顧客管理やMAを包括的に展開できるZoho CRM Plus を導入
小規模組織のリソース不足を補い、リード獲得数を10倍以上に

小規模組織での営業活動には「効率化」が欠かせない。数少ないリソースを、何らかの方法で補い、効率的に営業活動を展開していく必要がある。では、そうした体制は、どうすれば実現できるのだろうか。

半導体製造の検査工程に用いられるプローブカードなどの半導体製造機器を製造・販売する株式会社アポロウエーブ(以下、アポロウエーブ)は、Zoho CRM Plus を導入し、顧客管理やメルマガ配信などの各種業務をZoho サービスに集約。リード獲得から顧客管理、ナーチャリング、商談、受注、クロージングといった営業プロセスをデジタル上で可視化し、数少ないリソースを効率的に活用できる体制を築いている。Zoho CRM Plus の導入後、同社ではリード獲得数が10倍以上に増加し、毎月の問い合わせ件数も約50%増加している。

当社は小規模組織のため営業活動のリソース不足が課題になりがちです。Zoho CRM Plus による営業活動の可視化や自動化は、リソース不足を補ううえでも重要ツールになっています。

株式会社アポロウエーブ マネージャー
仲山 洋輔氏

―アポロウエーブの事業概要を教えてください。

アポロウエーブは大阪府大阪市に本社を置く、半導体検査機器メーカーです。当社の主要製品はプローバーやプローブカードと呼ばれる製品。これらは半導体の製造工程のうち、後工程に不良品を流さないための検査に用いられます。ウエハー上のICチップの電気特性を検査するため、プローブ(針)をウエハーの適切な位置に接続・配置するのが、プローバーやプローブカードの役割です。

こうした高度に専門的な製品を取り扱っていることもあり、取引先は半導体メーカーや大学、国の研究機関が中心です。世界的に半導体市場における競争が高まるなかで、量産・研究の二つの側面で国内の半導体産業に貢献しています。

属人的な情報提供が営業活動の効率化を阻害
顧客管理やMAを包括的に展開できるZoho CRM Plus を導入

―Zoho CRM Plus の導入前の課題をお聞かせください。

「営業活動の属人化」が課題でした。当社ではこれまで顧客管理や顧客への情報提供などに統一した体制がなく、それぞれの施策を営業担当者が自らの裁量で行っていました。顧客管理であれば、営業担当者が個別に名刺管理アプリなどを利用していましたし、情報提供も訪問時にそれぞれで資料を持参する形でした。しかし、それでは組織的に顧客管理やマーケティングを行えず、営業機会の損失を招いてしまいます。

当社の製品の特性上、リード獲得から受注までの期間が長期に渡ることが多いため、定期的にお客さまにアプローチしなければ、製品や会社そのものを忘れられてしまうという課題もあります。特に高額の製品は、まず取引先での予算確保が必要になるため、年度をまたいだり、数年に渡って検討が繰り返されたりすることも珍しくありません。そのため、長期的にお客さまと接点を持ち、定期的に情報を提供していく必要があります。

また、当社では新規顧客の半数以上がWEBからのお問い合わせや代理店からの紹介です。しかし、マーケティングを体系的には行ってはおらず、効率化や営業力をより強化するためにMA(マーケティングオートメーション)ツールの導入を検討していました。

―Zoho CRM Plus の導入に至る経緯を教えてください。

従来の営業活動を見直すため、2020年ごろからMAツールの利用を開始し、メルマガ配信などの施策に着手しました。しかし、利用を続けるうちに「MAツールの効果を最大化するには顧客管理が必要」だと気づきました。メルマガ配信などの効果を高めるには、お客さまごとのメール開封状況や遷移先などを蓄積し、次のアクションに生かせる体制を構築する必要があります。以前使用していたMAツールはWebマーケティングの方法論や仕組みを学ぶうえでは有用だったのですが、顧客管理を行うには物足りなさがありました。そこで、MAだけでなく、顧客管理やトラッキングなどを包括的に行えるシステムを導入することにしました。

そのなかで選定したのが、Zoho CRM Plus です。選定にあたっては複数のシステムを比較検討したのですが、Zoho CRM Plus は充実した機能を備えているのはもちろん、圧倒的に安価なのが魅力でした。当社のような中小企業でも導入しやすく、高い効果が期待できることに惹かれました。

既存システムと併用しながら、約1年間でZoho CRM Plus を導入
WEB接客ツールやメール配信ツール を活用し、定期的に顧客との接触機会を創出

―Zoho CRM Plus の導入プロセスについて教えてください。

当初は無料トライアルを利用し、先行して利用していたMAツールと併用しながら導入を進めました。まずは、Zoho CRM の構築から始め、徐々にWebトラッキングツールのZoho SalesIQ や、メールマーケティングツールのZoho Campaigns にも手を広げ、導入から約1年後にはZoho CRM Plus への完全移行を果たしています。

導入時のポイントとしては、1年間に渡って、ほぼ専任で構築を手がけたことでしょうか。導入開始時の2020年はコロナ禍の真っ最中。多くの企業と同様に当社でも訪問営業の機会が減っており、ちょうど手が空いている時期でした。その期間にZoho CRM Plus の導入を一気に進めることができたのは、不幸中の幸いだったかもしれません。

Zoho CRM Plus は充実した機能を有している分、設定すべき項目が多く、当社のように一からシステムを構築する際には多少の時間を要します。しかし、一度構築してしまえば、あとは細かい設定を調整しながら運用していけばよいため、集中的に導入に取り組むのがおすすめです。そのため、これからZoho CRM Plus を導入する企業は、専任の導入担当者を設けるのが良いかもしれません。

―現在、Zoho CRM Plus をどのように活用されていますか。

Zoho CRM、Zoho SalesIQ、Zoho Campaigns の3製品を利用しています。まず、Zoho CRM の連絡先タブに顧客情報を入力し、商談タブと関連づけて顧客管理を行っています。これにより、以前は属人的に管理されていた顧客情報や商談内容、商談ステータスなどを一元的に管理できるようになりました。さらに、商談の毎週の進捗状況や案件状況はレポート機能でレポート化し、経営層や営業担当者に自動配信しています。以前は、商談の進捗報告は口頭や日報で行われていましたが、レポート機能により、これらの手間が削減され、営業担当者の業務負担が軽減されました。

Zoho CRM のレポート機能を利用し、商談の進捗状況を確認

また、Zoho CRM ではステップメールも活用しています。製品サイト上でのパンフレットのダウンロードをトリガーに「ダウンロード直後」「1週間後」「1ヶ月後」など、一定の期間で製品情報などが配信される仕組みを構築。これにより、お客さまとの接点を定期的かつ自動的に持つことが可能になっています。

次にZoho SalesIQ では、製品サイトのWebトラッキングやチャットボットの設置を行っています。製品ごとに異なるボットの条件を設定し、例えば「8秒以上ページを閲覧したらキャンペーン情報を表示する」など、トリガーをページごとに設けることで製品サイトの回遊やコンバージョンを促します。また、Zoho SalesIQ でもレポート機能を活用しており、既存顧客の訪問履歴を営業担当者に自動配信しています。これにより、営業担当者は、お客さまが今まさにどの製品に関心があるのかを把握したうえでアプローチできます。

(左)アポロウエーブ社のWebサイトで表示されるSalesIQ のチャット画面
(右) SalesIQ 自動処理の設定画面。Webページの内容に応じて、異なるチャットの表示条件を作成している。

そのほか、Zoho Campaigns では、概ね月1回のペースでメルマガを配信し、お客さまに定期的な情報提供を行っています。それまで、情報提供は訪問時などに行っていたため、どうしてもお客さまごとにムラが生まれていましたが、現在はお客さまに漏れなく定期的な情報提供が可能になっています。

Zoho CRM Plus による営業プロセスの「可視化」が営業担当者の意識変革を促し、
営業活動の効率化に貢献

―Zoho CRM Plus の導入効果を教えてください。

導入に前後して製品サイトのリニューアルも行っているため、すべてがZoho CRM Plus の効果というわけではありませんが、導入前に比べてリード獲得数は10倍以上に増加しています。毎月のお問い合わせ件数も約50%増加しており、売上におけるZoho CRM Plus の貢献度は決して小さくありません。

また、営業活動にまつわるさまざまな事柄が可視化されたことも大きな効果です。例えば、Zoho Campaigns により、メルマガ配信に対するお客さまの反応を確認できますが、開封率は20~30%、解約率も比較的低く、お客さまがメルマガに一定の興味を持っていることがわかりました。実施しているマーケティング施策が有効だと把握できると、施策の改善も図りやすく非常に有益です。

さらに、営業プロセス全体が可視化されることで、営業担当者の意識改革を促しやすくなったとも思っています。例えば、Zoho CRM で、ここ最近の営業活動の結果を分析してみると、訪問営業で新規顧客を獲得しているケースはほぼありません。新規顧客の獲得はほとんどが紹介や問い合わせが起点となっているため、営業担当者は新規顧客の獲得ではなく、既存顧客のフォローやクロージングに注力するべきだとわかりました。もちろん、こうした結果は営業担当者ならば感覚的に理解しているのですが、実際に数値として可視化されると意識が大きく変わります。従来の営業活動の方法を見直し、数少ないリソースを効率的に活用していくうえで、「可視化」は非常に有用です。

―最後に、Zoho CRM Plus の活用について今後の展望をお聞かせください。

今後は、他のシステムで行っている業務をZoho CRM Plus に移行して、さらに集約を進めたいと思っています。例えば、現在、見積書の作成は他社のシステムで行っているのですが、Zoho CRM にも見積書作成の機能が備わっているので、移行を検討しています。それが実現すれば見積書の金額や日時を顧客情報に関連づけることができ、さらに多くの情報を営業活動に利用できるはずです。こうした改善を継続的に行い、より強固な営業活動の体制を築いていきたいと考えています。

株式会社アポロウエーブ

  • 所在地:〒532-0011 大阪市淀川区西中島6-7-8 大昭ビル4F
  • 業種:一般機械器具
  • ビジネス:B2B
  • 事業内容:プローブカード各種製造販売、マニュアルプローバーおよびホットチャックの製造販売
  • 設立:2000年2月
  • URL :https://www.apollowave.co.jp/