の大きな目標として「売上を伸ばしたい」という考えがあり、そのためには個々の営業案件の精度を上げていく必要がありました。そこで、「まずは案件管理の質を上げていこう」というのが当面の目的となりました。
特に大きな問題だったのが、個々の営業担当で異なる受注確度のとらえ方。たとえば、とある営業担当が「獲得できそうです」といった案件を集めてきて、後でデータ解析すると「50%は行ける」と思われていた案件でも、実際に獲得できたものは38%だったりする。これじゃあ、全然管理になっていないよね、と。
では、なぜこのような問題が発生するかというと、当社はそれまで営業管理をExcelで行っていたため、当然リアルタイムの情報は更新・共有されませんし、案件の進捗状況や営業担当の活動履歴もわかりません。
そこで、こういった問題を解決するために、ITツールの導入を検討することになったのです。

―それらの課題を解決するためにZoho CRM を選ばれたとのことですが、数あるCRMツールの中からZoho に決めたのはなぜでしょうか。

大重氏: まず導入に際しては、「リアルタイムに情報が共有されている」、「案件の進捗具合がひと目でわかる」、「受注確度がぶれない」、「KPIがきちんと追える」といった、ITツールの導入で達成するいくつかの導入条件を定めることから始めました。
その後いつくかの有名なITツールをピックアップして比較・検討したのですが、私たちが求めている基本的な機能はどの製品も十分満たしている印象でした。そこで、初期費用等も含めて低コストなZoho CRM に決めました。

―Zoho CRM の導入により、どのような点が一番大きく変わりましたか。

大重氏: 当社の製品は引き合いから販売までに要する時間が長く、1年半から3年くらいかかります。そのため、進捗管理が極めて重要なのですが、以前はExcelで管理していたため、たとえば納期が延期になったり、いつの間にかお客さまが他社に乗り換えていたり…といった細かな変化をフォローできていませんでした。
この課題を解決してくれたのが、Zoho CRM の導入に伴い採り入れた「案件の進捗をステージで管理する」という考え方です。これまで個々の営業担当が感覚的に把握していた案件の進捗状況を、具体的な条件に基づいて、4つにステージ分けしたのです。
はじめが、「条件確認」。これは見込み客が当社の製品について何らかの問い合わせをした段階です。次が「ニーズの分析」。これは、見込み客の求めるソリューションについて当社のどの製品(装置)なら対応できるか分析する段階です。その次が「提案」。ニーズの分析結果を受けて決定した装置の見積もりを出した段階です。そして最後が、「意思決定」。これは見込み客が「(三井金属計測機工の製品にするかは決めていないが)買いたい」という段階です。

以前は営業会議の際も、膨大なExcelから苦労して情報を読み取っていたのですが、Zoho CRM には「過去何日以内に更新されました」という機能があるので、更新されてないものには担当営業担当がいち早く気付く。また、周囲からも「あの案件どうなっているの?」というリマインドが起こるようになり、営業の進捗確認がスムーズになりました。

―Zoho CRM の導入に際して、実際に活用する現場の営業担当や経営陣の反応はどのようなものでしたか。

大重氏:営業担当の上に立つ幹部クラスに関して言うと、一部からZoho CRM の導入に懐疑的な声が上がったのも事実です。その主張というのが「Excelでもできるのに、どうしてわざわざ新しいシステムを導入するの?」というもの。
そういった主張をする人は、業務がうまく回らないことの原因を個々の営業担当に求めてしまう傾向があり、本当の原因が“仕組み”であることになかなか気づいてもらえません。
たしかにExcelでやろうと思えばできるのかもしれませんが、Zoho CRM なら一瞬で終わる作業も、Excelでやろうとすれば2~3時間かかることもざら。人件費や費用対効果という面で考えれば、答えは自ずと出てくると思うのですが…。
一方、現場の営業担当からは、導入当初こそ「また入力する手間が増えるのか…」とか「厳しく管理されるんじゃないか?」といった声が聞こえてはきました。しかし、彼らにしてもExcelで管理していた頃には「更新したはずなのにデータが更新されていない」とか、「誰か別の人が間違って更新している」といった問題を抱えていた当事者でもあります。そこで導入に際しては、このような現場の課題感を踏まえた上で、なるべく入力項目を少なくするなど工夫を凝らしたため、今は「最低限これだけは入力しなければ、業務が回らない」という認識になっていると思います。

CRM の詳細画面

Zoho Campaigns、Zoho Analytics などと連携させることで、
顧客情報をマーケティングなど多方面で活用

―三井金属計測機工では「Zoho CRM Plus」を導入されています。CRM以外ではどのような使い方をされていますか。

大重氏:案件管理では、Zoho CRM とあわせてZoho Analytics を使っています。当社では会計年度単位で集計するというケースがあるのですが、これを使うと複雑なグラフもドラッグアンドドロップで簡単に作れてしまう。これまでExcelで管理していた時代には、報告資料の作成に半日かかっていたのですが、Zoho Analytics を使えばものの10分で完了します。

Analytics で作成した報告資料

一方、工程管理ではZoho Projects を活用しています。当社ではこれまで受注した案件の工程をExcelで管理していたのですが、それだと個々の担当者にかかる負荷が見えませんでした。しかし、Zoho Projects であれば、何に何時間かかるといった作業負荷が可視化されます。たとえば、以前は近い納期でたくさん受注すると「こんなの間に合うの?」みたいに、みんなが不安感を持って仕事を進めていましたが、Zoho Projects で見える化することによって、「これなら急いで作らなくても納期に間に合いそうだね」というまで見通しがつくようになりました。
単に生産性が上がるだけでなく、残業をしなければならない時期とそうじゃない時期がはっきり分かるようになったというのは、働き方の部分でも大きなメリットを感じています。

Projects で全体の流れやタスクなどが確認できる画面

―マーケティング面でのご活用についてはいかがでしょうか。

大重氏: はい、製品プロモーションのためのメルマガ配信にZoho Campaigns を使用しています。
実はメルマガに関しても、以前はExcelで作った配信リストをVBAでメールソフトと連携させて配信していました。
この一連の手間の掛かる作業に加えて、メールの文面を作るのにも苦労し、メール配信まで多大な時間がかかっていたのですが、Zoho Campaigns なら文面も簡単に作れ、配信に関してもCRMと連動させてスピーディーに行えるようになりました。
また、これまではメルマガを送ったら、お客さまから問い合わせがあるまでは効果がわからなかったのですが、Zoho Campaigns ならメールが「到達したか」とか「開いたか」、「内容をクリックされた」といったことまで手に取るようにわかるようになりました。
これまでは、「せっかく送るのだから」と1通のメルマガにいろいろ情報を詰め込んで送っていたのですが、Zoho Campaigns のおかげで気軽に送れるようになったので、1メール1メッセージのようなコンパクトな形で送るなど、「有効なトピックを思いついたら、すぐに配信しよう」というように、メール配信が圧倒的にスピーディーになりましたね。

成功の決め手は、パートナー・カイト社が提案した、
あえて100点を目指さないスモールスタートでの導入に

―貴社へのZoho CRM Plus の導入を手掛けた、認定パートナー・カイト合同会社(以下、カイト社)のサポートはいかがでしたか。

大重氏 : 実は、最初は私一人で体験版を使ってみたのですが、その時は「これだとExcel管理の延長線上のシステムにしかならないのではないか?」というのが率直な感想でした。
ところが、ちょうどそのタイミングで「Zoho認定パートナー」の存在を知り、費用感と当社の求めているソリューションに対する理解などを考慮してカイト社に依頼しました。
実際にカイト社と一緒に導入を進める上で、最初に驚いたのが彼らの持っているCRMを活用した営業の知見の豊富さ。「今、世の中ではどのように営業を回しているのか」などさまざまなノウハウが記されたドキュメントを提供してくれたのです。

また、実際の導入においては、カイト社の進め方はとにかくスピーディー。「はじめは必要最低限で行きましょう」という考えで、100点を目指すのではなく、いったん60点のシステムを作って運用しながらアップデートしていくというスタンスでした。この背景にはカイト社がこれまでの経験で得た「最初にあれこれ盛り込むと失敗する」という教訓があったようです。
このように当社が短期間でCRMを導入できたのも、「とにかく必要最低限で作って、スピーディーにやりましょう!」というカイト社が持つ豊富な知見に基づく決断力と推進力があってこそだったと思います。

導入支援パートナー カイト合同会社

―最後にZoho CRM Plus の導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

大重氏:Zoho CRM の利用料金に月額1,000円ちょっと追加するだけでZoho Campaigns などの複数の製品が付いてくる。ですから、今Zoho CRM の導入を検討しているのであれば、はじめから「Zoho CRM Plus」を導入してしまってもいいのではないでしょうか。
Zoho Campaigns やZoho SalesIQ も初期費用は非常に安かったので、これらもまとめて入れてしまっても、全体としてのコストは変わりません。したがって、最初から全部入れてしまった方が、トータルで費用対効果は高くなると思います。
また、実際の導入に関して、特に技術的な部分で不安を感じている企業も多いと思いますが、Zoho の場合、導入を全面サポートしてくれる「認定パートナー」という頼もしい存在がいます。「我が社には合わないのではないか?」、「失敗したらどうしよう?」といった、導入に際しての心理的なハードルも大きく下げられるはずです。

三井金属計測機工株式会社 インタビュー動画

三井金属計測機工株式会社

  • 所在地:愛知県小牧市小木東2-88
  • 業種:建設機械・鉱山機械製造業
  • 社員数:89名
  • ビジネス:B2B
  • 事業内容:・青果物非破壊内部品センサおよび、関連システムの設計・製造・修理および販売
    ・電子製品、電子応用装置および電気計測器の設計・製造・修理および販売
    ・産業機器向け部品等の製造、治具・検査装置等の設計・製造・修理および販売
    ・建設業(機械機器設置工事業、熱絶縁工事業)
    ・食品向け/工業製品向けの計測装置開発・製造・修理および販売他
  • 創業:1973年
  • URL :https://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/mkit/

導入支援パートナーについて

カイト合同会社(KITE, LLC)

Zoho CRM を中心としたクラウドテクノロジーの活用を通じ、クライアント各社のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
提供サービスは全て「生産性向上のための仕組みづくり」を主眼として設計されており、2014年の創業以来、延べ100社以上の企業様にご利用いただいております。

  • 本社所在地:東京都千代田区一番町13−2 2F
  • 設立:2014年
  • 従業員数:5名(契約社員含む)
  • 業種:コンサルティング
  • パートナー認定:プレミアムパートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域:全国
  • 対応サービス:全サービス
  • 詳細・お問い合わせはこちら