7年間利用したCRMを約2カ月でZoho CRM Plus にリプレイス。
業務フローや機能は維持したまま、コスト50%減を実現

既存システムの機能や利便性に疑問を持ちつつも、システム移行に踏み出せない企業は少なくない。蓄積した大量のデータやカスタマイズした機能が移行作業を煩雑化し、システム移行の足かせになってしまうのだ。そのため、既存システムの刷新を図るうえでは、移行作業をいかにスムーズにするかがカギになる。

法人向けのデジタルオンデマンド印刷事業を展開する株式会社サイバーネット(以下、サイバーネット)は、毎年、高額の費用が費やされていた既存の顧客管理ソリューションをZoho CRM Plus にリプレイス。7年間の利用を通じて蓄積した5,000件以上の取引先情報や200以上のカスタマイズ項目を、約2カ月という短期間で移行し、スムーズな導入を実現した。この導入により、同社は既存の業務フローや機能をほとんど維持したまま、システムに要するコストを約50%削減している。

Zoho CRM Plus 導入の経緯や導入後の効果について、サイバーネットの営業部門と情報システム部門の担当者に話を聞いた。

Zoho CRM Plus の魅力は移行のスムーズさ。長年、費用対効果に疑問を抱いていた以前のシステムを刷新することができました。

株式会社サイバーネット
営業本部 業務DX営業部 部長代理 村松幸治氏

Zoho CRM Plus の各種サービスを連携することで、リード獲得からアプローチまでの期間が短縮され、営業活動が効率化されています。

株式会社サイバーネット
営業本部 業務DX営業部 課長代理 唯野蓮氏

予想に反して、移行作業はとてもスムーズでした。本来の業務と並行しながらでも、約2カ月で移行作業を完了できました。

株式会社サイバーネット
情報システム部 係長 酒井祐太氏

―サイバーネットの会社概要を教えてください。

村松氏:サイバーネットは法人向けのデジタルオンデマンド印刷事業を中心に、名刺・DM・チラシ・POP等の印刷事業・デザイン制作事業、システム開発事業など多岐にわたり展開しています。

独自サービスも展開しており、企業名刺のWEB発注システム「PRINTBAHNⅡ」は約7,000社に利用され、180万箱の受注実績があります。従来、企業における名刺発注業務は、校正作業や見積書・請求書のやり取りなど、アナログなオペレーションが中心でした。そのため、PRINTBAHNⅡでは、名刺発注から印刷、納品までの一連の作業をデジタル化することで、コスト削減や管理部門の業務効率化などに貢献しています。

また、最近ではオンライン版のデジタル名刺「PRINTBAHN PLUS」もリリースし、名刺発注に加え、デジタル名刺のオンライン交換機能や名刺管理機能も併せて提供しています。

費用対効果の薄い既存システムからZoho CRM Plus に移行
データ移行ツールなどを活用し、短期間での導入を実現

―Zoho CRM Plus を導入する以前の顧客管理の状況や課題について教えてください。

唯野氏:Zoho CRM Plus を導入するまでは、某社の顧客管理ソリューションを7年間ほど利用していました。その製品はCRMのほか、SFA、BIツール、ヘルプデスクツール、チャットなどの幅広い機能を提供しており、当社でもさまざまな業務で活用していました。

例えば、営業部門は顧客管理やCRMで取引先情報や見込み客情報、案件情報などを管理し、BIツールで取引先の属性や案件の進捗状況などを分析。カスタマーサポートの部門は、ヘルプデスクツールでホームページからの問い合わせを一元管理し、ヘルプデスク業務を行なっていました。また、チャットツールは部門を問わず全社員が利用しており、当社のコミュニケーションを支える重要なインフラの一つでした。

村松氏:しかし、機能が充実している分、コストが高く、費用対効果には疑問がありました。ただ、業務の幅広い領域で利用していたためリプレイスを検討しづらく、費用感には疑問を持ちつつも、長年利用し続けていたというのが正直なところです。ところが、2022年ごろから、全社的にコスト削減の方針が打ち出されたのをきっかけに、リプレイスの機運が高まりました。

また、併せて、ベンダーのサポートに物足りなさを感じていたこともリプレイスを後押ししました。その製品は海外製であったため、カスタマーサポートや営業担当者によるフォローも日本の商習慣とはやや異なっていて、どこかビジネスライクな印象がありました。そこで、より手厚いサポートを求めて、新たな製品の導入することになりました。

―Zoho CRM Plus を選定した理由をお聞かせください。

酒井氏:選定では「既存システムよりも安価であること」「既存システムの動きを再現できること」が要件になりました。コスト削減を目指す一方で、サービスレベルを落とさないことが重要なポイントでした。

他社製品も比較検討した結果、選定したのがZoho CRM Plus です。Zoho CRM Plus は、CRM、SFA、BIツール、ヘルプデスクツールなど、幅広い機能をカバーしていましたし、既存システムに比べて圧倒的に安価でした。

―移行作業の体制やスケジュールについて教えてください。

酒井氏:移行作業はほぼ私一人で担当しました。そのため、当初は移行作業に手間取ってしまうのではないかと不安でした。以前の製品には、取引先情報約5,000件、見込み客情報30,000件、カスタマイズ項目200ものデータが蓄積していたので、同僚のなかには「移行に1年はかかるのでは…」と心配する者もいました。

ただ、そうした心配は全くの杞憂でした。Zoho CRM Plus はデータ移行ツールを標準で備えているので、以前の製品のデータを自動的に読み込んでくれます。CSVの列を調整したり、項目名を変更したりといった煩わしい作業は、ほとんど不要でした。実際に、本業の情報システム部の仕事と並行しながら、約2カ月で全ての移行作業を完了できています。

Zoho CRM の移行ツール機能の画面(2023年9月時点)

Zoho Survey やZoho CRM を連携し、リード獲得施策を効率化
Zoho CRM Plus に各種業務を集約し、全社的な業務効率化を促進

―現在、Zoho CRM Plus をどのように活用されていますか。

唯野氏:以前の製品で実施していた業務は、ほとんど代替することができています。例えば、営業部門ではZoho CRM で見込み客情報や取引先情報、案件情報などを管理。見込み客情報にはスコアリング機能を活用し、見込み客をニーズの高さごとにランク付けして、営業アプローチの参考にしています。また、取引先情報のタブに受注内容や配送状況などを記録し、カスタマーサポートの部門との情報共有に利用しています。

酒井氏:Zoho Desk はカスタマーサポートの部門で利用しています。こちらも問題なく利用できていますし、以前の製品にはなかった機能も備わっているので、むしろ以前よりも利便性は向上しています。

その一つが、Zoho Desk とZoho CRM の連携です。現在、当社ではZoho CRM の取引先情報の画面から各顧客の問い合わせを閲覧できる連携を行っています。これにより、営業担当者は担当顧客の問い合わせ内容やシステムへのニーズを簡単に知ることができます。また、営業部門とカスタマーサポート部門のコミュニケーションも円滑化され、より緊密な部門間連携も可能になっています。

Zoho Desk の問い合わせ一覧画面と、Zoho CRM からZoho Desk の問い合わせを確認している画面

村松氏:Zoho Survey 、Zoho CRM 、Zoho Analytics の3つを連携して、展示会でのリード獲得施策にも利用しています。

具体的には、展示会で名刺交換したお客様の情報とその際にヒアリングした内容を、Zoho Survey で作成したアンケートフォームに営業担当者が入力し、Zoho CRM に自動連携。見込み客情報として登録するとともに、アンケートの内容をもとにニーズの高さや、どのサービスの見込み客であるかを、Zoho Analytics のレポートで分析しています。また、Zoho Survey のアンケートは、Googleスプレッドシートにも連携しており、どの営業担当者がいくつリードを獲得したのかといった成果報告がリアルタイムで集計・可視化されています。これにより、展示会に参加していない社員にも営業担当者たちの活躍を共有でき、社内の一体感の醸成やモチベーション向上につながっています。

以前、これらの施策にはかなりの手間を要していました。以前の製品には、Zoho Survey のようなアンケートツールが備わっていなかったので、展示会で交換した名刺の情報は翌日に一枚一枚スキャンして、CSVデータにまとめ、CRMに連携する必要がありました。この作業には1週間ほどの期間を要しており、営業のリードタイムを長引かせる要因でした。しかし、現在では名刺交換後すぐにCRMにデータ連携できるため、スムーズに営業アプローチに移行できます。また、リード獲得の成果報告も以前は展示会終了後にスプレッドシートに入力する形で行っていましたが、Zoho CRM Plus のおかげで、そうした煩わしい作業からも解放されました。

Zoho Survey で作成したアンケート画面と 利用サービスのフロー図

―Zoho CRM Plus の導入効果を教えてください。

村松氏:まず、大きな効果としてはコスト削減です。以前の製品のサービスレベルは維持したまま、コストは約50%削減できています。

また、さまざまなシステムをZoho CRM Plus に集約できているという点も効果だと思います。以前の製品の際は、見積書や請求書などの帳票の作成をプラグインのシステムで行なっていたのですが、Zoho CRM Plus では標準機能で各種帳票を作成できます。さらに、帳票の部門間での共有もZoho CRM 内で行えるため、さまざまな業務がZoho CRM Plus に集約されています。

これは業務効率化を進めるうえでも有益ですし、システムの保守作業の効率化にも貢献しています。現在、当社ではMAツールは他社の製品を利用しているのですが、可能であればZoho CRM のMA機能に移行したいとも思っています。さまざまなシステムを集約して、業務をシンプルにできるのが、Zoho CRM Plus の大きな魅力だと思いますね。

株式会社サイバーネット

  • 所在地:東京都豊島区東池袋3-22-7 CN ビル
  • 業種:印刷業
  • 社員数:188名(2022年1月現在 連結)
  • ビジネス:B2B
  • 事業内容:デジタルオンデマンド印刷事業、Web to Print システム開発事業、
    DM・チラシ・POPデザイン制作事業、企業向ホームページ制作事業、販売促進・広告宣伝事業、スポンサー事業
  • 創業:1995年
  • URL :https://www.cyber-nt.co.jp/