すべての反響を、商機に変える。
Zoho CRM Plus × SATORI × Slackで開く、
不動産DXのネクストステージ

- リストインターナショナルリアルティ株式会社
- 所在地神奈川県横浜市中区尾上町3-35
- 業種不動産仲介
- 社員数239名(2025年4月現在)
- ビジネスB2B、B2C
- 設立2009年10月16日
“売って終わり”ではなく、“関係を育てていく”ビジネスへ──。
リストインターナショナルリアルティ株式会社 東京オフィスでは、主に富裕層向けの高額物件を扱う不動産仲介会社として、コロナ禍以降の顧客ニーズに応えながら着実に売上を伸ばしてきました。
しかし、個人、法人、代理人など複数の名義が入り混じる複雑な顧客情報に、従来のCRMシステムでは対応しきれず、営業現場では属人化や情報分断といった課題が顕在化していたといいます。
そこで同社は、CRM環境の再構築を決断。導入パートナーであるバディマーケティング株式会社の支援のもと、Zoho CRM Plus を軸に、SlackやMAツール「SATORI」との連携も含めた統合的な営業基盤を整備しました。
10万件を超える富裕層データをいかに活かし、属人的な営業スタイルから脱却したのか。その背景とプロセスについて、同社ウェルスマネジメント事業本部 DXチーム マネージャー・秋田裕未花氏、鈴木有紀氏、森田彩瑛氏に話を伺いました。
「Zoho CRM Plus の導入で、これまでブラックボックスだった反響から成約までの一連の営業対応までの流れを可視化できました」
リストインターナショナルリアルティ株式会社 東京オフィス ウェルスマネジメント事業本部 DXチーム マネージャー・
秋田 裕未花氏(中)
――はじめに、リストインターナショナルリアルティ株式会社について教えてください。
秋田氏:世界80以上の国と地域に広がる高級不動産仲介ブランドである「Sotheby's International Realty🄬」の日本法人である『List Sotheby’s International Realty』。国内外の高級不動産を取り扱う不動産仲介会社です。
日本国内はもとより、海外はハワイ、シンガポール、香港、ドバイ、ヨーロッパ各国など、80以上の国と地域に広がるグローバルネットワークを活用し、お客様の多種多様なご要望に対応し、高級不動産をご提案しています。
特に強みとしているのが、富裕層のお客様に特化したブランドとして、国内外に広がる独自のルートでプレミアムな不動産情報を入手し、クロスボーダー取引※ができる点です。
※「香港の投資家が東京のマンションを購入する」、「日本在住の富裕層がドバイの物件に投資する」など、国境をまたいだ不動産の売買や契約のこと。
Zoho CRM Plus の導入を主導した、リストインターナショナルリアルティ 東京オフィス ウェルスマネジメント事業本部 DXチーム マネージャーの秋田氏(中)と鈴木氏(左)、森田氏(右)。
属人化していた顧客情報を統合し、高級不動産営業に資する情報の一元化を模索
――貴社ではZoho CRM Plus を導入することで、どのような業務課題を解決しようとしたのでしょうか?
秋田氏:当社東京オフィスでは、2021年頃から「1億円以上」という高額物件に特化した営業戦略を推進してきました。
その過程においてデジタルカタログを用いた集客や、SATORIを活用したマーケティングオートメーションを通じて、10万件を超える富裕層のお客様データを蓄積・活用してきました。
ただ、その後の営業活動に大きな課題がありました。業界全体として単発の取引に重きが置かれる傾向が強く、「継続的な関係構築」という観点が十分に浸透していなかったのです。従来使っていた不動産特化型のCRMも単発取引を前提に設計されていたため、リピートでの売買取引や契約主体が個人名義や法人名義等取引ごとに異なるケースに柔軟に対応できず、正しいデータとして管理することができませんでした。
さらに、顧客情報の管理も属人的で、営業担当や部門ごとに管理しているExcel等にデータが分散してしまっていたんです。月1,000件を超える反響(問い合わせ)がある中で、誰がどのリードに対応したのか分からなくなり、対応の重複や漏れが頻繁に起きてしまうような状況に。せっかく集めたリードが、活用されないまま埋もれてしまうことも多々ありました。
こうした状況を踏まえて、顧客情報をもっと構造的に、かつ一元的に管理できるCRM環境が必要だと強く感じるようになりました。
――そうした課題を解決するために、貴社ではZoho CRM Plus を選ばれました。数あるツールの中からZoho を選んだ決め手を教えてください。
秋田氏:今回、ツールの選定にあたっては、Salesforceといった海外製品から、kintone、Mazrica Sales、GENIEE SFA/CRMといった国産製品まで、幅広く比較検討しました。これらのツールはそれぞれに強みはあるのですが、私たちのような富裕層を対象としたグローバルビジネスにフィットするかどうかという点で見ると、なかなか決め手に欠ける部分があったんです。
そうした中で最終的にZoho CRM Plus を選んだ決め手は、ツールとしての柔軟性と拡張性の高さでした。たとえば、多言語対応や国際電話番号の取り扱い、さらには個人・法人・代理人など複数の契約名義を一元的に管理できる点など、私たちが求めていた「富裕層特有の複雑な顧客関係」にきちんと対応できる機能が揃っていました。
また、検索性の高さや自動化まわりの機能も充実していて、カスタマイズ次第で自社の業務にぴったり合ったCRM基盤をつくれると感じました。あくまで“ツールに業務を合わせる”のではなく、“業務に寄り添ったCRMを組める”というイメージを持てたのが、最大の決め手でした。
――実際のZoho CRM Plus の活用について伺います。現在、主に使用しているタブにはどのようなものがありますか?
秋田氏:当社が主に利用しているのは、「反響(見込み客)」「連絡先」「顧客グループ(取引先)」「状況報告(商談)」「成約(カスタムタブ)」「売上表(カスタムタブ)」の6つです。
特に工夫したのはSlackとの連携で、Webフォームなどから入った反響はCRMに即時登録され、同時にSlackへ通知されます。営業担当はスタンプ操作だけで対応状況を記録でき、未対応が続く場合は自動的にアラートが流れる仕組みになっています。これにより、対応漏れを防ぎながらスピード感ある初動対応が実現できました。
ちなみに、当社では“見込み客の変換”というプロセスは採用していません。新規リードが登録されると、メールアドレスをキーに既存の「連絡先」や「顧客グループ」と照合し、既存データがあれば即時に紐付け、なければ自動的に新規レコードを作成しています。すべての反響データを履歴として残すことで、顧客グループ単位での情報整理や検索性も大きく向上しました。
Slack連携で月1,000件超の反響を自動振り分け・通知。対応状況はスタンプで管理し、未対応は自動リマインド。反響への対応漏れや重複を防ぎ、即時対応を実現している。
――リード管理やアナログ経由の問い合わせ対応については、どのような工夫をされていますか?
秋田氏:デジタル経由の反響は自動でCRMに取り込まれるのですが、電話や対面での問い合わせは手動入力が必要になります。そこでZoho CRM のキオスク機能を活用し、問い合わせ内容ごとに専用フォームを作成しました。誰でも迷わず入力できるようにすることで、抜け漏れやミスを防ぎつつ、データの一貫性を担保しています。これによって、今後の分析やナーチャリングの基盤となる正確な一次情報をしっかり蓄積できるようになりました。
さらに「状況報告(商談)」タブでは、「売却希望」と「購入希望」で異なるパイプラインを設計し、Zoho CRM のブループリント機能で各ステージに必須項目を設定。プロセスの標準化により、担当者による対応のばらつきが抑えられ、誰が担当しても一定の品質を保てる体制が整いました。
そして契約に至った際は、「成約」タブに売主・買主・物件・手数料といった情報を詳細に登録します。これらはMAツール「SATORI」ともリアルタイムで連携し、顧客属性に応じた自動タグ付けによって、パーソナライズされたマーケティング施策の展開にも活用しています。

公式サイトやポータルサイトからの問い合わせはバディマーケティング株式会社のデータ連携サービス「バディコネクト」経由で自動登録。会員データも取り込み、Zoho CRMで一元管理。さらに名義をまたいだ顧客グループ化により、関係性や取引履歴を見える化している。

成約物件などからZoho CRMで顧客属性を自動算出し、SATORIへ即時反映。Excel作業を省き、属性に応じたメルマガやシナリオ配信を実現。パーソナライズで反応率も向上した。
SlackやMAと連携させ、スピード感ある営業活動とナレッジ共有の基盤を構築
――Zoho CRM Plus の導入により具体的にはどのような成果が得られましたか?
秋田氏:以前は反響に対する対応漏れが大きな課題になっていました。しかし、Zoho CRM Plus を導入してからは、反響情報が自動で蓄積され、Slackとの連携によって未対応のアラートも届くようになったことで、確実な初動対応が可能になりました。これにより、反響へのレスポンスのスピードと精度が格段に向上した実感があります。
現場への負荷を最小限に抑えながら、自然と正確なデータがCRMに蓄積されていく点は、非常に大きなメリットですね。
また、営業活動が属人化していた以前の状況に比べ、今は営業の行動履歴や進捗状況が可視化され、誰がどのお客様をどう対応しているのかが一目でわかるようになりました。週報やレポートも自動で出力されるようになり、報告業務の工数もかなり削減されています。
一方、成約後のプロセスにも変化がありました。たとえば、以前は「成約内容に応じた顧客のセグメント分け」を手作業で行っていたのですが、その作業に1週間以上かかることも珍しくありませんでした。この点に関しても、現在はCRM上で条件分岐による自動分類を行っており、即時に正確なグルーピングが可能です。この仕組みにより、取引履歴に基づくマーケティング施策の自動展開も実現し、顧客の関心に応じたタイミングでのアプローチができるようになりました。
営業とマーケティングがお互いの情報を共有し、スムーズに連携できるようになったことで、結果として営業機会の取りこぼしが大幅に減り、業務全体の質が底上げされたと感じています。
――鈴木様、森田様は実際にZoho CRM Plus を導入したことによる変化についてどのように感じていますか?
鈴木氏:Zoho CRM Plusの導入によって、「顧客グループ」という概念が形になっているのはすばらしいと感じています。
当社は国内と海外、まったく性質の異なるお客様をそれぞれ異なるチームが担当しています。たとえばハワイ担当のお客様が沖縄の物件について問い合わせると、別の国内の担当者が対応することになります。これまでは一人のお客様に対して別々の営業担当が知らないまま動いてしまうこともありましたが、顧客グループを使えるようになったことで、そうした混乱が収まりました。
森田氏:前職がIT系企業だったこともあり、新しいシステムに戸惑う社員の気持ちはよく理解できます。社内で少しずつZoho CRM Plusに慣れていく姿を見ると、チーム全体が着実に成長していることを感じ、嬉しく思います。日々の取り組みを重ねながら環境に馴染んでいく変化を間近で見守れることは、自分にとって大きな励みであり、チームの一員として一緒に成長していけることにやりがいを感じています。
――Zoho CRM Plus を用いた今後の展望をお聞かせください。
秋田氏:営業担当が自らCRMに情報を入力する運用を、社内にしっかり根づかせていくことが、今後のひとつの重点テーマです。現場で直接得た一次情報を、タイムラグなく反映できるようになれば、顧客への理解もぐっと深まりますし、営業の質自体がもう一段階引き上がる。現場でしか得られない一次情報をタイムリーにCRMに反映できれば、顧客理解の解像度も大きく高まりますし、営業活動の質も一段と向上すると思っています。
また、登記情報や物件データといった外部情報との連携も視野に入れており、そこにZoho Analytics などのBIツールを組み合わせることで、営業や経営の意思決定に活かせるダッシュボードの構築にも取り組んでいるところです。
実は一部の業務では、Zoho Sheetと連携させて、これまでExcelで作り込まれていたレポートの自動作成にも着手しています。BIに完全移行するのが難しい領域においても、Zoho製品群をうまく組み合わせることで、業務の効率化や見える化を着実に進めていけると実感しています。
将来的には、Zoho CRM を中核とした統合的な営業・経営基盤として、より一層の高度化を目指していく方針です。
システムの全体像。Zoho CRM を中心に、SATORI、Slack、Zoho Analytics を連携。リード獲得から通知・案件管理・成果分析までをシームレスに実現している。
導入パートナーの支援を受けながら、実務に最適化されたCRM環境を段階的に整備
――導入パートナーである、バディマーケティング株式会社への評価はいかがでしょう?
秋田氏:多くのベンダーが、機能やスペックの説明にとどまる中で、バディマーケティングさんは最初から「(システムを)既存の業務をどう活かすか」、「実際の現場にどうフィットさせるか」といった実践的な視点で向き合ってくれました。つまり、単なるツールの紹介ではなく、当社の課題を的確にとらえ、いかにして実務の中で活用できるかという本質的な提案をいただけたんです。
特に印象的だったのは、導入前に約半年かけて丁寧に行っていただいた要件定義です。現場の声を一つひとつ丁寧に拾い上げながら、一緒に課題を整理して、段階的に導入を進めるというスタンスがとても心強かったですね。マーケティングの視点と業務理解の両方を兼ね備えているからこそ、「現実的で使えるCRM」を一緒に作り上げられたと感じています。
――最後に、現在Zoho CRM Plus の導入を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします。
秋田氏:CRM導入には、本当に「信念と根気」が必要だと実感しています。特に、データの移行や整備にはかなりの時間と労力がかかりますし、そこを乗り越える覚悟がないと途中で投げ出してしまいかねません。また、要件定義をしっかりやりきることも非常に重要です。ここを曖昧にしてしまうと、あとで開発や運用のフェーズで必ずひずみが出てきます。
当社の場合も、最初の要件定義にじっくり時間をかけたことで、導入後の混乱を最小限に抑えることができました。急いでリリースするよりも、納得いくまで準備を整えることが結果的に近道になると思います。
そして何より、ツールを入れること自体が目的になってはいけないと感じています。「システムにビジネスを合わせる」のではなく、「自社の強みを消さないCRMをつくる」という視点がとても大切です。その意味でも、バディマーケティングさんのように、私たちの業務やビジネスモデルにしっかり寄り添って伴走してくれる導入パートナーの存在は、プロジェクト成功の大きな鍵になると感じています。
リストインターナショナルリアルティ株式会社
- 所在地:神奈川県横浜市中区尾上町3-35
- 業種:不動産仲介
- 社員数:239名(2025年4月現在)
- ビジネス:B2B、B2C
- 事業内容:不動産の売買・賃貸の仲介・受託販売、不動産賃貸管理、不動産の運用、管理、資産コンサルティング業務、損害保険代理店
- 設立:2009年10月16日
- URL :https://www.listsothebysrealty.co.jp/
導入支援パートナーについて
バディマーケティング株式会社
バディマーケティング株式会社は、マーケティングに関する伴走型サービスの提供を通して、お客様のビジネスのあらゆる可能性を引き出す相棒(Buddy)になることを目指しています。
デジタル時代のマーケティングとデータ活用の課題に対応するため、戦略設計から施策実行に至るまで、包括的なサポートを提供します。また、MAツールやCRMツールといったテクノロジーの導入支援を通じて、お客様の売上拡大や業務効率化といったビジネス成長を促進します。
- 本社所在地:〒113-0021 東京都文京区本駒込2丁目28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 13階
- 設立:2021年4月1日
- 従業員数:7名(役員・業務委託を含む)
- 業種:ITサービス・コンサルティング
- パートナー認定:認定パートナー
- ビデオ会議対応:可
- 対応地域:全国
- 対応サービス:全サービス
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