Zoho Analytics の導入で、エクセルでは実現できなかった精緻なデータ分析が可能に
「経営の羅針盤」として、海外事業の戦略立案や生産計画の適正化に活用

自動車部品や航空機部品などの耐久性試験に用いられる振動試験装置を開発・販売し、国内トップシェアを誇るIMV株式会社(以下、IMV)。同社は、従来エクセルで行っていた海外事業のデータ管理・分析に「Zoho Analytics」を導入。海外子会社ごとに別のツールに保存されていたデータを統合し、正確かつ即時性高く把握できるようになった。また、Zoho Analytics の各種機能を活用した精緻なデータ分析を、海外事業の戦略立案や生産計画の適正化などに活用している。

同社の海外事業本部で本部長を務める柿原正治氏は、「Zoho Analyticsは、エクセルでは手間がかかって手が回らなかったデータ分析が即座に可能となりました。より適切な経営判断を下すうえで欠かすことができないツールです」とZoho Analytics を高く評価する。また、経営企画本部 情報システム部の部長である宮西靖氏は、「Zoho Analytics は分析機能の充実とコスト面のバランスが抜群です。以前、利用したことがあるBIツールに比べて、使い勝手の面で頭ひとつ抜けています」と語る。

IMV-logo

「Zoho Analytics は、サポートがとにかく丁寧で、トラブルシューティングもきめ細やかです。これまで利用してきた数々のITサービスのなかでもナンバーワンだと感じています」

IMV株式会社 
経営企画本部 情報システム部 部長 宮西靖氏

――IMV の企業概要や事業内容について教えてください。

宮西氏: IMV は、振動試験装置をはじめとした製造業向けの産業機械メーカーです。振動試験装置とは、自動車部品や航空機部品など、耐久性能が求められる部品の生産に必要な装置です。自動車や航空機が運行中に受ける振動を再現し、部品の耐久性能を試験するために用いられます。IMV は、振動試験装置の分野で国内トップシェアを獲得しているほか、ヨーロッパやアメリカ、アジアにグループ子会社を展開し、世界的自動車メーカーに多数の製品を納入するなど、国内外で高い評価を受けています。

――現在、注力している事業領域を教えてください。

柿原氏: 近年、環境問題への関心の高まりから、世界中で自動車のEV化が進んでおり、電気自動車用のモーターやバッテリーに対する試験要求が急増しています。そうした需要に対応するため、IMV では、電気自動車部品向けの試験装置の開発や受託試験などの事業に注力しております。国内はもちろん、ヨーロッパやアメリカなどの海外市場におけるシェアの拡大に取り組んでいます。

エクセルの「データの掘り下げにくさ」が課題。
より精緻なデータ分析を目指し、Zoho Analytics を導入

――Zoho Analytics を導入したきっかけを教えてください。

柿原氏: Zoho Analytics を導入したのは、営業会議用の報告資料作成にかかる手間を削減するためでした。IMV では、毎月、経営層や各部門の部長などで営業会議を行なっており、そこで私は毎回、海外事業の売上や受注、国内工場からの出荷データなどの報告をしています。その報告資料の作成に以前はエクセルを使用しており、かなりの手間がかかっていました。具体的には、担当の社員が基幹システムから各拠点のデータをエクセル形式で出力して、マクロで集計したデータを私に共有し、さらにそのデータを私がグラフ化するなどして、資料にまとめていました。作業工数が多く、資料作成に時間がかかるのはもちろんですが、基幹システムから出力したデータは数千行にもおよぶため、マクロがフリーズすることも日常茶飯事で、不便を感じていました。一方で、資料作成の際に行う、データ分析にも課題を感じていました。

――具体的に、どのような課題を感じていたのでしょうか。

柿原氏: 「データの掘り下げ」についてです。例えば、ある海外子会社の月次の見込み売上高が先月に比べて有意に高かった場合などには、データを掘り下げて分析し、原因を突き止める必要があります。こうしたデータの掘り下げは、エクセルで行うこともできますが、労力がかかりますし、他の業務が忙しいときなどには手が回らないこともあります。そこで、Zoho Analytics を導入し、より精緻なデータ分析できないかと考えるようになりました。

――どのような経緯でZoho Analytics を知りましたか。

宮西氏: IMV の海外子会社では、数年前から顧客管理・営業支援ツールの「Zoho CRM」や経費レポート作成ツールの「Zoho Expense」などのZoho 製品を活用していました。私自身も構築などをサポートした経験があったため、Zoho Analytics の存在はかねてから知っていました。Zoho 製品に対しては、以前から「価格は安価で、機能はリッチ」という良い印象を持っていたため、Zoho Analytics についても「まずは使ってみよう」と、すんなり導入が決まりました。

複数のダッシュボードを作成し、海外事業のデータを可視化。
エクセル時には数値化できなかった指標の管理も実現

――導入開始からカットオーバーまでの流れを教えてください。

宮西氏: 導入は、私と柿原が2人で行いましたが、カットオーバーというほど大掛かりな取り組みではありませんでした。2人で話し合いながら設定を進めていったら、構築が完了したといった感覚です。

柿原氏: 私も同じ印象です。操作説明のウェビナーを一度視聴しましたが、その後は直感的に操作しながら、ダッシュボードの設定などを進めていきました。操作についてのトレーニングも必要ありませんでした。事実、導入の検討を始めたのは2020年の夏頃でしたが、数カ月後の10月には利用を開始しています。

宮西氏: 導入の際に感じたことなのですが、Zoho Analytics はあらゆるデータソースに接続可能なことが、非常に便利だと感じました。IMV では、海外子会社の拠点ごとに利用しているシステムが異なるのですが、Zoho Analytics はあらゆるデータソースに接続できるため、各拠点のシステム環境に応じたデータ連携が可能です。ヨーロッパの子会社のデータはCSV形式でインポートし、アメリカやタイの拠点のデータはGoogle BigQuery を介して、Zoho Analytics に自動連携する仕組みを構築しています。

――現在、Zoho Analytics をどのように活用されていますか。

柿原氏: 受注データ、売上データ、国内工場からの出荷データなど、複数のダッシュボードで海外事業のデータを管理し、営業会議用の報告資料作成などに用いています。以前は、データを集計し、報告資料を作成するまでにタイムラグが生じていましたが、現在では毎日、自動的にデータが更新されるため、正確な報告が可能になっています。

また、Zoho Analytics の導入により、以前は数値化できていなかった指標の管理も可能になっています。例えば、自社製品の省エネルギー効果の数値化です。IMV では、電力量消費量やCO2排出量を抑制する技術を採用した省エネルギー装置を開発・販売しています。こうした製品はSDGs への対応など、環境への配慮に貢献しているのですが、その効果をエクセルで集計するのは手間がかかるため、これまでは具体的に把握できずにいました。それが現在では、Zoho Analytics により可能になり、省エネルギー装置のPRや自社のCSR活動などに生かせるようになりました。

会議用の資料作成工数はほぼゼロに。
ドリルダウン機能などを活用し、正確な受注予測を通じた生産計画の適正化などを実現

――Zoho Analytics の導入効果を教えてください。

柿原氏: 報告資料作成にかかる工数は、ほぼゼロに削減されています。特に、売上データや受注データなどの資料に関しては、Zoho Analytics のダッシュボード画面をキャプチャし画像をPowerPoint に貼り付けるだけなので、全く手間がかかりません。以前、エクセルのマクロがフリーズして、何度も中断しながら資料作成を進めていたことを考えると、この工数削減効果は計り知れません。

また、Zoho Analytics により精緻なデータ分析が可能になり、適切な経営判断のための重要な材料となっています。特に役立っているのは、ドリルダウン機能です。ドリルダウン機能は、グラフ内の任意の部分をクリックすると、その部分がどのような原因に基づいているかを調査・分析できる機能です。

例えば、先月に比べて、今月の見込み売上高が急に伸びている場合には、グラフの該当部分をクリックすると、それが「ドイツの自動車メーカーからの大型案件受注によるもの」といった原因が把握できます。こうしたデータ分析は、正確な受注予測を可能にし、生産計画の適正化などに役立ちます。

また、私自身も、各国の売り上げデータにおいて地図に反映して視覚的に分析できる地理データ分析機能を活用しているうちに、ヨーロッパの売上高がドイツなどの西ヨーロッパから、チェコやハンガリーなどの東ヨーロッパに遷移しつつあることに気が付きました。おそらく、西ヨーロッパにおける労務コストの高騰から、製造業の工場が東ヨーロッパに移設されている影響によるものだと思いますが、こうした有益なインサイトを得るうえでも、Zoho Analytics は大きく貢献しています。

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Zoho Analytics で実際に作成したダッシュボード
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Zoho Analytics で実際に作成したダッシュボード

――Zoho Analytics に対する評価をお聞かせください。

宮西氏: 充実した分析機能を高く評価しています。IMV では、以前、他のBIツールを利用したことがありますが、データの掘り下げに弱いという印象がありました。その点、Zoho Analytics は、ドリルダウン機能などを活用すれば、あらゆる側面から自社のデータを分析・検討することが可能になり、適切な経営判断の指標にできます。まさに「経営の羅針盤」ともいえるツールです。

さらに、充実した機能を備えている一方で、価格が非常に安価で、コストパフォーマンスが非常に高いです。

今後は、サプライチェーン全体をZoho Analytics で分析し、
オペレーションの最適化などを狙う

――Zoho Analytics の活用について、今後の展望をお聞かせください。

柿原氏: 今後は、海外事業のデータ分析だけでなく、生産などに関するコスト分析にZoho Analytics を活用したいと考えています。基幹システムの仕入データをZoho Analytics に連携し、月ごとやサプライヤーごとに発注額を分析するなどして、生産に関するコストを削減したいです。さらに、その先には、サプライチェーン全体をZoho Analytics で分析して、オペレーションの最適化を図るといったところまで、取り組みを拡大できるのではないかと期待しています。

――最後に、現在Zoho Analytics の導入を検討している方に向けて、活用のアドバイスをお聞かせください。

宮西氏: 「いかにキレイなデータ集めるか」がZoho Analytics に限らず、ツールを活用するうえでの重要なポイントだと思います。例えば、海外拠点を複数展開している企業の場合、各国ごとに重視している指標や収集しているデータがバラバラということも少なくありません。しかし、それでは各拠点を同じ指標のもと分析できず、Zoho Analytics の機能も十分に生かすことができません。IMV は、受注確度のランクなど、かなり細かい指標まで海外子会社と統一しており、それがZoho Analytics の活用のうえでも奏功したと感じています。現在、導入を検討されている方は、まずは自社の指標管理の状況を把握し、整理してみることから始めてみるのがいいのではないでしょうか。

IMV株式会社

  • 所在地: 大阪市西淀川区竹島2-6-10
  • 業種: 製造業
  • 社員数: 410名(2021年9月30日現在 連結)
  • ビジネス: B2B
  • 事業内容: 振動試験装置、テスト&ソリューションサービス、メジャリングシステム
  • 設立: 1957年(昭和32年)4月17日
  • URL: https://www.imv.co.jp/